未成年の子どもが逮捕されたら親の責任は?損害賠償や監督義務について弁護士が解説
2026年02月12日

「未成年の子どもが警察に逮捕された」
突然このような連絡を受け、強い不安や動揺を感じてしまう親御さんは少なくありません。
子どもの将来がどうなってしまうのかという心配に加えて、
「親である自分も何か罪に問われるのではないか」
「被害者への賠償金は、すべて親が支払わなければならないのか」
といった、親としての責任の範囲について悩まれている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、日本の法律では、子どもが起こした事件について、親が代わりに刑事罰を受けることは原則としてありません。
一方で、被害者への損害賠償といった民事上の責任については、親が関与するケースがあるという点には注意が必要です。
この記事では、未成年の子どもが事件を起こした場合に問題となる「親の法的責任」について、刑事責任と民事責任の違いを整理しながら、分かりやすく解説します。
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子どもが逮捕された時、親も罪に問われるのか?(刑事責任)
まずは、逮捕や処罰といった「刑事責任」について確認していきます。
親が代わりに処罰されることは原則ない
日本の刑法では、「責任主義(個人責任の原則)」という考え方が採られています。
これは、犯罪を行った本人だけが、その行為について責任を負うという原則です。
そのため、たとえ親子関係にあっても、子どもが犯した犯罪を理由に、親が逮捕されたり、前科がついたりすることは通常ありません。
例外的に親が罪に問われる可能性があるケース
もっとも、次のような事情がある場合には、親自身が捜査の対象となることもあります。
・親が子どもに犯罪を指示した、または実行に協力した場合(共犯)
・事件後に証拠を隠したり、子どもを匿ったりした場合(証拠隠滅罪・犯人隠避罪)
これらはあくまで例外的なケースであり、多くの場合、親が刑事責任を問われることはありません。
ただし、子どもが犯罪を行った場合、少年事件として事件が進行する過程においては、親も取り調べを受けたり、家庭裁判の調査を受けたり、少年審判に出席する必要があります。
親が関わる可能性のある「民事上の責任」(損害賠償)
刑事責任とは別に問題となるのが、被害者に対する損害賠償といった民事上の責任です。
未成年の子どもが他人に損害を与えた場合、子どもの年齢や判断能力によって、責任の所在が異なります。
子どもに責任能力がないと判断される場合(目安として12歳前後まで)
子どもが幼く、自分の行為の結果や善悪を十分に理解できないと判断される場合、法律上は「責任能力がない」とされ、子ども本人に賠償責任は生じません。
その代わりに、親などの監督義務者が、被害者に対して損害賠償責任を負うことになります(民法714条)。
子どもに責任能力がある場合(おおむね12歳以上)
中学生や高校生など、行為の責任を理解できる年齢であれば、原則として子ども本人が損害賠償責任を負います。
もっとも、未成年者自身に十分な支払い能力がないことが多いため、被害者が
「親が十分な監督をしていなかったのではないか」
として、親の監督義務違反(民法709条)を理由に請求を行うケースも少なくありません。
親の「監督義務」とはどこまで求められるのか
親の賠償責任が問題となる場面では、「監督義務を尽くしていたかどうか」が重要な判断材料になります。
具体的には、次のような点が考慮されます。
- 日頃の指導: 善悪の区別やルールについて、日常的に教育していたか。
- 非行の兆候への対応: 子どもの服装や交友関係の変化、無断外泊などの「非行のサイン」に気づき、適切な注意や指導を行っていたか。
- 凶器などの管理: (傷害事件などの場合)危険な道具を持ち出せないように管理していたか。
「注意はしていたが、子どもが聞かなかった」というだけでは、監督義務を果たしたと認められないケースもあります。
法的責任とは別に考えるべき社会的な対応
法律上の責任とは別に、親としての対応が重要になる場面もあります。
・被害者への謝罪
事案によっては、早い段階で誠意ある謝罪を行うことが、示談の成立や少年審判での判断に良い影響を与えることがあります。
・子の学校や勤務先への対応
子の学校や勤務先が関係する事件の場合や、逮捕されて欠席・欠勤しなくてはならない場合は、親族が連絡をすべきでしょう。
判断に迷う場合は、早めに弁護士へ相談を
未成年の子どもが逮捕された場合、親の責任の範囲や取るべき対応は、事件の内容や家庭環境によって大きく異なります。
特に被害者がいる事件では、示談の進め方や初期対応が、その後の処分に影響することもあります。
・賠償金の相場が分からない
・被害者への対応に不安がある
このような場合は、自己判断で動く前に、少年事件に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。
未成年の子どもの逮捕に関するよくある質問
Q.子どもが逮捕されたことは、親の会社にバレますか?
警察から親の職場に連絡が行くことは原則としてありません。
ただし、親自身が事情聴取のために頻繁に仕事を休む必要がある場合は、怪しまれる可能性があるため、何か他の理由を伝える方が良いでしょう。
Q.親の名前や職業がニュースで報道されることはありますか?
未成年の事件では、原則として親の名前が出ることはありません。
少年法第61条により、未成年者本人の氏名や顔写真など、本人を特定できる情報の報道は禁止されています。そのため、親の名前が一緒に出ることも基本的にはありません。ただし、重大事件の場合や、週刊誌などの報道では例外的に扱われるケースも稀にあります。
Q.兄弟の就職活動に影響はありますか?
法的な制限はありませんが、一部の職種では事実上の影響が出る可能性がゼロではありません。
通常の民間企業や公務員試験において、応募者の家族に前科があるかを調査することは、就職差別につながるため厳しく制限されています。そのため、一般就職で家族の逮捕歴が理由で不採用になることは原則としてありません。 しかし、警察官・自衛官・検察事務官といった「公安職」と呼ばれる特殊な公務員職については、職務の性質上、より厳密な身辺調査が行われる可能性があると言われています。これらを目指す場合に限り、影響がないとは言い切れないのが現実です。
子どもが18歳・19歳(特定少年)の場合、親の責任はどうなりますか?
民法上の成人(18歳以上)であれば、原則として親に賠償責任はありません。
2022年4月の改正民法施行により、18歳・19歳は成人として扱われます。そのため、民法上の「監督義務者」としての責任は親に発生しません。ただし、同居していて経済的に依存している場合など、生活実態によっては親の監督責任(指導不足)が問われる例外的なケースも考えられます。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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