児童買春における自首とは?メリットや刑罰について弁護士が詳しく解説
最終更新日: 2023年07月12日
- 児童買春で自首するメリットは?
- 児童買春で問われる刑罰は?
- 児童買春で自首するときには弁護士に相談したほうがいい?
お金などの金品を渡して18歳未満の児童と性交渉をした場合は、児童買春罪という犯罪が成立します。児童買春をしたことを深く反省し、自首を検討している人もいるかもしれません。
そこで本記事では、児童買春事件に詳しい専門弁護士が、児童買春の犯罪に関与した場合に自首するメリット・児童買春の刑罰・自首するときに弁護士に相談すべき理由を詳しく解説します。
- 児童買春で自首すると減刑される可能性がある
- 自首を弁護士に相談すると法的なサポートを受けられる
- まずは児童買春事件の実績が豊富で交渉力のある弁護士に相談することが大切
児童買春における自首とは
ここでは、児童買春における自首について、以下の3つに分けて解説します。
- 自首の定義
- 自首の成立要件
- 出頭との違い
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
自首の定義
自首は、犯人が犯罪を行ったことを捜査機関に発覚する前に、自ら警察に名乗り出る行為のことを言います。刑法では、自首をしたときには、以下の通りと定められています。
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
自首の成立要件
自首が成立するためには、以下の3つの成立要件をすべて満たさなければなりません。
- 自首する前に被疑者の犯罪が捜査機関に知られていないこと
- 捜査機関に対して罪を申告すること
- 自己の処分を委ねるための申告であること
自首は自己の処分を委ねるときのみに成立します。取調べや職務質問をされたときに、単純に児童買春をしたことを自白しても自首にはなりません。犯罪事実の一部を隠すための行為や、自分の責任を否定するようなものだった場合も、自首にはあたりませんので注意が必要です。
たとえば、自分が関わった児童買春事件について、被害者から被害届が提出されており、捜査が開始されていた場合、被疑者の犯罪は捜査機関に知られているため、自首とはなりません。
出頭との違い
自首と似た言葉に出頭があります。出頭は、自ら出向くことを意味する言葉で、法律的には自首と出頭は異なります。
たとえば、すでに被疑者として特定されている人が警察に出向いた場合は、自首ではなく出頭です。
児童買春で問われる刑罰は?自首する前の知識
児童買春の犯罪行為をしたときには、どのような刑罰が科されるのでしょうか。ここでは、児童買春で問われる罪に関して、以下の3つを詳しく解説します。
- 児童買春とは
- 児童買春の法定刑は
- 児童買春でなくても犯罪になる場合は
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
児童買春とは
児童買春とは、18歳未満の児童に、金品などの対価を支払って性行為などを行う犯罪です。児童買春を禁止する法律は、児童の性的搾取を防止し、児童の権利を保護するために制定されました。
また、児童買春に関与する者を処罰することで、社会的にも問題視されている人身売買や児童ポルノなど、様々な犯罪との関連性を断つことも目的としています。
出典:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第四条|e-GOV法令検索
児童買春の法定刑は
児童買春の法定刑は、5年以下の懲役または300万円以下の罰金です。
児童買春でなくても犯罪になる場合は
児童買春でなくても犯罪になる場合があります。児童買春が成立するには、金品の受け渡しや約束が条件です。しかし、金品の受け渡しがなくても、18歳未満の児童と性行為をした場合は、青少年保護育成条例違反に該当するケースが多いでしょう。
青少年保護育成条例は、47都道府県すべてにおいて整備されており、その中で児童との淫行が禁止されています。
児童買春の罪で自首するメリット
児童買春の罪で自首することで考えられるメリットには、以下の3つがあります。
- 刑が軽くなる可能性がある
- 逮捕を回避できる可能性がある
- 不起訴となる可能性が高くなる
