万引きは後日逮捕もある?現行犯以外も?専門弁護士が解説

最終更新日: 2023年12月05日

万引きは後日逮捕もある?現行犯以外も?専門弁護士が解説

万引きをしてしまったが、後日逮捕されることはあるのか?
万引きは現行犯以外でも逮捕はあるのか?
後日逮捕されたらその後はどうなるのか?

万引きをしてしまったという方から当事務所にこのようなご相談はよくあります。明らかに後日逮捕の可能性はないというケースもあれば、一刻も早く対応しなければ後日逮捕されるというケースもあります。

今回は万引きの後日逮捕について刑事事件の専門弁護士が解説をします。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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万引きで後日逮捕はあるの?現行犯以外の逮捕も?

まずは、万引き事件で現行犯以外の後日逮捕はあるのか、その条件や後日逮捕までの期間について説明します。

後日逮捕のケースもよくある

確かに、万引きをして、被害者(被害店)や目撃者(保安員など)に取り押さえられ、その場で現行犯逮捕されるケースは多いです。しかし、その場では逮捕されなかったものの、店側から被害届が出ており、警察が犯人を特定して後日逮捕しに来るというケースもよくあります。

ですから、万引きは現行犯以外は捕まらないと安心することはできません。

例えば、店員や警備員に見られたけど逃げてきたという場合、防犯カメラの映像や車のナンバーから被疑者が特定され、後日逮捕されるケースはよくあります。

また店側で要注意人物としてマークし、顔写真を店員の間で共有しており、再度来店した際に、警察に通報されて逮捕に至るケースもあります。

万引きは至るところに防犯カメラが設置されている店舗が犯行現場となることから、店員や警備員に犯行を見られたのであれば、後日逮捕される可能性は高いといえます。

後日逮捕の条件は?

後日逮捕にはもちろん被疑者による万引きの証拠が必要です。

犯行の一部始終が防犯カメラに映っていれば後日逮捕は容易です。他方、店内での被疑者の一部の行動しか映っておらず、他には店員や警備員の目撃供述があるだけという場合も多いです。

このような場合に後日逮捕に踏み切れるかどうかはケースバイケースですが、後日逮捕ではなく、まずは任意同行を求めて自白するかどうか取り調べをすることの方が多いでしょう。

後日逮捕までにかかる日数は?

万引きをして現行犯逮捕はされなかった場合、後日逮捕までどれくらいの日数がかかるのか、逆にどれくらい経てば、後日逮捕はないと思っていいのかという弁護士へのご相談はよくあります。

後日逮捕までにどれくらいの時間がかかるかは、防犯カメラの映像などから犯人の特定が容易かどうか、警察の他の事件での忙しさ具合によってまちまちです。

当日から1週間ほどで後日逮捕に来ることもあれば、半年ほど経ってから後日逮捕に来ることもあります。犯行から1年も経てば後日逮捕はないと思ってよいでしょう。

万引きをして後日逮捕される場合の流れ

では、後日逮捕される場合の流れはどのようなものなのでしょうか。順を追ってご説明します。

  • 在宅捜査となる場合
  • 逮捕、勾留される場合
  • 示談交渉

在宅捜査となる場合

「万引き事件について話が聞きたいから警察署まで来て欲しい。」といきなり警察から携帯電話に電話がかかって来ることがあります。

この場合、身柄を拘束はせずに警察署で事情聴取を受け、当日のうちに帰宅を許され、在宅で捜査を進めていくことも多いです。

帰宅の際には、家族や上司に迎えに来てもらう必要があったり、そのようなお願いをできる人が身近にいない場合は、警察が自宅まで送り届け、住居を確認して解放されることもあります。

また、事前に弁護士に依頼をしていれば、弁護士が身柄引受人となることが可能な場合が多いです。

逮捕、勾留される場合

他方、早朝いきなり警察が逮捕状をもって自宅にやってきて、自宅の家宅捜索が行われ、警察署に任意同行を求められ、通常逮捕されるケースもよくあります。

逮捕されると、検察庁へ事件を送る場合には48時間以内に検察庁へ事件送致されます。他方、勾留する要件がないと警察が判断すれば、検察庁へ事件を送る前の48時間以内に釈放して在宅事件とすることもあります。

