【弁護士監修】児童買春で示談はできる?関連する罪や注意点も解説

最終更新日: 2023年03月25日

【弁護士監修】児童買春で示談はできる?関連する罪や注意点も解説

  • 児童買春とは?関連する罪には何がある?
  • 児童買春では示談をしたほうがいい?
  • 児童買春で示談をするときの注意点は?

お金などの金品を渡して18歳未満の児童と性交渉をするなどの行為は、児童の人権を侵害する極めて重大な犯罪とされ、法律で厳しく取り締まられています。児童買春の罪で逮捕され、相手との示談を検討しているということもあるでしょう。

そこで本記事では、児童買春事件に詳しい専門弁護士が、児童買春で示談をするメリットや刑罰、示談交渉を弁護士に相談する理由を詳しく解説します。

  • 児童買春に関連する罪には青少年健全育成条例違反や児童ポルノ法違反などがある
  • 児童買春の示談交渉を弁護士に相談すると法的なサポートを受けられる
  • まずは児童買春事件の実績が豊富で交渉力のある弁護士に相談することが大切

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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児童買春になる場合とは?示談の前の知識

児童買事件に関わったときの、以下の2つの場合について解説します。

  • 児童買春になる場合
  • 児童買春にならない場合

それぞれについて詳しく解説します。

児童買春になる場合

児童買春は以下のようなケースで罪に問われます。

  • 18歳未満の者と性交をした
  • 18歳未満の者と性交をするために買春を仲介した、または提供した
  • 18歳未満の者にわいせつな行為をした

児童買春は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」で厳しく取り締まられています。なお、この法律では、18歳未満の者を対象としたわいせつな行為や児童ポルノの製造・所持・提供・販売なども禁止されています。

出典:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第四条|e-GOV法令検索

児童買春にならない場合

児童買春罪が成立するには、性交渉を行ったときに相手が18歳未満であったことの認識(故意)が必要です。

そのため、相手が本当は18歳未満であったにもかかわらず18歳以上だと嘘をつき、18歳以上だと認識した上で相手とわいせつな行為や性交渉をした場合は、児童買春罪が成立しにくいことがあります。

ただし、相手の見かけや言動から、少しでも相手が「18歳未満かもしれない」と頭をよぎった場合は故意が認められ、罪に問われる場合が多いでしょう。児童買春行為は、児童の性的搾取を行う重大な犯罪であり、法律的にも厳しく取り締まられています。

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児童買春に関連する罪!示談に関わる知識

児童買春に関連する罪には、以下の5つがあります。

  • 児童買春罪
  • 青少年健全育成条例違反
  • 出会い系サイト規制法違反
  • 強制わいせつ・強制性交等罪
  • 児童ポルノ所持罪・製造罪

それぞれについて詳しく説明します。

児童買春罪

児童買春に関連する罪の1つ目は、児童買春罪です。

児童買春罪は、18歳未満の児童と性交渉をするため、金銭や物品を提供した場合や、性交渉をするため、仲介業者を通じて金銭や物品を提供した場合などに成立する犯罪です。

5年以下の懲役刑または500万円以下の罰金が科されます。

出典:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律 第四条|e-GOV法令検索

青少年健全育成条例違反

児童買春に関連する罪の2つ目は、青少年健全育成条例違反です。金銭や物品などの対価がなくても、18歳未満の児童に対して性的行為を行うと、青少年健全育成条例違反となります。

青少年健全育成条例違反の罰則は自治体により異なります。たとえば、東京都の場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金刑が科されます。

出典:東京都青少年の健全な育成に関する条例施行規則 第十八条の六|東京都例規集データベース

出会い系サイト規制法違反

児童買春に関連する罪の3つ目は、出会い系サイト規制法違反です。

掲示板やアプリを含むインターネット上のサイトで、児童に性交等の相手になるように誘導する書き込みをすると、出会い系サイト規制法違反の犯罪が成立します

刑罰は、100万円以下の罰金です。

出典:インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律施行規則|e-GOV法令検索

強制わいせつ・強制性交等の罪

児童買春に関連する罪の4つ目は、強制わいせつ・強制性交等罪です。

13歳以上の男女に対して、相手の意思に反して、体の一部を強制的に触るなどして、わいせつな行為をした場合に成立します。

相手が13歳未満だった場合は、暴行や脅迫をしていなくても犯罪行為となります。6か月以上10年以下の懲役が科されます。

強制性交等罪は、相手の同意を得ずに、性交や性交に準ずる行為を強制することを禁じた罪です。相手が13歳未満の児童だったときにも成立します。刑罰は、5年以上の有期懲役です

出典:刑法 第百七十六条 第百七十七条|e-GOV法令検索

児童ポルノ所持罪・製造罪・提供罪

児童買春に関連する罪の5つ目は、児童ポルノ所持罪・製造罪・提供罪です。

児童ポルノとは18歳未満の裸体や性的な姿を記録した写真や動画などのことで、これらのものを所持・製造・提供などした場合に成立する犯罪です。

所持罪で1年以下の懲役または100万円以下の罰金、製造罪で3年以下の懲役または300万円以下の罰金、提供罪で3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。

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児童買春で示談はしたほうがいい?

