痴漢で後日逮捕されるケースとは?逮捕を避ける方法も解説
最終更新日: 2024年01月30日
痴漢行為をして被害者に捕まったので走って逃げて来てしまったが、後日逮捕されることはあるのか?痴漢事件で加害者が後日逮捕される場合、どれくらいで警察は来るのか?
このようなご相談は非常によくあります。
今回は、痴漢事件を起こした場合の後日逮捕についてご説明します。
痴漢で後日逮捕は簡単ではない
電車内で痴漢をして被害者が周囲の乗客に取り押さえられるというケースは多くあります。一方でその場で現行犯逮捕はできず、犯人を取り逃がしてしまうケースもあります。このような場合に後日逮捕はできるのでしょうか。
現行犯逮捕されないケース
痴漢事件では犯行現場で被害者や目撃者によって現行犯逮捕されるケースが多くありますが、現行犯逮捕されないケースもあります。
そのようなケースとして、例えば、電車内の痴漢事件であれば、被害者や目撃者に痴漢行為を問い詰められたところ、犯人が走ってその場を立ち去ってしまったというケースや、被害者が怖くて声を上げることができず、犯人が降車してそのまま立ち去ってしまったというケースがあります。
また、路上での痴漢事件であれば、被害者の臀部や胸を触って走り去ってしまったというケースがあります。
このように痴漢事件では現行犯逮捕に至らないケースも多くみられるところです。
現行犯以外の逮捕が難しい理由
まず現行犯逮捕でない場合、付近の防犯カメラ映像を解析し、被害者や目撃者の供述をもとに犯人特定を試みますが、必ずしも犯人を追えるとは限りません。
また、被疑者を特定できたとしても、被害者や目撃者がその人物が間違いなく犯人であると識別できるとは限りません。
このように一度犯人と取り逃してしまうと、犯人特定の点で逮捕が難しくなってしまうのです。
被害届だけで逮捕できるのか?
痴漢事件の被害者が警察に被害届を出した後、警察が駅や犯行現場付近の防犯カメラを確認したものの、映像から犯人を特定することができないケースもあります。
そのような場合、例えば、電車に警察が被害者と一緒に乗り込んで、被害者が同乗している特定の人物を犯人であると指示したとしても、被害者の記憶や識別の確かさは不明なので、その人物が真に犯人であると断定はできません。
被害者が指摘した人物に職務質問をしたところ、自供した場合には逮捕も可能となりますが、否認された場合にはやはり証拠が不十分で、被害届だけで逮捕することはできません。
逮捕になるのか?任意同行になるのか?
痴漢事件で後日、犯人が特定された場合ですが、警察が逮捕状をとって逮捕するケースもあれば、警察署への任意同行を求め、逮捕はせず在宅捜査となるケースもあります。
犯行現場から逃走した場合には逮捕となるケースが多いですし、迷惑防止条例違反よりも重い罪の犯罪である強制わいせつ罪(不同意わいせつ罪)の場合にも逮捕となるケースが多くあります。
結局、後日逮捕となるのか任意同行になるのかは明確な基準は無くケースバイケースです。
痴漢事件で後日逮捕となるパターン
それでは、このような難しさを乗り越えて後日逮捕に至るケースとはどのような場合でしょうか。以下いくつかのパターンを見ていきましょう。
防犯カメラから犯人特定された場合
防犯カメラ映像から犯人を割り出すことができ、かつ被害者や目撃者も間違いなくその被疑者が犯人であると識別できた場合には、後日逮捕が可能となります。
警察の張り込みで犯人特定された場合
防犯カメラ映像からは犯人を特定できなかったものの、犯行現場付近に警察が張り込みをして、防犯カメラに映っていた人物に似た人物が現れるのを待って、犯人特定に至るケースもあります。
DNA検査で犯人特定された場合
さらに、防犯カメラ映像や警察の張り込みによって、犯人らしい人物を見つけることはできたものの、被疑者が犯人であることを否定する場合があります。
その場合、犯人であることの立証は難しいことが多いですが、ごく稀にその被疑者から採取したDNAと被害者の衣服に付着したDNAが一致して犯人特定に至るケースもあります。
