離婚後の面会とは?知っておきたい面会交流権の決め方・例外ケース・変更タイミングを解説
最終更新日: 2023年10月31日
- 離婚後、妻が子どもの親権者となる予定だ。離婚後に何とか子どもと会いたい。
- 子どもとの面会交流は、やはり夫婦の話し合いで取り決めるべきなのだろうか?
- 元夫と子どもの面会交流を認めているけど、そろそろやめさせたいときはどうすればよい?
離婚が成立し、離婚した配偶者と共に子どもも家を出ていったら、親権の無い親は二度と子どもに会えないというわけではありません。
離婚を話し合うときに、親権の無い親が子どもと定期的に会う日時・回数も決められます。それが「面会交流権」です。
ただし、子どもとの面会交流が認められないケースや、事情の変化で面会交流が変更される可能性もあります。
そこで今回は、多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、面会交流権を決める方法、認められない場合や変更のタイミング等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 面会交流権をどうするかは、離婚を話し合うときに取り決めるのが一般的
- 話し合いがまとまらなければ調停や審判で決める
- 子どもが拒否した他に、子どもへの悪影響が懸念される等、面会交流権が認められない場合もある
離婚における面会交流権とは
面会交流権は夫婦が離婚を話し合うとき、必ず取り決める条件ではありません。
しかし、親権を持たない親と子どもの関係が良好であるなら、定期的な面会は子どもの精神的な安定につながります。
こちらでは、面会交流権の内容と話し合うタイミングについて解説します。
面会交流権とは
面会交流権とは、親権者とならない方の親が、子どもと定期的に会って交流する方法・日時等を決める権利です。
離れて暮らしている親と会い交流を継続すれば、子どもの精神的な安定を保つ効果もあります。
面会交流権の内容が厳格に法定されているわけではなく、子どもと会う回数(例:1か月に1回等)や面会日(例:毎月1日等)は、離婚当事者で自由に決定することが可能です。
もちろん、子どもの希望も汲んで面会交流権を取り決める必要があります。
決めるタイミング
基本的には離婚を話し合うとき、面会交流に関する内容も決定します。なぜなら離婚後、元夫婦は頻繁に会う機会も無くなるからです。
ただし、面会交流権をどうするのか夫婦の話し合いが平行線のまま、離婚が成立する場合もあります。
そのようなときは家庭裁判所にて、あらためて面会交流権の話し合いを継続しても構いません。
離婚時の面会交流権の決め方
面会交流権は夫婦間での協議、家庭裁判所での調停・審判のいずれかで決定します。なお、審判は調停後に行われます。
こちらでは、それぞれの決定方法について説明しましょう。
協議
まずは夫婦の話し合いで面会交流権をどうするのか決めていきます。
もちろん親の都合だけではなく、子どもに面会交流の希望を聞いたうえで、具体的な条件を決める必要があります。面会交流は月に1回程度の面会が一般的です。
ただし、親権の無い方の親が子どもと良好な関係の場合、1か月に複数回の面会交流を認めても構いません(例:毎週土曜日の〇時~〇時まで等)。
調停
協議で面会交流権の取り決めができなかった場合は、家庭裁判所で話し合いを継続します。
離婚後に家庭裁判所の調停で解決を図りたいならば、「面会交流調停」(子の監護に関する処分)を行います。
調停を行うときは、相手方の住所地または当事者が合意で定めた家庭裁判所に申立てをしましょう。
申し立てるときは、面会交流申立書や戸籍謄本等を準備します。
- 面会交流申立書とその写し1通
- 未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書):本籍地の市区町村役場で取得
- 収入印紙代:子ども1人につき1,200円
- 切手代:1,000円程度
なお、調停は非公開で行われ、基本的に当事者双方が出席しなければいけません。
調停時には家庭裁判所から選ばれた調停委員(2名)が当事者の言い分を聴き、双方の面会交流に関して主張の隔たりを埋めるアドバイス、解決案も提示します。
当事者の話し合いがまとまったら、家庭裁判所で合意内容を記載した調停調書が作成され、手続きは終了します。
出典:面会交流調停 | 裁判所
審判
調停が不成立となって終了しても、引き続き審判手続で必要な審理が行われた後、審判で面会交流権の結論が示されます。
