大麻・覚醒剤などの薬物を輸入して捕まったら?専門弁護士が解説

最終更新日: 2024年02月29日

大麻・覚醒剤などの薬物を輸入して捕まったら?専門弁護士が解説

「インターネットで海外から購入した物が違法な大麻だった」
「海外旅行から帰ってくる際、覚せい剤を持ち込んでしまい税関に止められた」

違法薬物を輸入したとして、捜査機関から厳しい追及を受ける事例があります。最近は、私達が思っている以上に、インターネットを通じて簡単に違法薬物を入手できるようになっています。

時に、海外から取り寄せた商品が違法薬物であったとして、刑事事件に巻き込まれることも少なくないのです。

今回は、違法薬物を輸入したとして捜査される場合、どのような流れになるのかをご説明するとともに、弁護士に依頼する必要についても解説していきたいと思います。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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大麻・覚醒剤などの薬物を取り締まる法律

違法薬物の輸入に関与したとして、税関や警察などの捜査を受ける事案が後を絶ちません。違法薬物の輸入に対しては、どのような根拠によって取り締まりがなされていて、どのような罰則が予定されているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

違法薬物の輸入行為を取り締まる法律

違法薬物の輸入行為を取り締まる法律としては以下の法律があります。

  • 「覚せい剤取締法」
  • 「大麻取締法」
  • 「麻薬及び向精神薬取締法」
  • 「麻薬特例法」
  • 「関税法」

それぞれの法律によって、輸入行為に対する罰則の内容は異なっています。

覚せい剤と麻薬の営利目的輸入であれば3年以上の懲役や無期懲役、大麻の営利目的輸入であれば10年以下の懲役となります。関税法では、麻薬及び向精神薬、大麻、あへん、覚せい剤を輸入した場合、10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金、または両方を併科するとしています。

輸入の意味

「輸入」とは、外国からきた薬物をわが国の領土内に搬入する行為と解釈し、搬入行為が船舶による場合はわが国領土への陸揚げ行為、航空機による場合にはわが国領土への航空機からの取り下ろし行為をいうものとされています(最判昭和58年9月29日刑集37巻7号1110頁)。

「輸入」という言葉を聞くと、大きな船舶に大量の違法薬物を詰め込んで、日本国内に持ち込む行為をイメージされるかもしれません。もちろん、そのような大規模な輸入行為は厳重に処罰されていますが、海外で少量の違法薬物を購入して国内に持ち込む場合、あるいは、インターネットの通信販売によって少量の違法薬物を購入し、海外から国内に送ってもらう場合も「輸入」として処罰の対象となります。

罰則の内容

違法薬物を輸入した罪は、懲役刑を予定しており、営利目的が付いた場合には長期の懲役刑を科すこととしています。

たとえば、覚せい剤を単純に「輸入」した場合は懲役1年以上、営利目的での「輸入」の場合は懲役3年以上であり、無期懲役もありえます。

初犯であったとしても、長期の実刑判決が出ることも少なくありません。覚せい剤の輸入の罪は、非常に重く処罰されているのです。

もっとも、自己使用の目的で、少量の違法薬物を購入し、海外から国内に持ち込む場合には、執行猶予が付く可能性が高いでしょう。

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大麻や覚醒剤などの薬物の輸入での弁護内容

違法薬物を輸入したとして捜査を受けた場合、弁護士に依頼すべき理由は以下の3つです。

  • 身柄拘束の長期化を阻止
  • 取調べに対する適切な助言
  • 刑罰を回避あるいは軽減する

それぞれ具体的に説明していきます。

身柄拘束の長期化を阻止

違法薬物の輸入事件では、通常、20日間の勾留決定がつきます。そして、勾留期間の満期に起訴されるまで、なかなか釈放の機会は訪れません。

また、単純な輸入事件であれば、必ずしも20日間も勾留が必要でない場合もあります。そのような場合には、勾留延長をしないよう検察官と交渉したり、勾留延長決定が出たとしても同決定に対する準抗告をすることで、勾留期間が短縮されることもあります。

しかし、捜査に必要があれば、捜査側は、被疑者を再逮捕することができ、再逮捕により、20日間の勾留期間が追加されることになります。実際には、違法薬物の輸入事案は、再逮捕が繰り返されることも多いので、逮捕されてから捜査が終了するまでも相当長期間を要することが多いです。

違法薬物の輸入によって逮捕されてしまうと、勾留期間が短縮される事案は滅多になく、起訴された後の保釈請求によって釈放を受けることが現実的です。

保釈決定が出るためには、罪証隠滅のおそれや、逃亡のおそれがないことが必要となりますが、否認事件で保釈を得ることは困難であるため、罪証隠滅のおそれや、逃亡のおそれがないことについて十分なケアが必要となります。

