背任罪の容疑をかけられたら|弁護士への早期相談が人生の分岐点になる
最終更新日: 2026年04月09日

背任罪の容疑をかけられた瞬間、頭が真っ白になる方は少なくありません。
「まさか自分が」「会社のためにやったのに」という思いと、逮捕されるのではないかという恐怖が混在し、どうすればいいかわからなくなる。
そんな状況でも、最初にとるべき行動は弁護士への相談です。
記事では、背任罪の基本知識から逮捕・起訴の流れ、弁護士に早期相談すべき理由まで、容疑をかけられた方が知っておくべきことをわかりやすく解説します。
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背任罪とは?横領罪との違いも解説
背任罪の構成要件
背任罪は、刑法247条に定められた犯罪です。「他人のためにその事務を処理する者が、自己もしくは第三者の利益を図り、または本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えた場合」に成立します。
構成要件を整理すると、以下の4点がポイントになります。
- 他人のために事務を処理する立場にあること(取締役、支配人、管理職など)
- 任務に背く行為をしたこと(権限の逸脱・濫用など)
- 自己または第三者の利益を図る目的、あるいは会社に損害を与える目的があったこと
- 実際に財産上の損害が生じたこと
「故意」と「目的」が必要とされるため、単なるミスや判断の誤りは背任罪にはなりません。しかし、容疑をかけられた段階では、捜査機関があなたの主観的な意図を悪意あるものと見ている可能性があります。だからこそ、早期に弁護士を通じて正確な事実を伝えることが重要です。
刑罰は「5年以下の懲役または50万円以下の罰金」です(刑法247条)。
特別背任罪との違い
特別背任罪は、会社法960条などに規定されており、背任罪の加重類型です。対象は株式会社の取締役・監査役・執行役など、会社法上の特定の役員に限られます。
一般の背任罪との大きな違いは刑罰の重さです。特別背任罪の法定刑は10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(またはその両方)と、通常の背任罪と比べて格段に重くなっています。
経営幹部や役員の立場にある方は、同じ行為でも特別背任罪として問われるリスクがある点に注意が必要です。
横領罪との違い
背任罪と混同されやすいのが横領罪です。両者の違いを一言で言えば、「物」を不正に自分のものにするのが横領罪、「行為」によって会社に損害を与えるのが背任罪です。
| 背任罪 | 横領罪 | |
|---|---|---|
| 対象 | 財産上の損害(行為) | 物(財物)の領得 |
| 主体 | 任務を任された者全般 | 占有者・委託を受けた者 |
| 行為 | 任務に背く行為 | 自己の占有物を不法領得 |
| 刑罰 | 5年以下の懲役・50万円以下の罰金 | 5年以下の懲役(業務上横領は10年以下) |
たとえば、会社の口座から自分の口座にお金を移したのであれば横領罪、取引先への不正な資金の流出であれば背任罪が問われる可能性が高くなります。
どちらの罪に当たるかは事実関係によって変わるため、弁護士による見立てが不可欠です。
こんな行為も背任罪に?具体的な事例
「自分の行為が背任罪にあたるのかどうかわからない」という方のために、具体的な事例を紹介します。
不正な融資・貸付
金融機関の役職員が、返済能力のない企業に対して担保も取らずに融資を実行したり、回収見込みのない貸付を繰り返したりした場合、背任罪に問われる可能性があります。
融資・貸付の判断そのものは業務上の裁量ですが、「通常ありえない条件」「自分や関係者への利益供与を目的とした融資」となると、任務に背く行為と判断されます。
会社資産の不当な廉価売却
会社が保有する土地・建物・株式などを、適正価格よりも著しく安く売却した場合も背任罪の対象になりえます。
特に、売却先が自分と関係のある会社や個人である場合、「自己または第三者の利益を図る目的」が認定されやすくなります。
不必要な取引・契約
実際には必要のない業務委託契約を締結し、関連会社に報酬を流した。あるいは過大な広告費・コンサルティング費用を支払い続けた。
こうしたケースも、会社に損害を与える目的があったと認められれば背任罪になりえます。
在庫の不正な廃棄
まだ販売できる商品や資材を意図的に廃棄処分し、会社に損害を与えた場合も対象になります。廃棄の決定権限があったとしても、不当な目的(横流しや在庫隠し)が絡んでいれば背任罪の構成要件を満たす可能性があります。
背任罪で容疑をかけられた後の流れ
警察からの事情聴取
背任罪の捜査は、会社や被害者からの告訴・告発を端緒とすることが多いです。最初のステップとして、警察や検察から「参考人」として事情を聴かれることがあります。
この段階ではまだ逮捕されているわけではありませんが、発言内容が後の捜査や起訴の判断に大きく影響します。
「参考人だから大丈夫」と油断して不用意な発言をしてしまうと、不利な証拠を自ら提供することになりかねません。事情聴取の前に必ず弁護士に相談してください。
逮捕・勾留の可能性
捜査が進むと、逮捕状が発付されて逮捕される可能性があります。
逮捕後は最大72時間警察に留置され、その後検察官が勾留請求を行うと、さらに10日間(延長で最大20日間)勾留されます。
逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合、勾留が認められます。背任罪は会社関係者や共犯者との口裏合わせが懸念されるため、勾留が長引くケースも少なくありません。
逮捕・勾留中は外部との連絡が著しく制限されます。仕事はもちろん、家族との連絡にも制約がかかり、社会的なダメージは計り知れません。
