弁護士法人 春田法律事務所

別居中の不倫に慰謝料請求は認められるか? 弁護士が解説

別居中の不倫に慰謝料請求は認められるか? 弁護士が解説

2019年09月26日

配偶者と別居状態にある最中にあって、「出会い」があったり、別居前から意識していた人と不倫関係に陥ってしまったり、といったケースは非常に多くあります。

このような場合、不倫をされた配偶者が不倫相手に慰謝料請求をすると、「別居中であなたがたの婚姻関係は破綻していた」と反論されることがよくあります。

今回は、別居と不倫の慰謝料との関係についてご説明いたします。

この記事を監修したのは

春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
愛知県弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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別居中の不倫により生じる慰謝料とは

不倫は、民法上は不貞行為といいます。そして、不貞行為は民法の不法行為にあたり、損害賠償責任が発生します。民法には以下の条文があります。

「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」(民法第709条)。

他人の権利又は法律上保護される利益とは、不倫をされた配偶者の婚姻共同生活の平穏を維持する権利、利益をいいます。

不倫はこのような権利、利益を侵害するものですから不法行為にあたり、損害賠償として慰謝料を支払わなければならないのです。

別居中なら不倫してもいいの?

不倫をされた配偶者が不倫相手に対して慰謝料を請求すると、不倫相手から、「別居していて、夫婦関係は終わっていたのだから、慰謝料は払わない」といった反論をされることがあります。

先ほどのとおり、不倫は、婚姻共同生活の平穏を侵害することから不法行為にあたり、慰謝料を支払う義務が発生するのでした。

そのため、もし婚姻中にもかかわらず、もはや婚姻共同生活の平穏は存在しないのであれば、不倫相手の言うとおり、慰謝料は払う義務はありません。

では、夫婦が別居していれば、婚姻共同生活の平穏は存在しないといえるのでしょうか。一口に別居といってもその原因や内容は様々ですから、以下別居のタイプ別にみて行きましょう。

別居のタイプ
  1. 単身赴任や別居婚
  2. 別居して間もない場合
  3. 冷却期間としての別居
  4. 一方的な別居
  5. 数年間別居している場合
  6. 家庭内別居の場合

単身赴任や別居婚

夫婦が同居していない場合として、単身赴任の場合があります。夫婦関係が悪化しての別居ではなく、仕事の都合で夫婦が別居しているだけです。

この場合、物理的な空間は離れていても夫婦の協力関係、共同生活というものは観念できますので、婚姻共同生活の平穏は存在するといえます。

また、近時は、夫婦関係のあり方も多様化しており、夫婦関係は円満であるものの(あるいは円満な夫婦関係を維持するために)、あえて結婚後も同居しない「別居婚」を選択する夫婦もいます。

このような別居婚は、夫婦関係が悪化して別居しているものとは全く異なりますので、やはり婚姻共同生活の平穏は存在しているといえます。

ただし、例外的な事例ではありますが、別居婚について同居を伴わない婚姻関係であることを慰謝料の減額事由として考慮した判例もあります。

別居して間もない場合

例えば、夫婦喧嘩によって別居を始めてから未だ1、2か月しか経っていない場合、その後、間もなく同居を再開する可能性もあり夫婦の別居状態は不安定です。

そのため、別居して間もない段階では、未だ婚姻共同生活の平穏は失われたとはいえません。

冷却期間としての別居

次に、夫婦仲が悪くなり、一旦距離を置く、お互いについて考えるための冷却期間を設ける目的で別居することがあります。

このような冷却期間としての別居は、やり直す可能性を残したままの別居ですから、未だ婚姻共同生活の平穏が完全に失われたとはいえません。

ただし、当初は冷却期間として別居を始めたものの、そのうち音信不通になり、何年も経過した場合には、いずれかの時点で婚姻共同生活の平穏は失われたと評価されるでしょう。

一方的な別居

夫婦で合意をして別居したのではなく、一方が勝手に自宅を出る場合があります。

このように一方的に出て行ったとしても、他方の夫婦関係を続けたいという気持ちがなくなったわけではありませんので、これによって直ちに婚姻共同生活の平穏がなくなったとはいえません。