それぞれについて見ていきましょう。
刑が軽くなる可能性がある
児童買春の罪で自首するメリットの1つ目は、刑が軽くなる可能性があることです。どの程度、刑が軽くなるかは法定刑の内容によって異なります。
有期懲役もしくは禁錮の場合、刑期を2分の1に、罰金の場合も2分の1に減刑するというのが刑法の規定です。児童買春の場合、5年以下の懲役または300万円以下の罰金であるため、2年6か月以下の懲役、または150万円以下の罰金となる可能性があります。
しかし、自首をした場合は必ず刑が軽くなるわけではありません。自首に至った経緯や内容などによっても異なります。
逮捕を回避できる可能性がある
児童買春の罪で自首するメリットの2つ目は、逮捕を回避できる可能性があることです。逮捕というのは、捜査機関が逃亡の恐れや証拠隠蔽を行う可能性があると判断したときに行うものです。
児童買春で自首した場合、逃亡や証拠隠蔽の恐れがないと判断され、逮捕されず身柄が拘束されない在宅捜査となる可能性も出てきます。逮捕されなかった場合は、実名報道されることは少ないため、世の中に児童買春をしたことが公表されずに済むでしょう。
不起訴となる可能性が高くなる
児童買春の罪で自首するメリットの3つ目は、不起訴となる可能性が高くなることです。自首をすると、捜査機関や裁判官に対して、自分の罪を認めて反省していることを示すことができます。
自首の内容によっては、起訴された場合にも、懲役の期間が短くなるなど有利に働く可能性が高まるでしょう。
児童買春で自首するときに弁護士に相談すべき理由
児童買春で自首するときには、自ら一人で警察に出向く場合と、弁護士に依頼して同行してもらう場合の2通りがあります。弁護士に相談すべき理由には、以下3つがあります。
- 自首に同行してもらえる
- 被害者側との示談交渉がスムーズになる
- 無罪・減刑を主張する場合のサポートが受けられる
それぞれについて見ていきましょう。
自首に同行してもらえる
児童買春で自首するときに弁護士に相談すべき理由の1つ目は、自首に同行してもらえることです。児童買春犯罪を行ったときに自首をすると逮捕されない可能性がありますが、弁護士が同行することで、さらに逮捕されない可能性が高まります。
逮捕されなければ勾留されない可能性が高いため、身柄を拘束されずに捜査や取り調べを受けることも考えられます。
被害者側との示談交渉がスムーズになる
児童買春で自首するときに弁護士に相談すべき理由の2つ目は、被害者側との示談交渉がスムーズになることです。児童買春は、被害者のいる犯罪であるため、示談交渉が可能です。
児童買春による示談交渉では、被害児童の保護者に対して交渉する必要があり、被疑者が直接交渉を申し入れると、応じてもらえないことも考えられます。しかし、弁護士を通じて示談交渉を行うことで、冷静に交渉を進められるということもあるでしょう。
示談交渉が成立し、被害者が罪を問わないとしていて被疑者が反省していることを示すことが可能なら、不起訴になることも考えられます。不起訴となれば前科はつきません。
そのため、弁護士を通じての、被害者との示談交渉は非常に重要です。
無罪・減刑を主張する場合のサポートが受けられる
児童買春で自首するときに弁護士に相談すべき理由の3つ目は、無罪・減刑を主張する場合のサポートが受けられることです。
児童買春の犯罪では、18歳未満の児童であると認識していなかった場合は犯罪が成立しないことがあります。たとえば、相手に18歳以上だと嘘をつかれ、それを立証できるような証拠があった場合には、児童買春が成立しない可能性もあります。
ただし、児童買春で罪にならなくても青少年保護育成条例の禁止にあたる可能性もあることを理解しておきましょう。
まとめ
本記事では、児童買春事件に詳しい専門弁護士が、児童買春の犯罪に関与した場合に自首するメリットや刑罰、自首するときに弁護士に相談する理由を詳しく解説しました。
児童買春事件で自首をすると、逮捕されない可能性や減刑される可能性が高まります。自首は、自分一人で行うよりも弁護士に相談して同行してもらいましょう。事前に相談することで、示談交渉など法的なサポートを受けられます。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。