離婚したいと思ったら。事前準備や具体的な手続きを分かりやすく解説

最終更新日: 2024年09月11日

離婚したいと思ったら。事前準備や具体的な手続きを分かりやすく解説

「離婚したい」と頭によぎる時、心は不安と混乱でいっぱいでしょう。しかし、感情的な苦痛を抱えながら、離婚の手続きやその後の生活について考えるのは大変なことです。

この記事では、離婚を決意する前に確認すべきこと、そして具体的な離婚の手続き、さらに離婚後の生活設計まで、段階的に分かりやすく解説していきます。

自分の状況を整理する

自分の状況を整理する

離婚という大きな決断をする前に、まずは冷静に現状を把握し、離婚後の生活について具体的にイメージすることが大切です。

結婚生活の振り返り

まずは、なぜ離婚したいと感じるようになったのか、結婚生活を振り返ってみましょう。

夫婦関係を悪化させた原因や、離婚という選択肢を選ばざるを得ない決定的な出来事などを整理することで、冷静に状況を判断することができます。紙に書き出したり、信頼できる人に話を聞いてもらうのも有効です。

ただし、感情的な言葉で相手を責めるのではなく、あくまで事実ベースで振り返ることが大切です。

離婚の理由の明確化

離婚の理由を明確にすることは、今後の手続きや話し合いをスムーズに進める上で非常に重要です。

離婚には大きく分けて、「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3つの種類がありますが、どの方法を選択するかは離婚の理由によって大きく異なります。例えば、相手側に非がある場合(不倫、DV、モラハラなど)は、慰謝料請求も視野に入れることができます。

また、離婚理由によっては、財産分与などの割合が変わる可能性もあります。離婚理由を明確にすることで、自分に有利な条件で離婚を進めることができる場合があります。

法的な権利と義務の理解

離婚には、夫婦としての法律上の関係を解消する以上の意味があります。

財産分与、慰謝料、親権、養育費など、様々な法的問題が絡んでくるため、事前に基本的な知識を身につけておくことが大切です。

例えば、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産は、原則として2分の1ずつ分け合う「財産分与」の対象となります。

また、離婚によって精神的な苦痛を受けた場合には、相手に対して「慰謝料」を請求することができます。

子どもがいる場合は、「親権」や「養育費」についても話し合う必要があります。

これらの法的権利と義務について、自分だけで判断することが難しい場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします

子どもの親権や養育費の考慮

子どもがいる場合、親権をどちらが持つのか、養育費をどのように負担するのかは重要な問題です。離婚によって子どもが精神的な影響を受ける可能性も考慮し、将来を見据えた上で、子どもの福祉を最優先に考えた決断をする必要があります。

親権には、大きく分けて「単独親権」と「共同親権」の2種類があります。日本では、これまで単独親権が一般的でしたが、近時、法改正によって共同親権の制度がつくられました。養育費については、子どもの年齢や生活水準などを考慮して、夫婦間で話し合って決めるのが一般的です。

ただし、話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。

財産分与の検討

結婚生活中に築いた財産は、夫婦共有財産として、原則2分の1ずつ分け合うことになります。預貯金、不動産、車、保険、有価証券など、財産の洗い出しを行い、それぞれの所有割合を明確にしておくことが大切です。

財産分与の対象となるのは、夫婦で協力して取得した財産です。そのため、結婚前に夫婦の一方が所有していた財産や、相続や贈与によって得た財産は、原則として対象外となります。

また、住宅ローンが残っている場合、住宅ローン債務も財産分与の対象となります。

住宅ローンが残っている不動産をどちらか一方が取得する場合、住宅ローンの残債額も考慮して財産分与の割合を決める必要があります。

財産分与について、夫婦間で合意が得られない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。

カウンセリングや法律相談の利用

離婚問題は、精神的な負担が大きく、自分だけで解決するのが難しい場合もあります。客観的な立場からのアドバイスや、専門知識に基づいたサポートを受けることは、冷静な判断と円滑な手続きのために非常に有効です。

離婚問題に精通したカウンセラーは、あなたの気持ちを整理し、冷静な判断をサポートしてくれます。 また、弁護士などの法律の専門家は、あなたの状況に応じて、適切なアドバイスや手続きのサポートを提供してくれます。

離婚に関する情報は、インターネット上でも数多く見つけることができますが、必ずしも正確な情報ばかりではありません。信頼できる専門家の意見を聞くことが、結果的に時間と費用の節約につながることもあります。

離婚の準備を進める

離婚の準備を進める

離婚を決意したら、具体的な準備を始めましょう。必要な手続きや準備を怠ると、後々トラブルに発展する可能性もあるため、注意が必要です。

財産や収入の証拠の収集

財産分与や養育費の協議をスムーズに進めるためには、夫婦の財産状況を把握しておくことが重要です。通帳のコピーや給与明細などを収集し、財産目録を作成しておきましょう。

特に、預貯金は、離婚の話し合いが進むと、相手が勝手に引き出してしまったり、隠してしまう可能性があります。

離婚の話し合いが本格化する前に、ある程度の金額を別の口座に移しておくことも検討しましょう。

また、相手が隠している財産がある場合は、弁護士を通じて調査を行うことができます。

離婚協議書の作成

離婚の条件について夫婦間で合意した内容をまとめたものが「離婚協議書」です。

離婚届を提出する前に、必ず書面に残しておくようにしましょう。口約束だけでは、後々トラブルになる可能性があります。

離婚協議書には、以下の項目について記載するのが一般的です。

・離婚の合意

・親権者

・養育費

・面会交流

・財産分与

・慰謝料

・年金分割

離婚協議書は、法的拘束力を持つ重要な書類です。作成する際には、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

