セックスレスの慰謝料相場は?請求できる条件と証拠集めを解説

最終更新日: 2026年04月13日

セックスレスで慰謝料は請求できる?できない?すべきことも詳しく解説

「パートナーが応じてくれない」
「夫婦なのに、もう何年も性交渉がない…」
このようなセックスレスの状態は、心に大きな影を落とし、夫婦関係そのものを揺るがす深刻な問題です。

精神的な苦痛が限界に達し、離婚や慰謝料について考え始める方も少なくありません。

この記事では、セックスレスを理由に慰謝料を請求できるのか、その場合の相場や認められるための条件、具体的な請求方法について、法律の専門知識がない方にも分かりやすく解説します。

一人で悩まず、正しい知識を身につけて次の一歩を踏み出しましょう。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士
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目次

セックスレスは離婚や慰謝料請求の理由になるのか?

結論から言うと、セックスレスは離婚や慰謝料請求の正当な理由になり得ます。

ただし、単に「性交渉がない」という事実だけでは不十分で、いくつかの条件を満たす必要があります。

まずは、セックスレスの定義と法的な位置づけについて理解を深めましょう。

セックスレスの定義

法律上で「セックスレス」の明確な定義はありません。

しかし、一般的には「特別な事情がないにもかかわらず、夫婦の合意なく性交渉が長期間(目安として1ヶ月以上)ない状態」を指します。

重要なのは、病気や多忙といったやむを得ない理由がなく、かつ夫婦の一方が性交渉を望んでいるにもかかわらず、もう一方が拒否しているという点です。

セックスレスは法的な離婚理由になる?

はい、なります。民法で定められた離婚理由(法定離婚事由)の一つに「その他婚姻を継続し難い重大な事由」というものがあります。

夫婦間の性交渉は、婚姻生活における重要な要素の一つと考えられています。

そのため、正当な理由のない一方的な性交渉の拒否が長期間続き、その結果として夫婦関係が修復不可能なほど冷え切り、破綻してしまった場合には、この「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すると判断され、離婚や慰謝料請求が認められる可能性があります。

セックスレスで慰謝料を請求できる3つの条件

セックスレスを理由に慰謝料を請求するためには、主に以下の3つの条件を満たしていることが重要です。

ご自身の状況が当てはまるか、確認してみましょう。

条件1:正当な理由なく性交渉を一方的に拒否されている

慰謝料請求が認められる大前提は、相手が「正当な理由なく」「一方的に」性交渉を拒否していることです。

例えば、仕事の疲れや一時的な体調不良は正当な理由と見なされる可能性がありますが、理由もなく何ヶ月、何年も拒否し続ける場合は該当しません。

あなたが何度も性交渉を求めているにもかかわらず、話し合いにも応じず拒絶されている状況がポイントになります。

条件2:性交渉の拒否によって婚姻関係が破綻している

セックスレスが原因で、夫婦関係が修復不可能なほど壊れてしまっている状態であることも条件です。

例えば、セックスレスをきっかけに会話がなくなり、お互いへの愛情や信頼が失われ、家庭内別居のような状態に陥っているケースなどが挙げられます。

単に性交渉がないだけでなく、それによって婚姻生活の本質が失われていることを示す必要があります。

条件3:セックスレスの原因が相手の不貞行為(不倫)などである

相手が不倫(不貞行為)をしており、その不倫相手とは性交渉があるにもかかわらず、あなたとの性交渉は拒否している、というケースです。

これは非常に悪質性が高いと判断され、慰謝料請求が認められやすく、金額も高額になる傾向があります。

この場合、セックスレスそのものだけでなく、不貞行為に対する慰謝料も合わせて請求することになります。

【ケース別】セックスレスで慰謝料請求が認められない場合

一方で、セックスレスであっても慰謝料請求が認められない、または困難なケースも存在します。

期待していた結果と違うということにならないよう、以下の点も理解しておきましょう。

病気や高齢など、性交渉ができない正当な理由がある

相手が病気(うつ病、EDなど)や怪我の治療中であったり、高齢で体力的に困難であったり、産後で心身ともに余裕がなかったりする場合など、性交渉ができないことに「正当な理由」があると判断されると、慰謝料請求は難しくなります。

