暴行罪の示談金の相場は?

暴行罪の示談金の相場は?

2020年07月13日

1 示談交渉の流れ

加害者と被害者との間に面識があり、加害者が被害者の連絡先を知っている場合は、加害者本人が被害者に連絡をして示談交渉をすることも考えられます。

しかし、被害者は加害者本人と会うことを拒絶するケースも多いですし、仮に面談することができたとしても、加害者という落ち度のある立場上、示談交渉は上手く進まないことがあります。

したがって、面識のある被害者との示談交渉も弁護士に依頼をして行うのがベターでしょう。

他方、加害者と被害者との間に面識がない場合には、警察又は検察官に被害者の連絡先を教えてもらう必要があります。

通常、加害者本人に被害者の連絡先を開示してくれることはありませんので、この場合には弁護士に依頼をすることが必要となります。

具体的な示談交渉の進め方としては、まずは謝罪文を被害者に渡して加害者の謝罪の言葉を伝えます。

次に、刑事事件の流れの説明や、示談の一般的な説明、示談が成立した場合に起訴処分、不起訴処分との関係でどのような影響があるかの説明などをします。

その上で、示談金額を提示するとともに、接触禁止などの被害者側の要望を確認します。

そして、示談金額、その他の条件について合意に達したら、示談書を作成し、示談書を締結し、示談金を支払って、示談成立となります。

2 暴行事件の謝罪文の作り方

謝罪文を作成したことが無いという方が圧倒的に多く、雛形を欲しいという依頼者の方がよくおられますし、インターネットで雛形を検索する方もおられます。

しかし、そのような雛形はいかなる事件にも当てはまるような表面的な内容にとどまりますので、そのような謝罪文を被害者に見せると、かえって反感を買うことになります。

そこで、謝罪文を作成する際は、まずは言葉遣いは気にせず、なぜ暴行を振るってしまったのか、被害者にどんな迷惑がかかったと思うか、どうして踏みとどまれなかったのか、二度と過ちを犯さないためにどうするつもりでいるのかなどの内容を考えて書き出します。

そして、その書き出した内容を含める形で謝罪文の体裁にするのが良いでしょう。内容面の過不足や言葉遣いについては、弁護士の添削を受けましょう。

3 示談(和解)が成立すると暴行罪の被害届は取り下げとなる?

示談が成立すれば被害届が取り下げになり、被害届が取り下げになれば、それ以上警察から呼び出しを受けたり、捜査が続くことはないと思われがちです。

被害届は、暴行罪という犯罪があったことを申告するものです。そして、警察は犯罪を認知したときは捜査をする権限があります。

そのため、犯罪を認知した以上は被害者が加害者の処罰を求めない、被害届を取り下げると言ったとしても、警察は捜査を続けることができるのです。

したがって、被害者との間で示談が成立したとしても、必ずしも、その時点で刑事事件が終結するとは限りません。

もっとも、事件発生から間もない段階で、捜査も未だほとんど進んでいない段階であれば、示談が成立し、被害者が被害届を取り下げるという場合には、警察もそれ以上の捜査はせず、刑事事件を終結させることがあります。

また、たとえ刑事事件が終結にならずとも、示談が成立していれば微罪処分といって検察に事件送致はされずに事件が終結する可能性がありますし、特に前科がなければ、検察に事件送致されたとしても起訴処分となる可能性は低いでしょう。

4 暴行事件の示談書の作り方

示談書については、インターネットで検索をすれば雛形が見つかります。

①示談金の金額とその支払い方法、②被害者は被疑者に対して刑事処分を求めないことの表明(あるいは被害届を取り下げることの表明)、③被疑者と被害者の間に債権債務関係がこれ以上ないこと、最低限この3点が入っていれば大丈夫です。

示談書の例文については以下のPDFファイルをご覧ください。

暴行罪の示談書.pdf (131 ダウンロード)

5 暴行罪は示談しないと起訴されるのか?

被疑者が犯行を認めている場合、暴行罪を犯したことは十分に証明できますので、原則として起訴処分となります。

もっとも、暴行罪は、暴力行為はあったものの、傷害結果が生じない程度の比較的軽い暴力行為です。

そのため、比較的軽微な犯罪といえますので、被害者との間で示談が成立していなくても、暴力行為の経緯、理由、被疑者の反省態度、前科の有無等の事情によっては起訴猶予処分(不起訴処分)となる可能性が十分あります。

平成30年の統計ですが、暴行罪については68.3%と高い割合で起訴猶予処分となっています。もちろん、この全てが示談していない事件ではなく、相当な割合で示談が成立している事件が含まれていると考えられます。

6 暴行罪の示談金の金額の相場は?

⑴ 暴行事件の賠償金の内容(慰謝料、治療費、医療費)

暴行事件の損害賠償金の中心は慰謝料です。

もっとも、暴行罪として刑事事件となっているものの中には、打撲やかすり傷など軽い怪我をしているものの、被害者が診断書を警察に出していないために傷害罪ではなく暴行罪として立件されているものがあります。

ですから、暴行罪であっても被害者が医療機関に行って費用を支払っている場合がありますので、そのような場合は治療費、医療費も損害賠償の対象となります。

⑵ 胸ぐらを掴んだ、押した場合の示談金(慰謝料)

典型的な暴行事件として、被害者の胸ぐらを掴んだという事件や、胸のあたりを押したという事件があります。

このようなケースでは被害者が民事で慰謝料請求をした場合、裁判所は10万円以下の慰謝料しか認めない可能性があります。

もっとも、数万円の示談金で被害者が示談に応じるケースは稀で、通常は10万円から20万円ほどの示談金を支払うことになります。

なお、治療費、医療費が発生している場合も、事件直後に1回通院したにとどまるでしょうから、その費用も含めて上記の示談金となります。

⑶ 被害者が健康保険を使った場合

被害者が医療機関で診察、治療を受けた場合、健康保険を使用できます。

健康保険を使用した場合、第三者行為による傷病届を出すことで、自己負担を超える金額については、後日、保険者(市区町村)から加害者に対して請求(求償)が行くことになります。

7 最後に

以上、暴行罪の示談、示談金についてご説明しました。

先ほどご説明しましたとおり、暴行罪は比較的軽微な犯罪ですから被害者と示談が成立していない場合でも必ず起訴処分となるわけではありません。

もっとも、起訴処分となる可能性もやはり十分ありますので、被害者との示談は成立させるべきでしょう。

暴行罪や傷害罪の被疑者となり、逮捕され釈放をして欲しい、被害者と示談をしたいという方は、刑事事件の経験が豊富な弁護士にご相談ください。

この記事を書いたのは

代表弁護士春田 藤麿
愛知県弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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