ストーカーで逮捕されたら何をすべきか?問われる罪・逮捕に繋がる行為も解説
最終更新日: 2023年09月20日
- ストーカー行為に該当するのは、どのような行動なのだろう
- 意中の女性にストーカー行為をして逮捕された、どのような罪に問われるのだろう
- ストーカー行為で逮捕されてしまった、なるべく穏便に問題を解決したい
ストーカー行為とは、特定の人に対する好意の感情、またはその好意がかなわず怨念の感情でつきまとい、まちぶせ、押しかけや無言電話等を繰り返す行為です。
ストーカー行為を規制する法律の正式名称は、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」です。
この法律に違反すると、最長2年の懲役刑を受ける可能性があるので注意しましょう。
また、ストーカー犯罪は非親告罪なので、被害者と示談が成立しても、検察官から起訴されてしまう可能性があります。
そこで今回は、数多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、ストーカー行為で逮捕につながるケース、逮捕後の適切な対応等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- ストーカー規制法違反で逮捕され有罪になると、1年以下(禁止命令等に従わずストーカー行為をした場合:2年以下)の懲役刑に処される
- ストーカー行為として逮捕される迷惑行動は、非常に幅広く法定されている
- ストーカー行為で逮捕されたら、なるべく早く弁護士と相談し対応を取り決める
ストーカー行為で逮捕されて問われる罪
ストーカー行為で逮捕後、検察官から起訴され刑事裁判で有罪判決を受けた場合、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処されます(ストーカー行為等の規制等に関する法律第18条)。
また、禁止命令を無視し、ストーカー行為をした場合は、「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」と、更に重い刑罰が科せられてしまいます(同法第19条)。
なお、禁止命令等に違反した場合は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されます(同法第20条)。
禁止命令とは、加害者のストーカー行為に対し、公安委員会が更に反復して当該行為をしてはならない、と命じる法的措置です。
つきまとい等やGPSによる位置情報無承諾取得等をしてはならない、と命令したにもかかわらず、ストーカー行為をした場合、有罪になった人は、通常(同法第18条)よりも2倍のペナルティを受けるおそれがあります。
出典:ストーカー行為等の規制等に関する法律 | e-Gov法令検索
ストーカーで逮捕につながる行為
ストーカー行為等の規制等に関する法律では、どのような行為がストーカー行為にあたるのかを列挙しています(同法第2条)。
こちらでは、同法違反で逮捕につながる可能性のあるストーカー行為を取り上げます。
つきまとい・待ち伏せ・見張り等
被害者を尾行するのはもちろん、被害者の住居や勤務先、学校等の付近を見張り、住居等に押し掛けたり、付近をみだりにうろついたりする行為が該当します。
加害者は別に被害者へ暴力を振るう目的や、性的暴行を行う目的等はなくても、つきまとい・待ち伏せ・見張り等の行動をとれば、逮捕される可能性があります。
監視していることを告げる
被害者に対し、監視していると思わせるような事項を告げたり、知り得る状態においたりする行為です。
たとえば、メール等を送り付け、当日の服の色やどのような所に行ったか等を被害者へ告げ、監視している事実に気づかせる行為があげられます。また、帰宅直後に電話をして「お帰りなさい」等と伝える行為も該当します。
面会や交際の要求
被害者へ執拗に、面会・交際その他の義務のない行動を要求する行為があげられます。
具体的には、被害者が拒否しているのに面会や交際・復縁を求めたり、加害者からの贈り物を受け取るよう要求したりする行動が該当します。
乱暴な言動
著しく粗野または乱暴な言動が該当し、被害者への暴力、命の危険にまでは至らないケースが対象です。
具体的には、被害者へ「馬鹿野郎!」「おまえの前で死んでやる!」という威圧や、被害者の自宅前で大声を出す、車のクラクションを鳴らす等の行為があげられます。
無言電話、連続した電話、文書送付、ファクシミリや電子メールの送信等
加害者が被害者に連続して電話をかけ、手紙の送付や、ファクシミリ装置を用いた送信、電子メールの送信等を行う行為です。
具体的には、被害者が拒否しているのに、会社・自宅や携帯電話に何度も電話をかける、繰り返し手紙を送り付ける、電子メールやFAX・SNSメッセージを送信する等が該当します。
汚物等の送付
被害者に汚物や動物の死体、その他の著しく不快または嫌悪の情を催すような物(例:生きたゴキブリ等)を送り付け、または被害者の知り得る状態におく行為です。
汚物や動物の死体、生きた害虫だけではなく、たとえば被害者が元交際相手ならば、2人で撮影した写真をズタズタに引き裂き、送り付ける行為も該当します。
名誉を傷つける
被害者の名誉を害する内容を告げ、または被害者へ知り得る状態にする行為が当てはまります。
