不倫慰謝料の時効は何年?請求できなくなる前にやるべきことを弁護士が解説

最終更新日: 2026年05月25日

不倫慰謝料の時効はいつ成立する?弁護士が教える期間とすべきことを解説!

「配偶者の不倫を知ったのはもう2年前…今から慰謝料を請求できる?」
「時効が近いと聞いたけど、どうすれば止められる?」

不倫の慰謝料請求には時効があり、一定期間が経過すると法的に請求できなくなります。しかし時効が迫っていても、適切な対応を取れば権利を守ることができます。

本記事では、不倫慰謝料の時効の年数・起算点の考え方・時効を止める方法・時効が近い場合の緊急対応を弁護士が解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士

「不倫慰謝料を請求したい」「不倫慰謝料を請求された」両方の立場から、400件以上の不倫問題のご相談に対応してきました。(※2026年3月時点)これまでの実務経験をもとに、法律のポイントを分かりやすく解説しています。

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不倫慰謝料の時効は何年か

消滅時効:3年(または20年)

不倫・不貞行為による慰謝料請求権は「不法行為に基づく損害賠償請求権」として、民法724条に規定されています。

時効の期間は以下の2つのルールが適用されます。

  • ①「損害および加害者を知った時」から3年
  • ②「不貞行為の時」から20年(除斥期間)

実務上は①の「知った時から3年」が問題になるケースがほとんどです。

不倫慰謝料の時効は「3年」または「20年」

消滅時効と除斥期間の違い

 消滅時効(3年)除斥期間(20年)
起算点不倫と相手を「知った時」不貞行為があった時
中断・猶予できる(内容証明・調停・訴訟等)できない(絶対的な期間)
援用の必要相手が時効を援用しなければ請求可能期間経過で自動的に消滅
実務上の重要度ほとんどのケースで問題になる長期間経過した特殊なケースのみ

※消滅時効は相手が「時効を援用する(時効の利益を受ける意思表示をする)」ことで初めて効力が生じます。相手が援用しない場合は3年を過ぎても請求できる場合があります。

ただし援用されるリスクがあるため、時効前に手を打つことが重要です。

時効の「起算点」はいつか

「知った時」の意味

時効の起算点となる「損害および加害者を知った時」とは、具体的には以下の両方を知った時点を指します。

  • ①損害を知った時:不貞行為があったことを知った時
  • ②加害者を知った時:不倫相手が誰かを知った時

つまり、「配偶者が不倫していること」を知っただけでは足りず、「誰と不倫していたか(不倫相手の氏名・特定)」まで知った時点が起算日となります。

起算点に関するよくある誤解

状況時効の起算点注意点
不倫の事実は知っていたが相手が誰か不明だった相手を特定した時点相手特定まで時効は進行しない
配偶者が白状した日白状した日その日から3年が起算
探偵の調査報告書を受け取った日報告書受領日証拠を得た日が起算点になりやすい
離婚した日離婚日ではない知った日から起算(離婚と無関係)
不倫相手から謝罪された日謝罪日謝罪=事実認定の起算点になりうる

不倫相手が誰か特定できていない場合の調べ方と慰謝料請求の方法については、以下の記事で解説しています。

不倫相手の住所が分からない!調べ方や慰謝料請求の方法を解説

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配偶者と不倫相手で時効が異なるケース

配偶者と不倫相手それぞれへの慰謝料請求権は、別個の権利として時効が進行します。

そのため、一方の時効が完成していても、もう一方への請求権が残っているケースがあります。

請求先時効の起算点注意点
不倫した配偶者不貞行為と損害を知った時から3年離婚後は財産分与の問題と絡む場合あり
不倫相手(第三者)相手を特定した時から3年配偶者への時効と別個に進行する
不倫相手(離婚後に特定)特定した時から3年離婚後に相手が判明した場合も請求可能