後日逮捕までの期間
上記のように犯人特定のための捜査は相当な業務量となることが多く、事件発生から後日逮捕までの期間は半年や、1年近くを要することもあります。
他方、直ぐに犯人を特定することができ、1週間ほどで後日逮捕となるケースもあります。
後日逮捕されるまでにどれくらいの期間がかかるのか、逆にどれくらいの期間、警察が来なければ後日逮捕はないと思っていいのかといったご相談をよく受けますが、このように早いこともあれば、遅いこともあるという回答になってしまいます。
電車内の防犯カメラから犯人が特定された事例
Aさんは痴漢行為をした当日は誰にも声をかけられなかったため、いつも通り、自宅最寄駅で降車して帰宅しました。
ところが、約2か月後の早朝、突然、警察が自宅にやって来て、警察署への任意同行を求められました。
警察によれば、Aさんの真上に防犯カメラがあり、Aさんの犯行の一部始終が映像に映っていたということでした。
防犯カメラには写っていなかった事例
Bさんは同じ被害者に繰り返し電車内で痴漢行為を繰り返していました。被害者は加害者の容姿を確認していなかったため、防犯カメラからは犯人を特定することができませんでした。
そこで、私服警察官が被害者の周囲を取り囲むかたちで同乗して張り込み、犯人の特定を試みていたところ、Bさんが被害者に対して痴漢行為をしているところを現認し、現行犯逮捕にいたりました。
痴漢事件の後日逮捕が不安なときは自首のご相談を
最後に、痴漢事件で後日逮捕を避けるための自首について説明します。
自首をすれば逮捕されないケースは多い
後日逮捕される可能性が高いと思われる場合にも、自首をすれば逮捕されず、在宅事件として捜査が進められることが多くあります。
そもそも、逮捕は、逃亡と証拠隠滅を防ぐためになされるものです。ですから、逃亡のおそれも、証拠隠滅のおそれも無いと警察が判断すれば逮捕はされません。自首してきたということは、逃げも隠れもしないということですから、逃亡のおそれはないと判断してもらうことができます。
このように、後日逮捕される心配があるときは、待っているよりも自ら行動した方が逮捕を回避できる可能性が高まります。
自首をしたけれど被害届が出ていなかった場合
被害届が出ていると思って自首したところ、被害届が出ていなかったというケースも稀にあります。
そのような場合、厳重注意を受けて終わることもあれば、一応は捜査をして検察庁に書類送検されることもあります。書類送検された場合も、被害者の供述がなく痴漢行為の証拠が自白以外にありませんので、起訴することはできません。
自首をすれば不起訴になるのか
被疑者を起訴処分とするか不起訴処分とするかを決めるのは検察官です。そして、検察官は犯行内容の悪質性や、被害者の処罰感情、示談成立の有無、前科前歴の有無など様々な事情を考慮して先例を参照しつつ、起訴処分とするか不起訴処分とするか判断します。
そして、自首をすれば、自ら犯人であることを名乗りでたことになりますから、被疑者にとって有利な事情として考慮されることになります。
もっとも、自首をしたという事情だけで不起訴になることはありません。痴漢事件は被害者のいる犯罪ですから、やはり起訴処分とするか不起訴処分とするかの判断に最も影響するのは被害者の処罰感情、示談成立の有無です。
まとめ
以上、痴漢事件の後日逮捕についてご説明しました。
最近は防犯カメラが街中にありますので、捜査によって犯人が特定され、後日逮捕される可能性は大いにあります。そのため、警察が来るのを待っていて逮捕されるのではなく、自ら出頭して捜査協力をして逮捕・勾留される事態を回避するべきでしょう。
痴漢事件の加害者となり後日逮捕される可能性についてご不安な方は、早急に刑事事件の経験豊富な弁護士にご相談ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。