浮気に対する慰謝料の相場はどれくらい?影響する要素と請求の流れをプロが徹底解説
2024年12月27日
- パートナーが浮気をしていた事実が発覚した。離婚する他に慰謝料も請求したい。
- パートナーに慰謝料を請求する場合、どのくらいの金額が妥当なのだろうか?
- 慰謝料請求額を決めるとき、弁護士に相談したほうがよいのだろうか?
パートナーの浮気が発覚したら、パートナーにも浮気相手にも慰謝料を請求できます。ただし、必ずしも高額な慰謝料が得られるわけではありません。まず適正な金額を算定する必要があります。
そこで今回は、慰謝料請求に豊富なノウハウを持つ専門弁護士が、浮気の慰謝料の相場、浮気の慰謝料を請求する流れ等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 浮気の慰謝料の適正な金額は、婚姻期間や浮気の期間等を考慮して算定される
- 浮気の慰謝料の請求方法は、まず浮気した当事者への通知からはじめる
- 慰謝料請求には時効があるので注意しなければいけない
浮気の慰謝料の相場
浮気の慰謝料は浮気された側・浮気した側で合意すれば、自由に金額を決定できます。一方、浮気(不貞行為)による裁判離婚のときは、ある程度相場が決まっています。
- 浮気したパートナーと離婚する場合の慰謝料:200〜300万円
- 浮気したパートナーと離婚しない場合の慰謝料:50〜100万円
なお、離婚をせず浮気したパートナーに慰謝料請求しても、支払われた金額が夫婦の共有財産となっては、あまり意味がありません。
離婚しない場合はパートナーからの慰謝料分を、浮気された側の固有財産として管理するか、浮気相手のみに慰謝料請求をしたほうがよいでしょう。
浮気の慰謝料相場に影響を与える要素
裁判離婚で命じられた浮気の慰謝料の金額を参考に、ある程度の相場は把握できます。しかし、浮気の内容によって金額を算定していく必要があります。
浮気の内容次第で、相場より高額な慰謝料が認められるケースもあれば、相場よりも非常に低い慰謝料となってしまうケースもあるのです。
婚姻期間
まずはパートナーとの婚姻期間を確認しましょう。
婚姻期間が長期間(5年以上)継続していたものの、浮気によって関係の修復が困難となった場合、浮気した側に高額な慰謝料請求を行える場合があります。
逆に、婚姻期間が5年未満の場合、慰謝料は数十万円〜高くても100万円くらいで、多額の慰謝料は期待できないことでしょう。
子の有無
夫婦間に子がいても、実のところ浮気の慰謝料に大きな影響はありません。
ただし、パートナーと離婚する場合、子が何人いるかで養育費の請求額は異なります。
子を連れてパートナーとの離婚を決意し、子の養育費の充実を優先したいならば、浮気の慰謝料を軽減する代わりに、養育費の支給額を増やすよう交渉しましょう。
養育費の金額は夫婦間の合意があれば自由に設定できます。なお、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」を参考に話し合っても構いません。
浮気の期間・頻度
浮気の期間が10年以上となれば、その分、浮気の慰謝料は高額化します。
パートナーと浮気相手との関係が長期間続いているならば、浮気された側に与える心理的ダメージも大きくなり、その分高額な慰謝料の請求ができます。
一方、浮気期間が数年程度ならば、慰謝料の金額にさほど影響を与えないケースが多いです。
その他に浮気回数(浮気相手との性行為の回数)が多い場合も、高額な慰謝料を請求できます。
ただし、たまたま相手と勤務先のイベント等で知り合い、その後ホテルで1回だけ性行為をして別れたというケースもあるでしょう。この場合、裁判所から慰謝料請求が認められても、低額にとどまる可能性はあります。
相手の妊娠
パートナーが浮気をした結果、妊娠・出産した場合でも、基本的に慰謝料の算定への影響はわずかです。
