窃盗事件の弁護士を国選弁護人に依頼する場合のメリット・デメリットを解説!

2022年01月14日

窃盗事件の弁護士を国選弁護人に依頼する場合のメリット・デメリットを解説!

 

  • 窃盗事件の弁護を国選弁護人に依頼することになった
  • 国選弁護人に依頼するメリット・デメリットを知りたい
  • 国選弁護人と私選弁護人では結局どちらがいいのか

窃盗事件の弁護を行う弁護士は、国選弁護人と私選弁護人から選べます。国選弁護人は被疑者の弁護を行ってくれますが、メリットとデメリットの両面が存在します。

そこで今回は、多くの窃盗事件を解決に導いてきた実績のある専門の弁護士が、窃盗事件の弁護士を国選弁護人から選出するための基礎知識、窃盗事件の弁護士を国選弁護人に依頼する場合のメリット・デメリット、選ぶなら国選弁護人と私選弁護人のどちらがいいのか、を解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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窃盗事件の弁護士を国選弁護人から選出するための基礎知識

まずは、窃盗事件の弁護士を国選弁護人から選出するための基礎知識を以下の3つの観点から解説します。

  • 国選弁護人とは
  • 逮捕後に連絡できる3種類の弁護
  • 選ぶなら国選?私選?

1つずつ見ていきましょう。

国選弁護人とは

基礎知識の1つ目は、国選弁護人についてです。国選弁護人とは裁判所が付してくれる弁護士で、被疑者の弁護を担当します。

弁護士は被疑者が呼んだタイミングで待機している候補者から選ばれます。たとえば、弁護士として3人の候補者がいる場合、その中からランダムで決まります。被疑者は候補者の中から選べないため、誰が担当するのかわかりません。

国選弁護人は、起訴される前でもついてもらうことが可能です。ただし、被疑者が勾留されていることが条件になります。

以前は、刑が重い事件のみに限られていました。平成30年6月1日に被疑者国選制度の対象が全ての事件になり、起訴前でも国選弁護人をつけられるようになりました。また、起訴後の被疑者国選制度の対象も全ての事件が該当します。

この制度は、いくつかの利用条件の中から満たすものがなければ、利用の対象外となります。被疑者国選制度を利用するためには、どのような条件が該当するのか確認する必要があります。

逮捕後に連絡できる3種類の弁護士

基礎知識の2つ目は、逮捕後の連絡できる3種類の弁護士についてです。窃盗で逮捕された場合に連絡できる弁護士の種類には、以下の3つがあります。

  • 国選弁護人
  • 私選弁護人
  • 当番弁護士

国選弁護人とは裁判所が選ぶ弁護士で、誰が担当するのか決まっていません。被疑者は警察署の職員に依頼の旨を伝えると、法テラス(日本司法支援センター)を通じて連絡を取ってもらえます。また、裁判所や検察庁で法テラスに連絡を取ってもらうことも可能です。

家族が依頼する場合は、国選弁護人は直接呼べません。家族は弁護士から連絡を受けるか、被疑者本人から連絡先を教えてもらわなければやり取りができないのです。そのため、弁護士と家族が連絡を取れないケースもあります。

私選弁護人とは、被疑者や家族が契約を結んで弁護を行う弁護士です。依頼者は弁護士を選べるため、納得した上で弁護を行ってもらえます。私選弁護人に依頼するタイミングは決まっておらず、勾留する前でも可能です。

被疑者が私選弁護人に依頼する場合は、逮捕される前に契約を結びます。そして、逮捕後は警察署の職員に連絡を頼み、留置所に足を運んでもらうのです。ただし、逮捕された後は私選弁護人を探せないため、家族に探してもらうことになります。家族は被疑者本人に代わって私選弁護人を探し出し、弁護を依頼します。

当番弁護士とは、無料で1回だけ留置所に面会に来てくれる弁護士です。弁護士会から派遣され、被疑者は弁護士を指定できません。また、継続的には弁護してくれないため、勾留前の弁護の継続を希望する場合は私選弁護人として契約する必要があります。勾留決定が出ると、当番弁護士はそのまま国選弁護人に選任されるのが通常です。

被疑者が当番弁護士を依頼する場合は、警察の職員にその旨を伝えます。当番弁護士に連絡できるのは逮捕から勾留決定までです。連絡を受けた弁護士会はランダムに弁護士を選び、留置場に派遣します。また、家族が依頼するときは、各地域の弁護士会に連絡します。

選ぶなら国選?私選?

基礎知識の3つ目は、選ぶなら国選と私選のどちらなのか、についてです。

被疑者や家族が弁護士を選ぶ場合は、私選弁護人がおすすめと言えます。それは、刑事事件の経験や知識が豊富な弁護士がいるからです。国選弁護人や当番弁護士を担当する弁護士は民事事件を担当している人が多いため、刑事事件への経験が少ないこともあり得ます。そのため、刑事事件に特化した私選弁護人を選ぶことで、安心した弁護が受けられるでしょう。

ただし、私選弁護人は費用がかかるため、ある程度の金銭を準備する必要があります。金銭面で問題がない場合は、実績や経験がある私選弁護人を探すことをおすすめします。

窃盗事件の弁護士を国選弁護人から選ぶメリット

窃盗事件の弁護士を国選弁護人から選ぶメリットは、以下の2つです。

  • 費用がかからない
  • 弁護士を選ぶ手間を省くことができる

1つずつ解説します。

費用がかからない

国選弁護人に依頼するメリットの1つ目は、費用がかからない場合があることです。

被疑者は要件を満たせば、弁護費用を支払わなくて済みます。弁護費用は法テラスを通し国から支払われますが、被疑者が要件を満たさないと自分で支払うことになります。なお、法テラスとは、国が設立した法的トラブルを解決する総合案内所のことです。

