ストーカーで逮捕を避けるには?問われる罪や示談についても専門弁護士が解説

最終更新日: 2023年12月15日

ストーカーで逮捕されたら何をすべきか?問われる罪・逮捕に繋がる行為も解説

  • ストーカー行為に該当するのは、どのような行動なのだろう
  • 意中の女性にストーカー行為をして逮捕された、どのような罪に問われるのだろう
  • ストーカー行為で逮捕を避ける方法はあるのだろうか

ストーカー行為とは、特定の人に対する好意の感情、またはその好意がかなわず怨念の感情でつきまとい、まちぶせ、押しかけや無言電話等を繰り返す行為です。

ストーカー行為を規制する法律の正式名称は、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」です。この法律に違反すると、最長2年の懲役刑を受ける可能性があります。

今回は数多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、ストーカーと逮捕ついて詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • ストーカー規制法違反で逮捕され有罪になると、1年以下(禁止命令等に従わずストーカー行為をした場合:2年以下)の懲役刑に処される
  • 自首や示談で逮捕回避や釈放が可能。
  • ストーカー行為として逮捕される迷惑行動は、非常に幅広く法定されている

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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ストーカー行為で逮捕されて問われる罪

まずは、ストーカー規制法違反に問われた場合に課せられる刑罰について確認しておきましょう。

ストーカー行為で逮捕後、検察官から起訴され刑事裁判で有罪判決を受けた場合、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処されます(ストーカー行為等の規制等に関する法律第18条)。

また、禁止命令を無視し、ストーカー行為をした場合は、「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」と、更に重い刑罰が科せられてしまいます(同法第19条)。なお、禁止命令等に違反した場合は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されます(同法第20条)。

禁止命令とは、加害者のストーカー行為に対し、公安委員会が更に反復して当該行為をしてはならない、と命じる法的措置です。

つきまとい等やGPSによる位置情報無承諾取得等をしてはならない、と命令したにもかかわらず、ストーカー行為をした場合、有罪になった人は、通常(同法第18条)よりも2倍のペナルティを受けるおそれがあります。

出典:ストーカー行為等の規制等に関する法律 | e-Gov法令検索

ストーカーで逮捕を避けるには?逮捕されたら?

ストーカー行為で逮捕されると、20日以上もの長期間、留置場に入れられて拘束される可能性があります。そうなれば家庭や仕事など社会生活に及ぶ影響は非常に大きくなります。

そこで、ストーカー行為での逮捕を避ける方法や逮捕された場合に速やかに釈放してらもらう方法について説明します。

逮捕の条件

まずは、どのような場合に逮捕されるのか、逮捕の条件を簡単に説明します。

逮捕の基本的な条件は、被疑者が逃亡する可能性と証拠隠滅の可能性です。これらのいずれかの可能性があると判断されると警察は逮捕しますし、検察官や裁判官も勾留すべきという判断をします。

ですから、逃亡も証拠隠滅もその可能性はない、乏しいということを説得できれば逮捕や勾留を避けられます。

被害者との示談

ストーカーで逮捕を避けるための最も確実な手段は被害者との示談です。

被害者が加害者を許しており、処罰を求めていないのであれば、起訴されて処罰される可能性は低くなります。そのため、示談が成立していると加害者が逃亡したり証拠隠滅をする理由は低く、逮捕する理由、必要性はないと警察は判断しやすくなるのです。

また、被害届が出る前に示談が成立したのであれば、警察が動くこともありませんから逮捕はありません。

このように逮捕を避けるための最も確実な手段は被害者との示談ですから、逮捕回避のために早急に示談交渉を行うべきです。

自首

ストーカーで逮捕を避けるためのもう一つの手段は自首です。

自らストーカーの犯行を認めて警察署に出頭すれば、警察は、加害者は逃亡や証拠隠滅に及ぶ可能性は低いだろうと考えることを期待できます。その結果、逮捕はせずに在宅捜査としてもらえる可能性が高まるのです。

ただ、加害者だけで自首をしても信用してもらえない、逃亡や罪証隠滅の懸念を払拭できないかもしれませんので、依頼をした弁護士と一緒に自首することをお勧めします。弁護士の監督があることで警察はより安心して在宅捜査にすることができます。

