離婚裁判の期間は平均どれくらい?短く終わらせる5つのポイント

2026年01月13日

離婚裁判の期間は平均どれくらい?短く終わらせる5つのポイント

離婚したいという強い気持ちがあっても、協議や調停で話し合いがまとまらず、最終的に離婚裁判に至るケースは少なくありません。

しかし、裁判というと「期間が長そう」「一体いつ終わるのか」と、先行きが見えない不安を抱える方も多いのではないでしょうか。実際、離婚裁判は解決までに平均で1年以上かかることが多く、その間、精神的にも経済的にも大きな負担がかかります。

この記事では、離婚裁判がどのくらいの期間を要するのか、平均的な目安を司法統計のデータも交えて具体的に解説します。

さらに、なぜ裁判が長引いてしまうのかという原因を深掘りし、少しでも裁判を短く、そして有利に進めるための具体的な5つのポイントをご紹介します。裁判中の生活費や子どもとの面会など、離婚裁判で多くの人が抱える疑問にもお答えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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目次

離婚裁判にかかる期間の目安は1〜2年

離婚裁判は、夫婦間の話し合いである協議離婚や、家庭裁判所で行う離婚調停で合意に至らなかった場合に、最終的な解決手段として裁判所に訴えを提起する手続きです。一度裁判に発展すると、離婚の可否だけでなく、親権、養育費、財産分与、慰謝料といった離婚条件についても法的な判断が下されることになります。

この離婚裁判が提起されてから判決が下されるまで、多くの場合、1年から2年程度の期間を要するのが一般的です。この期間には、訴訟の準備、訴状の提出、裁判所での主張・立証のやり取り、証人尋問、そして判決の言い渡しまでのすべてのステップが含まれます。協議離婚や離婚調停が数週間から半年程度で終わる可能性があるのと比較すると、離婚裁判は時間的にも精神的にも大きな負担を伴う手続きと言えるでしょう。

法的な手続きは複雑であり、双方の主張を十分に検討し、証拠に基づいて公正な判断を下すために、どうしてもこれだけの時間が必要となります。これから離婚裁判に臨む方にとって、この期間の目安を把握することは、その後の生活設計や心の準備をする上で非常に重要になります。

離婚裁判の平均期間は約15.3ヶ月

離婚裁判にかかる期間は事案によって大きく変動しますが、裁判所の司法統計データは、その平均的な実情を客観的に示しています。令和5年度の「人事訴訟事件の概況」によれば、離婚裁判の平均審理期間は15.3カ月で、判決に至ったものに限ると19.9カ月でした。

この「平均審理期間」という数値は、訴えが裁判所に提起されてから、判決、和解、または取り下げといった形で事件が終局するまでの期間を指します。およそ1年3ヶ月半という期間は、決して短いものではなく、離婚裁判が長期戦になりやすい現実を物語っています。

このデータはあくまで平均値であり、個々の事案によってはさらに長引くこともあれば、比較的短期間で終わることもあります。しかし、この客観的な数字を知ることで、これから裁判に臨む方が現実的な見通しを持つことができるでしょう。

最短で終わるケースと最長でかかるケース

離婚裁判の平均期間は15.3ヶ月ですが、事案の性質によってその期間は大きく変動します。ご自身のケースがどちらの傾向にあるのかを把握することは、裁判の見通しを立てる上で役立ちます。

比較的「最短で終わるケース」としては、数ヶ月程度で決着がつくこともあります。これは、夫婦双方の離婚意思に争いがなく、親権、財産分与、養育費などの付随的な争点もすでに合意が形成されているか、またはほとんど存在しない場合に限られます。

あるいは、裁判の早い段階で、双方がある程度の譲歩をして和解が成立した場合も、早期解決につながります。例えば、不貞行為の証拠が明確で、相手方が反論の余地がないと判断し、早期の和解に応じるケースなどが該当します。

一方で、「最長でかかるケース」では、2年〜3年以上もの長期間に及ぶことも珍しくありません。これは、親権、養育費、財産分与、慰謝料など、争点が多岐にわたり、かつ双方の主張が真っ向から対立している場合に起こります。