弁護士を選ぶ手間を省くことができる

国選弁護人に依頼するメリットの2つ目は、弁護士を選ぶ手間が省けることです。選任する場合は法テラスが弁護士の中から候補者を指名し、裁判所が決定します。

そもそも、被疑者は身柄拘束されているため弁護士と面談ができません。そのため、被疑者に代わって法テラスが選出してくれます。弁護士を選んでもらえるため、結果として探す手間が省け、被疑者の負担を軽減できます。

窃盗事件の弁護士を国選弁護人から選ぶデメリット

窃盗事件の弁護士を国選弁護人から選ぶデメリットは、以下の2つです。

  • 自分で選ぶことができない
  • 途中で変更ができない

1つずつ見ていきましょう。

自分で選ぶことができない

国選弁護人に依頼するデメリットの1つ目は、自分で選べないことです。

裁判所は法テラスを通じて国選弁護人を決定しますが、新人弁護士を選ぶ可能性があります。国選弁護人は新人弁護士が担当する機会が多く、実績の少ない人が担当する場合があり得ます。被疑者は、実績のある弁護士に担当してもらえないことも覚悟が必要です。

途中で変更ができない

国選弁護人に依頼するデメリットの2つ目は、弁護士を途中で変更できないことです。

被疑者は選任された弁護士を自由に解任できません。そのため、裁判所が認めない限り、最初に担当した弁護士が担当を継続します。また、国選弁護人の方から担当を外れたいと申し出た場合でも、裁判所の承認が必要です。

弁護士の本音 国選弁護人と私選弁護人どちらがいいのか

国選弁護人と私選弁護人のどちらかを選ぶ状況では、判断に迷う人もいるでしょう。弁護士の本音としては、以下の見解です。

  • 国選弁護人と私選弁護人のどちらを選んでも結論が変わらない事件もある
  • 国選弁護人は、費用負担なしまたは安価で弁護を受けられるメリットがある
  • 私選弁護人は確認してから依頼できるため、思う通りのコミュケーションや結果が期待できる
  • 国選弁護人では、刑事事件に疎い弁護士が選ばれることも多い
  • 国選弁護人は国が費用負担するため、対応がよくない場合がある

事件の種類によっては、国選弁護人と私選弁護人を選んでも結果が同じことがあります。被疑者は国選弁護人を選ぶ場合は、安価に弁護を受けられるでしょう。ただし、弁護士の報酬が安価であること、国が費用を負担するため被疑者をお客様として見ない場合があることなどにより、対応がよくないケースもあります。

私選弁護人の場合、無料相談したり電話相談したりと、依頼を行う前に弁護の方向性や相性を確かめられます。被疑者や家族は安心できる弁護士に依頼することで、希望に沿った結果を期待できるでしょう。

窃盗事件の弁護士を国選弁護人以外から選ぶときの見極めポイント

国選弁護人は弁護士を選べませんが、私選弁護人の場合は弁護士を見極めて依頼する必要があります。窃盗事件の弁護士を国選弁護人以外から選ぶときの見極めポイントは、以下の3つです。

  • 依頼後に即弁護活動を開始してくれる
  • 担当弁護士といつでも連絡が取れる
  • 最後まで結果を諦めない姿勢で弁護してくれる

1つずつ見ていきましょう。

依頼後に即弁護活動を開始してくれる

1つ目のポイントは、依頼後に即弁護活動を行ってくれることです。

私選弁護人は、1日でも早い解決を望んでいる被疑者や家族の要望に応えてくれるでしょう。事件によっては、私選弁護人が担当することで、即時に釈放してもらえることもあり得ます。被疑者や家族は問題があった時点で、早急に私選弁護人に相談することをおすすめします。

担当弁護士といつでも連絡が取れる

2つ目のポイントは、担当弁護士といつでも連絡が取れることです。

私選弁護人の中には被疑者や家族との連絡を密に行い、不安を解消してくれる人がいます。また、現状を報告してくれるため、余計な心配をしなくて済みます。そのために担当弁護士の携帯電話の番号を教えてくれることも1つのポイントと言えます。担当弁護士を選ぶ場合、いつでも連絡を取れる状態にしてくれるのかも、判断材料にしてもよいでしょう。

最後まで結果を諦めない姿勢で弁護してくれる

3つ目のポイントは、最後まで結果を諦めない姿勢で弁護してくれることです。

被疑者は、自分の意見を聞いてくれる弁護士を選ぶことで、納得した結果を期待できるでしょう。また、本当に起こった事実を元に弁護してくれます。たとえば、被疑者が行っていないことに関して問われた場合、的確な弁護を行うことで冤罪を防ぎます。私選弁護人の中でも刑事事件の解決件数が豊富な人を選び、安心した弁護を期待しましょう。

まとめ

今回は、窃盗事件の弁護士を国選弁護人から選出するための基礎知識、窃盗事件の弁護士を国選弁護人に依頼する場合のメリット・デメリット、選ぶなら国選弁護人と私選弁護人のどちらがいいのか、を解説しました。

窃盗事件の被疑者や家族は、弁護士に依頼する場合は安心して弁護できる人を選びましょう。また、刑事事件の経験が豊富な弁護士の方が、状況に応じて臨機応変な行動を取ってくれます。金銭的にゆとりが無い人や弁護士を選ぶ手間を省きたい人でない限りは、私選弁護人を選びましょう。

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