万引きで後日逮捕される条件は?何日後まであるの?逮捕されるケースや流れを弁護士が解説
最終更新日: 2021年12月14日
万引きは現行犯逮捕でないと逮捕されないのか?
後日逮捕される場合、どれくらいで警察は来るのか?
このようなご相談は非常によくあります。
今回は、窃盗事件の中でも万引き事件にフォーカスしてご説明をいたします。
万引き犯の逮捕は、現行犯だけ?
確かに、万引きをして、被害者(被害店)や目撃者(保安員など)に取り押さえられ、その場で現行犯逮捕されるケースは非常に多いですが、他方で、その場では逮捕されなかったものの、店側から被害届が出ており、後日、警察が逮捕状をもって逮捕しに来るケースもよくあります。
ですから、万引きは現行犯逮捕でないと逮捕されないというのは間違いです。
例えば、被害者(被害店)や目撃者(保安員)に見つかったけれど逃げてきたという場合、設置された防犯カメラの映像に映る顔から被疑者が特定され、後日逮捕されるケースがあります。
また店側で要注意人物としてマークし、顔写真を店員の間で共有しており、再度来店した際に、警察に通報されて逮捕に至るケースもあります。
万引きは至るところに防犯カメラが設置されている店舗が犯行現場となることから、後日逮捕される可能性は高いといえます。
万引きの後日逮捕は難しい? 後日逮捕の条件
万引きした被疑者を後日逮捕するためには、ポケットやカバンに商品を入れてからレジを通らずに店外へ出るまでの全ての行動を設置された防犯カメラ映像に映っている必要があるのでしょうか。
その必要はありません。
まず、ポケットに入れた時点で犯罪は成立しますので、それ以降の防犯カメラ映像がなくとも逮捕される可能性があります。また、万引きした商品が自宅から押収されれば、被疑者が商品をポケットなどに入れている防犯カメラの映像がなくても、その他の映像と合わせて逮捕は可能でしょう。
他方、商品自体は費消されている、廃棄されている場合であっても、被害者(被害店)や目撃者(保安員)の証言だけで逮捕できる可能性はあります。
このようにポケットなどに商品を入れてから店外へ出るまで全ての防犯カメラの映像が必要なわけではありませんし、状況証拠だけで逮捕、起訴できる場合もあります。
なお、被害品が被疑者において既に費消、廃棄、売却などしてしまっている場合、商品の在庫情報と照らして被害品を特定することは困難です。
仮に在庫情報と商品棚の在庫を照らし合わせて欠品が判明してもそれがその被疑者によって万引きされたから欠品しているのか、他の人が万引きをしたから欠品しているのか、登録ミスなのか明らかではないからです。
いつ後日逮捕されるのか?何日かかるのか? 万引きで後日逮捕されるまでの期間について
万引きをして現行犯人として逮捕はされなかったが、後日、警察が来て逮捕されるまでにどれくらいの期間がかかるのか、逆にどれくらいの期間、警察が来なければ後日逮捕はないと思っていいのかといった弁護士への相談はよくあります。
後日逮捕までにどれくらいの時間がかかるかは、防犯カメラの映像などから犯人の特定が容易かどうか、警察の他の事件での忙しさ具合によってまちまちです。
当日~7日ほどで警察が来ることもあれば、2、3か月後に来ることもあります。
他方、犯行から1年経っても警察からの接触がない場合には、後日逮捕はないと思ってよいでしょう。
万引きで後日逮捕された事例
当事務所で扱った事例にも後日逮捕となったケースは多くあります。以下、その一部についてご紹介いたします。
Aさんのケース
Aさんは、イオンモールでカバンや玩具を万引きしては転売することを繰り返していました。就職を機に万引きからは足を洗いましたが、最後の犯行から約8か月が経過したときに逮捕状を持った警察がやってきて通常逮捕されました。
Bさんのケース
Bさんは、TUTAYAでアダルトDVDの万引きをしました。犯行から約3か月が経った頃に警察が自宅にやって来て、家宅捜索のうえ、警察署に任意同行をされましたが、逮捕はされず、在宅捜査となりました。
Cさんのケース
Cさんは執行猶予期間中でしたが、スーパーで再び万引きに及んでしまいました。その場では誰にも見つからなかったと思い、店を後のしましたが、3時間後に、自宅に警察がやって来て逮捕されました。
万引きをして後日逮捕される場合の流れ
後日逮捕される場合の流れはどのようなものなのでしょうか。順を追ってご説明します。