特に、不動産や株式、退職金など、複雑な財産の評価が必要となる財産分与や、相手方が裁判手続きに非協力的で、書面の提出を遅らせたり、期日に出頭しなかったりするような場合は、審理が停滞しがちです。

さらに、第一審の判決に不服があるとして、控訴審、そして稀に上告審へと移行した場合は、解決までの期間がさらに大幅に延びることになります。

このように、事案の複雑さや当事者双方の姿勢が、裁判期間に大きく影響を与えることを理解しておくことが重要です。

離婚裁判の期間が平均より長引く4つの原因

離婚裁判は、平均的な期間がある一方で、当事者間の対立の深さや争点の多さ、裁判手続きへの協力体制など、さまざまな要因によって長期化することが少なくありません。裁判の期間は一律ではなく、個々のケースによって大きく変動するため、なぜ平均よりも長引いてしまうのかを具体的に把握することが大切です。

ここでは、離婚裁判が長引く主な原因として、「争点の多さ」、「証拠の有無」、「相手方の態度」、「控訴」という4つのポイントを詳しく解説します。これらの原因を理解することで、ご自身のケースがどの程度長引く可能性があるのか、また、どのように対応すれば良いのかといった見通しを立てる一助となるでしょう。

原因1:親権や財産分与など争点が多い

離婚裁判が長期化する最大の原因の一つは、争点が多いことにあります。単に離婚の可否だけでなく、未成年の子どもの親権、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割といった複数の条件について当事者間で意見が対立している場合、それぞれの争点について主張と立証を繰り返す必要があるため、審理期間は必然的に長くなります。

例えば、親権を争うケースでは、家庭裁判所調査官による子どもの生育環境や当事者の監護能力に関する詳細な調査が行われます。この調査には数ヶ月を要することが一般的で、その間裁判は一時的に停滞します。

また、財産分与においては、不動産、退職金、株式、保険といった複雑な資産の評価に時間がかかることがあります。特に不動産の評価には鑑定が必要となる場合もあり、その手続き一つで数ヶ月を要することも珍しくありません。

このように、争点が多く、それぞれの解決に時間と労力がかかることが、離婚裁判の長期化を招く大きな要因となります。

原因2:主張を裏付ける決定的な証拠がない

不貞行為やDV(ドメスティック・バイオレンス)などを離婚原因として主張する場合、それを裏付ける客観的で決定的な証拠が不足していると、裁判は著しく長引く傾向にあります。

裁判所は、当事者の感情や一方的な主張だけで判断を下すわけではなく、提出された証拠に基づいて事実認定を行います。そのため、証拠が不十分な場合や、当事者間の「言った言わない」の水掛け論に終始してしまうと、真偽の判断が困難になり、審理が停滞してしまうのです。

例えば、不貞行為を主張する際には、写真、動画、SNSのやり取り、メール、探偵の調査報告書などが有効な証拠となり得ます。DVを主張するなら、医師の診断書、怪我の写真、警察への相談記録、日記などが重要です。

これらの証拠が不足していると、裁判官はなかなか心証を形成できず、追加の証拠提出を求めたり、審理を長期化させて事実関係の解明を試みたりするため、結果として裁判が長引いてしまいます。有効な証拠を早期に、かつ十分に準備することが、裁判をスムーズに進める上で極めて重要です。

原因3:相手が裁判手続きに協力的でない

相手方(被告)が裁判手続きに非協力的な態度をとることも、離婚裁判が長引く大きな原因となります。裁判は、双方の主張と証拠の提出によって進行するため、一方の当事者が非協力的であれば、手続き全体が停滞してしまうのです。

具体的な非協力的な行動としては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 裁判所からの呼出状を意図的に受け取らない、あるいは期日に正当な理由なく出廷しない。
  • 訴状に対する答弁書や、裁判官から提出を求められる準備書面、証拠類を期限までに提出しない。
  • 期日ごとに主張を二転三転させる、あるいは虚偽の主張を繰り返すことで、無駄な反論や立証のやり取りを発生させる。

このような行動が続くと、裁判所は期日を延期せざるを得なくなったり、相手方を説得するための手続きに時間を費やしたりするため、結果的に全体の審理期間が大幅に延長されてしまいます。

