デイサービスでの事故に対して損害賠償の請求は可能なのか!?弁護士が解説
最終更新日: 2022年05月13日
- デイサービスに通う親が転倒してケガをしてしまった
- デイサービスでの事故でデイサービス側と話し合いが難航している
- デイサービスでの事故は損害賠償の請求は可能なのか
デイサービス中の怪我や事故が増えてきています。デイサービスに通う親が転倒してケガをしてしまったり、事故の責任についてデイサービス側との話し合いが難航していたりする方もいらっしゃるかもしれません。
また、デイサービス中の事故の責任は誰なのか、損害賠償の請求が可能なのかがわからずに悩んでいる方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、介護事故に詳しい専門弁護士が、デイサービスで損害賠償の可能性がある事故の場面で、損害賠償責任を負うのは誰かを解説します。
デイサービスで損害賠償の可能性がある事故の場面
デイサービスで損害賠償の可能性がある事故の場面は、以下の4つです。
- 送迎
- 転倒・転落
- 飲食時の誤嚥
- 衝突事故
1つずつ、見ていきましょう。
送迎
デイサービスで損害賠償の可能性がある事故の場面の1つ目は、送迎です。
デイサービスでの送迎は乗車中の交通事故だけでなく、乗降中の怪我の恐れもあります。送迎はデイサービスの重要な業務ですが、運転には特別な資格は必要ありません。普通自動車第1種運転免許があれば誰でも送迎の運転が可能です。
一方、送迎に伴う介助では、特別な資格や経験が必要な場合もあります。乗降の際のサポートだけでなく、居宅内介助を伴う場合です。運転手や同乗のスタッフが必要な資格を持っているかや、送迎時のマニュアルがきちんと整備されているかは事前に確認しておきましょう。
もしデイサービスの送迎中に事故や怪我が起こってしまった場合、以下の3点が争点になる場合があります。
- 資格や経験を持つスタッフがマニュアルに従って適切に送迎を行っていたか
- シートベルトは適切に着用されていたか
- 車椅子の固定は適切に行われていたか
これらが適切に行われていないことが確認できれば、デイサービス側に損害賠償を請求できる可能性があります。
転倒・転落
デイサービスで損害賠償の可能性がある事故の場面の2つ目は、転倒・転落です。
移動中やトイレ、入浴、ベッドの乗降りの際にも転倒・転落は起こります。
転倒・転落はデイサービスで最も起こりやすい事故ですが、その原因は以下の3つになります。
- 要介護者本人の動作など
- 介護者の責任
- 施設や仕組みの不備
介護者や施設、または仕組みに問題があると認められた場合は、デイサービス側に損害賠償を請求できる可能性があります。
飲食時の誤嚥や誤飲
デイサービスで損害賠償の可能性がある事故の場面の3つ目は、飲食時の誤嚥や誤飲です。
誤嚥とは、食べ物や飲み物が気管に入ってしまうことです。高齢者は加齢により飲み込む力が低下しているため誤嚥の事故は起こりやすくなります。また、認知症の方などは食べ物以外を誤飲してしまう可能性もあります。デイサービスで誤嚥や誤飲の事故が起きてしまう理由は以下の3つです。
- 食事や食べ物の提供方法の問題
- 不十分な見守り体制
- 誤嚥や誤飲後の対処ミス
これらのデイサービス側のミスが認められれば、デイサービス側に損害賠償を請求できる可能性があります。
誤嚥や誤飲は死亡や植物状態など重大な事故に繋がってしまうため、損害賠償額も高額になる傾向があります。
衝突事故
デイサービスで損害賠償の可能性がある事故の場面の4つ目は、衝突事故です。
デイサービスでの衝突事故には、他の利用者と衝突する場合や職員と衝突する場合などがあります。職員と衝突した場合の多くは、職員やデイサービス側に原因があります。
しかし、利用者同士で衝突した場合は、状況によっては加害者になってしまうこともあります。もし、利用者同士で衝突してしまった場合は、利用しているデイサービスを通し話し合いを進め、当事者同士で直接話し合いをすることは避けましょう。
また、利用者が「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態」にあれば、利用者本人やその家族は責任を問われません。
そういった場合、デイサービス側の責任となり、デイサービス側に損害賠償を請求できる可能性があります。
デイサービスでの事故で損害賠償責任を負うのは誰か?
