痴漢で解雇されるのか?会社に知られた場合のリスクと回避策

最終更新日: 2025年09月09日

痴漢で解雇されるのか?会社に知られた場合のリスクと回避策

痴漢の疑いをかけられた、または逮捕されてしまった場合、刑事処分だけでなく会社からの懲戒解雇や退職勧奨といった重大な影響が及ぶ可能性があります。

たとえ不起訴や示談で刑事事件が終結しても、勤務先の就業規則や社会的信用の観点から、処分を受けるケースは少なくありません。

本記事では、痴漢で会社に知られた場合の具体的な処分内容、解雇を回避・軽減する方法、退職金や失業手当の扱い、そして弁護士に依頼するメリットまで詳しく解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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痴漢が会社に知られた場合の処分

痴漢行為は多くの企業の就業規則で「非違行為」や「信用失墜行為」として規定されており、懲戒事由に該当します。懲戒解雇や諭旨解雇などの処分は、あくまで会社の就業規則や服務規程に基づいて行われるため、同じ事案でも勤務先によって処分の重さが異なる場合があります。

主な処分は以下の通りです。

  • 懲戒解雇:即時に労働契約を終了し、退職金も不支給となる可能性が高い最も重い処分。就業規則で定められた懲戒事由に該当する必要があります。
  • 諭旨解雇:自主退職を促す形での退職。懲戒解雇よりは軽いが、経歴に大きな傷が残る。
  • 出勤停止・減給:刑事処分が軽微な場合や、初犯で情状が考慮された場合に適用されることも。

重要なのは、逮捕や有罪判決がなくても、会社が就業規則に照らして「信用失墜行為」と判断すれば懲戒処分は可能だという点です。特に交通機関や顧客対応業務など「信用」が業務の前提となる職種では厳しい対応が取られる傾向があります。

示談成立でも解雇される可能性

刑事事件として不起訴になった場合でも、会社側は独自に事実調査を行い、懲戒処分を決定できます。これは就業規則に基づく内部規律の問題であり、刑事責任とは別に判断されます。

示談成立や不起訴は刑事責任を免れる結果ですが、企業は社会的評価や社内秩序を守る立場にあり、「社外での不祥事」として処分する場合があります。

ただし、弁護士が早期に介入し、勾留回避や迅速な示談成立、情報管理を行うことで、会社に知られず事件を終結できる場合があります。この場合、懲戒処分自体を回避でき、経歴や職場環境への影響を最小限に抑えることが可能です。

よくある状況と対応例

例:弁護士介入で不起訴&会社に知られず解決

通勤電車で痴漢の疑いをかけられた会社員は、事情聴取の段階で弁護士に連絡。弁護士が警察に身柄引受書や本人の誓約書等を提出して身柄拘束されることを回避しつつ、早期に示談を成立させました。

その結果、不起訴処分となり、会社には欠勤理由を私用とだけ伝えて処理。事件は社内に一切知られず、通常通り勤務を継続できました。

例:早期示談で社内調査前に終結

駅構内での痴漢容疑で逮捕されたケース。依頼を受けた弁護士が即日接見し、被害者との示談交渉を開始。3日以内に示談書を取り交わし、警察にも速やかに提出しました。迅速な対応により、社内調査が始まる前に不起訴で終了。処分や解雇のリスクを回避できました。

※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。

解雇された場合の退職金・失業手当

懲戒解雇の場合、就業規則に基づき退職金は全額または一部不支給となるのが一般的です。諭旨解雇や自己都合退職では退職金が支給される場合もありますが、減額されることもあります。

失業手当については、懲戒解雇でも受給自体は可能です。ただし、「自己都合退職扱い」として扱われることがあり、約1か月の給付制限期間が設けられ、再就職までの生活資金に影響します。弁護士が交渉し、解雇理由を「会社都合」に近い形にできれば、給付制限期間なしで受給できる可能性もあります。

会社に知られないようにする方法

痴漢の疑いで事情聴取や逮捕された場合でも、報道や周囲からの情報伝達を防げれば会社に知られない可能性はあります。弁護士に依頼すれば、勾留を回避し早期釈放を目指すことで、欠勤理由を病気や私用と説明できる時間的余裕が生まれます。

また、報道機関への実名報道の回避交渉や、被害者との示談成立を迅速に行うことで、事件自体を外部に漏らさず終結できる場合があります。ただし、自力での対応は情報管理が難しく、交渉も感情的になりやすいため、第三者として冷静かつ法的に動ける弁護士の存在が不可欠です。

弁護士に依頼するメリット

  • 勾留回避・早期釈放:長期の欠勤を防ぎ、会社への発覚リスクを減らせます。
  • 示談交渉の迅速化:早期解決により、社内調査前に事態を収束できる可能性が高まります。
  • 会社との交渉:就業規則を踏まえたうえで、処分内容を軽減(解雇→減給・出勤停止など)できる余地を探ることができます。ただし、弁護士に依頼する範囲にもよりますので、刑事事件だけでなく労使関係についてもご依頼をする必要があります。
  • 報道回避:実名報道やSNS拡散のリスクを抑える対応ができます。
  • 精神的負担の軽減:孤立感や不安からくる判断ミスを防ぐことができます。

弁護士はご依頼があれば、刑事事件と労働問題の両面で動けるため「刑事処分の軽減」と「職場での処分回避」を同時に目指せるのが大きな強みです。

よくある質問(FAQ)

Q:痴漢で逮捕されても不起訴なら解雇されませんか?

 A. 不起訴でも就業規則違反として解雇される可能性があります。企業の判断基準は刑事結果とは別です。また、逮捕されると出勤に影響が出るので、会社に知られるリスクが高まります。

Q:懲戒解雇されたら失業手当はもらえませんか?

 A. 受給は可能ですが、重責解雇に該当すると判断された場合、待機期間に加えて、給付制限があります。

Q:会社に知られないまま示談できますか?

 A. 身体拘束がなければ会社にバレる可能性は低いです。身体拘束されてしまうと、どうしても会社に知られてしまう(知らせるほかない)事態になってしまいます。

Q:解雇を回避できる条件は?

 A. 早期示談、勾留回避、職務変更や減給での合意などが有効です。

Q:家族に知られずに対応できますか?

A. 弁護士を通じたやり取りにより、家族や勤務先への情報漏洩を最小限にできます。

まとめ

痴漢による解雇は、刑事処分とは別に会社の就業規則や服務規程に基づいて企業が独自判断で行えるため、示談や不起訴でも安心はできません。早期の弁護士依頼が解雇回避・軽減のカギであり、勾留回避や示談交渉、会社との話し合いまで一貫して対応できます。

経済的・社会的なダメージを最小限にするためにも、事件発覚直後から専門家に相談することが重要です。

 

 

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