相手方の非協力的な態度は、当事者にとって精神的な負担も大きく、裁判をさらに困難なものにすることがあります。

原因4:判決に不服があり控訴・上告する

第一審の判決に、どちらか一方、あるいは双方の当事者が不服を申し立てる「控訴」は、離婚裁判を大幅に長期化させる最大の原因の一つです。地方裁判所または家庭裁判所での第一審の判決後、その判決内容に納得がいかない場合、当事者は高等裁判所に控訴することができます。

控訴審は、第一審の記録や提出された証拠を基に、改めて審理を行う手続きです。控訴審に移行すると、さらに半年から1年程度の期間が必要となるのが一般的です。

もし控訴審の判決にも不服がある場合、さらに最高裁判所に「上告」することも稀に起こり得ます。上告まで進むケースは非常に少ないですが、その場合には、裁判が確定するまでの道のりはさらに長くなります。

このように、判決が確定するまでに複数の審級を経る可能性があることが、離婚裁判の期間を予測困難にし、長期化させるリスクとなることを明確に認識しておく必要があります。

離婚裁判の期間を短く終わらせる5つのポイント

長期化しがちな離婚裁判を効率的に進め、期間を短縮するための具体的な戦略をご紹介します。裁判の期間は相手方の出方など、ご自身ではコントロールできない要素も確かに存在します。しかし、ご自身の準備や進め方次第で、裁判の期間を短縮できる可能性も十分にあります。

このセクションでは、「争点を絞る」「証拠を準備する」「和解を検討する」「弁護士に依頼する」「第一審での決着を目指す」という5つの主要なポイントを解説し、皆さまの実践的な行動を促します。

ポイント1:争点を絞り込み、譲歩できる条件を決めておく

離婚裁判の期間を短縮するためには、まず争点を整理し、ご自身の中で優先順位をつけることが非常に重要です。「絶対に譲れない条件」と「譲歩しても良い条件」を明確にしておきましょう。

例えば、「子どもの親権だけは絶対に譲れないが、財産分与の金額についてはある程度の譲歩も可能」といったように、事前に交渉の落としどころを想定しておくことで、裁判の進行がスムーズになります

ご自身の要求を全て通そうとすると、相手方との対立が激化し、結果的に裁判が長期化する大きな原因となります。あらかじめ柔軟な姿勢で臨むことで、和解の可能性も高まり、より早期の解決が期待できるでしょう。

ポイント2:客観的で有力な証拠を早期に準備する

ご自身の主張を裏付ける客観的かつ有力な証拠を、裁判が始まる前のできるだけ早い段階で体系的に収集しておくことが極めて重要です。これは、裁判が長引く原因として先に述べた「証拠不足」の裏返しとも言えます。裁判所は証拠に基づいて事実認定を行うため、証拠が不十分だと審理が停滞し、期間が長引いてしまいます。

不貞行為を主張するのであれば写真やメール、DV(ドメスティック・バイオレンス)であれば診断書や動画、財産分与であれば夫婦双方の預金通帳・給与明細・不動産登記簿謄本など、争点ごとに有効な証拠は異なります。

有力な証拠を早期に提示することで、相手方が反論を諦めたり、裁判所が早期に心証を形成したりする可能性が高まり、結果的に審理の迅速化につながるでしょう。

ポイント3:裁判中の「和解」も有力な選択肢と考える

離婚裁判では、判決を待つだけでなく、裁判の途中で話し合いによって解決する「和解」も期間短縮のための非常に有効な手段となります。

和解のメリットとしては、判決よりも早期に離婚が成立する点や、判決では実現しにくいような柔軟な内容で解決できる場合がある点が挙げられます。また、和解は双方の合意に基づく解決であるため、感情的な対立を終結させやすく、その後の関係性にも良い影響を与えることがあります。

さらに、和解で終結した事件は、判決と異なり控訴、上告することができないため、終局的な解決が期待できます。

裁判官は審理の様々な段階で和解を勧告することが一般的です。感情的に頑なにならず、弁護士と相談しながら和解の可能性を常に探る姿勢が重要です。和解が成立すれば「和解調書」が作成され、これは判決と同じ法的効力を持つため、安心して新たな生活を始めることができます。

