不倫・浮気の慰謝料請求で調査費用は損害賠償の対象となるか?

不倫・浮気の慰謝料請求で調査費用は損害賠償の対象となるか?

2020年01月17日

1 はじめに

不倫慰謝料請求においては、興信所(探偵社)に浮気調査を依頼して、配偶者を尾行調査してもらい、ホテルや浮気相手の自宅に泊まるなどの不貞行為の証拠を掴むことがよくあります。

我々弁護士のもとにも、探偵の調査報告書をもってお越しになる方は多くおられますが、200万円近い高額な調査費用を支出している方もしばしばおられます。

興信所(探偵社)の調査費用は10万~30万円ほどで済む場合もありますが、多くのケースでは100万円を超える料金が支払われています。

不倫の証拠を掴むために支出した費用ですから、浮気相手や配偶者には、不倫慰謝料だけでなく、かかった調査費用の全額を賠償してもらいたいと考えるのが通常です。

では、浮気相手や配偶者が任意にその支払いに応じない場合、訴訟でその全額の損害賠償を命じてもらうことはできるのでしょうか。

2 どのような損害が不貞の損害賠償の対象となるのか?

まず、不倫慰謝料請求は、不法行為に基づく損害賠償請求ですが、いかなる損害が賠償の対象となるのかについてみていきましょう。

因果関係は無限に広がる可能性がありますので、民法は損害賠償の範囲について、「通常生ずべき損害」(民法416条1項)に限定しています。

「通常生ずべき損害」とは、当該行為から一般に生じるであろうと認められる損害(相当因果関係のある損害)をいいます。

では、不倫慰謝料請求において、調査費用は相当因果関係のある損害なのでしょうか。

3 不倫・浮気の調査費用(探偵費用)も相当因果関係のある損害か

調査費用について相当因果関係を認めるためには、探偵による浮気調査が、不貞行為を立証するために必要であり、かつその金額が相当なものであることが必要です。

そのため、配偶者が不倫相手との不貞行為について認めている場合や、LINE、SNSなど他に不貞の証拠を掴んでいた場合には探偵社に依頼する必要性は認められないことになります。

また、探偵社に浮気調査を依頼して、既に不貞行為を立証できる証拠を得たにもかかわらず、さらに追加調査を継続した場合には追加調査についての必要性は否定されることになります。

探偵社に浮気調査をする必要性が認められたとしても、実際に支出した調査料金の全額について賠償が認められるとは限りません。

例えば、実際に支出した調査料金120万円のうち100万円について賠償を認めた裁判例もありますが、調査料金200万円のうち10万円についてのみ賠償を認めた裁判例もあります。10万~30万円ほどの調査料金であれば相当性は認められやすいといえるでしょう。

4 最後に

以上のとおり、不倫慰謝料請求の訴訟において、探偵による不倫調査の必要性は厳しく検討される傾向があり、しかも必要性が認められたとしても損害賠償の対象として相当と認められる調査費用は低額に認定される傾向があります。

したがって、高額な調査費用を支出したとしてもその全額を配偶者や不倫相手から回収することは期待できませんので、探偵に不倫調査を依頼するときは、他に不貞行為を立証する方法が本当にないのか、弁護士にも相談しつつ、慎重に検討する必要があります。

また探偵に不倫調査を依頼する場合も、探偵事務所によって料金体系は様々です。40時間の調査で120万円のような料金体系の探偵事務所よりは、不貞の証拠が得られた時点で調査を打ち切り、そこまでにかかった料金だけで済むような料金体系の探偵事務所を選んだ方がよいでしょう。

この記事を書いたのは

代表弁護士春田 藤麿
愛知県弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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