デイサービスでの事故において、デイサービス側に法的責任が認められれば損害賠償を求めることが可能です。法的責任が認められるかどうかは、安全配慮義務違反の有無によって決まります。
安全配慮義務とは、デイサービス側が利用者の安全確保に努めるべきという義務です。契約書に記載がなくとも安全配慮義務はデイサービス側に発生します。
具体的には「事故が起こるかどうかを予見し、回避したか」がデイサービス側が損害賠償責任を負うかどうかがポイントです。
デイサービスでの事故で損害賠償を請求するときのポイント
デイサービスでの事故で損害賠償を請求するときのポイントは、以下の3つです。
- デイサービス側に状況の詳細を確認する
- 損害賠償額の相場を知る
- 示談が難しければ専門家に相談する
1つずつ、見ていきましょう。
デイサービス側に状況の詳細を確認する
デイサービスでの事故で損害賠償を請求するときのポイントの1つ目は、デイサービス側に状況の詳細を確認することです。
デイサービスでは事故を起こした場合、市町村に事故の詳細を報告するための「介護事故報告書」の提出が求められます。また、事故の責任がデイサービス側にあった場合は、損害賠償を求められます。
しかし、デイサービス側は、報告書の提出の手間、損害賠償、行政指導などを恐れて、事故を隠ぺいしてしまうかもしれません。
デイサービス側の事故の隠ぺいを防ぎ、デイサービス中の事故で損害賠償を請求するためには、まずデイサービス側に事故の状況の詳細を確認しましょう。あいまいな表現は避け、書面での報告を求めることが大切です。
損害賠償額の相場を知る
デイサービスでの事故で損害賠償を請求するときのポイントの2つ目は、損害賠償額の相場を知ることです。
介護事故における損害賠償金額は、主に以下の3つに分かれます。
積極損害 | 治療費、通院交通費など事故によって実際にかかった金額 |
消極損害 | 逸失利益、休業損害など事故に遭わなければ得ることができていた金額 |
慰謝料 | 精神的苦痛に対して支払われる金額 |
積極損害と消極損害は、事故の内容や相手の状況によって変わってきます。慰謝料の精神的苦痛は量ることが難しいため、交通事故の慰謝料算定基準によって決まることが多いです。
示談が難しければ専門家に相談する
デイサービスでの事故で損害賠償を請求するときのポイントの3つ目は、示談が難しければ専門家に相談することです。
デイサービス側に損害賠償を請求する場合、まずは裁判所外での交渉である示談が行われます。しかし、損害賠償額に納得できずに交渉が決裂したり関係性が悪化したりするなど、示談での和解が難しい場合もあります。
損害賠償額は、状況によって複雑に決まるので個人で算定を行うのはとても困難です。損害賠償額の相場を押さえて、交渉を難航や長期化させずに進めるためにも弁護士への相談をおすすめします。
デイサービスでの事故に対する損害賠償請求は弁護士に相談するのがおすすめ
デイサービスでの事故に対する損害賠償請求は弁護士に相談するのがおすすめな理由を3つ紹介します。
- 解決までの見通しが立ちやすい
- 損害の程度に合う請求が可能
- 代理人として本人・家族の負担を減らしてくれる
1つずつ、見ていきましょう。
解決までの見通しが立ちやすい
理由の1つ目は、解決までの見通しが立ちやすいことです。
デイサービス中に事故が発生した場合でも、必ずしもデイサービス側が法的責任を負うわけではありません。
弁護士に相談することで、まずはデイサービス側に損害賠償を請求できるのかどうかを確認できます。また、過去の豊富な経験と専門性から解決まで見通しを持って進めてもらうことが可能です。
損害の程度に合う請求が可能
理由の2つ目は、損害の程度に合う請求が可能なことです。
当事者同士の示談の場合、相場よりも低い損害賠償となる可能性があります。弁護士は、専門的な見解から適切な損害賠償額を算定します。
同じ示談であっても、弁護士が介入することによって損害賠償額が増額になる可能性が高まるのです。
代理人として本人・家族の負担を減らしてくれる
理由の3つ目は、代理人として本人・家族の負担を減らしてくれることです。
デイサービスでの損害賠償の請求は、多くの場合弁護士が介入することから、デイサービス側の弁護士との交渉が必要となります。これはご本人やご家族の時間的負担だけでなく、大きな精神的負担にもなってしまいます。
代理人として弁護士が窓口となって交渉することで、本人や家族の負担を軽減することが可能です。また、豊富な経験を持つ弁護士が進めることによって、解決までのスピードも早まります。
まとめ
今回は、デイサービスで損害賠償の可能性がある事故の場面で、損害賠償責任を負うのは誰か・損害賠償を請求できるのかを紹介しました。
デイサービス側に安全配慮義務違反があった場合、デイサービス側に損害賠償を請求することが可能です。事故の隠ぺいを防ぐためにも、まずはデイサービス側に事故の状況の詳細を確認しましょう。
損害賠償額の算定・デイサービス側との交渉は、本人・家族に大きな負担がかかることが考えられます。当事者同士の示談で解決しない場合は、専門家に相談することをおすすめします。
デイサービスでの事故による損害賠償についてお悩みの方は、まずは弁護士まで、ご相談ください。
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