ポイント4:離婚問題に詳しい弁護士に依頼する

離婚裁判を有利かつ迅速に進めるためには、離婚問題に精通した弁護士に依頼することが非常に大きなメリットをもたらします。

専門家である弁護士は、的確な主張の組み立て方、必要な証拠の選別、複雑な書面作成、そして相手方との交渉などを効率的に代行してくれます。これにより、無駄なやり取りを減らし、審理の焦点を明確にすることができるため、結果的に裁判期間の短縮につながります。

また、弁護士が代理人となることで、相手方と直接やり取りする必要がなくなり、精神的な負担が大幅に軽減されます。感情的になりやすい離婚問題において、冷静かつ客観的な視点を持つ弁護士の存在は、適切な判断を下すための大きな支えとなるでしょう。

ポイント5:第一審での決着を目指す

第一審の判決に不服があり控訴審に移行すると、裁判期間はさらに半年から1年以上と大幅に延びてしまいます。そのため、可能な限り第一審で納得のいく解決を目指すことが、期間短縮のための重要な戦略となります。第一審の段階で、ご自身の主張や証拠をすべて出し切り、全力を尽くす心構えが必要です。

弁護士と綿密に戦略を練り、後悔のないように審理に臨むことが、結果的に時間と費用の両面で節約につながります。もちろん、どうしても納得できない判決の場合には控訴もご自身の権利として検討すべきですが、それはあくまで最終手段と位置づけ、まずは第一審での決着を強く意識して取り組むことをお勧めします。

上記のとおり第一審で和解した場合は、控訴の可能性が無くなることも十分に考慮すべきです。

【ステップ別】離婚裁判の流れと各段階でかかる期間

離婚裁判は、訴えの提起から判決(または和解)による終結まで、多くのステップを経て進んでいきます。

このセクションでは、離婚裁判がどのような順序で進んでいくのか、具体的な手続きの流れを段階ごとに詳しく解説します。各段階で要する期間の目安も示すことで、裁判の全体像を具体的にイメージし、見通しを立てていただくことができます。

ステップ1:訴訟の準備と訴状の提出(約1ヶ月)

離婚裁判の最初のステップは、訴訟の準備と訴状の提出です。まずは、弁護士への相談を通じて法的なアドバイスを受け、今後の戦略を練ります。

次に、ご自身の主張を裏付けるための証拠を体系的に収集します。例えば、相手方の不貞行為の証拠、DVの診断書、財産分与に関する通帳の写しや不動産の登記簿謄本などが挙げられます。

これらの準備が整った後、離婚を求める原因、親権や財産分与などの具体的な請求内容を盛り込んだ「訴状」を作成ます。作成された訴状は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。

この一連の準備から提出までの期間は、事案の複雑さや証拠収集の難易度にもよりますが、おおよそ1ヶ月程度かかるのが一般的です。

ステップ2:第1回口頭弁論(提訴から約1〜1.5ヶ月後)

訴状が家庭裁判所に提出されると、裁判所から相手方(被告)に訴状と「呼出状」が送達され、最初の裁判期日である「第1回口頭弁論」が指定されます。この期日は、提訴から約1ヶ月〜1ヶ月半後に設定されることが多いです。

被告は、この期日までに訴状に対する反論を記した「答弁書」を裁判所に提出することが求められます。

第1回口頭弁論では、原告が提出した訴状を陳述した形をとり、被告は答弁書を陳述した形をとるのが一般的です。当日の法廷では、実質的な弁論が行われることはほとんどなく、今後の審理の進め方を確認するだけで、5〜10分程度で終了することが多いのが実情です。

ステップ3:弁論準備手続・期日(月1回ペースで数ヶ月〜1年以上)

第1回口頭弁論が終わると、裁判の本体ともいえる「弁論準備手続」に進みます。この手続は、公開の法廷ではなく、裁判官と双方の代理人(弁護士)が非公開の準備室で、主張や証拠の整理を効率的に行う場です。

期日は約1ヶ月に1回のペースで開かれ、当事者双方が「準備書面」という書面を用いて、自身の主張を述べたり、相手方の主張に反論したり、新たな証拠を提出したりするやり取りを繰り返します。

