面会交流(親子交流)の取り決め方と拒否リスク|弁護士が7項目を解説
最終更新日: 2026年06月26日

「子どもと会わせてもらえない」「相手に会わせたくない」——面会交流をめぐるトラブルは、離婚後も長く続くケースが少なくありません。
面会交流(2026年4月の民法改正以降は「親子交流」)とは、子どもと離れて暮らす親が定期的に子どもと会う権利です。
離婚届を提出する際に取り決めておくべき重要事項のひとつですが、具体的な内容まで決めないまま離婚してしまい、後でトラブルになるケースが多く見られます。
この記事では、面会交流の基本的な考え方から、取り決める内容・決め方・拒否した場合のリスクまで、弁護士監修のもとわかりやすく解説します。
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面会交流(親子交流)とは?目的と基本的な考え方
【2026年4月 民法改正】
民法改正により、「面会交流」という用語は「親子交流」に変更されました(2026年4月1日施行)。
本記事では、改正前の呼称「面会交流」と新呼称「親子交流」を併記しています。
面会交流(親子交流)とは、離婚や別居によって子どもと離れて暮らすことになった親が、定期的に子どもと面会・交流する権利です。
民法766条に定められており、子どもの福祉を最優先に、「子どもが両親の愛情を受けて成長できる環境」を確保することが目的です。
面会交流は子どもの権利
面会交流は「会いたい親の権利」ではなく、「両方の親から愛情を受ける子どもの権利」として位置づけられています。
そのため、たとえ離婚の原因を作った側の親であっても、子どもへの悪影響がない限り、原則として面会交流は認められます。
養育費とは切り離して考える
「養育費を払わないから会わせない」という考え方は、法律上認められていません。養育費の支払い義務と面会交流の権利は、それぞれ独立した別の問題です。
面会交流の対象期間
原則として、子どもが成人(18歳)になるまでが対象です。ただし、当事者間で合意すれば成人後も続けることは可能です。
面会交流で取り決める7つの内容
協議や調停で面会交流を取り決める際は、以下の7項目を具体的に定めておくと、後のトラブルを防げます。
頻度・回数
月1回・月2回などが一般的です。子どもの年齢によって目安が変わります。
子どもの年齢 | 目安の時間 | 備考 |
乳幼児(0〜2歳) | 30分〜2時間程度 | 授乳・昼寝のリズムを優先 |
幼児(3〜5歳) | 2〜3時間程度 | 慣れてきたら半日も |
小学生(6〜12歳) | 半日〜1日 | 宿泊も検討可 |
中学生以上 | 子どもの意思を尊重 | 部活・交友関係を考慮 |
場所
公園・レストラン・遊戯施設など、子どもが安心できる場所を具体的に定めます。
DVや虐待が懸念される場合は「公共の場所に限る」と明記することが有効です。
時間帯
「○時〜○時」と具体的に定めておくと、待ち合わせトラブルを防げます。宿泊の場合は帰宅日時も明記します。
宿泊の可否
宿泊を認める場合は「月に1回・土曜の○時から日曜の○時まで」など具体的に定めます。
初めから宿泊を設定するのが難しい場合、日帰りから始めて段階的に移行する方法もあります。
引き渡し方法
「同居親が送る」「相手が迎えに来る」「中間地点で引き渡す」のいずれかを決めておきます。
DVやハラスメントがある場合は、直接接触を避けるために第三者機関を介する方法もあります。
学校行事・特別な日
運動会・参観日・誕生日・クリスマスなど特別な行事での取り決めを事前に決めておくと、毎年の調整が不要になります。
連絡手段・プレゼント
「週1回のビデオ通話を認める」「誕生日プレゼントの送付は可」など、日常的な連絡やプレゼントについても取り決めができます。
面会交流の決め方(協議・調停・審判)
STEP 1:協議(話し合い)
まずは当事者間で話し合います。合意できれば「離婚協議書」や「公正証書」に記載します。
口頭での取り決めは後のトラブルの原因になるため、必ず書面にしましょう。
STEP 2:面会交流調停
話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に「面会交流調停」を申し立てます。調停委員が間に入り、双方の意見を調整します。
費用は収入印紙1,200円と予納郵便切手のみです。
STEP 3:試行的面会交流
調停段階で、裁判所の施設内にて試験的に面会を行う「試行的面会交流」が実施される場合があります。
2026年4月の法改正でこの制度がより明確に規定されました。
STEP 4:審判
調停で合意できない場合、審判官(裁判官)が面会交流の条件を決定します。
審判に不服がある場合は、2週間以内に高等裁判所に即時抗告できます。
面会交流が認められないケース
原則として面会交流は認められますが、子どもの安全・福祉を守るために、例外的に認められないケースがあります。
例外ケース | 具体例 |
①DV・虐待の恐れ | 非同居親がかつて子どもや同居親に暴力を振るっていた |
②子どもへの著しい悪影響 | 面会後に子どもの情緒が著しく不安定になる |
③子どもが強く拒否 | 子どもが自発的・継続的に会いたくないと意思表示している |
④連れ去りの恐れ | 過去に子どもを連れ去った経緯がある、または危険性が高い |
⑤著しい問題行動 | アルコール依存・薬物問題・ギャンブル依存など |
面会交流を拒否した場合のリスク
【重要】正当な理由のない面会拒否は法的リスクを伴います
