盗撮で家宅捜索!NG行動や押収物を返却してもらう方法も解説
2025年02月23日
- 盗撮で逮捕されたが、捜査機関は余罪を疑っているようだ。自宅を家宅捜索されてしまうのだろうか?
- 盗撮で家宅捜索されると家族に迷惑がかかる。盗撮に関係のない物まで没収されてしまうか心配だ。
- 家宅捜索で押収された物は返却してもらえるのだろうか?。
盗撮(撮影罪)の疑いで逮捕された場合、捜査機関は犯人の余罪を追及するため、犯人の自宅を家宅捜索する可能性があります。
家宅捜索で押収された物は返還されるのか、捜査員に家の中を荒らされないかと不安を感じる人もいるでしょう。
そこで今回は、数多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、盗撮で家宅捜索される可能性、押収物は返却してもらえるか等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 盗撮して逮捕された者に常習性があったり、供述が信用できなかったりする場合、家宅捜索される可能性がある
- 家宅捜索をおそれて、盗撮画像や動画を無理やり削除する行為は避けた方がよい
- 家宅捜索に不安を感じるときは、弁護士と相談しう
盗撮で家宅捜索される可能性
盗撮で逮捕されたからといって必ず家宅捜索を受けるとは限りません。
ただし、捜査機関から常習性があると疑われたときや、犯行を頑なに否定している場合、家宅捜索が実施される可能性はあります。
常習性がある
盗撮の常習性があると判断されると、家宅捜索を受ける可能性が高いです。
盗撮犯が電車内や駅構内等で現行犯逮捕され、警察官が盗撮に使用されたカメラやスマートフォンの中身を確認した結果、大量の盗撮画像・動画が見つかるときもあります。
その場合、捜査機関は盗撮犯に余罪が多いと疑い、更なる証拠の収集を目指して、家宅捜索を行うこともあるでしょう。
供述に矛盾がある
盗撮犯の供述に矛盾があると、家宅捜索を受ける場合があります。
盗撮した本人が逮捕され取り調べを受けたときに「今日初めて盗撮行為をした」と供述するケースも多いでしょう。
しかし、カメラやスマートフォンで何年も前の盗撮画像・動画が見つかった場合、供述は矛盾していると捜査機関が判断します。
その場合、盗撮した本人は常習犯として疑われ、余罪を確かめるために、家宅捜索を受ける事態も想定されます。
犯行を否定している
盗撮犯が犯行を頑なに否定している場合、家宅捜索を受ける可能性が高いです。
盗撮の現行犯で逮捕されても、「誤ってスマートフォンのボタンを押し、たまたま女性のスカートの下が撮影されただけだ」と、苦しい言い訳を行う者もいるでしょう。
当然ながら捜査機関はそのような言い訳に納得せず、更なる盗撮の証拠を見つけるため、家宅捜索を実施する場合があります。
盗撮で家宅捜索を受けたときのNG行動
家宅捜索をおそれ、証拠隠滅を図るような行動は避けましょう。
証拠隠滅を図ると捜査機関からの心証は非常に悪くなり、自分の立場がどんどん不利になっていきます。
盗撮データの削除
安易に盗撮画像・動画を削除してはいけません。
警察側の高度な解析・復元技術で、消去した盗撮画像・動画はすぐに発覚してしまいます。
警察はデジタル機器の分析調査による証拠収集を目指し、いわゆる「デジタル・フォレンジック」の強化を図っています。
削除された盗撮画像・動画の解析・復元を行う施設や部門は次の通りです。
- 高度情報技術解析センター:警察庁に設置された施設で、メモリチップからのデータ抽出、IoT機器の解析等、高度な解析が可能
- 情報技術解析課:都道府県警察(方面本部)情報通信部に設置され、電子機器等に記録された電磁的記録の抽出、可視化等が可能
盗撮画像・動画はもちろん、撮影したカメラやスマートフォンを破壊したり、水没させたりしても復元される可能性があります。
必要に応じて民間の専門会社等の協力も受けつつ、警察は盗撮データの復元を進めていくでしょう。
協力的な姿勢
盗撮に関する取り調べでは、取調官から質問された範囲内で、正直な回答を心がけましょう。
積極的な捜査協力を行えば、情状面で有利な判断(不起訴処分や減刑等)が得られるかもしれません。
しかし、逆に罪が重くなる場合もある点に注意しましょう。
自宅のパソコンの中に別の盗撮画像・動画がある場合等は、積極的な自白が逆効果になることもあります。
たとえば、電車内でスカートの下を盗撮した疑いで逮捕されたときに、過去に市民プールの更衣室で女児の全裸を盗撮・販売した事実も伝えるというケースです。
自白によって児童ポルノ禁止法違反でも処罰される可能性が出てきて、検察官による不起訴処分の獲得は難しくなるかもしれません。
余罪の否定
余罪を頑なに否定する行動は避けましょう。
「余罪が発覚すれば罪が重くなってしまから絶対に自白はしない」と決めていても、いずれ削除した盗撮画像・動画は復元される可能性があります。
余罪を認めなくとも捜査は進められ、盗撮の証拠はどんどん収集されていくことでしょう。
すでに客観的な証拠は揃っていても、盗撮した本人が余罪を否定しているままだと、捜査機関の心証は悪くなり、起訴される可能性が高くなります。
盗撮の家宅捜索による押収物は返却してもらえるか
警察に押収されたスマートフォンやカメラ、パソコンは、日常生活を送る上で必要な機器といえるでしょう。
これらの機器の返却を希望する場合、還付請求や準抗告が可能ですす。