親権、養育費、財産分与、慰謝料など争点の数や内容が複雑であるほど、この書面でのやり取りが長くなり、数ヶ月から1年以上続くこともあります。離婚裁判が平均よりも長引く主要な期間は、この弁論準備手続の段階であることがほとんどです。

ステップ4:尋問(本人・証人)

書面での主張と証拠の提出が一通り終わり、争点が整理されると、最終的に「尋問」が行われます。尋問は、当事者本人や場合によっては関係者(証人)が裁判官の面前で直接、事実関係や主張内容について話す手続きです。

まずは自分の弁護士からの質問(主尋問)があり、次に相手方の弁護士からの質問(反対尋問)、そして最後に裁判官からの質問(補充尋問)という流れで進められます。この尋問を通じて、裁判官は当事者の話す様子や態度、具体的な証言内容から、どちらの主張がより信用できるか、事実をどのように認定すべきかの心証を形成します。

尋問は、裁判官が判決を下す上で重要な判断材料を得るための手続きであり、離婚裁判における事実認定のクライマックスとも言える段階です。

ステップ5:判決または和解(尋問から約1〜3ヶ月後)

尋問が終了すると、いよいよ裁判の終結に向けて進みます。裁判官は、提出された証拠と尋問での証言を基に、最終的な判断を下し「判決」を言い渡します。尋問の終結から判決の言い渡しまでには、通常1ヶ月から3ヶ月程度の期間を要します。

一方で、判決に至る前に、裁判官から双方に「和解」の勧告がなされることも少なくありません。これは、判決による解決よりも、当事者双方がある程度納得できる形で早期に紛争を解決するための手段です。

ここで和解が成立すれば、その時点で裁判は終了し、裁判所が作成する「和解調書」をもって離婚が成立します。和解調書は判決と同じ法的効力を持つため、安心して新たな生活を始めることができます。

ステップ6:判決確定と離婚届の提出

判決が言い渡された後、当事者が判決書を受け取ってから2週間以内にどちらか一方でも控訴しなければ、その判決は「確定」します。

判決が確定したら、勝訴した側は判決謄本と判決確定証明書を添付して、10日以内に市区町村役場に離婚届を提出する必要があります。和解で裁判が終了した場合も同様に、和解調書謄本を添付して離婚届を提出します。この届出が受理されることで、戸籍上も正式に離婚が成立し、法的な夫婦関係が解消されることになります。これらの手続きを経て、ようやく離婚裁判の全プロセスが完了となります。

離婚裁判に至るまでの流れ【協議・調停】

離婚裁判は、夫婦の話し合いがまとまらない場合に最終手段として選ばれる手続きです。いきなり裁判を始めるのではなく、その前には段階を踏む必要があります。

日本の法律では、原則として裁判を起こす前に家庭裁判所での「調停」を経なければならない「調停前置主義」が採用されています。

このセクションでは離婚裁判に至る前の一般的なプロセスである「協議離婚」と「離婚調停」について、それぞれどのくらいの期間がかかるのかを解説していきます。

協議離婚:話し合いで合意を目指す段階(数週間〜数ヶ月)

離婚の最初のステップは「協議離婚」です。これは、夫婦間で話し合いを行い、離婚そのものと、親権、養育費、財産分与といった離婚条件について合意を目指す方法です。合意がまとまれば、夫婦で離婚届を作成し、役所に提出することで離婚が成立します。

期間については、夫婦の意見が一致していれば数週間という短期間で終わることもあります。しかし、意見が対立したり、条件面での折り合いがつかなかったりする場合は、数ヶ月、場合によっては年単位で話し合いが膠着することもあります。

この段階で合意に至らない場合に、次のステップである離婚調停に進むことになります。

離婚調停:家庭裁判所で話し合う段階(約半年〜1年)

協議離婚で話がまとまらない場合、次のステップとして家庭裁判所で行われるのが「離婚調停」です。これは、家庭裁判所の調停委員という第三者を介して、夫婦が話し合いを進める手続きです。

調停委員は、夫婦双方の意見を聞き、公平な立場でアドバイスをしたり、落としどころを探ったりすることで、合意形成を促します。調停は通常、約1ヶ月~2ヶ月に1回のペースで行われ、合意に至るまでには平均で半年から1年程度かかることが多いです。

ここで夫婦が離婚および離婚条件について合意に至れば、「調停成立」となり、調停調書が作成され、裁判所の確定判決と同じ法的効力を持ちます。しかし合意に至らなければ「調停不成立」となり、この段階で初めて、離婚裁判を提起する道が開かれることになります。つまり、離婚調停は離婚裁判に進むための必須のステップと言えるでしょう。

離婚裁判中の不安を解消!生活費や子どもとの面会はどうなる?

