不倫の慰謝料、いくらが妥当?ケース別の相場と増減要因を弁護士が解説
最終更新日: 2025年05月26日
不倫の慰謝料相場は「100万〜300万円」が一般的ですが、状況によって大きく異なります。
離婚の有無、交際の長さ、証拠の有無、精神的な被害の程度など、さまざまな要素が金額に影響します。
また、慰謝料を請求できる相手や、そもそも請求が認められないケースも存在します。
この記事では、不倫慰謝料の基本相場、増減する理由、慰謝料を請求できる相手、実際の相談事例、よくある質問までを網羅的に解説します。
不倫慰謝料の相場早見表
状況 | 慰謝料の目安 |
離婚なし(関係継続) | 50万〜150万円 |
別居に至った | 100万〜200万円 |
離婚に至った | 200万〜300万円 |
妊娠・精神的損害が大きい | 300万円以上になることも |
上記はあくまで目安です。実際の慰謝料は、関係性や証拠の強さなどによって大きく前後します。
慰謝料の増減に影響する主な要素
不倫があった場合、裁判所は、不倫をした当事者(不倫相手・配偶者)に対して「相当の慰謝料」を請求できると判断しています。
この慰謝料の額については、以下にあげるような諸般の具体的事情を総合的に考慮して判断されます。
- 婚姻期間・不倫があった当時の夫婦関係(円満・破綻)
- 婚姻関係に与えた影響(離婚・別居の有無)
- 不倫の内容・継続期間(短期か長期か)
- 証拠の有無と内容(写真・LINE・領収書など)
- 精神的苦痛の大きさ(診断書や通院歴)
- 不倫相手が配偶者について既婚者だと知っていたかどうか(故意性)
- 悪質性の有無(隠ぺい行為や虚偽説明、謝罪後の関係再開など)
- 謝罪の有無・誠意ある対応の有無
- 被害者側の経済力や生活への影響
誰に対して慰謝料を請求できるのか?
不倫相手(配偶者ではない第三者)
不倫となる肉体関係をもった際に、配偶者が既婚者であることを知っていた相手に対しては、原則として慰謝料を請求できます。
配偶者本人
配偶者は自らが既婚者でありながら婚姻関係にない不倫相手と肉体関係をもつことを認識することができるため、当然ながら慰謝料を請求することができます。
ただし、夫婦で家計がつながっている場合は、配偶者に慰謝料請求をしたところで循環する結果となるため、日頃から生活費を折半しており家計がつながっていない場合や離婚する場面で慰謝料を請求することが多いです。
また、裁判では「両者に連帯して請求する」ことも可能ですが、夫婦関係の実情や証拠次第で棄却されることもあります。
慰謝料が増額されるケース
- 不倫期間が1年以上の長期間に及ぶ場合
- 二重生活や偽名など悪質性が高い場合
- 精神的苦痛が大きく、通院・精神科の診断書がある場合
- 配偶者が不倫相手に対し関係断絶を求めたにも関わらず、関係が継続された場合
慰謝料が減額・認められないケース
- 不倫が1〜2回程度の極めて短期間だった場合
- 不倫相手が既婚者であることを知らなかった場合
- すでに夫婦関係が破綻していた(別居や離婚協議・調停中など)場合
- 肉体関係を裏付ける証拠が存在しない(肉体関係を伺わせないLINEのみなど)場合
- 不倫発覚後、3年以上慰謝料請求をせずに放置しており時効が成立していた場合
実際の相談事例
証拠が弱くても慰謝料を獲得できた例
一般的に慰謝料請求には不倫の証拠が必要です。しかし、相手が不倫の事実を認める限りは証拠は不要です。
手持ちの証拠では、不倫を明確に立証することまではできない状態でしたが、不倫の日時や場所等の詳細な情報を相手に示すことで、言い逃れができないと感じた相手が素直に不倫を認め、慰謝料を獲得することができました。
高額な慰謝料が想定される事案で減額に成功した例
不倫関係が10年以上の長期に及ぶ中で離婚協議に至っていたため、少なく見積もっても200万円を超える慰謝料が認められることが想定されました。
交渉は難航しましたが、不倫と離婚との間の因果関係の希薄性や当方が遠距離に居住しており物理的にみて逢瀬の頻度が多いわけではなかったこと等を指摘することで、最終的には90万円の合意により解決を図ることができました。
まとめ|正しい相場と判断基準を知ることが大切
- 不倫慰謝料の相場は100万〜300万円
- 金額は状況や証拠によって大きく変動
- 慰謝料を請求できる相手は配偶者本人と不倫相手
- 請求する側も、された側も、冷静に法的に対処すべき問題
当事務所では、初回相談無料・秘密厳守で対応しております。
相場に対する疑問や、請求の可否、金額交渉についても安心してご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q:慰謝料の金額はどうやって決まる?【請求する側】
婚姻期間や夫婦関係への影響(離婚・別居)、不倫の内容・期間、精神的損害の程度等 の具体的事情を総合して判断されます。
Q:示談で済ませたいのですが、裁判になることはありますか?【請求する側】
相手への連絡に対して反応がない場合、示談交渉が決裂した場合には、訴訟に発展することがあります。裁判となった場合でも弁護士がいれば対応がスムーズです。
Q:慰謝料は一括払いしないといけませんか?【請求される側】
交渉次第となりますが、一括払いをする資力がない場合は分割払いや支払い猶予を求める交渉をすることは可能です。請求する側としても、現実に支払いができない資力の相手に対して裁判で支払いを求めたところで財産差押えもできない状態であれば、慰謝料を回収できないことになりますので、分割払い等に応じる可能性があります。
Q:慰謝料がもらえないケースはありますか?【請求する側】
不倫の際にすでに婚姻が破綻していた場合や不倫の証拠が不十分でかつ相手が不貞を否定している場合、相手が配偶者を既婚者と認識していなかった場合は慰謝料請求が否定される可能性があります。
Q:証拠がLINEだけですが大丈夫?【請求する側】
LINEの内容によります。LINEの中に肉体関係をうかがわせる生々しいやり取りがある場合(「あの行為が気持ちよかった」、「ホテルに何時に集合」等)はLINEが証拠となります。
一方で、やり取りの内容のみでは肉体関係を明確に読み取れない場合には、LINE単体では弱いことになりますので、ホテルの領収書や出入りの写真等で裏付けと合わせて 証拠とすることがあります。
Q:慰謝料を300万円請求されましたが高すぎませんか?【請求される側】
裁判上の相場を超える金額を請求された際は速やかに弁護士にご相談ください。請求の際は高額な主張で始めることも多いですので、弁護士が請求額を裁判上の相場まで減額させる交渉をすることになります。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。