裁判官は当事者の主張の他に、子の年齢や性別、性格、就学の有無、生活のリズム、生活環境等も踏まえ、子どもに負担がかからないよう一切の事情を考慮したうえで、決定を下します。
離婚で面会交流権が認められないケース
親権者ではない親が協議・調停・審判で主張しても、必ず面会交流権が認められるわけではありません。
こちらでは、面会交流権が認められないケースを3つ取り上げます。
子どもによる拒否
子どもが面会交流を嫌がっている場合は認められません。
親権の無い親が婚姻中、子どもを可愛がっていたつもりでも、離婚成立までの親同士のいさかいや感情的になる親の姿を見て、親への信頼が失われている可能性もあります。
また、裁判所は子どもの意見を重視する傾向があり、子どもがはっきりと拒否しているなら、調停や審判の場合に面会交流が認められない可能性は高いです。
子どもに悪影響がある場合
子どもの精神面や生活環境に悪影響が出る場合は認められません。
親権の無い親が子どもに愛情を持っていても、離婚原因をつくった張本人ならば、子どもから反感を持たれている可能性があります。
このようなケースで無理に面会交流をすれば、子どもが「家族がバラバラになったのは皆お前のせいだ!」と面会した親とトラブルとなったり、不登校や家庭内暴力を行ったりする事態も考えられます。
一方、面会交流を希望する親に問題がある場合も認められません。
たとえば、面会交流を希望する親がいまだ離婚に不満を抱えており、面会のときに子どもへ親権者の悪口を言ったり、子どもの教育方針に干渉したりするケースがあげられます。
面会交流を認めてしまうと、子どもが精神的に混乱し、親権者との信頼関係が破壊されてしまうリスクも想定されます。
危険性が高い場合
親権の無い親を面会させると、子どもに重大な危険性が及ぶ場合は認められません。
次のようなケースが該当します。
- 親に薬物使用の疑いがある
- 親が児童虐待、性的暴行を行った経緯がある
- 面会させると子どもを連れ去る危険性が高い 等
過去、親に問題行為や違法行為が存在し、現在もその危険性が十分あるならば、面会交流は不可能です。
離婚の面会交流権を変更できるタイミング
子どもとの面会交流が認められたとしても、子どもが自立するまでずっと継続できるとは限りません。
こちらでは、どのようなタイミングで変更するのかどうかについて解説しましょう。
子どもの成長のタイミング
子どもと面会交流を長期間続けており、関係も良好な状態ならば無理に変更する必要はありません。
ただし、子どもが成長してきて部活や受験に忙しくなる可能性はあります。
そのようなときは子どもの意見も聞きながら、親権者および面会交流を行う親が、面会交流権の内容変更を検討してみましょう。
次のような変更例が考えられます。
- 面会回数:【小学校6年間】毎月3回の面会交流→【中学進学】部活の影響で毎月1回に変更
- 面会時間:【小学校6年間】土曜日の12時~17時まで→【中学進学】部活や塾があるので日曜日の16時~18時に変更
子どもの現状に合わせ、柔軟に内容を変更していきましょう。
再婚のタイミング
親権者の再婚により、面会交流権が再考される場合もあります。
再婚が決まったからといって親権者の子どもと再婚相手との間に、法律上の親子関係は発生しません。
ただし、親権者の子どもが再婚相手と養子縁組を結べば、法律上の親子関係が成立します。
親権者が再婚し、子どもも含めた新しい家庭を築く場合は、このように子どもを取り巻く環境が大きく変化してしまいます。
今後も同じ面会交流権を継続するか、内容の変更や交流自体をやめるか検討が必要になるでしょう。
当事者の話し合いで合意できなかった場合は、「面会交流調停」で家庭裁判所の関与のもとに解決が図れます。
なお、面会交流を継続するかどうかの協議や調停・審判では、子どもの意向が最も尊重されるよう手続きを進めていきます。
まとめ
今回は、多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、面会交流権を決めるときの決定方法や変更、面会交流権が認められないケース等について詳しく解説しました。
面会交流は子どもの精神的な安定を図り、子どもの福祉に役立つ方法の一つです。面会交流権の内容は子どもの意志も踏まえたうえで、慎重に検討していきましょう。
面会交流をどうするかで悩んだら、まずは弁護士と相談し、内容についてよく話し合ってみてはいかがでしょうか。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。