例:不倫の事実を3年前に知り、配偶者への請求権は時効消滅していても、不倫相手の特定が1年前であれば相手への請求権はまだ残っています。

時効を止める方法

内容証明郵便の送付(完成猶予:6カ月)

内容証明郵便で慰謝料を請求することで、時効の完成が6カ月間猶予されます(民法150条)。

ただし、この猶予は一時的なものです。6カ月以内に調停・訴訟を提起しなければ、猶予期間終了後に時効が完成します。

時効が迫っている場合の「応急処置」として、まず内容証明を送ることが最重要です。

内容証明の書き方・送り方・弁護士に依頼するメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。

不倫の内容証明の効果とは?弁護士が解説する書き方と法的効力

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調停の申し立て(完成猶予+中断)

家庭裁判所に慰謝料請求の調停を申し立てることで、時効の完成が猶予されます。

調停が成立すれば時効が確定的に中断(更新)され、新たな時効期間がゼロからスタートします。

調停が不成立になった場合でも、不成立から6カ月以内に訴訟を提起すれば時効中断の効力が維持されます。

訴訟の提起(確定的な時効中断)

訴訟を提起することで時効が確定的に中断されます。判決確定後は新たな時効期間(10年)が進行します。

訴訟は費用・時間がかかりますが、相手が示談・調停を拒否する場合や証拠が十分にある場合は有効です。

手段時効への効果注意点
内容証明の送付完成猶予(6カ月)6カ月以内に調停・訴訟が必要
調停の申し立て完成猶予+成立で確定中断不成立後6カ月以内に訴訟提起を
訴訟の提起確定的に中断(更新)判決後は10年の新時効が進行
相手の債務承認確定的に中断(更新)「払います」等の意思表示が証拠になる

時効が迫っている場合の緊急対応

残り6カ月以内の場合

速やかに弁護士に相談し、内容証明の作成・送付を最優先で進めてください。

内容証明を送ることで6カ月の猶予が生まれ、その間に調停・訴訟の準備ができます。

弁護士に依頼すれば、内容証明の作成から送付まで通常1〜2週間で対応可能です。

時効を止めた後の示談交渉の全手順と注意点については、以下の記事でも詳しく解説しています。

不倫の示談とは?示談書の作り方・金額・弁護士に頼む流れを解説

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残り1カ月以内の場合

至急弁護士に連絡し、内容証明の緊急作成を依頼してください。並行して調停申し立ての準備も始めることをおすすめします。

内容証明が相手に届いた時点で猶予が始まるため、郵送日数も考慮した早急な対応が必要です。

時効が完成してしまった場合

時効が完成していても、相手が時効を「援用」しなければ請求は可能です。

また、「相手の債務承認」(「払います」「申し訳なかった」等の発言・書面)があれば時効援用が認められない場合があります。

時効が過ぎていると思っていても、諦める前に弁護士に相談することをおすすめします。

離婚後に慰謝料請求する場合の時効

離婚後に不倫相手に慰謝料を請求する場合も、時効の起算点は「不倫と相手を知った時」です。離婚した日ではありません。

例えば、離婚前から不倫相手を知っていた場合、離婚しても時効はその時点からすでに進行しています。

一方、離婚後に初めて不倫相手が判明した場合は、判明した日から3年が起算点になります。

なお、離婚時の財産分与・慰謝料と、不倫相手への慰謝料請求は別個の問題です。離婚協議で配偶者への慰謝料を取り決めた場合でも、不倫相手への請求権は別に存在します。

よくある状況と対応例

【ケース①:時効3カ月前に気づき内容証明で緊急対応したケース】

▶ 状況

不倫の事実を知ってから2年9カ月が経過していた。精神的につらく請求を先延ばしにしてきたが、知人から「もうすぐ時効になる」と聞いて慌てて弁護士に相談。

▶ 対応

弁護士が状況を確認し、時効まで3カ月しかないと判断。即日で内容証明の文案を作成し、翌週送付。配達証明付きにより到達日を証明。その後6カ月以内に調停を申し立て、時効を確定中断した。