たとえば被害者が元交際相手ならば被害者の軽率な振る舞いや、被害者の失敗または事実無根の内容等を被害者にメールで送ったり、文書等で送り付けたりする行為が該当します。
性的羞恥心の侵害
被害者の性的羞恥心が害される内容を告げもしくは知り得る状態に置き、または性的羞恥心が害される文書・図画その他の物を送付しもしくはその知り得る状態に置く行為、が該当します。
たとえば、電話や手紙で被害者に卑猥な言葉を告げ辱めようとする行為、被害者が望んでもいないのに性的羞恥心を抱かせたり、精神の平穏を害したりする文書・図画を送付する行為等があげられます。
GPS機器等を用いて位置情報を取得する行為
被害者の承諾を得ないで、被害者が持っているGPS機器等の送信装置の位置情報記録を取得する行為です。もちろん、被害者の承諾があれば位置情報の取得は違法ではありません。
被害者を害するような目的で、位置情報を取得したわけではなくても、被害者の承諾なくこのような行為をすれば、同法違反に問われます。
GPS機器等を取り付ける行為等
被害者の所持する物に、GPS機器等の位置情報記録・送信装置を取り付ける行為が該当します。
こちらも、被害者の承諾があれば位置情報の取得は違法ではありません。
一方で、被害者の承諾なく、被害者の自動車にGPSを取り付ける、被害者がよく持ち歩くバッグにGPSを埋め込む等の行為は、それ自体が違反となります。
ストーカーで逮捕されたらすべきこと
ストーカー行為で逮捕された加害者が何らかの対応をとらなければ、着実に刑事手続きが進んでしまい、厳しい取り調べを受けたり、最長20日間の勾留を強いられたりします。
逮捕後なるべく早く弁護士と面会し、今後の対応を協議する必要があるでしょう。
弁護士への依頼
加害者はストーカー行為で逮捕される事態を予測し、前もって弁護士と相談し弁護活動(私選弁護人)を依頼しておいた方がよいでしょう。
ストーカー行為をしたからといって、いきなり警察から逮捕されるケースはほとんどありません。
被害者が警察にストーカー被害を申告したら、被害者に危険が及ぶ状況と判断された場合を除き、警察は加害者を呼び出し「警告」します。
警告後もストーカー行為をやめないなら、公安委員会から「禁止命令」を受ける可能性があります。それでも、反復してストーカー行為をすれば、逮捕される可能性が非常に高くなるでしょう。
加害者が逮捕される前に、弁護士に弁護活動を依頼していれば、たとえ逮捕されても、すぐに弁護士が面会します。
面会後、弁護士は取り調べに返答するコツや、今後の弁護活動を詳しく説明します。
加害者は逮捕されて興奮しているかもしれませんが、今後どうするべきかがわかるので、落ち着きを取り戻せるでしょう。
示談交渉
弁護士に示談交渉を任せれば、被害者と示談が成立する可能性も高くなります。
なお、ストーカー犯罪は非親告罪なので、示談が成立しても、検察官から起訴されるおそれはあるでしょう。
ただし、次のような事情を考慮し、検察官が不起訴処分とする可能性も考えられます。
- 加害者が反省し、捜査にも積極的な協力をしていた
- ストーカー行為の悪質性が低い
- 被害者と示談が成立し、示談書に「被害者は加害者を許す」と明記している
- 被害者が示談書に従い被害届を取り下げている
- 加害者は更生のため、専門的な治療を受けると決めている
たとえ非親告罪でも示談が成立すれば、検察官に「不起訴処分が相当である」と判断させる大きな要素となるでしょう。
なお、依頼者(加害者)が合意すれば、弁護士は逮捕前から被害者との示談交渉に動きます。被害者との和解が早ければ早いほど、逮捕されるリスクは軽減されます。
早期解決
弁護士は被害者との示談に全力を尽くしますが、それと同時に捜査機関へ加害者の早期解放を働きかけます。
逮捕直後から弁護士の弁護活動が可能ならば、警察に加害者が逃亡や証拠隠滅、被害者と絶対に会わない、捜査へ全面的に協力する、と主張します。
警察が逮捕の必要はないと判断したなら、加害者はすぐに自宅へ戻れるので安心です。
たとえ加害者の身柄が検察に送検されても、検察官に早期解放を要求し、勾留を回避できる可能性があります。
ただし、身柄が解放されても無罪となったわけではなく、在宅で捜査が継続します。その間に弁護士は被害者との示談交渉や、捜査機関に協力して、早期解決を目指します。
加害者側は自宅に戻れても決して油断せず、自分のストーカー行為を反省し、今後更生のために専門的な治療を受ける等、様々な対応を弁護士と話し合いましょう。
まとめ
今回は多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、ストーカー行為で逮捕されるケース、ストーカー行為で逮捕されたとき期待できる弁護士の活動等について詳しく解説しました。
示談が成立し、被害者が被害届を取り下げても、検察官は起訴を決めるかもしれません。
そのため、示談が成立しても加害者は真摯にストーカー行為を反省し、誠心誠意、謝罪の意思を示す必要があるでしょう。
ストーカー行為等の規制等に関する法律違反で逮捕されたら、速やかに弁護士へ相談し、最善の対応策を検討してみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。ご不明な点があるときやもっと詳しく知りたいときは、下にある「LINEで無料相談」のボタンを押していただき、メッセージをお送りください。弁護士が無料でご相談をお受けします。