浮気・不倫の慰謝料相場はいくら?請求できる条件や方法を紹介
最終更新日: 2024年09月30日
配偶者の不倫・浮気は、誰しもが経験したくない辛い出来事です。精神的な苦痛はもちろん、家庭の崩壊や経済的な負担など、様々な問題を引き起こします
この記事では、不倫・浮気の慰謝料の請求を検討される方向けに、以下の点を中心に解説します。
・慰謝料を請求できる条件
・慰謝料請求の手続き
不倫の慰謝料とは?
不倫とは、一般的に、結婚している人が配偶者以外の異性と親密な関係を持つことを指します。これは、社会的な規範や道徳観に反する行為とされており、多くの場合、法律でも問題視されます。
不倫は、夫婦間の信頼関係を破壊し、家族を崩壊させる可能性があるため、深刻な問題として捉えられています。
不倫によって配偶者の精神的な苦痛が大きいと認められる場合、不倫をした側(不貞配偶者)に対して、慰謝料の支払いを求められる可能性があります。場合によっては、不倫相手も慰謝料を請求されることがあります。
不倫の慰謝料請求ができる相手
繰り返しになりますが、不倫の慰謝料を請求できる相手は、一般的に以下の2つが考えられます。
・配偶者:婚姻関係にある配偶者が、不貞行為を行った場合、慰謝料を請求することができます。
・不倫相手:配偶者と不貞行為を行った相手にも、共同不法行為として慰謝料を請求することができます。
ただし、配偶者と不倫相手の両方へ慰謝料を請求することはできても、慰謝料の二重取りはできませんのでご注意ください。
不倫の慰謝料が請求できる条件
不倫慰謝料を請求するためには、まず、配偶者と不倫相手が、肉体関係を持ったという事実が必要になります。また、不倫相手が、配偶者の存在を認識したうえで肉体関係を持ったという事実も必要となります。
これらの事実が認められてはじめて、不倫相手に慰謝料を請求する法的な権利が発生することになります。
・肉体関係を持った事実とその証拠があること
・配偶者の存在を認識していた事実とその証拠があること
これらについて、詳しく解説していきます。
肉体関係を持った事実とその証拠があること
法律的には、配偶者と不倫相手が、肉体関係を持った事実がなければ、不倫慰謝料を請求していくことはできません。
LINEやメールでお互いに好意を示すやり取りをしていたり、デートをしていたという事実があったとしても、それだけでは不倫相手に慰謝料を請求することはできないのです。
肉体関係を持ったことの証拠として、もっともわかりやすいのは、肉体関係を持っている場面を写した映像や、二人でホテルなどの宿泊施設にいる写真などです。肉体関係を持った当事者がそのような映像や写真をスマートフォンに保存しているということがあります。
とはいえ、このようなケースは稀であり、決定的なものとして多いのは、ホテルなどの宿泊施設に出入りしている写真や動画、LINEやメールで肉体関係を持ったことを疑わせるやりとりなどがあげられます。
配偶者の存在を認識していた事実とその証拠
先に述べたとおり、不倫相手に慰謝料を請求するには、不倫相手が、配偶者の存在を知ったうえで肉体関係を持っていることが必要です。
これを示す証拠としては、例えば、夫と不倫相手が、LINEやメールで、「奥さん大丈夫なの?」とか、「妻は気づいてない」といったメッセージを送っていることがあげられます。
よく問題になるのは、夫が、不倫相手に対して、自分は独身であるとか、既に離婚をしたなどの嘘を言っていたというケースです。
しかし、このような場合であっても、常識で考えれば、相手が、夫に妻がいることを見抜けたはずなのに、夫の言葉を軽々に信じたというような事実があれば、配偶者の存在を認識してはいなかったが、そのことに落ち度があったとして、慰謝料を請求することができます。
夫が不倫相手とは宿泊はせず、夜は必ず自宅に帰ってきていたとか、不倫相手を決して自宅には来させなかった、という場合、もしかして奥さんがいるのではないかと疑って然るべきでしょう。
不倫慰謝料を請求できないケース
不倫慰謝料は必ず請求できるわけではありません。以下のようなケースの場合、慰謝料請求ができない可能性があります。