ただし、浮気された側にどの程度、大きな影響を及ぼしたかで、慰謝料の金額は変わってきます。
浮気相手との性行為の結果、パートナーが妊娠・出産させた(した)という事実を知り、浮気された側が精神的苦痛を受ける場合もあります。
浮気された側が深刻なうつ病となり、医療機関に入院・治療をしたという場合は、浮気した側に多額の慰謝料請求が可能となるでしょう。
別居・離婚の有無
浮気が原因でパートナーと別居・離婚した場合、慰謝料は高額化する傾向にあります。
浮気が夫婦の婚姻継続に致命的な結果を与えている以上、浮気したパートナーは重い賠償責任を受ける可能性があります。
ただし、浮気当時から夫婦関係がすでに破綻・別居していたならば、裁判では慰謝料の請求が認められても、非常に低額にとどまるケースが多いです。
浮気の慰謝料を請求する流れ
浮気の慰謝料の金額をどのように決めるかは夫婦の話し合い次第です。ただし、パートナーが慰謝料の支払いを頑なに拒否する場合、今後の離婚手続きにも影響が出てくることでしょう。
最終的には離婚訴訟で慰謝料の問題についても解決が図れます。ただし、交渉により迅速に解決したい場合は、弁護士へ相談し助言やサポートを受けたほうがよいです。
弁護士への相談
浮気したパートナーと慰謝料について交渉するのが不安なら、まず法律の専門家である弁護士に相談してみましょう。
弁護士は浮気の内容、夫婦関係の状況等をヒアリングし、次のような助言を行います。
- 慰謝料の金額を算定するときの判断要素:浮気の期間や回数、婚姻期間等
- 現在状況で算定した慰謝料の目安
- 浮気の証拠を集めるポイント
- 交渉で解決する場合、浮気したパートナーから譲歩を引き出すコツ
- 協議離婚のポイント
- 慰謝料の交渉が決裂した場合の対応
パートナーの浮気が原因で別居しているなら、離婚や慰謝料の交渉は弁護士に依頼しましょう。
弁護士が交渉役となれば、直接交渉して不快な気分になる事態を避けられ、理性的な話し合いが進められます。
証拠収集
パートナーへ浮気の慰謝料を請求する前に、浮気の証拠を可能な限り集めておきましょう。
高額な浮気の慰謝料を請求するには、パートナーと浮気相手との性行為の証拠が必要です。
性行為の証拠には、次のような画像や書類等があげられます。
- パートナーと浮気相手の性行為画像、動画、音声
- パートナーと浮気相手の性行為が推認可能な画像や動画
- 浮気が原因で妊娠や出産、中絶をした証明書
パートナーと浮気相手の性行為を示す証拠は、収集が非常に難しいです。ただし、スマートフォン等に浮気当事者が画像・動画・音声を記録し、保管している場合もあります。
また、性行為が推認可能な画像や動画とは、2人でラブホテルに出入りしている画像・動画が該当します。
なお、妊娠や出産、中絶に関する証明書は、すでに浮気当事者が破棄、隠匿している可能性が高いです。
パートナーに浮気を問いただしたり、離婚訴訟を提起したりして、浮気の慰謝料を請求する場合は、性行為または性行為が推認可能な画像・動画の証拠を揃える必要があります。
確実な証拠の撮影は非常に難しいので、探偵に浮気調査の依頼を検討したほうがよいでしょう。
内容証明郵便
弁護士と相談し、浮気の証拠も掴んだら、別居しているパートナーやパートナーの浮気相手に、まずは「内容証明郵便」で慰謝料請求を通知しましょう。
弁護士が代理人となっているなら、弁護士に作成・送付を任せても構いません。
通知内容には次の事項を記載しましょう。
- 慰謝料の金額
- 慰謝料支払方法や支払期日
- 期日までに支払いが確認できないとき、法的措置をとると明記
内容証明郵便で通知すれば、浮気当事者に心理的なプレッシャーを与えられる他、慰謝料請求をしたという証拠にもなります。
法的措置をおそれた浮気当事者は、請求に応じたり、交渉を申し出たりする場合があります。
示談交渉
浮気したパートナーとは慰謝料を含めた離婚交渉(協議離婚)、浮気相手とは慰謝料に関する示談交渉が可能です。