ただし、EDの場合でも治療に協力しない、思いやりのある態度が見られないといった事情があれば、請求が認められる可能性は残されています。

夫婦双方の合意の上でセックスレスになっている

「子どもが生まれたから」「お互い年齢を重ねたから」といった理由で、夫婦双方が納得して性交渉のない生活を送っている場合は、慰謝料請求の対象にはなりません。

明確な言葉での合意だけでなく、長年の状況から暗黙の了解があったと判断されるケースもあります。

請求者側にもセックスレスの原因がある

相手が性交渉を拒否する原因が、請求する側にある場合も慰謝料請求は困難です。

例えば、請求者側が相手に対して暴言や暴力をふるっている、不潔にしている、不貞行為をしていたなど、相手が性的な関係を持つことを拒むのも無理はない、と判断されるような事情があるケースです。

セックスレスの慰謝料相場は50万~300万円

セックスレスのみを理由とする慰謝料の相場は、およそ50万円~300万円と言われています。

ただし、これはあくまで目安であり、個別の事情によって金額は大きく変動します。

不貞行為など他の原因が絡む場合は、さらに高額になる可能性があります。

慰謝料の金額を左右する主な要因

慰謝料の金額は、以下のような要因を総合的に考慮して決定されます。

  • セックスレスの期間(長いほど高額になる傾向)
  • 婚姻期間の長さ
  • 夫婦の年齢や子どもの有無
  • 性交渉を拒否する態様の悪質性(話し合いに応じない、暴言を吐くなど)
  • セックスレスが原因で受けた精神的苦痛の度合い(うつ病を発症したなど)
  • 相手の収入や社会的地位
  • 離婚に至ったかどうか

慰謝料が高額になりやすいケース

  • セックスレスの原因が相手の不貞行為(不倫)である場合
  • 性交渉の拒否が長期間にわたり、態度も悪質である場合
  • あなたが精神疾患(うつ病など)を発症し、診断書がある場合
  • 相手からDVやモラハラも受けていた場合
  • 相手の収入が高い場合

慰謝料が低額になる、または認められないケース

  • セックスレスの期間が比較的短い場合
  • 請求者側にも何らかの原因がある場合
  • 婚姻期間が短い場合
  • 相手に病気などの正当な理由がある場合

慰謝料請求に不可欠!セックスレスを証明する証拠の集め方

慰謝料を請求する上で最も重要なのが「客観的な証拠」です。

裁判になった場合、「言った・言わない」の水掛け論を避けるためにも、冷静に証拠を集めることが極めて重要になります。

性交渉を拒否された日時や状況を記録した日記・メモ

いつ、どのような状況で性交渉を求めたか、そして相手がどのような理由や言葉で拒否したかを、できるだけ具体的に記録しましょう。

その時のあなたの気持ちなども書き添えておくと、精神的苦痛を訴える際の助けになります。手書きの日記やスマートフォンのメモアプリなどが有効です。

セックスレスに関するやり取りがわかるメールやLINE

「なぜ応じてくれないのか」と問いかけたメッセージや、それに対する相手からの返信は、有力な証拠となります。

性交渉を拒否する内容や、話し合いを避けるような態度がわかるやり取りは、スクリーンショットなどで保存しておきましょう。

夫婦間の会話の録音データ

性交渉の拒否に関する夫婦間の会話を録音したデータは、非常に強力な証拠となり得ます。

相手の同意なく録音したデータも、夫婦間の会話であれば証拠として認められるケースがほとんどです。

ICレコーダーやスマートフォンの録音アプリを活用しましょう。

不貞行為が原因の場合、その証拠

セックスレスの原因が不貞行為にある場合は、その証拠も併せて集めることが慰謝料の増額につながります。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 探偵の調査報告書
  • 不倫相手との肉体関係を示すメールや写真
  • ホテルに出入りする写真、ラブホテルの領収書
  • クレジットカードの利用明細

