児童買春で逮捕されたときの刑罰は?逮捕後の流れとリスクも解説

最終更新日: 2023年03月25日

児童買春で逮捕されたときの刑罰は?逮捕後の流れとリスクも解説

  • 児童買春で逮捕されたときの刑罰は?
  • 児童買春で逮捕されるとどうなる?
  • 児童買春で逮捕されたときのリスクは?

お金などの対価を支払う見返りとして、児童と性交渉を持つことを児童買春(じどうかいしゅん)といい、この行為は、児童買春・児童ポルノ禁止法により禁止されています。

児童買春の行為には関連する法律がいくつもあり、どの罪に問われる犯罪行為なのか分からないこともあるでしょう。

そこで本記事では、刑事事件に詳しい専門弁護士が、児童買春で逮捕されたときの刑罰や、逮捕された後の流れ、逮捕されたときのリスクまで詳しく解説します。

  • 児童買春で逮捕されると懲役や罰金などの刑が科される可能性がある
  • 逮捕されると身柄を拘束されて取調べを受ける
  • まずは児童買春事件の実績が豊富で交渉力のある弁護士に相談することが大切

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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児童買春で逮捕された場合の刑罰

児童買春で逮捕され、有罪判決が出た場合には、以下の4つの刑罰が科される可能性があります。

  • 児童買春罪
  • 青少年健全育成条例違反
  • 強制わいせつ罪・強制性交等罪
  • 児童ポルノ所持・製造・提供罪

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

児童買春罪

児童買春罪は、児童などにお金などの対価を渡して性交などをしたときに成立する犯罪です。児童買春・児童ポルノ禁止法の児童買春罪が成立した場合、5年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。

ここでいう児童とは、18歳未満の子供のことをいいます。対価の提供や約束がなかった場合や、性的な行為がなかった場合には、児童買春にはあたりません。

ただし、青少年健全育成条例違反など、他の複数の犯罪が成立する可能性があるため注意が必要です。

出典:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第四条|e-GOV法令検索

青少年健全育成条例違反

18歳未満の児童と性交をすると、青少年健全育成条例違反となる場合があります。児童買春との違いは、金銭の受け渡しの有無です。

たとえば、東京都の青少年保護育成条例では、2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。条例名や内容は自治体ごとに違いがありますが、青少年との性交またはみだらな性行為については、同様の罰則が設けられています

出典:東京都青少年の健全な育成に関する条例施行規則 第十八条の六|東京都例規集データベース

強制わいせつ罪・強制性交等罪

性交渉をした児童が13歳未満の児童だった場合、刑法第176条に定められている強制わいせつ罪、同第177条の強制性交等罪が成立する可能性があります

なお、13歳以上だった場合でも、暴行や脅迫をして性交などをした場合は、強制わいせつ罪、強制性交等罪に該当する可能性があります。

強制わいせつ罪の刑罰は、6か月以上10年以下の懲役、強制性交等罪の刑罰は、5年以上20年以下の懲役です。

出典:刑法 第百七十六条,第百七十七条|e-GOV法令検索

児童ポルノ所持・製造・提供・公然陳列罪

児童と性交等をした様子や、児童の裸体などを写真や動画などに記録した場合には、児童ポルノの製造罪、所持罪が成立する可能性があります他人に児童ポルノを提供した場合は、同様に提供罪です

また、不特定多数の者に提供又は公然と陳列した場合は、公然陳列罪になる可能性があります。

児童ポルノの所持罪は、1年以下の懲役刑または100万円以下の罰金に処されます。

児童ポルノの提供及び提供目的の所持・製造罪は、3年以下の懲役刑または300万円以下の罰金です。

児童ポルノの公然陳列罪は、より重く、5年以下の懲役刑または500万円以下の罰金に処されます。

出典:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第七条|e-GOV法令検索

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児童買春で逮捕された後の流れは

児童買春で逮捕された後の流れは、以下の5つの項目の通りです。

  • 取調べ
  • 勾留請求の判断
  • 勾留
  • 起訴・不起訴
  • 刑事裁判

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

取調べ

児童買春で逮捕された場合、身柄を拘束されて被疑者として警察の取調べを受けます。警察の取調べでは、犯行の内容、犯行に至るまでの経緯、状況などの聞き取りが主な内容です。

供述した内容を元に、供述調書が作成され、逮捕から48時間以内に、被疑者と捜査書類、証拠物が検察官に送致されます

被疑者が初犯の場合で、身元が判明しており逃亡の恐れがなく、深く反省している場合は、身柄が解放される場合もあるでしょう。その場合は書類送検とされ、供述調書などの捜査書類のみが検察官に送致されます。その後も、在宅事件として捜査は続きます。

勾留請求の判断

検察官に送致された後は、検察官が被疑者に対して聞き取りを行います。検察官は、送致から24時間以内に、被疑者の勾留請求の要否を判断しなければなりません逮捕から取調べ、検察官への送致を経て、勾留が請求されるまでにかかる時間は、72時間です。

