不倫慰謝料の時効はいつ成立する?弁護士が教える期間とすべきことを解説!

最終更新日: 2024年11月08日

不倫慰謝料の時効はいつ成立する?弁護士が教える期間とすべきことを解説!

    • 不倫の慰謝料請求には時効があるのだろうか
    • 不倫に対する慰謝料請求の時効はいつから数えるのか
  • 不倫慰謝料の時効を過ぎたら払う必要はないのだろうか

配偶者の浮気が発覚してから何年も経った後に、不倫相手に慰謝料請求をするというケースがあります。

たとえば、浮気が発覚したが夫婦関係を修復していくことに決まったため、不倫相手への慰謝料請求は控えていたが、数年後に未だ浮気が継続していることが発覚し、不倫相手への慰謝料請求を決意したという場合です。

また、不倫発覚当時は、不倫相手に慰謝料請求をすることまでは考えていなかったが、不倫発覚以降、夫婦関係が悪化し、数年後に離婚することになったため、責任をとってもらうべく、不倫相手に慰謝料請求を決意したという場合もあります。

不倫発覚から何年も経過した後に不倫慰謝料を請求する場合、時効にかかってしまい、慰謝料の支払いを受けられないことがあります。そこで今回は、不倫問題に詳しい専門弁護士が、不倫慰謝料請求の時効について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 不倫の慰謝料請求は民法で定められた時効がある
  • 不倫は民法の不法行為であり、時効期間3年・除斥期間20年となっている
  • 時効期間を過ぎると慰謝料を支払う義務から解放される

不倫慰謝料に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

不倫における時効期間とは?

不倫の時効期間とは、不倫相手に慰謝料請求できる期間です。

配偶者や不倫相手の浮気を許すかどうかは、あなた次第となります。不倫が許せないなら、配偶者に離婚を申し出て、慰謝料を請求することが可能です。

ただし、慰謝料請求をしないまま不倫から一定期間が経過した場合、慰謝料を請求できる権利を失ってしまいます。

不倫は民法の不法行為になります。不法行為の時効期間は次の通りです(民法第724条)。

  • 時効期間:3年
  • 除斥期間:20年

「除斥期間」とはある権利について、権利行使しないまま一定の期間が経過すれば、権利が消滅するという制度です。

不倫の場合は、不倫の事実・加害者(不倫相手)を知ったときから3年で慰謝料請求権が消滅する他、不倫を知らないままでも20年で慰謝料請求権が消滅してしまいます。

出典:民法|e-GOV法令検索|法務省

不倫時効の起算点

ここでは不倫時効の起算点についてみてみましょう。

民法

民法第724条前段は、「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する」と規定しています。

つまり、不法行為の損害と加害者を知ったときから3年で時効となります。

「被害者が損害を知った時」というのは、被害者が損害の発生を現実に認識したときです。

原則は、不法行為を知ったときですが、離婚した場合は、「離婚した時」が不法行為による「損害を知った時」となります。

また、「加害者を知った時」とは、加害者に対する損害賠償請求が事実上可能な状態である場合に、それが可能な程度にこれを知ったときです。

慰謝料請求をするためには、請求相手の氏名と住所を知っている必要があります。したがって、氏名と住所を知ったときが、「加害者を知ったとき」となります。

たとえば、探偵に依頼をして調査報告書を受け取ったところ、自身と面識のある人が不倫相手で、その人とラブホテルに出入りして浮気をしているという調査結果が得られた場合です。時効は、調査報告書を受け取った日の翌日から起算されることになります。

不倫行為の時効の起算点は、離婚に至ったかどうかによって違います。

離婚に至っていない場合

不倫行為は、交通事故のような1回の不法行為とは限らず、継続して繰り返し行われる場合があります。それぞれの不倫行為ごとに時効期間は進んでいきます。

ただし、時効の起算日は、不倫行為と不倫相手の氏名住所を知ったときです。
たとえば、次のような場合があるとしましょう。

  • 5月1日に1回目の不倫行為があった
  • 同月5日に1回目の不倫行為と不倫相手の氏名・住所を知った
  • 同月10に2回目の不倫行為があった
  • 同月15日に2回目の不倫行為を知った

