痴漢をしてしまった!逮捕を避ける方法・弁護士に相談するメリットを解説
2025年02月25日
- 電車内で痴漢をしたが逮捕されていない。今後逮捕されるリスクはあるのだろうか?
- 痴漢で逮捕されると、どのような刑罰を科せられるのだろう?不安だ。
- 痴漢で逮捕されないためには、どうすればよいか教えてほしい。
痴漢行為をしても、被害者が恐怖で声をあげられない、周囲の人も気付かないという場合、その場では逮捕されないこともあるでしょう。
しかし、現行犯逮捕を免れても、被害者からの被害届の提出や目撃者からの通報により、後日逮捕される可能性があります。
痴漢による逮捕を避けたいのであれば、冷静かつ迅速に今後の対応の仕方を検討しなければなりません。
そこで今回は、多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、痴漢で逮捕されてしまうケース、逮捕を回避する方法等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 痴漢は「迷惑防止条例違反」や「不同意わいせつ罪」で処罰される可能性がある
- 出頭要請に応じない場合や前科・前歴がある場合などに、痴漢で逮捕される可能性がある
- 警察署への自首や被害者との示談成立によって、痴漢をした場合でも逮捕されないことがある
痴漢してしまったらどうなる
痴漢は卑劣な犯罪であり、逮捕・起訴され有罪となれば懲役(拘禁刑)となる可能性があります。
刑法だけではなく、条例によって処罰されることもあるでしょう。
迷惑防止条例違反
痴漢は都道府県の「迷惑防止条例」で処罰される可能性があります。
都道府県によって条文の規定は異なりますが、概ね次のような内容です。
- 公共の場所または公共の乗り物が対象
- 相手からの同意を得ていない
- 衣服その他の身に着ける物の上、または直接に人の身体を触る行為
東京都の場合、迷惑防止条例違反となれば、6月以下の懲役(2025年6月1日以降は拘禁刑)または50万円以下の罰金に処されます(東京都迷惑防止条例第8条)。
出典:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例|東京都令規集
不同意わいせつ罪
不同意わいせつ罪は、悪質な痴漢行為の場合に適用されます。
わいせつ目的の他に次のような事実が確認された場合、本罪で処罰されるでしょう。
- 被害者に暴行や脅迫をして痴漢に及んでいる
- 被害者が行為に同意していない状況で痴漢に及んでいる
- 被害者の衣服の中に手を入れる等して、下着の上または肌に直接触れる
不同意わいせつ罪で有罪となった場合、婚姻関係の有無にかかわらず、6月〜10年以下の拘禁刑に処されます(刑法第176条)。
出典:刑法|e-GOV法令検索
痴漢をしてしまったら逮捕されるケース
痴漢で現行犯逮捕されなかった場合、後日必ず逮捕されるとは限りません。
ただし、捜査機関の捜査に協力しない場合や痴漢の前科がある・再犯である場合は、逮捕される可能性が高いです。
出頭要請に応じない
何度も警察や検察の出頭要請を拒否していると、逮捕されるケースがあります。
痴漢事件では被疑者を逮捕せず、まずは取り調べのために任意同行を求める場合も多いでしょう。強制ではないため、日程が合わなければ調整も可能です。
ただし「任意」の取り調べだからと出頭要請を拒否し続けると、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断され、逮捕される可能性があります。
前科・前歴がある
痴漢の被疑者の前科・前歴が発覚し、逮捕されるケースです。
前科・前歴とはそれぞれ次のような経歴を指します。
- 前科:有罪判決を受けた経歴