起訴・不起訴の決定
勾留期間中に、検察官が起訴するか不起訴にするかを決定します。不起訴になれば刑事手続きは終了し、前科もつきません。
不起訴の判断には、以下のような要素が影響します。
- 被疑者の反省の態度
- 被害者(会社)との示談・被害弁償の有無
- 犯行の動機・経経緯
- 初犯かどうか
- 社会的な影響の大きさ
弁護士が早期に動いて示談交渉を進めたり、検察官に対して不起訴を求める意見書を提出したりすることで、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。
刑事裁判と刑罰
起訴されると刑事裁判が始まります。日本の刑事裁判の有罪率は99%を超えており、起訴された段階で有罪判決の可能性が非常に高くなります。
背任罪の法定刑は「5年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。
初犯で被害額が小さい場合、執行猶予がつくこともありますが、被害額が大きい場合や常習性が認められる場合は実刑になることもあります。
背任罪の容疑をかけられたらすべきこと
早期に弁護士へ相談する
繰り返しになりますが、最初にすべきことは弁護士への相談です。
背任罪は複雑な経済犯罪であり、法律の知識なしに自分で対応しようとすると、取り調べで不利な発言をしてしまったり、重要な証拠を残せなかったりするリスクがあります。
特に、逮捕前の段階で弁護士に相談しておくことが重要です。逮捕後は身体拘束されるため、行動の自由が大幅に制限されます。
逮捕前から弁護士と連携していれば、任意の事情聴取への対応方法や、逮捕を回避するための戦略を一緒に考えることができます。
事実関係を正確に整理する
弁護士に相談する際は、自分が行った行為の事実関係をできる限り正確に整理しておきましょう。
- いつ、どのような判断を下したのか
- その判断の根拠は何だったのか
- 上司や同僚との連絡・承認の経緯はどうだったか
- 会社に損害が生じた経緯はどのようなものか
「会社のためによかれと思ってやった」という主張も、具体的な事実の裏付けがあってはじめて説得力を持ちます。記憶が新鮮なうちに、メールや資料なども含めて整理しておくことが大切です。
会社との示談交渉を検討する
背任罪は会社(被害者)との示談が成立することで、不起訴になる可能性が大きく高まります。
示談交渉は感情的になりがちで、当事者同士では成立しにくいケースも多いです。弁護士が間に入ることで、冷静かつ迅速に交渉を進めることができます。また、示談交渉の過程で被害弁償(損害の賠償)を行うことは、反省の態度として検察官の心証にもプラスに働きます。
弁護士への早期相談が人生の分岐点になる理由
逮捕・勾留の回避に向けた弁護活動
逮捕前から弁護士がついていれば、逮捕そのものを回避できる可能性があります。弁護士は、捜査機関に対して「逮捕の必要性がない」ことを示す意見書を提出したり、被疑者が逃亡・証拠隠滅をしないことを担保する書類を提出したりすることができます。
逮捕・勾留が長引けば、会社への出社はもちろん不可能になり、家族への影響も甚大になります。職場での立場、社会的な信用、家族関係——これらすべてが逮捕後の数週間で大きく変わってしまいます。早期に弁護士を介入させることは、あなたの「日常」を守ることに直結します。
不起訴処分の獲得を目指せる
弁護士による弁護活動の大きな目標のひとつが、不起訴処分の獲得です。
不起訴になれば、裁判にかけられることなく手続きが終わります。前科もつかず、社会復帰への道も大きく開けます。逆に、弁護士なしで対応した場合、検察への適切なアプローチが取れずに起訴される可能性が高まります。
弁護士は被害者(会社)との示談交渉だけでなく、検察官に対して不起訴を求める意見書の提出、被疑者の反省の態度や社会的背景の主張など、多方面から不起訴に向けて動きます。
会社からの解雇など不当な処分への対抗
背任罪の容疑をかけられると、会社から懲戒解雇や自主退職の強要といった処分を受けることがあります。しかし、容疑の段階(まだ有罪が確定していない段階)で行われる解雇は、場合によっては不当解雇にあたります。
弁護士は刑事事件の対応と並行して、会社からの不当な処分に対抗する手段も講じることができます。「会社が言うから仕方ない」と泣き寝入りせず、自分の権利を守るためにも弁護士の力を借りることが重要です。
取り調べへの適切な対応をアドバイス
取り調べでは、捜査官から様々な角度で質問を受けます。疲労や精神的なプレッシャーの中で、うっかり不利な発言をしてしまうリスクがあります。
弁護士は「黙秘権」や「供述調書への署名拒否」などの権利についてアドバイスし、取り調べの場でどのように対応すべきかを事前に指導します。また、接見(面会)を通じて、身体拘束中も継続的にサポートを行います。
一人で取り調べに臨むのと、弁護士のアドバイスを受けながら臨むのとでは、結果に大きな差が出ることがあります。
背任罪でお悩みなら早い段階で弁護士にご相談を
背任罪は、一度容疑をかけられると逮捕・起訴・有罪判決という流れが一気に進みかねない、深刻な刑事事件です。しかし、弁護士への早期相談によって、逮捕の回避・不起訴の獲得・社会的地位の保護など、様々な結果を変えられる可能性があります。
「本当に罪になるのか」「どう説明すればいいかわからない」「会社に知られたくない」——どんな些細な不安でも、まずは弁護士に打ち明けてください。弁護士には守秘義務があるため、相談内容が外部に漏れる心配はありません。
一人で抱え込まず、今すぐ弁護士に相談することが、人生の分岐点になります。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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