この場合、1回目の不倫行為については、不倫行為と不倫相手の氏名・住所を知った日である5月5日の翌日が時効の起算日です。

他方、2回目の不倫行為については、5月15日の翌日が時効の起算日になります。

離婚に至った場合

不倫行為が原因で離婚に至った場合、それまでに発生した精神的苦痛(損害)は離婚の成立による精神的苦痛に凝縮されると考えることが可能です。

すると、精神的苦痛(損害)は離婚成立により生じたと考えられるため、不倫行為が原因で離婚に至った場合の慰謝料請求権は、離婚成立日の翌日から時効が起算されます。

なお、離婚成立後に不倫行為を知ったという場合には、そもそも不倫行為が原因で離婚に至ったのではないとして、離婚と不倫行為との因果関係が否定される可能性がありますので注意が必要です。

時効になったら不倫の慰謝料は払わなくてよいのか

反復して継続してきた不倫行為のうち、最後の不倫行為について時効期間が経過しているのであれば、全てについて時効が完成しており、慰謝料を支払う義務から解放されます。

他方、一部に時効期間が経過している不倫行為もあるが、未だ時効期間を経過していない不倫行為がある場合、時効が完成していない不倫行為については当然、慰謝料の支払い義務があります。

このような場合、時効期間が経過した不倫行為の分だけ単純に支払うべき慰謝料の金額は減るのでしょうか。
たとえば、5年間、継続的に不倫行為が続いてきたことが証拠上明らかな場合です。当初3年の不倫行為については時効期間が経過しているからといって、慰謝料の金額が3年分減額されるとは言い切れないでしょう。

不倫の時効を止める方法

不倫相手に慰謝料請求をする場合は、時効を止めた(中断した)うえで、手続きを進めましょう。その方があわてず慎重に、慰謝料請求の準備を進められます。

時効を止める方法はいろいろあります。あなたに合った方法で、時効完成を阻止しましょう。

裁判

裁判で慰謝料請求の訴えを起こせば、時効は完成猶予(中断)されます。

慰謝料の判決が下されるまでに、時効期間が過ぎても請求権は消滅しません。なお、慰謝料を認める判決が下された場合、時効は更新され新たに時効が進行します。

判決が下された後、相手がいっこうに慰謝料を支払わなかった場合は、10年以内に強制執行(財産差押え)等の法的措置をとれば慰謝料が得られるでしょう。

ただし、あなたが単独で訴えの提起を行おうとすれば、提出書類の準備や証拠収集等の作業に手間取る可能性が高いでしょう。

訴えを提起するときは、弁護士のサポートを受ける方が確実に手続きを進められます。

催告(内容証明郵便)