- 在宅捜査となる場合
- 逮捕、勾留される場合
- 示談交渉
在宅捜査となる場合
では、後日逮捕される場合、どのような流れになるのでしょうか。「万引き事件について話が聞きたいから警察署まで来て欲しい。」といきなり警察から携帯電話に電話がかかって来ることがあります。
この場合、身柄を拘束はせずに警察署で事情聴取を受け、当日のうちに帰宅を許され、在宅で捜査を進めていくことも多いです。
帰宅の際には、家族や上司に迎えに来てもらう必要があったり、そのようなお願いをできる人が身近にいない場合は、警察が自宅まで送り届け、住居を確認して解放されることもあります。
また、既に弁護士に依頼をしていれば、弁護士が身柄引受人となることが可能な場合が多いです。
逮捕、勾留される場合
他方、早朝いきなり警察が逮捕状をもって自宅にやってきて、自宅の家宅捜索が行われ、警察署に任意同行を求められ、通常逮捕されるケースもよくあります。
そして、逮捕されると、検察庁へ事件を送る場合には、48時間以内に検察庁へ事件送致されます。
警察が勾留する要件がないと判断すれば検察庁へ事件を送る前の48時間以内に釈放して在宅事件とする運用の地域もあれば、原則として全ての事件を検察庁へ送る地域もあります。
検察庁へ事件が送られると、検察官との面談があり(弁解録取といいます。)、その面談を踏まえ、検察官は、事件送致から24時間以内に勾留の請求をするかしないかの判断をします。
検察官が裁判官に勾留の請求をすると、今度は裁判官との面談があり、そこで勾留をするのかしないのかの決定が出ます。勾留する決定が出ると10日間勾留されることとなり、さらに捜査の必要があると検察官は勾留の延長を裁判官に請求し、最大でさらに10日間の勾留がなされることになります。そして、原則として、勾留の最終日に起訴するかしないかの判断がなされます。
逮捕、勾留された場合には、いかに早く釈放することができるかは、弁護士の弁護活動にかかってくるでしょう。
示談交渉
身柄を拘束されている場合も釈放されている場合も被害店舗との示談交渉はすべきです。
示談交渉では、示談金として被害弁償と、場合によっては迷惑料もお支払いします。コンビニは示談に応じていただけることが多いですが、デパートや大手のスーパー、ドラッグストアは示談に一切応じていただけないことがほとんどです。
示談が成立すると、前科前歴の有無や被害金額によって、不起訴処分となることもあれば、起訴されることもあります。
窃盗犯として起訴された場合、これも前科前歴や被害額によりますが、略式手続による罰金刑となることもあれば、正式な刑事裁判となって、懲役刑(実刑又は執行猶予付き)の判決を受けることもあります。
万引きをして後日、捕まらない方法
店舗で万引きをして保安員や店員に捕まりそうになったのを逃げて来た場合など、加害者が特定され、後日警察に捕まる可能性は高いでしょう。
このような場合に、後日逮捕を回避する方法は自首です。
逮捕の要件に罪証隠滅の可能性や逃亡の可能性がありますが、自首をして犯行について正直に供述する態度は、いずれの可能性も否定する方向に考慮されます。
したがって、後日逮捕の可能性が高いと思われるケースでは、後日捕まらないために自首することをお勧めします。
まとめ
以上、万引き事件の逮捕とその後の流れについてご説明しました。
後日逮捕されるのではないかと不安を抱えている場合は、自ら出頭することをお勧めします。捜査機関によって犯人が特定され、後日逮捕される可能性は高いため、警察が来るのを待っていて逮捕されるのではなく、自ら出頭して捜査協力をして逮捕・勾留される事態を回避するべきでしょう。
また、万引きを繰り返してしまっている方については窃盗癖(クレプトマニア)の可能性がありますので、専門医療機関や自助グループと協力した再犯防止のための弁護活動が必須です。
万引きをして後日逮捕される可能性について不安を抱えている方は、どのような対処をするべきか、できるだけ早く刑事事件の経験が豊富な弁護士にご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。ご不明な点があるときやもっと詳しく知りたいときは、下にある「LINEで無料相談」のボタンを押していただき、メッセージをお送りください。弁護士が無料でご相談をお受けします。