長期化しがちな離婚裁判は、精神的にも肉体的にも大きな負担を伴います。特に、別居中の生活費をどうまかなうのか、あるいは子どもと会えなくなってしまうのではないかといった不安は、多くの当事者にとって非常に切実な問題です。

しかし、ご安心ください。こうした状況下でも、法的な手続きを通じて生活の安定を図り、子どもとの関係を維持するための救済措置がいくつか用意されています。

このセクションでは、離婚裁判中に生じる可能性のある生活費や子どもとの面会に関する具体的な不安に対し、「婚姻費用の分担請求」「面会交流」といった制度がどのように役立つのかを詳しく解説し、皆様の不安を和らげる一助となれば幸いです。

裁判中の生活費は「婚姻費用分担請求」で確保

離婚裁判中や別居中に、経済的な不安を抱える方は少なくありません。しかし、法律上、夫婦には互いを扶養する義務があり、離婚が成立するまでは、収入の多い方が少ない方へ「婚姻費用」を支払う義務があります。

婚姻費用とは、夫婦と未成熟の子どもが、それぞれの収入や資産に応じて、社会的地位にふさわしい生活を維持するために必要な費用のことを指します。具体的には、住居費、食費、教育費、医療費などが含まれます。

もし相手方がこの婚姻費用を支払ってくれない場合でも、安心してください。離婚裁判とは別に、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」または「審判」を申し立てることができます。この手続きを通じて、裁判所が双方の収入や生活状況を考慮し、適切な婚姻費用の金額を決定してくれます。

裁判所から支払いを命じられれば、相手方はこれを拒否することはできません。この制度を適切に利用することで、離婚が成立するまでの間、経済的な基盤を確保し、生活の安定を図ることが可能になります。

子どもとの面会は「面会交流調停」で求めることが可能

別居中や離婚裁判中に子どもと会えなくなるのではないか、という心配は、親にとって非常に大きなものです。しかし、離婚が成立していなくても、子どもと会うことは親の権利であり、子どもの健全な成長のためにも重要であるとされています。子どもと離れて暮らす親が子どもと定期的に会って交流することを「面会交流」と呼びます。

もし相手方が面会交流を拒否したり、条件について合意できなかったりする場合には、離婚裁判とは別に家庭裁判所に「面会交流調停」または「審判」を申し立てることができます。この調停では、調停委員を介して、面会の頻度、時間、場所、方法など具体的なルールについて話し合いを進めます。

合意に至れば調停調書が作成され、その内容に法的拘束力が生じます。また、緊急性が高く、すぐにでも面会交流を実現したい場合には、審判前の保全処分として、裁判所に面会交流を命じてもらう制度もあります。面会交流の機会を確保することは、子どもにとっても、そして親にとっても、精神的な安定につながる大切な手続きです。

別居期間は離婚理由として考慮される?

離婚裁判において、不貞行為や暴力といった明確な「法定離婚事由」がない場合でも、長期間の別居という事実が離婚の可否を判断する上で重要な要素となり得ます。

日本の法律では、婚姻関係が修復不可能なほど破綻していると認められる場合に離婚が成立します。この婚姻関係の破綻」を判断する際、別居期間の長さは一つの重要な指標となるのです。

具体的に何年の別居期間があれば離婚が認められるという明確な基準はありませんが、実務上では概ね2年半から5年程度の別居期間があれば、婚姻関係が破綻していると判断されるケースが多い傾向にあります。

これは、長期間の別居が、夫婦間の協力関係や共同生活が失われ、夫婦としての実態がないことを示す客観的な証拠とみなされるためです。したがって、明確な離婚原因がない場合でも、長期間の別居がすでに続いている状況であれば、それが離婚を成立させる有利な要素となる可能性は十分にあります。