還付請求
警察に押収された機器を返してもらう方法です。口頭で「スマートフォンやカメラを返してください」とお願いしましょう。
原則として、押収された機器は事件が終了したと判断されれば返却されます。
- 盗撮犯が不起訴になった→検察官による不起訴処分後
- 盗撮犯が盗撮(撮影罪)で起訴された→刑事裁判が終了した後
刑事手続の進み具合によっては、返却に1か月程度かかる場合があります。
例外として、機器の還付請求に対して、捜査機関や裁判所が「これ以上、押収しておく必要がない」と判断した場合は、すぐに返却されるケースもあるでしょう。
盗撮した画像・動画はすべて捜査機関に保存されるので、返却された機器はそのまま使用可能です。
準抗告
準抗告とは、捜査機関の処分等に対する不服申立ての方法です。裁判所に申し立てて押収物を還付してもらいます。
たとえば、常習性が疑われている状況といえないにもかかわらず、家族と共有していた自宅のパソコン等が押収された等のケースで行います。
ただし、逮捕時に所持していたカメラやスマートフォンは、準抗告を行っても還付はまず認められないでしょう。
弁護士への相談
機器を押収されて困っているときは、速やかに弁護士と相談しましょう。
弁護士は、押収された機器が盗撮とは無関係として還付請求するか、準抗告する方法等をアドバイスするでしょう。
弁護士に私選弁護人を依頼すれば、依頼者の弁護活動を続けるとともに、捜査機関へ押収物の返還手続きも委任できます。
盗撮の家宅捜索を弁護士に相談するメリット
盗撮を理由に家宅捜索が行われるか不安なときは、刑事事件に強い弁護士を選び、相談しましょう。
刑事事件に強い弁護士は、法律事務所のホームページやサイトから確認できます。
- ホームページで刑事事件の担当実績を具体的に明示している
- サイトをみると盗撮事件の話題や、相談事例が豊富に掲載されている
- 刑事手続の流れや弁護士報酬(目安)がわかりやすく記載されている 等
弁護士は事情をヒアリングし、ケースに応じた法的なアドバイスやサポートを行います。
早期釈放を目指せる
盗撮の現行犯で逮捕された、監視カメラに盗撮の模様が撮影されていて後日逮捕されたという場合、速やかに弁護士へ連絡しましょう。弁護士の弁護活動で早期釈放を目指せます。
弁護士が私選弁護人として活動できる場合、逮捕された本人に次のようなアドバイスやサポートをします。
- 逮捕後の取り調べにどう答えるか
- 盗撮画像、動画の所在の把握
- 捜査機関に逃亡、証拠隠滅のおそれがない旨を説明
- 証拠の提出に素直に応じる旨を約束する 等
弁護士の主張に捜査機関が納得すれば、被疑者が釈放され、以後は在宅事件として捜査が進められる可能性もあるでしょう。
逮捕前に弁護士と相談し私選弁護人を依頼しておけば、逮捕後の早い段階で弁護士との面会が可能となります。
一方、盗撮で現行犯逮捕された場合、逮捕後に弁護士を選ぶことになるでしょう。
その場合は、警察官に「家族と連絡をとりたい」と申し出て、家族から弁護士の依頼をしてもらう方法もあります。
勾留請求を回避できる
検察官の勾留請求を回避できるケースがあります。
盗撮の被疑者として逮捕され送検された場合、検察官が24時間以内に、留置所へ拘束する「勾留」請求を裁判所へ行うかもしれません。
裁判所が被疑者の勾留を認めれば、引き続き留置施設で身柄拘束されます。勾留期間は原則10日ですが、更に10日延長される場合があります。
最長20日の拘束で被疑者は心身ともに疲れ切ってしまうかもしれません。
しかし、弁護士が被疑者に逃亡・証拠隠滅のおそれはないと、検察官を説得すれば、送検された後も釈放される可能性があります。
釈放されれば在宅事件として捜査は続きますが、被疑者は通勤や通学が可能となり、普段の日常生活に戻れます。
違法な捜査の確認ができる
弁護士がいれば、違法な捜査か否かの確認も可能です。
家宅捜索を行い、証拠物を差し押えるには、裁判官の発布した捜索差押許可状が必要です。
捜索差押許可状には、捜索場所・差押える証拠物・有効期限等が明記されています。つまり、家宅捜索の対象となるのは、捜索差押許可状に記載された場所や差押できる証拠物に限定されるのです。
弁護士が捜索差押許可状の内容を確認すれば、違法な捜索だった事実が判明する場合もあります。
その場合、弁護士は刑事裁判等の場で「違法な捜索で収集された証拠である以上、証拠としての採用は認められない」と主張することになるでしょう(違法収集証拠排除法則)。
立ち会いできる場合もある
弁護士は、被疑者本人や被疑者の家族から委託された代理人として、家宅捜索に立ち会える可能性があります。
家宅捜索は突然行われますが、捜索が違法と判断される場合もあり得るため、弁護士は家宅捜索時に立ち合いを求める等して対応することもあるでしょう。
弁護士は法律を熟知しているため、捜査員の迂闊な捜索・押収を防止できる場合があります。
盗撮の家宅捜索でお困りなら春田法律事務所にご相談を
今回は数多くの刑事事件を担当してきた専門弁護士が、盗撮で家宅捜索を受ける場合の対処方法等について詳しく解説しました。
春田法律事務所は、盗撮事件をはじめとした弁護活動に実績豊富な法律事務所です。家宅捜索を受けるおそれがあれば、今後の対処の仕方を弁護士とよく話し合ってみましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。