- 前歴:捜査機関に犯罪の嫌疑をかけられ捜査対象とされた経歴
痴漢の前科・前歴があれば「また痴漢を行った」と強く疑われ、捜査機関が逮捕・勾留した方がよいと判断する可能性が高くなる場合もあります。
再犯を繰り返す
痴漢の再犯を繰り返している場合、逮捕される可能性は極めて高いです。
再犯とは、懲役(拘禁刑)を受けた者が、その執行を終えてから5年以内に再び罪を犯し、有期懲役(有期拘禁刑)となる場合を指します。
何度も痴漢行為を繰り返す被疑者であれば、捜査機関は今後の痴漢被害の防止、逃亡や証拠隠滅の阻止を目的に、逮捕を判断するでしょう。
なお、再犯となった者が有期懲役(有期拘禁刑)を受ければ、法定刑よりも重い刑(刑の上限の2倍以下)を科されます(再犯加重:刑法第57条)。
たとえば、不同意わいせつ罪は上限10年以下の拘禁刑のため、再犯となれば20年以下の懲役刑が科されます。
痴漢をしてしまった後の流れ
痴漢をすれば、「現行犯逮捕」「後日逮捕」いずれかの方法で逮捕されるでえよう。
後日逮捕の場合、痴漢の悪質性によっては「緊急逮捕」という方法がとられる場合もあります。
現行犯逮捕
現行犯逮捕とは、痴漢行為中または直後に犯人を逮捕することです。
現行犯の場合、犯人を間違える可能性はほとんどなく、犯罪の嫌疑も明らかなため、逮捕状なしで逮捕ができます。
また、警察官の他に、痴漢行為の被害者や周囲の第三者が犯人を逮捕することも可能です(私人逮捕)。
ただし、私人による逮捕後は、速やかに警察官へ犯人の身柄を引き渡さなければなりません。
後日逮捕
後日逮捕(通常逮捕)とは警察官が逮捕状を持参し、犯人を逮捕する方法です。
後日逮捕の一般的な手順は次の通りです。
2.逮捕の必要性がある場合、裁判官に逮捕状の発付を請求する
3.裁判官が審理後、逮捕の必要性を認めれば逮捕状を発付
4.逮捕状を持った警察官が犯人の身柄を拘束する
不同意わいせつ罪のような悪質性の高い痴漢事件を起こした犯人の場合、逮捕状をとる時間的な余裕がなければ、「緊急逮捕」も可能です。
なお、緊急逮捕の場合は逮捕後に逮捕状をとる必要があります。
痴漢をしてしまった!逮捕を回避する方法
痴漢をした場合、必ず逮捕されてしまうとは限りません。
逮捕されたくないのであれば、早く弁護士と相談し対応の仕方を協議しましょう。
弁護士への相談
痴漢をしたが現行犯逮捕されなかった場合でも、まずは弁護士に事情を説明し、次のようなアドバイスやサポートを受けましょう。
- 後日逮捕を回避する方法
- 逮捕される可能性がある行動
- 被害者が特定できれば、示談交渉を進める
- 不起訴処分となるメリット
相談後に委任契約を締結してもよいです。
弁護士が代理人(私選弁護人)となれば、自首の付き添い(自首同行)や被害者との示談を委任できます。
相談するときは、痴漢事件等の刑事問題に強い弁護士を選びましょう。
友人や知人の紹介でも構いませんが、インターネットを利用すれば、ニーズに合った弁護士・法律事務所を選び出せます。
- 法律事務所のホームページに、刑事事件の相談実績が具体的に明示されている
- 法律事務所のサイトに痴漢事件のトピックや相談事例が豊富に掲載されている
- 刑事手続の流れや弁護士報酬の目安も明記されている
上記のような内容が確認できれば、刑事問題に強い弁護士・法律事務所といえるでしょう。
なお、24時間365日いつでもメールやLINE、電話で弁護士と相談できる事務所ならば安心できます。
身元引受人の準備
捜査機関の任意の取り調べで被疑者が警察署に出頭した場合、身元引受人を用意しておけば、逃亡や証拠隠滅のおそれはないとして、逮捕されない可能性があります。
身元引受人には家族の誰かを選任するのが一般的です。
ただし、弁護士を身元引受人にすれば、しっかりと被疑者を監視できると考え、捜査機関が在宅事件で捜査を継続する可能性が高まるでしょう。
