不貞行為の証拠を出すタイミングを間違えない！効果的な準備と注意点を解説
2025年01月30日
- 配偶者の不貞行為の証拠を集めた。どのようなタイミングで証拠を配偶者に提示したらよいのだろう？
- 不貞行為の証拠を提示し、相手を問い詰めたい。その場合に想定されるリスクがあれば教えてほしい。
- 証拠を収集する前に誰かと相談したい。離婚の交渉等に詳しい専門家を探したい。
配偶者の不貞行為が原因で離婚・慰謝料を請求する場合、不貞行為の証拠を集めておいた方がよいです。
離婚・慰謝料の協議や調停、裁判を有利に進められる可能性があります。しかし、どのタイミングで配偶者に証拠を提示するか、悩む方も多いでしょう。
そこで今回は、離婚問題の解決に携わってきた専門弁護士が、不貞行為の証拠を出すタイミング、証拠を提示するときの注意点等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 証拠を提示するタイミングは、配偶者の弁解を聞いた後がベスト
- 提示する証拠は、一目で不貞行為が認められる有力な証拠でなければいけない
- 証拠を収集する前に、弁護士とよく相談した方がよい
不貞行為の証拠を出すタイミング
配偶者の不貞行為が原因で離婚・慰謝料請求を検討しているのであれば、まず証拠を収集しましょう。証拠を示した方が、有利な条件で交渉を進められる可能性があります。
ただし、タイミングを見計らって出さないと、配偶者にはぐらかされるおそれもあります。
不貞行為とは
不貞行為とは、夫または妻以外の人と自分の意思で、性的関係を結ぶ行為です。
そのため、不倫相手との性行為が確認できなければ、不貞行為とは認められません。
不貞行為の証拠を提示できないと、配偶者はなかなか自らの非を認めず、離婚・慰謝料の交渉が難航する場合もあります。
配偶者との交渉だけでなく、不貞行為を理由に配偶者と裁判（離婚訴訟）で争うことも可能です（法定離婚事由：民法第770条）。
裁判の場合、不貞行為を確認できる証拠を提出しないと、次のようなおそれがあります。
- 原告の主張する離婚請求が退けられる
- 慰謝料請求が認められない、または低額にとどまってしまう 等
配偶者の責任を追及するには、まず不貞行為をした証拠の収集が必要です。
出典：民法｜e-GOV法令検索
証拠を出すタイミング
配偶者の不貞行為の証拠を揃えても、いきなり証拠を突きつけるのは避けた方がよいです。
次のような手順で証拠提示のタイミングを検討しましょう。
2.配偶者に不貞行為の疑いがある旨を伝える
3.配偶者が不貞行為の疑いを認め謝罪した→無理に証拠を提示せず、離婚・慰謝料に関する話し合いを進める
配偶者が不貞行為をはぐらかす・否定する→配偶者に弁解を求める
4.知り得た不貞行為の内容と比較し、配偶者の弁解に虚偽があることを把握する
5.知り得た不貞行為の有力な証拠を提示する
一通り配偶者の弁解を聞いてから、証拠を示し、嘘を暴いていけば、配偶者は言い逃れができなくなるでしょう。
不貞行為の証拠を出すタイミングに効果的な準備
配偶者に不貞行為の証拠を提示する前に、準備が必要です。
証拠を提示して自分がどのような結果を目指すのか、どのような不貞行為の証拠を集めるのか、慎重に検討してから作業へ移りましょう。
希望条件の明確化
自分が配偶者と交渉し、どのような結果を目指すのか考えておきましょう。
離婚するのか・しないのかによって、取り決める条件は異なります。
- 離婚する場合：離婚の合意および慰謝料請求、その他の条件（財産分与・親権・養育費・面会交流等）の取り決め
- 離婚しない場合：配偶者への謝罪要求、不倫相手との接見禁止、慰謝料に関する取り決め等
希望条件を事前にまとめておけば、配偶者との話し合いが行い易くなります。
有効な証拠の把握
配偶者の不貞行為に関する有力な証拠となるものを確認しておきましょう。
次のような証拠が該当します。
- 配偶者と不倫相手の性行為または性行為が推認できる画像や動画
- 配偶者または不倫相手の出産または中絶に関する証明書
- 配偶者が不貞行為を謝罪する動画や音声、宣誓書
- （探偵に依頼した場合）調査報告書
探偵の調査報告書があれば、不倫相手とのラブホテルに入る前後の行動を添付画像で確認できるなど、調停・裁判で有力な証拠となります。
性行為または性行為が推認できる画像や動画の撮影は非常に難しく、これも探偵の協力が必要となるでしょう。
配偶者の謝罪の記録となる動画や音声は専門的技術は不要ですが、「脅されて仕方なく謝罪した」と調停や裁判で反論される可能性があります。そのため、配偶者の謝罪を裏付ける証拠の収集も同時に必要です。
出産または中絶に関する証明書は、配偶者が破棄・隠匿している場合があり、入手が困難な証拠です。
証拠収集
有力な証拠は素人による収集が難しいケースも多く、探偵に依頼した方がよいでしょう。
ただし、自分の力で集められる証拠もあります。有力な証拠とはいえないものの、次のような証拠を集めておいた方がよいです。
- 不倫相手とのやりとりがわかるメールやLINE
- 夫婦で利用した覚えがないラブホテル、ホテル（2人部屋）の領収書
- 配偶者のクレジットカードの利用明細書 等