→ 結果:時効消滅を回避し、調停で慰謝料100万円の合意成立。

※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。

調停や示談で合意が成立した際に必要な示談書の書き方・記載条項については、以下の記事もご参照ください。

不倫の示談書の作り方|記載必須の6項目・注意点・弁護士なしのリスク

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【ケース②:離婚後に不倫相手の身元が判明し請求できたケース】

▶ 状況

離婚時に配偶者が不倫していたことはわかっていたが、相手が誰かは不明だった。離婚から1年半後、SNSで偶然不倫相手と思われる人物を特定。請求できるか不安だった。

▶ 対応

弁護士に相談したところ、不倫相手を特定した時点から3年の時効が進行するため、まだ請求可能と判断。証拠を整理し内容証明を送付。相手は当初否定したが、証拠を示したところ交渉に応じた。

→ 結果:不倫相手から慰謝料80万円・接触禁止の示談成立。

 

※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。

 

示談交渉で相手から減額を求められた場合の対処法については、以下の記事で詳しく解説しています。

不倫で慰謝料請求された…どう対応する?弁護士が減額・拒否の可否を解説

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よくある質問

Q. 不倫を知ってから3年以上経っていますが、もう請求できませんか?

A. 3年が経過していても、相手が時効を「援用」しなければ請求は可能です。また、相手が「支払う」「申し訳なかった」などと認めた場合は債務承認として時効援用が制限される場合があります。諦める前に弁護士に相談することをおすすめします。

Q. 不倫相手の名前がわからなかった期間は時効に含まれますか?

A. 含まれません。時効は「不倫の事実と相手を知った時」から進行するため、相手を特定できていない間は時効が進みません。相手を特定した日が起算点となります。

Q. 時効を止めるための内容証明は自分で送れますか?

A. 送ることは可能ですが、文面が法的に不十分だと効果が薄くなる場合があります。時効が迫っている状況では弁護士に依頼し、確実な内容証明を早急に作成・送付することを強くおすすめします。

Q. 調停を申し立てると相手に知られますか?

A. はい、調停を申し立てると相手に呼出状が届くため知られます。ただし調停は非公開で行われるため、職場や第三者に知られることはありません。

Q. 配偶者への慰謝料請求と不倫相手への請求は別々に時効が進みますか?

A. はい、別個に進行します。配偶者への請求権の時効が完成していても、不倫相手を特定した時点から3年以内であれば相手への請求は可能です。

Q. 離婚後に慰謝料請求することはできますか?

A. できます。離婚と慰謝料請求権は別の問題です。ただし時効の起算点(不倫と相手を知った時)から3年以内であることが必要です。離婚した日が起算点ではない点に注意してください。

まとめ

ポイント内容
時効の期間「不倫と相手を知った時」から3年 / 「不貞行為の時」から20年(除斥期間)
起算点のポイント配偶者の不倫を知るだけでなく「相手(誰か)」を特定した時点が起算
配偶者・不倫相手それぞれ別個に時効が進行。片方が消滅しても他方が残ることがある
時効を止める方法①内容証明(6カ月猶予)②調停申し立て③訴訟提起④相手の債務承認
時効が迫っている場合まず内容証明を緊急送付。6カ月以内に調停・訴訟へ移行
時効完成後でも相手が援用しなければ請求可能。諦める前に弁護士に相談を

時効が近づいているほど、早急な対応が求められます。「もう遅いかもしれない」と思っていても、弁護士に相談することで解決の糸口が見つかるケースは少なくありません。

まずはお気軽にご相談ください。

弁護士への相談を迷っている方は、相談すべき理由と流れを解説した以下の記事もご参照ください。

【不倫された方向け】弁護士に相談すべき5つの理由と相談の流れ

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