被疑者に前科・前歴がなく、犯罪行為を全面的に認め、身元が明らかになっている場合は、勾留請求を行わない可能性もあります。

一方、被疑者が初犯ではなく、児童買春を否認する場合、さらに捜査が必要だと判断され、勾留請求がなされます。そして、裁判官も勾留請求を認める可能性が高いでしょう。

勾留

勾留請求が裁判官に認められると、被疑者は身柄を拘束され、10日間、警察署の留置場で過ごします。このとき、被疑者が犯罪を否認し続け、他にも余罪が考えられる場合は、さらなる捜査が必要とされ、検察官は勾留延長を請求することになるでしょう。

初回の勾留期間は10日間ですが、10日間で捜査が十分ではないと判断された場合は、最大20日間まで延長されます。被疑者が否認をし続けていると、勾留が延長されるケースがほとんどです。

起訴・不起訴

検察官は、通常、逮捕してから23日が経過する前に、起訴・不起訴の判断をします。起訴となった場合は、刑事事件として裁判の手続きが行われ、被疑者ではなく被告人となります。

検察官により罰金刑が相当と判断され、その手続きに被疑者が同意した場合は、略式起訴として刑事手続きが終わり、釈放されます。一般的に、正式な裁判は開かれません。

略式起訴は、100万円以下の罰金や科料となる事件で可能ですが、被疑者には前科がつきます。これは、通常裁判により有罪判決が下された場合と同様です。前科・前歴がなく児童買春で逮捕された場合は、略式起訴で罰金が科されるケースが多く見られます。

一方で、検察官により不起訴処分となった場合、刑事裁判にはならずそのまま身柄は解放されます。再度、逮捕される可能性は極めて低いと言えます。

刑事裁判

児童買春の被害者児童が中学生以下などの場合や、余罪が複数もあった場合、前科・前歴がなくても公判請求されることも珍しくありません。

刑事裁判となった場合は、検察官の起訴からおよそ1〜2か月後に、1回目の公判が行われます。被告人は、必ず公判に出廷しなければなりません。公判では、検察と弁護人の証拠などをもとに、裁判官が判決を下します。刑事裁判で有罪の判決を受けると、前科がつきます。

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児童買春で逮捕された場合に懸念される事態

児童買春で逮捕されたときには、刑罰以外にも大きな社会的制裁を受ける可能性があります。代表的なものには、以下の3つのリスクが考えられます。

  • 報道される可能性がある
  • 家族・職場・学校に知られる
  • 職場を解雇されることがある

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

報道される可能性がある

児童買春で逮捕された場合、被疑者が大企業の社員や公務員などで、社会的な影響力があった場合、テレビやネットニュース、新聞などで報道される恐れがあります。

また、報道されなかったとしても、勤務先の企業や自治体から、逮捕されたことが公表されることも考えられます。

家族・職場・学校に知られる

テレビやネットニュースで報道された場合は当然ですが、そうでなくても家族や職場、学校に事件への関与が知られる場合が多いでしょう。

前述した通り、逮捕や勾留をされた後は、突如、最大で23日間、連絡手段が絶たれ、音信不通状態となってしまいます。逮捕されて無断欠勤や無断欠席が続けば、体調不良などを理由にすることは、事実上不可能です。

職場を解雇されることがある

児童買春で逮捕された場合、職場を解雇される恐れがあります。企業としては、社員が児童買春で逮捕されたという事実があれば、報道メディアなどの対応に追われることになるでしょう。

コンプライアンスが重視されている現代では、逮捕された社員に何の処分も行わなければ、企業としての責任や価値、評価が低下してしまいかねません。そのため、逮捕された人は懲戒処分がなされるケースがほとんどだと言えます。

懲戒処分の例としては、減給や停職などになる可能性もありますが、多くの場合、懲戒解雇でしょう。懲戒解雇されると、基本的には退職金は支給されません。

また、離職票には重責解雇と記載され、再就職にも悪影響を及ぼします。失業保険の受給でも不利益になるでしょう。

児童買春事件で逮捕されるときの弁護士の対応

児童買春での逮捕について弁護士に相談すると、在宅捜査や不起訴に向けた対応や刑事弁護活動をしてもらえます。児童買春の場合は、被害者がいる犯罪であることから、示談に向けた活動が可能です。

しかし、児童買春では、被害児童や児童の保護者と示談をしても、処罰される可能性はあります。

不起訴の獲得を目指すには、示談だけでなく検察官へ、意見書や証拠の提出をするなど、主張を一つ一つ丁寧に行っていく必要があります。意見書の作成には、弁護士の協力が欠かせません。

まとめ

本記事では、刑事事件に詳しい専門弁護士が、児童買春で逮捕されたときの刑罰や、逮捕された後の流れ、逮捕されたときのリスクまで詳しく解説しました。児童買春は、被害者が未成年であるという特徴から、示談交渉が非常に難しいことが考えられます。

被害者のいる事件で不起訴処分を目指すには、弁護士の存在が非常に重要です。児童買春の実績を持つ弁護士に、ご自身の事情を説明し、相談してみてはいかがでしょうか。

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