婚前契約のメリットを解説!デメリットもある?

最終更新日: 2022年03月15日

婚前契約という言葉は、知っている方も多いと思います。結婚前の2人が、結婚後の生活の取り決めなどをする契約のことですね。

ここでは、婚前契約に精通した弁護士がメリットデメリットをお伝えし、不安解消のお手伝いができればと思います。興味はあるが、デメリットも知ってから検討したいという方も必見です。

また、ご自身の身近に未だ前例がなく、デリケートな問題の為、周囲に相談が出来ないと悩まれる方が多いのではないでしょうか。それでは早速参りましょう。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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婚前契約のメリット・デメリットを解説

婚前契約のメリット・デメリットを解説

婚前契約を検討するにあたってそのメリットとデメリットは把握しておきべきだと言えるでしょう。

婚前契約は、海外の芸能人ではビヨンセなどがしたことがニュースなるなど、最近注目されています。契約を結ぶカップルは、ビヨンセなど資産を多く持っている人だけに限りません。

婚前契約を結ぶカップルの増加の背景としては、結婚に対する考え方が以前とは変わり、もしもの事態に備え、事前にトラブルを回避する方向にシフトしているというこ とが考えられます。

また、女性の社会的進出や立場の向上も、1つの要因であるといえるでし ょう。

婚前契約について数多くのサポート経験を持つ当事務所が、メリットとデメリットをそれぞれ詳しく解説します。

婚前契約作成のメリット5選

婚前契約作成のメリット5選

 

婚前契約のメリットは以下の5つです。

    1. 結婚前の価値観のすり合わせ
    2. 結婚後の財産を守る
    3. 不貞の防止
    4. いつでも結婚前の気持ちを確認することが出来る
    5. 離婚の際のトラブルの防止

それぞれ解説をしていきます。

結婚前の価値観のすり合わせ

契約書で細かなことまで取り決めをする為、価値観が合わないとイライラすることが少なく、結婚後もお互いが大事にしたいことを維持しやすいです。

結婚を目の前にすると、どうしても多少の価値観の違いなどに目を瞑ってしまいがちです。

例えば、「家事分担」といった基本的なものから、「お互いのスケジュールは共有すること」「親の介護や子育ては分担して行う」「2人で会話する時間を最低でも週1回30分以上は設けること」といった細かい内容までを、取り決めることが出来ます。

結婚後の財産を守る

結婚後の財産について、取り決めがない場合、その半分を喪失する可能性があります。

「共有財産」や「特有財産」、「借金」といった基本的なものから、経営者の方の場合は「会社の株式」や「会社の資産・負債」に関する事も、どちらの財産であるのかを明示しておくことが出来ます。

不貞の防止

不貞を原因とした夫婦問題は、多くあります。交際期間中に浮気の疑惑がある場合は特に、結婚後の不貞についてどこまでを許せて、どこまでが許せないかを明示しておくとよいかもしれません。

また、取り決めた不貞行為が起きた時に、「配偶者に○○円支払う」という旨の記載をすることも可能です。

いつでも結婚前の気持ちを確認することができる

具体的な内容を書面にすることで、結婚前の気持ちをいつでも確認出来ます。また初心を忘れず、新鮮な気持ちになります。書面に残すことで、問題が起こった時に話し合いがしやすいかもしれません。

離婚の際のトラブルの防止

結婚前に、離婚について話し合うことに抵抗がある方もおられるかもしれません。離婚への意思を固め、話し合いをする場面では、双方が配偶者に対しネガティブな感情を抱えていることも少なくありません。

話し合いすらできず、離婚に進めず、何年も経過してしまうケースも多くあります。今後の人生へスムーズ進む為にも、婚前契約の作成はトラブルを回避できる方法の1つであると言えるでしょう。財産分与に関する内容等を、結婚前から取り決めることで、スムーズに協議離婚に向かえます。

婚前契約作成のデメリット4選

婚前契約のデメリット5選

続いて、婚前契約のデメリットは以下の4つです。

  1. 相手の理解を得ることが難しい
  2. 結婚後の自身の財産・資産や相手の債務が想定できない場合に盛り込む内容に困る
  3. 契約の内容を途中で変更できない
  4. 結婚前に作成する必要がある

それでは、それぞれをみていきましょう。

相手の理解を得ることが難しい

日本ではまだまだ婚前契約という考えが浸透しておらず、相手に理解を得られない可能性もあります。

相手が婚前契約について理解を示さない場合や、話し合いの中でこれまでは見えていなかった相手の本性が分ることで、それがマイナスに働き、最悪の結果、破談にもなりかねません。