児童買春犯罪を行った場合は示談をしたほうがいいのでしょうか。ここでは、以下の3つに分けて解説します。

  • 示談をする意義は
  • 示談の流れは
  • 示談金の相場

それぞれについて詳しく説明します。

示談をする意義は

児童買春事件において示談をするかどうかは、状況によって異なります。

一般的には、示談とは、犯罪の加害者側が被害者と話し合って謝罪や被害を弁償することにより、犯罪について許してもらうことです示談が成立すると、起訴されない可能性も出てきます。示談によって、被害者やその家族と加害者が和解し、事件が早期に解決することが期待されます。

ただし、児童買春は犯罪であり、その被害は被害者やその家族だけでなく社会全体に及ぶ問題です。事件を示談で処理する場合でも、被害者やその家族の意見を十分に聞き、事件の真相を明らかにすることが大切です。

また、示談をする場合でも、警察や検察の立場によっては、公訴を提起することがあります。そのため、事件が示談で処理された後でも、法的な問題が発生する可能性があることを理解しておく必要があります。

最終的に、児童買春事件において示談をするかどうかは、被害者やその家族と相談し、法律の専門家のアドバイスを受けるなどして慎重に判断することが重要です。

示談の流れは

児童買春事件において示談をする場合の一般的な流れは以下の通りです。

  • 弁護士が捜査機関に被害者に示談の申し入れを希望していることを伝える
  • 捜査機関は、加害者の弁護士が示談の申し入れのために連絡を取って話したい旨を伝えて、連絡先を伝えてよいか被害者側に聞く
  • 被害者側が了承した場合、捜査機関が弁護士に被害者側の連絡先を伝える
  • 弁護士が被害者側に連絡をして示談の申し入れを行う

被害者側に断られれば、示談の交渉は行えません。特に、被害者やその家族が示談に同意するかどうかは、被害の内容や状況によって異なるため、弁護士など法律の専門家に相談することをおすすめします。

示談金の相場

児童買春事件において示談が成立する場合、加害者は被害者に対して賠償金を支払うことになりますが、その金額は、以下のような要因によって変わります。

  • 被害の内容や程度
  • 示談が成立するまでの期間
  • 被害者やその家族が求める金額
  • 加害者の経済状況

一般的には、示談金の金額は事件の状況によって異なるため、個別のケースによって異なります。犯罪が悪質ではなかった場合、示談金は30万円〜50万円程度になることも考えられますが、悪質な場合は、100万円から300万円までの示談金となることもあります。

また、示談金の額が高額になりすぎると、加害者側が支払い不能に陥る可能性があるため、個々の事件の状況に応じた妥当な金額が提示されることが多いでしょう。

児童買春の示談に関する注意点

児童買春事件で示談を行うときには、以下2つについて注意する必要があります。

  • 示談の相手は被害者の保護者である
  • 示談成立後も起訴される可能性はある

それぞれについて詳しく説明します。

示談の相手は被害者の保護者である

児童買春事件で示談を行うときの注意点の1つ目は、示談の相手は被害者の保護者であることです。児童買春事件の被害者は未成年であるため、示談交渉は、児童の法定代理人である保護者が行います。

児童買春事件では、通常、保護者は、自分の子どもが児童買春をしたとなれば、相手に対して怒りの感情を持ちます。示談を申し入れたところで、話し合いに応じてもらえないことも少なくありません。

そこで、児童買春罪での示談交渉を弁護士が行うと、被害者側の心情にも配慮しながら話し合いを進めることが可能です。加害者が反省している状況を伝えて、冷静に示談交渉を行うためにも、弁護士に依頼することをおすすめします。

示談成立後も起訴される可能性はある

児童買春事件で示談を行うときの注意点の2つ目は、示談成立後も起訴される可能性はあることです。

児童買春事件では、被害者や社会に対する犯罪行為の責任が問われるため、示談が成立したからといって必ず起訴されないわけではありません。

まとめ

本記事では、児童買春事件に詳しい専門弁護士が、児童買春で示談をするメリットや刑罰、示談交渉を弁護士に相談する理由を詳しく解説しました。

児童買春では、示談をしたとしても起訴される可能性があります。しかし、示談が成立すれば、最終的な刑の重さにも影響を与える可能性が高いでしょう。

相手方の心情に配慮しながら、適切な内容で示談交渉を進めるためには弁護士の協力が欠かせません。

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