依頼者が抱えていた課題
書き込みが権利侵害とされ、身元特定や高額請求への不安を抱えていた
ある日、依頼者のもとにプロバイダから「発信者情報開示に係る意見照会書」が届きました。 理由は、インターネット上の匿名掲示板における書き込みです。そのスレッドには、第三者(請求者)が自ら公開しているSNSのプロフィール欄へのリンクが貼られていました。依頼者は、そのリンク先の情報に基づき、請求者の経歴や属性に対して否定的な評価を含む感想を投稿したところ、これが権利侵害にあたると主張されたのです。
請求者側は、「自身の経歴を揶揄されたことで名誉を傷つけられた」「プライバシーを侵害された」として、発信者の住所・氏名の開示を強く求めてきました。 依頼者は、掲示板上のやり取りの中でつい強い口調で感想を述べてしまったものの、法的責任を問われるほどの重大な侵害にあたるのかという疑問と、自身の身元が特定され、高額な賠償請求に発展することへの強い不安を抱き、当事務所へご相談にいらっしゃいました。
春田法律事務所の対応と結果
意見・論評の域を出ないことを主張し、開示請求は裁判で棄却
当事務所では、問題となった投稿内容と前後の文脈を精査し、発信者情報開示請求を争う余地が十分にあると判断しました。
名誉権侵害については、投稿が請求者の社会的評価を低下させる具体的事実の摘示にはあたらず、公開情報を前提とした主観的な意見・論評の範囲にとどまる点を指摘しました。
また、プライバシー侵害についても、対象となった情報はいずれも請求者自身が不特定多数に公開していたものであり、法的に保護される私生活上の秘匿情報には該当しないことを、資料を添えて主張しました。
これらを踏まえ、当事務所はプロバイダに対し、開示に同意しない旨の回答書を提出しました。
その後、請求者側は発信者情報の開示を求めて訴訟を提起しましたが、裁判所は請求を棄却しました。
結果として、依頼者の氏名や住所などの個人情報が開示されることはなく、問題は解決しました。匿名掲示板での書き込みをきっかけに紛争へ発展したものの、適切な法的対応により、依頼者の権利が守られた事例です。