逃亡しない
逮捕をおそれ逃亡してはいけません。いずれ捜査中の警察官に逮捕され、留置施設に勾留されてしまいます。
また、逃亡すれば、「自分が犯した罪から逃げた」と判断され、起訴される可能性が高まるかもしれません。
起訴後に有罪となれば、裁判官も逃亡の事実を重く見て、初犯でも減刑されず、執行猶予付き判決を言い渡さない可能性も出てくるでしょう。
証拠隠滅しない
逃亡と同様に、証拠隠滅も絶対にしてはいけません。
たとえば、痴漢当時の服装や所持品を破棄する行動は、証拠隠滅にあたります。
捜査を混乱させるような行動をとれば、罪をまったく反省していないとして、逮捕されるだけでなく、起訴される可能性が高くなります。
自首
警察署に自首すれば、逮捕を回避できる可能性もあります。
自首は自らの痴漢行為を申告し、今後の取り調べや証拠提出等を誠実に行う用意があるという意思表示です。
痴漢行為を反省し自首すれば、警察は逃亡・証拠隠滅のおそれはないと判断するかもしれません。
自分一人で自首するのが不安な場合は、弁護士が付き添っうことも可能です。
弁護士を私選弁護人としていれば、警察への自首の連絡や警察署に到着してからの経緯の説明を任せられます。
痴漢をしてしまったら弁護士に相談するメリット
弁護士は法律に精通し交渉経験も豊かです。痴漢事件を穏便に解決できる方法も熟知しているでしょう。
弁護士は心強いサポート役として、依頼者の逮捕回避に力を尽くします。
逮捕回避
自首同行により逮捕の回避が可能な場合があります。
弁護士が自首に同行するメリットは次の通りです。
- 弁護士が事前に警察側と自首の日時を調整するため、手続きがスムーズ
- 弁護士が代わりに自首報告書を作成するため、警察側は自首の経緯や痴漢の内容等を正確に把握できる
- 弁護士は痴漢事件の被害届が出ているかを確認できる
- 自首するギリギリまで、弁護士と取り調べのシミュレーションができる
- 取り調べ中にわからない点があれば、いつでも弁護士と相談できる
- 弁護士が身元保証人になれば、逃走・証拠隠滅のおそれはないと捜査機関にアピールできる
更に弁護士は在宅事件となるよう、捜査機関に働きかけます。
示談交渉
被害者との示談交渉が成功すれば、検察官は不起訴処分とする可能性があります。
被害者が痴漢されたという被害届を提出していても、犯人が誰かわからない場合もあるでしょう。捜査機関で犯人が特定されていなければ、自首は成立します。
また、被害届を提出しているので、被害者の特定は可能です。
弁護士は被疑者の交渉役として被害者に示談を申し出て、交渉を進められます。
示談交渉では被害者との間で、次のような内容を取り決めます。
- 加害者(被疑者)は被害者に痴漢行為を謝罪し、二度と近づかないと誓う
- 示談金の内容を調整する(示談金額・支払方法・支払期限)
- 被害者は被害届を取り下げる
- 被害者は検察官に嘆願書を提出し、寛大な処分を求める
- 加害者と被害者は以後、今回の問題を蒸し返さない
示談内容がまとまれば示談書を2通作成し、加害者と被害者はそれぞれ1通ずつ大切に保管しておきましょう。
示談が成立しても不起訴処分を行うかどうかは検察官の判断次第です。しかし、被疑者が初犯で反省しており、捜査にも協力的であれば、不起訴処分とする可能性があります。
痴漢をしてしまったら春田法律事務所まで
今回は数多くの刑事事件を担当してきた専門弁護士が、痴漢事件の逮捕を回避する方法等について詳しく解説しました。
春田法律事務所は痴漢事件の示談交渉の他、刑事裁判にも実績豊富な法律事務所です。まずは痴漢事件に関しての今後の対応の仕方を、弁護士とよく相談しましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。