薬物事件で執行猶予はつく?初犯の確率や獲得条件、実刑回避のポイントを弁護士が解説
2026年02月10日

薬物事件で逮捕された本人や、その家族が最も不安に感じるのは、「刑務所に入ることになるのか」「実刑なのか、それとも執行猶予がつくのか」という点ではないでしょうか。
結論から言うと、初犯であれば執行猶予がつく可能性は比較的高い傾向にあります。しかし、「初犯だから大丈夫」「反省していれば問題ない」と油断していると、思わぬ結果になることもあります。
薬物事件では、使用した薬物の種類、回数、再犯防止の体制など、さまざまな事情を総合的に見て判断されます。対応を誤れば、初犯でも実刑判決が下される可能性はゼロではありません。
この記事では、薬物事件における執行猶予の確率や量刑の目安、裁判官が重視するポイント、そして実刑を回避するために弁護士が行う具体的な弁護活動について、わかりやすく解説します。
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薬物事件における執行猶予の確率と実刑のリスク
薬物事件で多くの方が最初に知りたいのは、「実際、どれくらいの確率で執行猶予がつくのか」という点でしょう。
結論として、初犯・自己使用目的・再犯防止策が整っているケースでは、執行猶予が付く可能性は高い傾向にあります。一方で、条件次第では初犯でも実刑となることがあります。
以下、ケース別に見ていきます。
初犯の場合:執行猶予がつく可能性は高い
大麻や覚醒剤などの薬物事件でも、初犯で、かつ営利目的(売買・譲渡)ではない場合には、執行猶予が付されるケースが多く見られます。
たとえば、
- 自己使用目的での所持・使用
- 使用回数が多くない
- 逮捕後すぐに事実を認め、反省している
- 家族の監督や治療の見通しがある
といった事情がそろっていれば、裁判所としても「社会内で更生させる余地がある」と判断しやすくなります。
もっとも、「初犯=必ず執行猶予」というわけではありません。所持量が多い場合や、常習性が疑われる場合には、初犯でも実刑が選択されることがあります。
再犯(前科あり)の場合:実刑の可能性が高い
一方で、過去に薬物事件で有罪判決を受けたことがある場合、実刑のリスクは大きく高まります。
特に、
- 前回の執行猶予期間中に再犯した
- 短期間で再び薬物に手を出した
といった場合には、「改善の見込みが乏しい」と判断され、実刑判決が下される可能性が高くなります。
ただし、再犯だからといって必ず刑務所に行くと決まっているわけではありません。再犯でも、前回から長期間が経過している場合や、治療や支援体制が十分に整っている場合には、執行猶予や後述する「刑の一部執行猶予」が認められる余地があります。
「刑の一部執行猶予」制度について
近年、薬物事件で注目されているのが、「刑の一部執行猶予」制度です。
これは、言い渡された懲役刑の一部だけを刑務所で服役し、残りの期間については執行猶予とする制度です。完全な実刑でも、完全な執行猶予でもない、中間的な制度といえます。
この制度は、特に薬物依存の治療が必要なケースで活用されることが多く、
- 一定期間の服役で反省を促す
- その後は社会内で治療・更生を行う
という考え方に基づいています。
再犯ケースであっても、この制度が適用されることで、長期の実刑を回避できる可能性があります。
執行猶予を獲得するための3つの重要な判断基準
執行猶予がつくかどうかは、裁判官の裁量によって決まります。では、裁判官はどこを見て判断しているのでしょうか。
実務上、特に重視されるポイントは次の3つです。
犯行態様と反省の態度
まず見られるのが、犯行の内容そのものです。
- 使用や所持の量はどれくらいか
- 使用回数は一時的か、常習的か
- 営利目的ではないか
といった点に加え、本人が罪を認め、真摯に反省しているかが重要視されます。
形式的な反省ではなく、なぜ問題なのかを理解しているかどうかが問われます。
再犯防止策と監督者の存在
次に重視されるのが、「もう二度と薬物に手を出さないための環境が整っているか」です。
具体的には、
- 家族が同居し、生活を管理・監督する
- 職場の上司が支援を約束している
など、第三者が関与して再犯防止を支える体制があるかがポイントになります。裁判では、家族などが情状証人として出廷することもあります。
薬物依存の程度と治療への取り組み
薬物事件では、依存の有無や程度も重要な判断材料です。
依存性が低いと評価される場合はもちろん、依存が疑われる場合でも、すでに専門クリニックやダルク(回復支援施設)に通い始めている事実があれば、執行猶予に有利に働くことがあります。
「治療に取り組む意思があり、実際に行動しているか」が問われます。
薬物事件の量刑相場(懲役年数と猶予期間)
ここでは、代表的な薬物事件について、一般的な量刑の目安を紹介します。あくまで目安であり、個別事情によって前後する点には注意が必要です。
大麻取締法違反の場合
自己使用目的での所持や使用の場合、
- 懲役6か月〜1年程度
- 執行猶予3年程度
が一つの目安とされることが多いです。
所持量が多い場合や、使用回数が多い場合には、懲役1年を超えることもあります。
覚醒剤取締法違反の場合
覚醒剤事件は、大麻よりも重く評価される傾向があります。
自己使用・所持の初犯でも、
- 懲役1年6か月〜2年程度
- 執行猶予3年〜4年程度
が一つの基準となることが一般的です。
実刑を回避し執行猶予を得るための弁護活動
ここからは、実際に弁護士がどのような活動を行い、執行猶予獲得を目指すのかを説明します。
早期の身柄解放(保釈)と環境調整
逮捕後、できるだけ早く身柄を解放し、社会に戻すことは非常に重要です。
保釈や勾留回避に成功すれば、
- 治療への通院
- 家族の監督下での生活
- 仕事への復帰
といった更生の実績を裁判までに積み重ねることができます。
有利な証拠の収集と情状証人の確保
弁護士は、本人だけでなく家族とも面談し、
- どのような監督が可能か
- 裁判で何を伝えるべきか
を整理します。情状証人としての出廷に備え、質問内容の準備なども行います。
再犯防止プログラムの提示
「もうやりません」と口で言うだけでは不十分です。
医療機関との連携、回復支援施設への通所、定期的な検査など、具体的で実行可能な再犯防止策を裁判所に示すことが、執行猶予獲得の大きなポイントになります。
薬物事件の弁護士費用については、以下の記事で解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q:執行猶予期間中に気をつけることは?
執行猶予期間中に再び犯罪行為(薬物事件に限りません)を起こすと、猶予が取り消され、前回の刑も含めて実刑となる可能性が高いです。
また、保護観察が付く場合には、決められたルールを守る必要があります。
Q:就職や海外渡航(パスポート)への影響は?
執行猶予でも前科は付きますが、事件が報道されていなければ、就職活動への影響は少なく、特定の資格を使用する職種でなければ、仕事ができなくなるわけではありません。
パスポートについても、執行猶予中であっても取得・更新が可能なケースが多く、個別事情によって判断されます。
ただし、就労ビザを取得する場合に必要となる「無犯罪証明書」は、執行猶予期間満了まで発行ができなくなります。
薬物事件で執行猶予を目指すなら早期相談を
薬物事件は、初動対応の早さが結果を大きく左右します。
初犯であっても、営利目的が疑われる場合など対応を誤れば実刑となる可能性がありますし、再犯であっても弁護士の動き方次第で結果が変わることがあります。
不安を一人で抱え込まず、できるだけ早く弁護士に相談し、適切な方針を立てることが重要です。まずは無料相談を利用し、今後の見通しを確認することをおすすめします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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