不倫の時効は3年?20年?慰謝料請求ができなくなる前に知るべき全知識と「時効を止める」方法
最終更新日: 2026年01月09日
「数年前の不倫が発覚した。もう慰謝料は請求できない?」 「昔の不倫相手から突然連絡がきた。今さら請求されることはある?」
結論から申し上げますと、不倫の慰謝料請求には「3年」と「20年」という2つの時効期間が存在します。しかし、単に「3年経ったからセーフ(またはアウト)」とは限りません。
「いつから数えて3年なのか(起算点)」の解釈によって、まだ請求が可能かどうかが大きく変わるからです。この記事では、複雑な不倫の時効ルールを整理し、今取るべき行動を明確にします。
不倫(不貞行為)の時効は2種類ある

不倫が原因で慰謝料を請求する場合、法律では次のように“時効”が定められています。
- 知ったときから3年(短期消滅時効)
これは不倫をされた側が「不倫の事実を知り、かつ、不倫相手がどこの誰かを知った日」からスタートします。 単に「怪しいと思っていた」だけでは時効は進行しません。「証拠を掴み、相手の氏名や住所を特定できた日」からカウントダウンが始まると考えましょう。 - 不倫行為から20年(長期消滅時効)
どんな事情があっても、不倫の行為自体から20年が経過すると、時効が成立して慰謝料請求はできなくなります。
つまり、たとえば不倫の証拠を見つけその相手を知ったのが1年前なら、あと2年間は請求できるということです。
ただし、どの時点を「知った」とみなすか(起算点)については、ケースごとに判断されます。
実は勘違いが多い「時効のスタート地点」
「3年」のカウントがいつ始まるかは、争点になりやすいポイントです。以下のケースを確認してください。
Q. 5年前の不倫が今日発覚しました。時効ですか?
A. まだ時効ではありません。
不倫行為自体は5年前(20年以内)ですが、あなたが「不倫を知った」のは今日です。つまり、今日から3年間は慰謝料請求が可能です。
Q. 「不倫相手を知った」とはどういう状態?
A. 氏名や住所など、請求可能な情報を得た時点です。
「夫が会社の誰かと浮気しているらしい」と知っていても、相手の名前や住所がわからなければ訴えることができません。そのため、「どこの誰か」を特定できた時点から時効がスタートするのが一般的です。
Q. 不倫が原因で離婚した場合は?
A. 離婚成立日から3年間請求可能です。
「不倫そのものの慰謝料」とは別に、「不倫が原因で離婚に至ったことに対する慰謝料」が存在します。この場合、離婚が成立した日がスタート地点となるため、不倫発覚から3年が過ぎていても、離婚から3年以内であれば請求できる可能性があります。
時効ギリギリでも諦めない!「時効を止める」方法
「あと1ヶ月で3年が経ってしまう!」という場合でも、法的に時効のカウントを一時停止したり、リセットしたりする方法があります。これを「時効の完成猶予・更新」といいます。
内容証明郵便を送る(時効の完成猶予)
相手に対して「慰謝料を請求します」という意思を内容証明郵便で送ることで、時効の完成を6ヶ月間遅らせる(猶予する)ことができます。
メリット: すぐに実行できる。
注意点: あくまで「6ヶ月の延長」であり、その間に交渉をまとめるか裁判を起こす必要があります。
裁判を起こす(訴訟)
相手が話し合いに応じない場合は、裁判で解決を目指すことになります。
裁判を起こす(訴訟提起)ことで時効の進行を止められます(時効の完成猶予)。そして判決などによって権利が確定すると時効は更新され、そこから新たに時効が進行します。
債務の承認(時効の更新)
相手が不倫の事実を認め、「支払います」「少し待ってください」などと発言したり、一部でも支払ったりした場合、時効はリセットされ、またゼロからスタートします。
ポイント: 相手に一筆書かせる、あるいは会話を録音して「認めた証拠」を残すことが重要です。
時効が過ぎてしまっても請求できる?
「3年も20年も過ぎてしまった…」という場合でも、例外的に請求が認められるケースがごく稀にあります。
相手が時効を援用しなかった場合: 時効は、加害者が「時効だから払いません(時効の援用)」と主張して初めて成立します。相手が法律を知らず、うっかり「払います」と言ってしまえば、時効期間が過ぎていても支払い義務が生じます。
よくある状況と対応例
時効完成の直前に請求して慰謝料獲得
約3年前に不倫の事実が発覚した際には慰謝料請求までは考えが至らず、また配偶者も反省をして二度と不倫しないと約束したので、Aさんはその際には慰謝料請求はしませんでした。
ところが、その後に同じ相手と不倫が再開していたことを知り、今回は慰謝料請求をすることにしましたが後数日で消滅時効が完成してしまうというタイミングでした。
Aさんは急いで弁護士に依頼をして、弁護士は相手に即日、内容証明郵便で500万円の慰謝料請求の通知書を送付しました。
弁解の余地がなく、また相手は訴訟を避けたい意向だったため、250万円の慰謝料を支払う内容で速やかに示談が成立しました。
時効の成立を主張して慰謝料の支払を回避
Bさんは、数年前に終わっている不倫についてある日突然、慰謝料の請求を受けました。
弁護士に相談したところ時効が成立していることは明らかだということだったので、当時の相手夫婦間のLINEのやり取りを不倫相手から提供してもらい、それを証拠として時効の成立を主張する回答書を送りました。
その後は特に相手から連絡は無く、事実上、請求の断念となり終わりました。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
まとめ
不倫慰謝料には時効がありますが、「もう遅い」とあきらめる必要はありません。
起算点の特定や、時効の完成猶予によっては、3年・20年の壁を乗り越えられる可能性があります。
不倫の証拠や状況がある場合には、早めに弁護士に相談し、請求の可否や今後の手続きについて適切な判断を仰ぎましょう。
よくある質問(FAQ)
Q:証拠が古くても使えますか?
はい、古いだけでは証拠の有効性に影響はしません。ただ、既に時効が完成している時点での不倫の証拠ですと慰謝料請求は困難です。
Q:離婚していなくても慰謝料は請求できますか?
できます。不倫による精神的なダメージがあれば、離婚していなくても請求可能です。ただ、離婚した場合と比較すると慰謝料金額は低くなるのが通常です。
Q:内容証明を送るだけで請求できますか?
送るだけで請求できますが、その内容、表現次第で相手が慰謝料を支払ってくるかどうか左右されます。専門の弁護士に協力を求めましょう。
Q:夫婦間でも時効があるの?
はい、あります。ただし、夫婦間では離婚しないと時効が進まない場合もあるため、個別の事情に注意が必要です。
Q:相手の住所がわからなくても請求できますか?
電話やその他の連絡方法があるのであれば、それを使って請求することができます。また、弁護士に依頼をすれば電話番号などから相手の住所を調査できるケースがあります。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。