セックスレスで慰謝料を請求する3つのステップ

実際に慰謝料を請求する際の手続きは、一般的に以下の3つのステップで進みます。

ステップ1:夫婦間での話し合い(協議)

まずは当事者である夫婦間で、慰謝料の支払いについて話し合います。感情的にならず、集めた証拠をもとに冷静に交渉することが大切です。

ここで合意に至った場合は、後々のトラブルを防ぐためにも、合意内容を「離婚協議書」などの書面にまとめ、可能であれば「公正証書」として作成しておくことを強く推奨します。

ステップ2:家庭裁判所での離婚調停

協議で合意できない場合や、相手が話し合いに応じない場合は、家庭裁判所に「離婚調停(夫婦関係調整調停)」を申し立てます。

調停では、調停委員という中立な第三者が間に入り、双方の意見を聞きながら、合意に向けた話し合いを進めてくれます。

ステップ3:離婚裁判(訴訟)

調停でも合意に至らない(不成立となった)場合、最終手段として離婚裁判(訴訟)を起こすことになります。

裁判では、お互いが主張と証拠を提出し、最終的に裁判官が慰謝料の支払いやその金額などについて判決を下します。

裁判は手続きが複雑で、法律的な知識が不可欠となるため、弁護士への依頼がほぼ必須となります。

セックスレスの慰謝料に関するよくある質問

子どもがいる場合、養育費も請求できますか?

はい、できます。慰謝料は、あなたの受けた精神的苦痛に対する賠償金です。

一方で養育費は、子どもが経済的に自立するまでに必要となる生活費や教育費などであり、親の義務として支払われるものです。

慰謝料と養育費は全く別の性質を持つため、両方を請求することが可能です。

相手がED(勃起不全)の場合でも慰謝料は請求できますか?

EDは病気の一種であり、それ自体は「正当な理由」と見なされるため、原則として慰謝料請求は困難です。

しかし、相手がEDであることを隠していた、治療に非協力的である、あるいはあなたを傷つけるような言動を繰り返すなど、誠実な対応が見られない場合には、慰謝料請求が認められる可能性が出てきます。

慰謝料請求に時効はありますか?

はい、あります。慰謝料請求権の時効は、以下の通りです。

  • 離婚が成立した場合: 離婚成立日から3年
  • 離婚しない場合: セックスレスという損害および加害者(配偶者)を知った時から3年

時効が過ぎてしまうと請求できなくなるため、注意が必要です。

相手が慰謝料の支払いを拒否した場合、どうすればいいですか?

公正証書や調停調書、判決書など、法的に支払い義務が確定した書面があれば、裁判所に申し立てて「強制執行」を行うことができます。

これにより、相手の給与や預貯金などを差し押さえて、強制的に慰謝料を回収することが可能です。

まとめ:セックスレス問題で悩んだら、一人で抱えずに弁護士へ相談を

セックスレスは、誰にも相談しづらいデリケートな問題ですが、法的に慰謝料請求が認められる正当な理由になり得ます。

慰謝料を請求するためには、「一方的かつ正当な理由なく拒否されていること」「婚姻関係が破綻していること」、そして何より「客観的な証拠」が重要です。

しかし、ご自身の状況で慰謝料が請求できるのか、どのくらいの金額が見込めるのか、どうやって証拠を集めればいいのかなど、個人で判断するのは非常に困難です。また、当事者同士の話し合いは感情的になりやすく、かえって問題をこじらせてしまうことも少なくありません。

セックスレスの問題で深く悩んでいるなら、一人で抱え込まずに、離婚問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。

専門家である弁護士に相談すれば、あなたの状況に合わせた的確な法的アドバイスをもらえるだけでなく、相手との交渉や法的手続きをすべて任せることができ、精神的な負担を大きく軽減できます。

あなたの新たな一歩を、専門家が力強くサポートしてくれるはずです。

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