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離婚裁判は弁護士に依頼すべき?費用相場とメリットを解説

離婚裁判に臨むにあたり、多くの方が「弁護士に依頼すべきか」という問題に直面します。弁護士に依頼することで得られるメリットは非常に大きい一方で、決して安くはない費用がかかるため、慎重な判断が必要です。

このセクションでは、弁護士に依頼する具体的なメリット、弁護士費用の内訳と相場、そしてご自身に合った信頼できる弁護士の選び方まで、網羅的に解説いたします。これらの情報を参考に、皆様にとって最善の選択をしていただくための判断材料を提供できれば幸いです。

弁護士に依頼する大きなメリット

離婚裁判を弁護士に依頼することには、以下のような複数の大きなメリットがあります。

まず、法的な専門知識を活用できる点が挙げられます。離婚問題に詳しい弁護士は、過去の判例や法律に基づいて、ご自身の主張を最も有利な形で構成し、必要な証拠を効率的に収集する方法を熟知しています。これにより、説得力のある主張を展開し、裁判を有利に進めることが可能になります。

次に、手続きの代理を任せられることで、ご自身の時間的・労力的な負担が大幅に軽減されます。裁判には、専門的な知識を要する書面の作成や、裁判所への頻繁な出廷が必要です。これら煩雑な手続きを弁護士が全て代行してくれるため、仕事や子育てに集中することができ、精神的なゆとりも生まれます。

さらに、弁護士が代理人となることで、相手方と直接交渉する必要がなくなるため、精神的なストレスから解放されます。離婚裁判は感情的な対立が生じやすいですが、弁護士が間に入ることで冷静かつ客観的な交渉が可能となり、感情的な衝突を避けつつ、和解を含め、ご自身にとって有利な条件での解決が期待できます。

離婚裁判にかかる弁護士費用の相場

離婚裁判を弁護士に依頼した場合にかかる費用は、主に「相談料」「着手金」「成功報酬金」「日当・実費」から構成されます。それぞれの費用の意味と一般的な相場は以下のとおりです。

  • 「相談料」は、弁護士に法律相談をする際に発生する費用で、1時間あたり5,000円から1万円程度が一般的ですが、初回相談を無料としている事務所も多くあります。
  • 「着手金」は、弁護士に案件を依頼した際に最初に支払う費用で、結果にかかわらず返還されないのが原則です。離婚裁判の場合、着手金は30万円から50万円程度が相場とされています。
  • 「成功報酬金」は、離婚が成立したり、財産分与や慰謝料などの経済的利益を獲得したりした場合に、その結果に応じて支払う費用です。離婚成立に対しては20万円から40万円程度、獲得した経済的利益に対しては、その金額の10%から20%程度が一般的です。例えば、慰謝料として300万円を獲得した場合、その10%から20%にあたる30万円から60万円が成功報酬として加算されます。
  • 「日当・実費」は、弁護士が裁判所へ出廷する際の交通費や、書類の郵送費、印紙代などの実費です。遠方への出廷が必要な場合などは、別途日当が発生することもあります。

事案の複雑さや争点の多さ、裁判が長引くかどうかによって、これらの費用総額は変動するため、依頼前には必ず弁護士から費用の詳細な見積もりと説明を受けるようにしてください。

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離婚裁判の期間に関するよくある質問

離婚裁判は、多くの方にとって初めての経験であり、その期間や手続きについて多くの疑問や不安を抱えることでしょう。

このセクションでは、これまでの解説で触れきれなかった具体的な質問の中から、特に多くの方が疑問に感じる点について、Q&A形式で詳しくお答えしていきます。離婚裁判をより深く理解し、今後の行動に役立てていただくための一助となれば幸いです。

Q. 離婚調停が不成立になってから、いつまでに裁判を起こすべき?

離婚調停が不成立になった場合、法律上「いつまでに離婚裁判を起こさなければならない」という明確な期限は設けられていません時効のように、一定期間が経過すると訴訟提起の権利が消滅するわけではないので、ご自身のタイミングで裁判を提起することが可能です。