取り決めた面会交流を一方的に拒否すると、以下のようなリスクが生じます。
リスク1:履行勧告(強制力なし)
家庭裁判所が相手方に対し、面会交流の実施を勧告します。強制力はありませんが、拒否した記録が残ります。
リスク2:間接強制(金銭的制裁)
調停や審判で面会交流が定められているにもかかわらず拒否を続ける場合、裁判所の決定により、1回の不履行ごとに3〜10万円程度の金銭の支払いを命じられることがあります(間接強制)。
リスク3:慰謝料請求
悪質・継続的な面会拒否は、不法行為として慰謝料請求の対象になります。過去の裁判例では数十万円から500万円程度の慰謝料が認められたケースもあります。
リスク4:親権者変更申立て
面会交流を正当な理由なく拒否し続けることは、親権者としての適格性に疑問を抱かせる事情として、相手方から「親権者変更申立て」をされるリスクがあります。
面会交流の変更・見直しができるタイミング
一度決めた面会交流の条件も、事情の変化があれば変更の申立てができます。
変更が認められやすい事情 | 内容 |
子どもの成長・意思変化 | 子どもが自分の意見を言える年齢になり、面会を嫌がるようになった |
生活環境の変化 | 転居・転校・部活動など、子どもの生活リズムが変わった |
親の再婚 | 同居親または非同居親が再婚し、新たな家族関係が生じた |
非同居親の問題行動 | 面会時に子どもへの暴言・連れ去り行為が発生した |
同居親の体調・事情 | 疾病や育児の困難など生活状況が変化した |
変更は当事者間の合意でできますが、合意できなければ再度調停・審判を申し立てる必要があります。
弁護士に依頼する3つのメリット
メリット1:取り決め内容を法的に有効な形で整備できる
弁護士が入ることで、合意内容を「公正証書」など強制執行が可能な書面にまとめることができます。
口頭や単なる書面では、後から「そんな約束はしていない」とトラブルになるケースがあります。
メリット2:拒否・変更の正当性を客観的に判断してもらえる
「相手が会いに来ない」「拒否し続けられている」など、実際の状況が正当な理由になるかどうかは法的判断が必要です。
感情的になりがちな問題を、客観的に整理してもらえます。
メリット3:調停・審判で代理人として対応してもらえる
調停や審判は弁護士なしでも進められますが、法的な主張・証拠の準備・期日対応など専門知識が必要な場面が多くあります。
代理人として同席・対応することで、手続き上の負担を大きく軽減できます。
よくある質問(FAQ)
Q. 相手が養育費を払わないので、面会交流を拒否できますか?
法律上、養育費の不払いと面会交流の拒否は切り離して考える必要があります。
養育費が未払いであっても、正当な理由なく面会を拒否すると間接強制や慰謝料請求などのリスクがあります。
養育費の問題は別途、強制執行等の手続きで対応しましょう。
Q. 子どもが「会いたくない」と言っている場合はどうすればよいですか?
子どもの意思は重要な考慮要素ですが、年齢・状況によって判断が異なります。
特に幼い子どもの場合、同居親の影響で拒否反応を示しているケースも少なくありません。
子どもの発言の背景を丁寧に確認し、必要であれば専門家の関与を求めることも選択肢です。
Q. 祖父母も面会交流を求めることができますか?
2026年4月の改正民法により、祖父母等の親族も一定の要件を満たす場合、親子交流の申立てができるようになりました。
具体的な要件については弁護士にご確認ください。
Q. 面会交流の頻度は後から変更できますか?
当事者間の合意があれば変更できます。合意できない場合は、再度調停・審判を申し立てて変更を求めることができます。
子どもの成長・生活環境の変化などが変更理由として認められやすいです。
Q. 面会交流を公正証書に記載する必要はありますか?
面会交流の取り決めは離婚協議書でも記載できます。ただし、養育費と異なり、面会交流の不履行そのものについては直接強制執行できません。
公正証書にすることで取り決めの証拠力が高まり、後のトラブル時に有利になります。
Q. 子どもが成人した後も面会交流を続けられますか?
成人した子どもとの面会交流は当事者間の自由な合意によるものになります。法律上の権利・義務としての「面会交流」は18歳未満が対象です。
成人した子ども自身が会うかどうかを決めることになります。
Q. 相手が取り決めを守らない場合、弁護士に相談すべきですか?
合意や審判が出ているにもかかわらず面会拒否が続く場合、弁護士への相談をお勧めします。
間接強制の申立て・慰謝料請求など、具体的な手段を検討する必要があるためです。
まとめ
面会交流(親子交流)は、子どもの健全な成長を支える重要な権利です。要点を整理します。
- 面会交流は「子どもの権利」であり、養育費の支払いとは切り離して考える
- 取り決め内容(頻度・場所・時間・宿泊・引き渡し・学校行事等)は具体的に書面化する
- 正当な理由のない拒否は、間接強制・慰謝料・親権変更のリスクを伴う
- 2026年4月の改正民法で「親子交流」に名称変更・試行的面会交流の制度化・祖父母の申立て可能
- 高葛藤なケースは第三者機関(支援機関)の活用も選択肢のひとつ
- 弁護士に依頼することで、取り決め内容の整備・交渉・調停対応をスムーズに進められる
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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