内容証明郵便を不倫相手に送付し請求(催告)すれば、時効期間を6か月延長できます(民法150条1項)。

催告は口頭でも可能ですが、催告した事実を残すためには配達証明付きの内容証明郵便で行うのが一般的です。

内容証明郵便とは、郵便局が差出人や宛先・内容・差出日を証明する郵便です。不倫相手に精神的なプレッシャーを与える他、時効の完成を猶予する効果もあります。

内容証明郵便を送り、不倫相手が慰謝料の支払いに応じれば問題ありません。

6か月延長された期間を利用し、不倫相手の対応を待ちながら、裁判手続きを並行的に準備する方がよいでしょう。

裁判手続きの準備が整えば、不倫相手が慰謝料請求を無視したり拒否したりした場合、すぐに慰謝料の訴えが可能となります。

協議を行う合意

あなたと不倫相手が慰謝料について協議を行うことに合意した場合、「合意があった時」から1年間時効完成が猶予されます(民法第151条)。

合意した場合は書面化又は電磁的記録で残す必要があります。

また、内容証明郵便による請求(催告)との併用はできない点に注意しましょう。

内容証明郵便による請求(催告)で時効の完成が猶予されている期間内に、協議に合意した場合、協議による時効の完成猶予の効力は認められません。

逆に、協議の合意で時効完成が猶予されている期間中、内容証明郵便による請求(催告)をした場合は、催告による時効を6か月間延長する効力は認められません。

債務承認

相手に不倫を自白させ、慰謝料の支払いを認めさせたとき、その日を起算日にできます。

起算日から再び3年が経過しなければ、時効は完成しません。

ただし、債務承認のためには書面化が必要です。示談書を作成し、不倫相手が慰謝料を支払う旨、慰謝料の支払い義務に対する承諾等を明記し、署名・捺印した示談書を作成しましょう。

裁判を行わないこととのと引き換えに、示談を不倫相手に提案すれば応じる可能性があります。

仮差押え・仮処分・強制執行

裁判所に申し立てれば、次の方法で時効の中断が可能です。

  • 仮差押え:裁判所が暫定的な処分として不倫相手に財産を動かさないよう命じる手続き
  • 仮処分:訴訟の判決確定後、判決で決められた給付内容を実現するため、前もって現状を保全する処分
  • 強制執行:不倫相手の財産(預貯金等)を強制的に差し押さえ、慰謝料に充てる方法

なお、不倫相手と慰謝料の交渉で合意した内容を、強制執行認諾文言付きの「公正証書(公証人が作成した公文書)」にすれば、相手が慰謝料を払わないときに、裁判手続きを経なくとも強制執行(差押え)が可能です。

不倫の時効前にすべきこと

不倫の時効が成立する前に、スムーズに慰謝料請求を進めるため、不倫の証拠を確保しつつ弁護士と相談し対応を話し合いましょう。

弁護士のサポートを受ければ、あなたの希望した慰謝料の金額を受け取れる可能性が高くなります。

証拠確保

裁判では、配偶者と不倫相手が不倫をしていた確実な証拠が必要です。

確実な証拠とは、配偶者と不倫相手が性行為をしたという証拠です。

不倫を疑われるようなメールのやり取り、ホテルの2人部屋の領収書、ラブホテルのスタンプカードでは、確実な証拠となりません。

主に次のような証拠の収集に努めましょう。

  • 配偶者と不倫相手との性行為の画像・動画・音声
  • 配偶者と不倫相手との性行為が推認できる画像・動画
  • 出産や堕胎に関する証明書

性行為が推認できる状況とは、2人がラブホテルに出入りしたり、不倫相手宅に出入りしたりする画像・動画です。

性行為自体の画像・動画・音声の記録は、きわめて難しいものです。メールに添付されている性行為中の画像・動画を発見するか、自宅に不倫相手を連れ込んでいる可能性があれば、小型カメラを設置して撮影する必要があります。

また、性行為が推認できる画像・動画の入手も、不倫現場を突き止め、配偶者と不倫相手の顔まで鮮明に撮影できる高度な技術が必要です。

そのため探偵に不倫調査を依頼した方が、確実な証拠を得られる可能性が高くなります。

弁護士への相談

不倫相手に慰謝料を請求する前に、弁護士に相談しましょう。

弁護士はあなたの事情を聴き、次のようなアドバイスを提供します。

  • 時効期間が経過しているかどうか
  • 効果的な慰謝料請求方法
  • 時効中断方法
  • 示談を提案する場合の注意点
  • 慰謝料請求の訴えを提起する方法 等

相談をして信頼のおける弁護士と判断したら、サポートを依頼しましょう。あなたに代わり弁護士が、不倫相手との交渉や訴えの提起等を行います。

不倫の時効でお悩みなら春田法律事務所に相談を

配偶者が不倫した場合の慰謝料請求の時効について説明しました。

不倫が発覚してから長期間経過後に慰謝料請求がなされる経緯は様々あります。時間が経ってから慰謝料を請求する場合も請求を受けた場合も、時効の問題がないか、弁護士に相談してみましょう。

春田法律事務所では無料で相談を受け付けています。まずは気軽に不安や悩みを打ち明けてみましょう。

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