・不倫相手がわからない
・既婚者と知らなかった
・夫婦関係が破綻している
・時効が完成している
これらについて、詳しく解説していきます。
不倫相手がわからない
不倫相手に慰謝料請求するためには、不倫相手の氏名と住所又は勤務先の情報が必要です。
これらがわからない場合も不倫相手の携帯電話番号がわかるときは、弁護士に依頼をすれば、携帯電話会社に照会し、不倫相手の氏名と登録された住所を調べることが可能です。
既婚者と知らなかった
不倫慰謝料の根拠は、以下の民法第709条にあります。
「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
こちらの条文には「故意又は過失によって」とあります。関係をもっている相手が独身だと不倫相手が思っていた場合には故意に不倫をしたわけではありませんので、不倫慰謝料を請求することはできません。
もっとも、既婚者ではないかと疑ってしかるべきであったのに漫然と独身と信じていた場合には過失がありますので、不倫慰謝料を請求することができます。
夫婦関係が破綻している
不倫とは、婚姻共同生活の平穏を侵害する行為です。そのため、夫婦関係が既に破綻していた場合には、婚姻共同生活の平穏は既にありませんので、不倫慰謝料を請求することはできません。
ただし、この「破綻」とは、一般的な感覚の破綻とは異なり、夫婦喧嘩が多かったという程度では「破綻」とは認められません。既に別居して2、3年が経過していたという場合には「破綻」が認められる可能性があります。
時効が完成している
不倫慰謝料の請求権は、不倫の事実と不倫相手を知ってから3年、不倫のときから20年で時効が完成します(民法第724条)。時効が完成しますと不倫慰謝料を請求することはできなくなります。
不倫発覚当初は請求を考えていなかったけれども、数年後にやはり責任を取らせたいと思って不倫慰謝料を請求したところ、既に時効が完成していたというケースはしばしばあります。
不倫の慰謝料相場はいくら?
不倫の慰謝料については、計算方法が不明確なことから、同様のケースであっても裁判官によって多少の違いがあります。
慰謝料は様々な要素により増減されるので一概には言えませんが、不倫が発覚した後、夫婦が離婚する場合の慰謝料は200万円、離婚しない場合の慰謝料は100万円という考えは、多くの裁判官や弁護士の共通認識です。
慰謝料を請求するための証拠
不倫の慰謝料請求において、最も有力な証拠は、不貞行為があったことを直接的に示すものです。 具体的には、以下のようなものが挙げられます。
・写真や動画:不倫相手との親密な様子を捉えた写真や動画
・メールやLINEなどのメッセージ履歴:愛の告白やデートの約束、肉体関係を示唆する内容のやり取り
・ホテルの領収書:不倫相手との宿泊を証明する領収書
・録音データ:不倫相手との電話や会話の録音データ
・日記や手帳:不倫に関する記録が記載されている日記や手帳
証拠集めは、弁護士に相談することも可能です。 弁護士は、証拠の収集方法や法的な問題についてアドバイスをしてくれます。
慰謝料請求は、専門的な知識が必要なため、一人で悩まずに弁護士に相談することをおすすめします。
不倫の慰謝料を請求する方法
不倫の慰謝料請求は、以下の様な流れで行われます。
・相手方との交渉:相手に慰謝料を請求する内容証明郵便を送付し、交渉を開始します。
・調停:直接の交渉がまとまらない場合は、裁判所の調停を利用し、第三者の立会のもと話し合います。
・訴訟:多くの場合、調停は利用せずに裁判所に訴訟を提起します。
慰謝料請求は法律に関する専門知識が必要なため、弁護士に相談することを強くおすすめします。弁護士は、証拠の収集から裁判まで、あらゆる手続きをサポートしてくれます。
まとめ
この記事でご紹介した内容は、一般的な情報であり、個々のケースに当てはまるとは限りません。具体的な問題については、弁護士にご相談ください。
弁護士の専門的な知識とサポートにより、スムーズな手続きを進めることができます。