ストーカーで逮捕につながる行為

ストーカー行為等の規制等に関する法律では、どのような行為がストーカー行為にあたるのかを列挙しています(同法第2条)。

最後に、ストーカー行為として逮捕の対象となる行為について見ておきましょう。

つきまとい・待ち伏せ・見張り等

被害者を尾行するのはもちろん、被害者の住居や勤務先、学校等の付近を見張り、住居等に押し掛けたり、付近をみだりにうろついたりする行為が該当します。

加害者は別に被害者へ暴力を振るう目的や、性的暴行を行う目的等はなくても、つきまとい・待ち伏せ・見張り等の行動をとれば、逮捕される可能性があります。

監視していることを告げる

被害者に対し、監視していると思わせるような事項を告げたり、知り得る状態においたりする行為です。

たとえば、メール等を送り付け、当日の服の色やどのような所に行ったか等を被害者へ告げ、監視している事実に気づかせる行為があげられます。また、帰宅直後に電話をして「お帰りなさい」等と伝える行為も該当します。

面会や交際の要求

被害者へ執拗に、面会・交際その他の義務のない行動を要求する行為があげられます。

具体的には、被害者が拒否しているのに面会や交際・復縁を求めたり、加害者からの贈り物を受け取るよう要求したりする行動が該当します。

乱暴な言動

著しく粗野または乱暴な言動が該当し、被害者への暴力、命の危険にまでは至らないケースが対象です。

具体的には、被害者へ「馬鹿野郎!」「おまえの前で死んでやる!」という威圧や、被害者の自宅前で大声を出す、車のクラクションを鳴らす等の行為があげられます。

無言電話、連続した電話、文書送付、ファクシミリや電子メールの送信等

加害者が被害者に連続して電話をかけ、手紙の送付や、ファクシミリ装置を用いた送信、電子メールの送信等を行う行為です。

具体的には、被害者が拒否しているのに、会社・自宅や携帯電話に何度も電話をかける、繰り返し手紙を送り付ける、電子メールやFAX・SNSメッセージを送信する等が該当します。

汚物等の送付

被害者に汚物や動物の死体、その他の著しく不快または嫌悪の情を催すような物(例:生きたゴキブリ等)を送り付け、または被害者の知り得る状態におく行為です。

汚物や動物の死体、生きた害虫だけではなく、たとえば被害者が元交際相手ならば、2人で撮影した写真をズタズタに引き裂き、送り付ける行為も該当します。

名誉を傷つける

被害者の名誉を害する内容を告げ、または被害者へ知り得る状態にする行為が当てはまります。

たとえば被害者が元交際相手ならば被害者の軽率な振る舞いや、被害者の失敗または事実無根の内容等を被害者にメールで送ったり、文書等で送り付けたりする行為が該当します。

性的羞恥心の侵害

被害者の性的羞恥心が害される内容を告げもしくは知り得る状態に置き、または性的羞恥心が害される文書・図画その他の物を送付しもしくはその知り得る状態に置く行為、が該当します。

たとえば、電話や手紙で被害者に卑猥な言葉を告げ辱めようとする行為、被害者が望んでもいないのに性的羞恥心を抱かせたり、精神の平穏を害したりする文書・図画を送付する行為等があげられます。

GPS機器等を用いて位置情報を取得する行為

被害者の承諾を得ないで、被害者が持っているGPS機器等の送信装置の位置情報記録を取得する行為です。もちろん、被害者の承諾があれば位置情報の取得は違法ではありません。

被害者を害するような目的で、位置情報を取得したわけではなくても、被害者の承諾なくこのような行為をすれば、同法違反に問われます。

GPS機器等を取り付ける行為等

被害者の所持する物に、GPS機器等の位置情報記録・送信装置を取り付ける行為が該当します。

こちらも、被害者の承諾があれば位置情報の取得は違法ではありません。

一方で、被害者の承諾なく、被害者の自動車にGPSを取り付ける、被害者がよく持ち歩くバッグにGPSを埋め込む等の行為は、それ自体が違反となります。

まとめ

今回は多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、ストーカー行為で逮捕されるケース、ストーカー行為で逮捕されたとき期待できる弁護士の活動等について詳しく解説しました。

示談が成立し、被害者が被害届を取り下げても、検察官は起訴を決めるかもしれません。

そのため、示談が成立しても加害者は真摯にストーカー行為を反省し、誠心誠意、謝罪の意思を示す必要があるでしょう。

ストーカー行為等の規制等に関する法律違反で逮捕されたら、速やかに弁護士へ相談し、最善の対応策を検討してみてはいかがでしょうか。

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