不倫相手とのやりとりがわかるメールや領収書等は、探偵が配偶者の不倫調査（張り込み・尾行）をするとき、参考資料となる可能性があります。
探偵と委任契約を締結するとき、これまで集めた証拠も提出しましょう。
弁護士への相談
不貞行為の証拠の収集方法・活用方法に疑問があるときは、まず弁護士と相談しましょう。
弁護士は夫婦の事情をよく聴いたうえで、次のようなアドバイスを行います。
- 現在、有力な証拠は集まっているか（収集できていないときは提携先の探偵社を紹介）
- 証拠収集のポイント
- 証拠が集まったとき、配偶者に提示するタイミング
- 証拠を提示しても、離婚や慰謝料の話し合いが行き詰ったときの対応
相談をしている間に「弁護士を交渉役に選任した方がよい」と思ったときは、そのまま弁護士に代理人を依頼してもよいです。
不貞行為の証拠を出すタイミングの注意点
タイミングを見計らって不貞行為の証拠を提出したとしても、必ず有利に離婚や慰謝料請求を進められるわけではありません。
不貞行為時、すでに夫婦関係が破綻していた場合は、特に注意が必要です。
別居中の不貞行為は注意が必要
離婚に向けて別居していた場合、不貞行為の証拠を配偶者に提示しても、慰謝料請求は認められない可能性があります。
離婚を前提とした別居の場合、夫婦関係はすでに破綻していると考えられます。そのため、別居後に配偶者が不貞行為に走ったとしても、当該行為は離婚原因になりません。
ただし、次のような別居の場合、慰謝料を請求できる可能性はあります。
- 単身赴任のためやむを得ず別居した
- 親の介護のためやむを得ず別居した
- 配偶者からDVやモラハラを受けたため、やむを得ず別居した 等
夫婦関係の破綻
夫婦関係の破綻後、配偶者が不貞行為をしていた場合、慰謝料請求は認められない可能性があります。
特に夫婦が離婚条件に合意し、離婚届の提出を行うだけの段階になった後、不貞行為をしても離婚原因とはならないので、慰謝料請求は難しいでしょう。
時効
不貞行為を理由に慰謝料を請求する場合、時効に注意しましょう。
婚姻中はもちろん、離婚後も相手に慰謝料の請求は可能です。
ただし、慰謝料請求をしないまま一定期間が経過すると、慰謝料請求権を失ってしまいます。
不貞行為は民法上の不法行為に該当し、時効期間は次の通り決められています（民法第724条）。
- 時効期間：不倫を知った日から3年
- 除斥期間：不倫があった日から20年
たとえ慰謝料を請求する側が、不貞行為の事実を知らなくても、権利行使をせずに20年が経過すれば、除斥期間経過により請求権は消滅します。
出典：民法｜e-GOV法令検索
相手が認めなかったとき
配偶者に有力な証拠を提示し、謝罪や離婚、慰謝料を求めても、頑なに不貞行為を認めないケースもあります。
配偶者との話し合いがまとまらなければ、次の手順で解決を目指しましょう。
1.調停：離婚前の場合は「夫婦関係調整調停（離婚）」、離婚後の場合は「慰謝料請求調停」を家庭裁判所に申立て
2.裁判：夫婦関係調整調停（離婚）不成立→家庭裁判所に「離婚訴訟」を提起、慰謝料請求調停不成立→地方裁判所に「損害賠償請求訴訟」を提起
弁護士のアドバイスやサポートを受ければ、スムーズに申立て手続きを進められます。
不貞行為の証拠を出すタイミングを弁護士に相談するメリット
自分が配偶者の不貞行為の有力な証拠を得ても、うまく協議に活かせるとは限りません。
弁護士に相談すれば、有益なアドバイスやサポートが得られます。
精神的なプレッシャーを与える
弁護士に代理人を依頼すれば、弁護士が直接配偶者と協議します。
依頼者が証拠を提示しても、配偶者が逆上して証拠を破棄したり、暴言や暴力を振るったりするかもしれません。
しかし、弁護士が交渉役となれば、配偶者は「法律の専門家が自分の交渉相手となってしまった」と、精神的なプレッシャーを感じ、素直に交渉に応じる可能性があります。
配偶者は冷静な対応を心がけるようになり、スムーズに和解が成立する場合もあるでしょう。
法的なアドバイスをもらえる
弁護士は法律に則り、効果的なアドバイスをします。
有力な証拠が得られていなければ、弁護士が提携先の探偵社を紹介する場合もあるでしょう。探偵社から受け取った証拠画像や動画・調査報告書を、どのように利用するかも説明します。
協議がうまくいかなかった場合の調停の申立てや裁判手続きも、弁護士が代行可能です。
親身になって対応してくれる
いつでも親身になって対応する弁護士・法律事務所であれば、相談者（依頼者）も安心できるでしょう。
不貞行為に関する問題は、早朝や深夜に発生することもあります。
配偶者の不貞行為により不測の事態が生じても、法律事務所の中には24時間365日、メールやLINEで気軽に相談できるところがあるので安心です。
不貞行為の証拠を出すタイミングに迷ったなら春田法律事務所まで
今回は離婚問題の解決に尽力してきた専門弁護士が、不貞行為の証拠を出すタイミングや注意点等について詳しく解説しました。
春田法律事務所は離婚問題の交渉や裁判に実績豊富な法律事務所です。まずは不貞行為の証拠に関する悩みや不安を弁護士へ打ち明けてみましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