検察庁へ事件が送られると、検察官との面談があり(弁解録取といいます。)、その面談を踏まえ、検察官は、事件送致から24時間以内に勾留の請求をするかしないかの判断をします。

検察官が裁判官に勾留の請求をすると、今度は裁判官との面談があり、そこで勾留をするのかしないのかの決定が出ます。勾留する決定が出ると10日間勾留されることとなり、さらに捜査の必要があると検察官は勾留の延長を裁判官に請求し、最大でさらに10日間の勾留がなされることになります。そして、原則として、勾留の最終日に起訴するかしないかの判断がなされます。

逮捕、勾留された場合には、直ちに弁護士に依頼することで早期に釈放してもらえることも多くあります。

示談交渉

身柄を拘束されている場合も釈放されている場合も被害店舗との示談交渉はすべきです。

示談交渉では、示談金として被害弁償と、場合によっては迷惑料もお支払いします。大型店は示談に応じてくれないと言われることもありますが、必ずしもそんなことはなく示談に応じてもらえることもあります。

示談が成立すると不起訴処分となることが多いですが、前科がある場合や犯行が非常に悪質な場合には起訴されることもあります。起訴された場合、これも前科前歴や被害額によりますが、略式手続による罰金刑となることもあれば、正式な刑事裁判となって、懲役刑(実刑又は執行猶予付き)の判決を受けることもあります。

万引きで後日逮捕を避けるには自首を

万引きをした方から自首をした方が良いかとご相談を受けることは多いです。確かに、自首をすれば逃げたり、証拠隠滅をしたりする可能性は低いだろうと判断されて逮捕はせずに在宅捜査をしてもらえる可能性が高まります。

とはいえ、不安であればいかなる場合でも自首をした方が良いというものではありません。どう考えても後日逮捕の可能性は乏しいケースでは自首をする必要はありません。

典型的な自首をすべきケースとは、店舗で万引きをしたところを店員や警備員に見つかって追いかけられたが逃げ切ったというケースです。この場合、被害届が出て警察が防犯カメラから犯人を特定し、後日逮捕に来る可能性は非常に高いです。

このようなケースでは一刻も早く弁護士と一緒に自首をして後日逮捕を防ぐべきです。弁護士と自首をすることで警察も安心をして逮捕せず在宅捜査になる可能性が高まります。

万引きで後日逮捕された事例

当事務所で扱った事例にも後日逮捕となったケースは多くあります。以下、その一部についてご紹介いたします。

Aさんのケース

Aさんは、イオンモールでカバンや玩具を万引きしては転売することを繰り返していました。就職を機に万引きからは足を洗いましたが、最後の犯行から約8か月が経過したときに逮捕状を持った警察がやってきて通常逮捕されました。

Bさんのケース

Bさんは、TSUTAYAでアダルトDVDの万引きをしました。犯行から約3か月が経った頃に警察が自宅にやって来て、家宅捜索のうえ、警察署に任意同行をされましたが、逮捕はされず、在宅捜査となりました。

Cさんのケース

Cさんは執行猶予期間中でしたが、スーパーで再び万引きに及んでしまいました。その場では誰にも見つからなかったと思い、店を後のしましたが、3時間後に自宅に警察がやって来て逮捕されました。

まとめ

以上、万引き事件の後日逮捕についてご説明しました。

後日逮捕されるのではないかと不安を抱えている場合は自首をお勧めします。捜査機関によって犯人が特定され、後日逮捕される可能性は高いため、警察が来るのを待っていて逮捕されるのではなく、自ら出頭して捜査協力をして逮捕・勾留される事態を回避するべきでしょう。

また、万引きを繰り返してしまっている方については窃盗癖(クレプトマニア)の可能性がありますので、専門医療機関や自助グループと協力した再犯防止のための弁護活動が必須です。

万引きをして後日逮捕される可能性について不安を抱えている方は、どのような対処をするべきか、できるだけ早く刑事事件の経験が豊富な弁護士にご相談ください。

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