ただし、調停不成立から2週間以内に訴訟を提起すると、調停申立て時に支払った手数料を訴訟の手数料に流用できるというメリットがあります。

また、あまりに長期間が経過してしまうと、相手方の状況(転居、転職など)が変わったり、証拠が散逸したりするリスクも生じます。

目安として調停不成立から1年以上経過した場合は、裁判所から再度調停を促されるケースもありますので、注意が必要です。

もし裁判を起こす明確な意思があるのであれば、調停不成立の判断が下された後は、速やかに弁護士と相談し、行動に移すことをおすすめします状況の変化が少ないうちに手続きを進めることが、円滑な解決につながる場合が多いでしょう。

Q. 控訴した場合、さらにどれくらいの期間がかかりますか?

第一審の判決に不服があり、高等裁判所に控訴した場合、さらに審理期間が追加で必要となります。控訴審の審理は、一般的に半年から1年程度の期間を要することが多いです。

第一審で提出された記録や証拠を基に審理が進められるため、第一審のように頻繁に期日が開かれるわけではありませんが、新たな事実関係の主張や証拠調べが行われる場合は、さらに期間が長期化する可能性もあります。

控訴は、判決に納得できない場合の重要な権利ですが、その分、裁判全体の期間を大幅に引き延ばす要因となることを理解しておく必要があります。精神的・経済的負担も増えるため、控訴のメリットとデメリットを慎重に検討し、弁護士と十分に相談した上で判断することが極めて重要です。

Q. 裁判で判決が出たら、すぐに再婚できますか?

離婚裁判で判決が言い渡されただけでは、まだ再婚することはできません。判決は、当事者双方が受け取ってから2週間以内に控訴しなければ「確定」します。この「判決の確定」という法的な手続きが完了して初めて、離婚が法的に成立したことになります。

判決が確定した後、その判決謄本と判決確定証明書を添付して、10日以内に市区町村役場に離婚届を提出する必要があります。この手続きが完了し、戸籍上の情報が更新されて初めて、法的に独身の状態に戻り、再婚が可能となります。和解によって離婚が成立した場合も同様に、和解調書謄本を添付して離婚届を提出することになります。

なお、かつて女性にのみ設けられていた「再婚禁止期間(離婚成立後100日間)」は、民法改正によりすでに撤廃されていますので、ご安心ください。

まとめ:離婚裁判の期間を短縮するには、早期の準備と専門家への相談が鍵

離婚裁判は、夫婦間の話し合いや調停では解決できなかった問題に対して、裁判所が法的な判断を下す最終的な手段です。しかし、そのプロセスは平均で1年以上を要し、場合によっては2年、3年と長期にわたることも珍しくありません。この長い道のりは、当事者にとって大きな精神的、時間的、経済的負担となります。

本記事で解説したように、離婚裁判の期間を少しでも短縮し、より有利な形で解決へと導くためには、戦略的な準備が不可欠です。具体的には、「争点を明確にし、譲歩できる条件をあらかじめ決めておくこと」「客観的で有力な証拠を早期に、そして体系的に準備すること」、そして「判決だけでなく、裁判途中での和解も有力な選択肢として視野に入れること」が挙げられます。これらの準備は、裁判をスムーズに進める上で非常に重要な要素となります。

しかし、こうした複雑な準備や、法的な主張の組み立て、煩雑な書面作成、そして相手方との交渉や裁判所とのやり取りをすべて個人で行うことは、想像以上に困難です。特に、精神的な負担が大きい離婚問題においては、冷静かつ客観的な判断を維持することが難しい場面も多々あります。

だからこそ、離婚問題に詳しい弁護士という専門家の力を借りることが、結果的に迅速かつ有利な解決への近道となります。弁護士は、ご自身の状況に合わせた最適な戦略を立て、法的な根拠に基づいた主張を展開し、手続きを滞りなく進めてくれます。また、代理人として交渉にあたることで、相手方と直接やり取りするストレスからも解放され、精神的な安定にも繋がります。

早期に弁護士に相談し、適切なサポートを受けることが、長い離婚裁判の期間を短縮し、新たな生活へと歩み出すための鍵となるでしょう。

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