背任で逮捕!?成立条件や逮捕後の流れ・対応方法を解説
最終更新日: 2023年03月25日
- 背任で逮捕される条件を知りたい
- 背任で逮捕された場合の流れを整理したい
- 背任で逮捕されそうなときにどう対応すればよい?
職務中に逮捕される原因の1つが背任です。背任は会社などに損害を与える行為で、発覚すると重い罰則が科せられる恐れがあります。
ただ、背任の具体的な意味や成立条件について、よくわからない方もいるかもしれません。
また、背任行為が会社に発覚した場合は、速やかな対応が求められます。その対応方法も整理しておきたいところです。
そこで今回は、背任事件に詳しい専門の弁護士が、背任の意味や成立条件、逮捕されそうなときの対応方法などについて解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 背任は、「他人のために事務処理」を行っている者が行わないと成立しない。また、図利加害目的があることも成立条件となる
- 背任罪は未遂でも処罰の対象になる
- まずは示談交渉を行って不起訴を目指す。弁護士と相談して即対応することを心がける
背任の意味は?逮捕されたときの量刑は?
ここでは、背任の基礎知識について、以下の3つを解説します。
- 背任の意味と量刑
- 横領との違い
- 特別背任の意味
それでは、1つずつ解説します。
背任の意味と量刑
背任は、他人のためにある事務処理を行うものが、自分や他者の利益のため、事務処理上有する権限を悪用して属する会社などに損害を与えることです。
たとえば、銀行員がその権限を活用して、返済能力がない者に無断で、無担保の貸付を行うことなどが該当します。
刑法では、背任罪を以下のとおり規定しており、違反すると5年以下の懲役または50万円以下の罰金刑に処せられます。
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横領との違い
背任と混同されやすい用語に、「横領」があります。横領とは、自分が預かっている他人や公共のものを、不法に自分のものとすることです。経理担当者が会社の資産を着服することが、横領の一例になります。
いずれも、他者から与えられた任務の趣旨に反して行うものですが、横領は他者の所有物を不法に取得する行為であるものの、背任はあくまでも任務に背く行為です。そのため、背任では嘘の情報を流して会社に損害を与えるなど、所有物の取得は関係ないケースも考えられます。
なお、会社の資産を不正に着服するなど、横領と背任が同時に成立しうるケースもあり、その場合は慣例上横領だけが成立するケースが多いようです。
特別背任の意味
特別背任は、背任のうち社長など組織のトップ、もしくはそれに近い者が行う背任のことです。高い役職が背任を行う分、一般社会や会社に与える影響がより大きいと考えられ、その分より重い刑罰が課せられます。
また、刑法ではなく会社法で規定されており、10年以下の懲役もしくは1,000万円以上の罰金、またはその両方が課せられます。
出典:会社法(平成十七年法律第八十六号)|e-GOV法令検索
背任が成立する条件とは?成立すると逮捕の恐れ
ここでは、背任が成立する条件について、以下の6つを解説します。
- 他人のため事務処理
- 任務違背行為
- 図利加害目的
- 財産上の損害
- 時効は5年
- 未遂でも処罰
それでは、1つずつ解説します。
他人のため事務処理
背任は、「他人のために事務処理」を行っている者が行わないと成立しません。ここで言う「事務」とは、金銭の管理など財産上の事務を意味します。
任務違背行為
任務違反行為(背任行為)の意味は、通説では「法的にやるべき事務処理に反する行為」と解釈されています。ただ、詳しい定義については、多数の学説が主張されています。
図利加害目的
背任と認められる判断基準の1つが、図利加害目的の有無です。
図利目的 | 自分や他者の利益を図ること |
加害目的 | 誰かに意図的に損害を与えること |
やるべき事務処理に反する行為を行う目的が、両者のうちいずれか、もしくは両方に該当する場合、背任に該当します。
財産上の損害
財産上の損害を与えたかどうかも、背任が成立する条件の1つです。既存の財産が減少する(積極的損害)だけでなく、将来所得しうる利益を失うこと(消極的損害)も、「財産上の損害」に該当します。
時効は5年
背任罪の時効について、以下の表にまとめます。
公訴時効 | 5年 |
民事で不法行為として 損害賠償を請求できる時効 | ・背任行為を知ってから3年 ・背任行為時から20年 |
未遂でも処罰
刑法250条によると、背任罪は未遂でも処罰の対象です。背任罪が未遂か否かは、財産上の損害の有無で判断されます。会社など被害者の全体財産を減少させた場合は、財産上の損害を与えたと判断されるのです。
背任で逮捕された場合の流れ
背任で逮捕された場合の、その後の流れを表にまとめました。
逮捕 | 逮捕から48時間以内に、警察が被疑者を検察官に送致する手続きを行う。 |
送致 | 検察官は、被疑者が送致されてから24時間以内に、被疑者を勾留するか釈放するか決定する。被疑者を勾留する必要があると判断した場合は、裁判官に勾留請求を行う。 |
勾留 | 被疑者の勾留期間は最大10日間とされている。ただ、最大10日間勾留が延長される可能性がある。検察は、被疑者の勾留期間に事件の捜査を進め、被疑者の起訴・不起訴を決定する。 |
起訴 | 被疑者が起訴された場合、保釈されない限り刑事裁判の判決が出るまで身体が拘束される(判決が出るまで、一般的に概ね1か月半程度)。 |
背任で逮捕されそう!?対応方法を解説
ここでは、背任で逮捕されそうな場合の対応方法について、以下の3つを解説します。
- 示談交渉を行う
- 逮捕されたら即対応
- 弁護士に弁護を依頼
それでは、1つずつ解説します。
示談交渉を行う
まずは示談交渉を行いましょう。示談が成立すれば、会社から被害届提出や刑事告訴が行われず、その結果逮捕されなくなる可能性が高まります。
被害額が大きく、賠償金の一括弁償が困難であれば、減額や分割払いが可能か交渉することも考えましょう。
逮捕されたら即対応
逮捕されたら、即対応しましょう。背任罪で逮捕された場合、不起訴など少しでも有利な形で事件を解決するには、証拠集めなど相応の準備が必要です。
即対応することで、1つでも多く準備を進め、速やかかつ有利な形で解決を目指しましょう。
弁護士に弁護を依頼
背任行為が会社に発覚した場合、すぐに弁護士に相談しましょう。示談交渉や証拠集めに加えて、取調べの受け方についてもアドバイスをしてくれます。
また、背任行為に心当たりがない場合は、無罪を主張するために必要なアドバイスもしてくれるでしょう。
まとめ
今回は、背任事件に詳しい専門の弁護士が、背任の意味や成立条件、逮捕されそうなときの対応方法などについて解説しました。
背任事件では、「他人のために事務処理」を行っている者が、図利加害目的で財産の損害を生じさせた場合に成立します。
万が一背任行為を行い、それが会社に発覚した場合は、速やかに対応してまずは示談交渉を行いましょう。そのときには、こまめに弁護士に相談して、確実に証拠集めなどの対応を行っていくことが必要です。
当事務所では、背任事件などの刑事事件に対する経験が豊富な弁護士も在籍しています。まずは気軽に無料相談をしてみてください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。