結婚後の自身の財産・資産や相手の債務が想定できない場合に盛り込む内容に困る

結婚後に資産の取得の可能性があるか、もしくは債務の可能性があるかは結婚前には想定できない場合も多くあります。 会社を経営しており、事業の好調時はともかくとして、弁済が困難となった場合も想定し、必要であると考えた内容に関しては、検討する必要があります。

共有財産性を採用する場合、結婚前から有する特有財産を含めるのか、結婚後に限定するのか、共有の対象に所得も含めるのか等明らかに明示する必要があります。

契約の内容を途中で変更できない

結婚前に取り交わした契約は、法律上、他人間の契約と同様に取り扱われるため、契約をどちらか一方の都合で後から勝手に取り消すことはできません。

ですので、作成の際はさまざまな事態に備え、熟考し作成をする必要があります。契約書の末尾に、「婚姻後において二人は、書面による合意により本契約の変更取消しをすることができる。

ただし、婚姻後の変更は民法においては認められていない為、その効力は二人の間においてのみ有効であり、第三者にはその効力は及ばない。」という文言を入れ、本契約の変更、取消しをすることができますが、民法では認められていない為、夫婦の間のみで有効となります。

結婚前に作成する必要がある

婚前契約は夫婦間の契約と異なり、入籍前に行う必要があります。二人の話し合いの時間も必要となりますし、入籍の日時を逆算し、余裕をもって作成する必要があります。デメリット

婚前契約書を公正証書にするメリット・デメリット

婚前契約書を公正証書にするメリット・デメリット

ここでは、婚前契約書を公正証書にするメリット・デメリットについて解説していきます。 公正証書は、各地に設置された公証役場にいる公証人が作成する公文書の一種です。

作成内容によっては、強制執行を行うことが可能です。 それでは、まずその流れについて解説をします。

公正証書作成の流れ
    1. 婚前契約書の調印
    2. 公正証書の作成
    3. 登記

公正証書作成までの流れについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事で解説していますので、 合わせてチェックしてください。

婚前契約を公正証書にするメリットについてです。

メリット

証拠力があり、信用性が高くなる

間違いなくその人物が契約したことの確認と、契約違反があった場合に速やかな強制執行を可能にすることにあります。公正証書作成の際は、身分証、印鑑証明書の確認によって本人確認が行われます。私文書としての契約書の違反があった場合は、裁判をして、勝訴判決を得てから、強制執行をするという流れになります。公正証書にしておけば、この裁判のプロセスをカットできます。

続いてデメリットについてです。

デメリット

本人確認程度の意義しかない

公正証書を作成してくれる公証人が見つかったとしても、強制執行を可能にする効力を与えてくれることがほとんどありません。当事者の本人確認という意味での認証をしてもらえるのみです。

婚前契約の内容の自由が狭まってしまう 公証人は、法律に違反する可能性のある契約内容を公正証書にすることは、ほとんどありません。公正証書にすることによって、婚前契約に規定できる内容の自由が狭まってしまう可能性があります。

婚前契約を作成の際に弁護士の手を借りるメリット

公正証書作成の際に弁護士の手を借りるメリット

 

  

メリットは次の通りです。

1.漏れなく効率的な作成

2.相談しながら進められるサポート体制

3.参考にできる成功事例や過去事例の知識が豊富

それぞれ詳細に紹介していきます。

漏れなく効率的な作成

単に作成すれば何でも法的効力があるというものではない為、専門的な知識が必要です。弁護士に依頼をしたほうが、作成の際の必要項目の漏れが防ぐことができます。詳しい内容は、以下です。興味のある方は、ぜひご覧ください。

相談しながら進められるサポート体制

不足の事態にも備え、専門的な知識を有する第3者の助言を得ることで、安心して作成することが出来ます。

参考にできる成功事例

婚前契約を作成するカップルは多種多様です。初婚か再婚か、国際結婚か否か、年齢差が大きい場合は一方の配偶者の死亡後の相続や遺言に関する配慮も必要です。さまざまな作成事例をご確認ください。

まとめ

まとめ

       

婚前契約を正しく理解し、今後についてじっくり話し合いをすることで、お互いの価値観をすりあわすことができます。

実際の結婚生活が始まると、育った環境や価値観の違う2人が共同生活を始めるので、当然、想定外の出来事や問題が起こることの方が自然であると言えます。内容や作成でお困りになったら、事前に2人で話し合い、簡単なメモ書きを作成したりして、弁護士に依頼する方法も有効です。

婚前契約書には盛り込んでも意味をなさない条項などもあるため、専門家に確認をしてもらうことが大切です。

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