賭博罪は現行犯以外もある?自首についても解説
最終更新日: 2024年02月27日
- 賭博を行ってしまった、警察から証拠を見つけられる前に自首すべきか
- 賭博罪で逮捕される前に自首すれば、どのようなメリットがあるのか
- 自首するときは弁護士へ相談した方がよいのだろうか
賭博罪は他人を傷つけたり、他人の財産を奪ったりする犯罪ではありません。そのため、違法な賭博を行っても、強い罪悪感がないかもしれません。
しかし、常習的に違法な賭博を行っていた場合、最高3年の懲役刑が言い渡されるおそれもあります。
ただし、警察から逮捕される前に自首をすれば、不起訴処分や減刑を受ける可能性があります。
そこで今回は、多くの賭博に関する刑事事件へ携わってきた専門弁護士が、自首をするメリット、そして自首前に弁護士へ相談する有効性等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 賭博罪は懲役刑を受けるおそれがあるものの、自首すれば不起訴となる可能性もある
- 自首を検討すべき賭博やギャンブルがある
- 賭博罪で自首する場合、弁護士が支援できる対応策は多い
賭博罪で現行犯以外の逮捕を回避
違法な賭博を行う人は、賭博の現場に警察官が踏み込んで来て、現行犯逮捕されなければ大丈夫、と思っているかもしれません。
しかし、防犯カメラの映像等から賭博をしていた人が判明し、後日逮捕に至る可能性もあります。
賭博罪で逮捕される前に自首をしたならば、本人にとって次のようなメリットがあります。
逮捕回避
自首をすれば、捜査機関から「逮捕の必要性はない。」と判断される可能性があります。
逮捕の必要性があるケースとは、被疑者が逃亡する、罪証隠滅をするおそれがあると判断された場合です(刑事訴訟規則第143条の3)。
しかし、賭博をした本人が自首して違法な賭博行為を素直に認めて反省し、全面的に捜査に協力するならば、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれもない、と判断される可能性が高くなり、逮捕の回避につながります。
出典:刑事訴訟規則 | 裁判所
不起訴処分
不起訴とは、検察官が裁判所に対し訴えを起こさない、と決定した処分を指します。
不起訴処分となれば捜査機関による捜査は終了し、刑事裁判も行われません。
つまり、本人が逮捕・勾留されているならば、不起訴処分となった時点で釈放されます。もちろん、前科もつかないため、平穏な日常生活に戻れるでしょう。
本人は自首している以上、自分の犯罪を認めており、捜査機関では違法な賭博行為を証明する証拠が揃っているかもしれません。
しかし、自首した本人に常習性がなく、真摯に反省し捜査へ協力しているなら、検察官は「起訴猶予」という形で不起訴とする可能性があります(刑事訴訟法第248条)。
減刑
たとえ検察官から起訴され、被告人として刑事裁判で裁かれる展開となっても、被告人本人が自首し、真摯に反省しているのなら、執行猶予判決を受ける可能性もあります。
執行猶予とは刑の執行を一定期間猶予(1年〜5年)し、その期間内に再び犯罪を犯さなければ、裁判官からの刑の言渡しの効力は無効となる制度です(刑法第25条)。
つまり、通常の生活を送り、無事に執行猶予期間が経過した場合、刑務所に入る必要はなくなります。
賭博罪で自首をして現行犯以外の逮捕を回避
違法な賭博・ギャンブルを行ったならば、自首を検討するべきです。
普段は娯楽やスポーツとして楽しむものでも、賭け事に利用した場合、賭博罪として逮捕されるおそれがあります。
違法パチスロ
スロットマシンに似た遊技機を「パチスロ(パチンコ型スロットマシン)」と呼んでいます。
パチスロはパチンコ店等が該当する第4号営業店に設置する遊技機です(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第1項4号)。
営業許可を取っていない状態で遊技機を客に利用させると、違法賭博に該当します。
違法パチスロを行っていれば、違法パチスロ店の経営者・従業員はもちろん、客も賭博罪で逮捕されてしまいます。
総合型リゾート施設以外でのカジノ
特定複合観光施設区域以外で、ルーレットやブラックジャック等で金銭を賭ける行為も賭博罪に該当します。
日本国内でカジノ事業が認められているのは、特定複合観光施設区域整備法で認められた施設だけです。
それ以外の場所でカジノ事業を行ったときは、やはり経営者・従業員の他、利用客も賭博罪で逮捕される可能性があります。
なお、近年問題となっている「オンラインカジノ」は、一見テレビゲームのような感覚で楽しむ人もいるようです。
しかし、オンラインカジノも同法で指定された施設外で行われているため、違法な賭博です。たとえオンラインであっても利用は禁止されています。