取調べに対する適切な助言

違法薬物の輸入において、「違法薬物とは知らされていなかった」「違法薬物との認識はなかった」といった弁解がよくあります。

捜査側において、このような弁解を覆すに足りる証拠がなければ、不起訴処分を勝ち取ることができます(証拠がなければ無罪になることもありますが、無罪見込みの事案は、そもそも起訴されないので、無罪事案は極めてレアケースです。)。

他方で、捜査側は、不起訴処分になることを避けるべく、厳しい取調べによって、有罪の根拠となる自供を得ようとします。違法薬物の輸入が争われるとき、多くの場合、被疑者の認識が問題となります。

被疑者の認識として、違法なものかもしれないという程度の認識さえあれば、有罪にできることから、そのような認識をうかがわせる供述があると、有罪となる可能性が高まります。

そのため、弁護人としては、取調べに対する適切な助言をすることが、極めて重要となってくるのです。

刑罰を回避あるいは軽減する

刑罰を回避する手段としては、無罪を得るか、不起訴処分を得るかのどちらかであり、また、刑罰を軽減する手段としては、減刑が、執行猶予のいずれかになります。

刑罰を回避しようとした場合、成功によって得られるメリットはとても大きいのです。

反面、捜査側の追及が激化するというデメリットがあります。捜査側の追及が激化するということは、身体拘束も長期化しますし、仮に有罪判決をうけてしまうと認めた場合に比べて重い量刑にされる危険があります。

不起訴になりうる事案では、不起訴処分を獲得するべく、弁護人として正確な見通しと具体的な指示が必要であることは、言うまでもありません。

しかし、検察官が事件を起訴できると判断するためにどの程度の材料を必要としているのかという感覚がなければ、見当違いの弁護方針となってしまいます。

また、不起訴を狙う場合、否認事件として扱われることになり、保釈が認められにくくなるというデメリットがあります。不起訴の見込みもないのに否認をしていても、デメリットだけが残ることになります。

執行猶予が付けば刑務所に行く必要はなくなります。違法薬物の輸入事案においては、営利目的が付いてしまうと執行猶予を付ける難易度も跳ね上がることになるので、執行猶予を狙うのであれば、取調べ対応に向けた弁護士のサポートが極めて重要となります。

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大麻・覚醒剤などの薬物事件で弁護士を探すには?

違法薬物の輸入で捜査を受けた場合、どのように弁護士を探した方がよいのでしょうか。弁護士を選ぶ際のポイントを紹介します。

薬物の輸入事件について経験豊富な弁護士か

まず、弁護士において薬物事件について経験がないと、どのような場合に起訴・不起訴となるのか、適切な判断がつかず、見当違いの弁護方針を立てられかねません。そのため、薬物事件について多く解決している事務所を選ぶべきでしょう。

薬物事件について経験豊富かどうかは、直接、弁護士に尋ねれば教えてくれますので、聞いてみるのがよいでしょう。

もちろん、ホームページなどに薬物事件の解決実績が書いてあれば、ある程度の経験値がわかります。ホームページに薬物事件についての詳細な解説などを載せているという点も参考になるでしょう。

弁護士費用は適正か

法律事務所によっても、違法薬物の輸入事案における弁護士費用は様々です。

一般的には、違法薬物の輸入事案について経験や、実績のある事務所は珍しいため、弁護士費用も高額になることが予想されます。

特に、営利目的の輸入事案は、重い刑罰が予想されるため、数百万円もの弁護士費用がかかる事務所もあります。

他方、よく法律事務所を探してみると、薬物事件の経験があるにもかかわらず、弁護士費用が安いという事務所も見られます。その場合、なぜ弁護士費用が安いのか、実際に法律相談を受けるなどして、納得のいく理由を確認するのがよいでしょう。

具体的には、弁護士費用が安い事務所と高い事務所の相談を両方とも受けてみて、相談内容や見通しがほぼ同じであれば、実力にあまり差はないと考えて良いと思われます。

高い弁護士費用を支払うのですから、自身でも足を運ぶなどして適正な料金かどうかを調べるべきです。

まとめ

いかがでしたか。今回は、違法薬物の輸入事案について説明させていただきました。

違法薬物の輸入は、意外にも身近な犯罪であり、誰もが事件に巻き込まれる可能性のある犯罪類型であります。

特に、薬物事件の中でも輸入の罪は特に厳しく処罰をしていますので、場合によっては初犯であっても長期間の実刑判決を受けるおそれがあります。そのため、弁護活動により大きく結果が変わってくることから、経験のある弁護士に依頼し、事案に即した最善の弁護活動を選択することが重要です。

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