むしろ、このように勝手に自宅を出た場合には、「悪意の遺棄」(民法第770条1項2号)に該当する可能性があります。

数年間別居している場合

別居期間が数年にも及ぶ場合には、もはや婚姻共同生活の平穏は失われたといえる可能性が高まります。

例えば、別居期間が約5年間に及んでいるケースについて、婚姻関係の破綻を認めた判例があり ます(東京地判H27.2.3判時2272号88頁)。

もっとも、このように婚姻共同生活の平穏が失われたといえるかどうかについては、単純に別居期間の長さだけで判断されるのではなく、同居期間との比較、別居に至った経緯や別居中の交流の有無・頻度などの諸事情の考慮も考慮されます。

家庭内別居の場合

別居とはいってもひとつ屋根の下で生活はしている家庭内別居もあります。

挨拶もろくに交わさず、一緒に何かすることがなく、それぞれに稼ぎがあって、生活費も各自が自分の分を支弁している。このような夫婦関係であればもはや婚姻共同生活の平穏は失われていると評価される可能性があるでしょう。

もっとも、一口に家庭内別居とは言っても夫婦関係の希薄化の程度は様々です。家庭内別居という言葉で一括りにするのではなく、夫婦の具体的な関係性を見る必要があります。

一方的な不倫別居で離婚請求は認められる?

ところで、離婚に関する具体的な話し合いや同意のないまま、一方的に家を出て別居状態を作り出した場合、離婚を請求することはできるのでしょうか。

有責配偶者(不倫と悪意の遺棄)

不倫は「不貞な行為」(民法第770条1項1号)に、正当な理由なく別居し、生活費の負担もしない行動は、悪意の遺棄(同項2号)に該当し、それぞれ離婚原因になります。

このような離婚原因を作った配偶者は、有責配偶者と言われます。そして、このように自ら離婚原因を作った配偶者からの離婚請求を認めますと、容易に離婚することが可能となってしまいます。

そのため、有責配偶者からの離婚請求は原則として認められません。

有責配偶者からの離婚請求が認められる条件

もっとも、夫婦の一方の有責行為によって夫婦関係が破綻させられたとはいえ、破綻した婚姻関係に夫婦をいつまでも拘束することは良くないという考えもあります。

判例上も、一定の条件を満たす場合には、有責配偶者からの離婚請求を認めています。

そして、具体的な要件としては、

  1. 別居期間が相当長期に及んでいること
  2. 未成熟子がいないこと
  3. 離婚を認めることが社会正義に著しく反しないこと

が挙げられています。

1や2については、単純に別居期間の長短や子どもの年齢を問題にするだけでなく、別居やその期間が配偶者や子どもの生活環境に与えた影響なども考慮し、離婚請求が許容されるか判断されます。

不倫で別居をしたら旦那から生活費はもらえない?

夫婦間には扶養義務があります。そのため、別居したときは、夫婦のうち年収の高い方が、低い方に対して生活費を支払う義務があります。これを婚姻費用の分担といいます。

旦那が働き、妻は専業主婦という場合、別居をすると旦那は妻に婚姻費用を支払わなければならないのが原則です。

もっとも、妻が不倫をしてそのために別居することになった場合、そのように別居原因をつくった妻に対する扶養義務は免除されます。そのため、妻の不倫で別居になった場合には、妻は旦那から生活費をもらうことができません。

ただし、子に責任はありませんので、別居後に妻と一緒に生活する子の養育費相当額の生活費については、旦那から支払ってもらうことが可能です。

なお、不倫をした妻が子と一緒に自宅に残り、夫が自宅を出る場合で、夫が住宅ローンを支払わなければならないケースがあります。

この場合、住宅ローンの支払金額の全額を養育費に相当する生活費から差し引くことはできませんが、多少減額される余地があります。

まとめ

以上、別居と不倫との関係について、いろいろなケースを見てきました。

別居中に不倫に及んだというケースは非常によくあります。

配偶者と一緒に住んでいないことから、人肌恋しくなって不倫をしたり、あるいは配偶者の監視がないことから不倫をしてしまうことが多いのかもしれません。

別居は、不倫の慰謝料請求の場面では、婚姻関係の破綻や慰謝料の減額事由として争点になることが多い事実です。

慰謝料請求をする場合や、慰謝料請求を受けた場合には、別居の事実が法的にどのように評価されるのか、またどのような証拠が必要なのかについて、一度、弁護士にご相談ください。

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この記事を監修したのは

春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
愛知県弁護士会 所属
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慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
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