賭け事の麻雀
普段から友人と楽しんでいる麻雀も、お金を賭ければ違法賭博です。違法賭博を行う施設や場所まで行かなくとも、自宅で賭け麻雀をして逮捕される可能性があります。
確かに、自分や友人の自宅で賭け麻雀をすれば、警察に犯罪が露見する可能性は低いかもしれません。
しかし、家族や親族、賭け麻雀を目撃した第三者から警察に通報され、犯罪が発覚するケースもあります。
賭け事のスポーツ
野球やサッカーの試合等は多くの方々が楽しみ熱狂します。しかし、日本国内では一部(例:toto・BIG等)を除き、スポーツ賭博は禁止されています。
競輪・競馬等の公営ギャンブル、サッカー等のスポーツくじが幅広く販売されており、違法なスポーツ賭博に抵抗の少ない人がいるかもしれません。
しかし、スポーツを賭け事にすれば、賭博罪で逮捕されるおそれもあるので注意が必要です。
自分の好きなチームを応援しつつ、賭け事を楽しむなら、法律で認められたスポーツ振興くじを購入しましょう。
自首しなくてよい賭博・ギャンブル
公営競技、法律で認められたギャンブルなら違法ではありません。
日本国内で行われている公営競技は次の通りです。
- 競馬:馬に騎手が乗り所定の距離を一緒に走らせ、勝ち馬・着順等を当てる
- 競輪:職業選手によって行われる自転車競走で順位を当てる
- オートレース:自動二輪車・小型自動四輪車の競走で順位を当てる
- ボートレース:モーターボートの競走で順位を当てる
また、法律で認められたギャンブルや、店舗で直接現金を景品として扱わない娯楽施設もあります。
- パチンコ:パチンコ店で直接現金を景品として渡しているわけではないので、賭博に当たらない
- 宝くじ:当せん金付証票法という法律で認められたギャンブルの一種
他にも、法律で認められたスポーツ振興くじ等ならば、賭博罪で逮捕されることはありません。
賭博罪で現行犯以外の場合に弁護士ができること
賭博罪で逮捕される前に自首するのはよい方法ですが、まず弁護士と相談し対応を話し合うのが大切です。
相談や弁護の依頼を受けた弁護士は、次のようなアドバイスやサポートを行います。
無料相談
まずは、弁護士に相談し自首の段取りと、その後の対応策を話し合いましょう。
弁護士なら誰にでも相談してよいわけではなく、賭博罪をはじめとした刑事事件に豊富な実績のある弁護士が最適です。
実績の有無は、法律事務所のホームページで確認します。以下の内容を確認しましょう。
- 刑事事件の実績を具体的な数字で明記している
- ホームページ内で賭博罪の内容を扱っている
- 賭博罪に関する手続きの流れ等が示されている
このような内容を確認できたら、賭博罪に詳しい弁護士のいる可能性が高いです。
自分に合った法律事務所を見つけたら、速やかに連絡を取り、相談予約を行います。
相談料は30分5,000円程度が目安ですが、初回は無料で相談を受け付けるところもあります。
自首同行
本人が希望するなら、弁護士が自首に同行します。警察署の担当者に連絡し出頭日時を調整後、時間通りに弁護士と自首をします。
弁護士が自首の経緯を説明すれば、警察が必要とする情報を正しく伝えられるでしょう。
また、自首のとき弁護士は逮捕を避けるため、「意見書」を捜査機関に提出します。
取り調べアドバイス
警察から取り調べを受けるときのコツも教えます。
反省している旨を明確に伝え、興奮せず、証言を二転三転しない、捜査へ積極的に協力する意志を伝える等、いろいろなアドバイスを受けます。
弁護士のアドバイスを実践すれば、警察や検察も自首した本人が十分に反省しており、協力的な姿勢である点を、肯定的に評価するでしょう。
贖罪寄付の助言
賭博罪は被害者のいない犯罪です。そのため、示談によって反省の態度は示せません。そのため、弁護士は「贖罪寄付」を進める場合があります。
贖罪寄付とは賭博罪について反省し、悔い改めた意志を表す方法の一つです。加害者の寄付金は弁護士を通じ、最寄りの弁護士会へ申し込みができます。
寄付金は、日本弁護士連合会や、各地の弁護士会の法律援助事業基金に充当します。弁護士の法律援助が必要な方々のために有効活用されます。
贖罪寄付は、裁判所による情状のための資料となり、減刑にも役立ちます。
まとめ
今回は多くの賭博事件に携わってきた刑事事件の専門弁護士が、賭博罪で自首するメリット、自首した方がよい違法賭博の例、自首すれば弁護士がどのような行動をとるのか等について詳しく解説しました。
違法賭博は警察から現行犯で逮捕されなくても、目撃者の証言や証拠映像、物証を集められ、後日逮捕されるリスクがあります。
賭博罪で逮捕されてしまう前に、弁護士になるべく早く相談し、自首やその後の対応策について検討してみてはいかがでしょうか。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。