パートナーの浮気の証拠を掴んでいる以上、有利に交渉が進められることでしょう。ただし、離婚交渉では慰謝料の他に財産分与や、養育費・面会交流等、様々な取り決めを行わなければいけません。
夫婦間で離婚条件に合意した後、「離婚協議書」を2通作成し双方が大切に保管します。合意後、忘れずに市区町村役場へ離婚届の提出も必要です。
一方、浮気相手との示談交渉を行う場合の他、パートナーと離婚しないで慰謝料だけ支払わせる場合は、次のような取り決めを行いましょう。
- 浮気した側が謝罪し、二度と相手と浮気をしないと誓う
- 浮気の慰謝料の金額、支払方法、支払期限の明記
- 示談成立後、互いに浮気問題を蒸し返さないと誓う
- 示談の約束を破った場合、慰謝料請求訴訟または離婚訴訟を行う旨
示談が成立した場合も「示談書」を2通作成し、双方が大切に保管します。
調停
浮気したパートナーや、パートナーの浮気相手との話し合いで、慰謝料の問題が解決できなければ調停に移りましょう。
- 浮気したパートナー:家庭裁判所で「夫婦関係調整調停(離婚)」を申し立てる
- 浮気相手:地方裁判所または簡易裁判所(慰謝料等の金額が140万円以内の場合)に、「損害賠償請求(慰謝料請求)調停」を申し立てる
調停では、調停委員が和解案を提示する等して、和解の成立に尽力します。双方の和解が成立した場合は和解調書を作成します。
訴訟
浮気したパートナーや、パートナーの浮気相手との調停が不調に終わった場合、裁判所に訴訟を提起し問題の解決を図ります。
- 浮気したパートナー:家庭裁判所に「離婚訴訟」を提起する
- 浮気相手:地方裁判所または簡易裁判所(慰謝料等の金額が140万円以内の場合)に、「損害賠償請求訴訟」を提起する
訴訟では、原告・被告となった紛争当事者が互いの言い分を主張・立証します。なお、浮気相手に対しては示談交渉や調停をせずに、いきなり訴訟を提起しても構いません。
浮気の慰謝料の相場に関連する質問
浮気の慰謝料に関するよくある質問へ回答します。
浮気の慰謝料は浮気したパートナー、パートナーの浮気相手いずれにも請求可能です。ただし、いつでも請求できるわけではない点に注意しましょう。
慰謝料請求の時効はあるか
慰謝料請求には時効があるので注意しましょう。
次の期間が経過すると、浮気したパートナー、パートナーの浮気相手に対する慰謝料請求権は消滅します(民法第724条)。
- 時効期間:浮気を知った日から3年
- 除斥期間:浮気があった日から20年
たとえパートナーの浮気を知らない状態でも、20年が経過したら、慰謝料請求権は消滅してしまいます。
浮気相手への直接請求は可能か
パートナーの浮気相手に対する慰謝料請求も可能です。
慰謝料請求は通知やメールでも構いませんが、内容証明郵便で送付すると、浮気相手に心理的なプレッシャーを与えられる他、請求の事実を証明できます。
また、損害賠償請求(慰謝料請求)調停や損害賠償請求訴訟でも解決を図れます。
ただし、慰謝料請求には制約があるので注意しましょう。
たとえば浮気当事者に対する浮気の慰謝料の金額が200万円の場合、浮気したパートナーと浮気相手に200万円ずつ請求し、合計400万円を取得する方法は認められません。
200万円の範囲内で浮気したパートナーおよび浮気相手、またはどちらか一方への請求にとどまります。
慰謝料を分割で受け取ることは可能か
慰謝料を受け取る側と支払う側の合意により、慰謝料の分割受け取りも可能です。
ただし、一括で受け取らないと、支払う側が慰謝料の支払いを拒んだり、支払いが遅延したりする事態も想定されます。
慰謝料の分割受け取りを交渉するときは、前もって弁護士の意見を聞いてから対応したほうがよいです。
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※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。