弁護士への相談

離婚の手続きは複雑で、専門知識が必要となる場面も少なくありません。弁護士に相談することで、法的観点からのアドバイスや、手続きの代行を依頼することができます。弁護士に依頼するメリットは、以下の点が挙げられます。

・法律のプロによる的確なアドバイスを受けられる

・交渉や調停、裁判を有利に進めることができる

・手続きをスムーズに進めることができる

弁護士費用は、事案の難易度や弁護士によって異なりますが、着手金として20万円~5万円程度が相場となっています。

また、離婚が成立した場合には、成功報酬として30万円~100万円程度が発生するケースが多いです。

少なくない弁護士費用がかかりますが、離婚問題を早期に解決するためにも、弁護士への相談は有効な手段と言えるでしょう。

別居の準備

離婚に向けて、別居が必要となるケースも多いでしょう。住居の確保や生活費の分担など、具体的な準備が必要です。

別居は、夫婦関係が破綻していることを証明する材料にもなるため、記録を残しておくことが重要です。 別居する際には、以下の点について決めておく必要があります。

・別居の時期

・別居後の住居

・生活費の負担

・子どもとの面会交流方法

別居後に、相手が生活費を支払ってくれない場合は、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てることができます。

また、子どもとの面会交流がうまくいかない場合は、「面会交流調停」を申し立てることができます。

離婚調停の申し立て

離婚協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に離婚調停の申し立てを行います。調停では、調停委員が間に入り、夫婦間の合意形成をサポートします。調停で合意が成立すれば、調停調書が作成され、確定判決と同じ効力が発生します。

離婚調停は、夫婦どちらか一方からの申し立てによって開始されます。申し立て先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。

離婚調停では、離婚の条件について話し合いますが、話し合いがまとまらない場合は、不成立となります。その場合は、離婚訴訟を起こすことができます。

調停離婚と裁判離婚の違い

離婚には、大きく分けて「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3つの種類があります。

協議離婚は、夫婦間で離婚の合意が成立した場合に、離婚届を役所に提出することで成立します。 調停離婚は、家庭裁判所の調停において、離婚の合意が成立した場合に成立します。裁判離婚は、家庭裁判所における訴訟を経て、離婚が認められた場合に成立します。

協議離婚で合意に至らない場合、または相手方が協議に応じない場合は、調停離婚または裁判離婚を選択することになります。

調停離婚は、裁判離婚に比べて、時間や費用を抑えることができるというメリットがあります。また、調停委員が間に入ってくれるため、冷静に話し合いを進めることができます。

一方、裁判離婚は、調停離婚に比べて、時間や費用がかかるというデメリットがあります。また、裁判では、証拠に基づいて判断が下されるため、有利な証拠を収集しておく必要があります。

離婚後の生活を考える

離婚後の生活を考える

離婚はゴールではなく、新たな人生のスタートです。

経済的な自立、住まいの確保、精神的なケアなど、前向きな未来に向けて準備を進めましょう。

生活費の再計算

離婚後は、生活費が大きく変わる可能性があります。特に、専業主婦(夫)だった方は、収入が減ることになります。

家賃、食費、光熱費など、具体的な生活費を計算し、不足する場合は、就労支援などの公的制度の利用も検討しましょう。

住居の確保

離婚後、住居を確保する必要がある場合は、賃貸物件の契約や公営住宅への入居など、早めの準備が必要です。敷金や礼金、引っ越し費用なども考慮し、資金計画を立てておきましょう。

また、離婚によって、DVやストーカー被害を受ける可能性がある場合は、シェルターなどの安全な場所に避難することも検討しましょう。 シェルターは、DV被害者などが一時的に避難することができる施設です。食事や生活用品の提供、弁護士やカウンセラーへの相談などのサポートを受けることができます。

シングルペアレントとしての生活

子どもがいる場合、シングルペアレントとしての生活が始まります。子育てと仕事の両立は容易ではありませんが、行政の支援制度や地域のサポートを活用しながら、子どもとの時間を大切に過ごしましょう。

シングルペアレントを支援する制度には、以下のものがあります。

・児童扶養手当

・児童育成手当

・就労支援

・保育所の優先利用

・母子家庭等自立支援事業

これらの制度を利用することで、子育てと仕事の両立を支援することができます。 必要に応じて、お住まいの自治体の窓口に相談してみましょう。

精神的なサポートの確保

離婚は、精神的に大きなダメージを受ける出来事でもあります。信頼できる人に話を聞いてもらったり、カウンセリングを受けるなど、心のケアも大切です。

また、離婚によって、孤独感や不安感を抱える人も少なくありません。一人で抱え込まずに、友人や家族、専門機関などに相談してみましょう。

新しい人生の計画を立てる

離婚は、新たな人生を歩み始めるための第一歩です。仕事、恋愛、趣味など、自分の未来について積極的に考え、前向きな気持ちで進んでいきましょう。

離婚は、人生の大きな転換期です。しかし、それは決して不幸なことではありません。 離婚を経験することで、自分自身を見つめ直し、新たな目標や夢を見つけることができるかもしれません。

離婚後の生活をより良いものにするために、積極的に行動していきましょう。

最後に

離婚の話し合いが進まない、難しいと感じたときは、離婚問題の解決実績の豊富な春田法律事務所にご相談ください。

無料相談も実施しておりますので、お気軽にご連絡ください。 一日でも早く日常に戻るお手伝いをします。

 

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