刑事事件での示談はできるのか!?成立のメリット・タイミング・金額の相場を弁護士が徹底解説
最終更新日: 2023年07月12日
- 刑事事件での示談はできるのか?
- 示談成立のメリット・タイミングとは?
- 示談金額の相場はどのようなものか?
刑事事件を起こした場合、被害者との示談を強く望んでいる人もいることでしょう。しかし、事件によっては、被害者との示談交渉の糸口さえつかめていない人がいるかも知れません。そして、事件ごとの示談金の相場も知りたいところです。
そこで今回は、刑事事件に精通している専門の弁護士が、刑事事件での示談はできるのか・示談成立のメリットやタイミング・示談金額の相場などについて解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 刑事事件における示談とは裁判手続きによらず損害賠償(示談金)を支払う等の条件のもとに加害者と被害者で合意すること
- 刑事事件において示談の対象となる犯罪と対象にならない犯罪がある
- まずは刑事事件の実績が豊富で交渉力のある弁護士に相談することが大切
刑事事件における「示談」とは?
刑事事件における「示談」とはどういうことでしょうか。
刑事事件における「示談」とは、加害者と被害者が裁判手続きによらず、犯罪行為に関する被害金や慰謝料等を含めた損害賠償(示談金)を支払うことによって、加害者が被害者から許しを得ることを「合意」することをいいます。
示談が成立した場合、示談書の作成は絶対的な要件ではありませんが、後々のトラブルを避けるために、一般的に、その証拠となる示談書の作成が行われます。
示談金が支払われた場合、被害( 慰謝的措置も含みます)が金銭的に回復され、示談書に「加害者を許す」文言(「宥恕文言」といわれます)が記載されることにより、被害者の処罰感情が融和・緩和されたり、なくなったものとして、加害者に有利な事情として考慮されることになります。
刑事事件において示談の対象・非対象の犯罪
刑事事件において示談の対象・非対象の犯罪について2つ解説します。
・示談の対象
・示談の非対象
1つずつ解説します。
示談の対象
1つ目は、示談の対象についてです。
示談の対象となる刑事事件は、被害者が存在し、被害者自身が犯罪の性質上許すことができるものになります。
具体的には、
- 暴行・傷害等のような被害者の身体を攻撃又は侵害する犯罪
- 窃盗・強盗罪のような被害者の財産を侵害する犯罪
- 詐欺・恐喝罪のような被害者の瑕疵ある意思に基づき財産を取得する犯罪
- 横領罪のような被害者の財産を領得する犯罪
- 強制わいせつ・強制性交・痴漢・盗撮等のような被害者の性的自由を侵害する犯罪
- 器物損壊罪のような被害者の財産を損壊する犯罪
- 過失運転致死傷罪のような被害者の生命・身体を侵害する犯罪
などになります。
示談の非対象
2つ目は、示談の非対象についてです。
示談の対象とならない(非対象)刑事事件は、国家や社会の利益を侵害するような犯罪になります。
また、薬物犯罪などの被害者がいない犯罪も、示談の対象とならない犯罪になります。
刑事事件において示談成立のメリット
刑事事件において示談成立のメリットについて4つ解説します。
・被害届の取り下げの可能性が高まる
・早期釈放が可能になる
・不起訴処分になる可能性がある
・量刑が軽くなる可能性がある
1つずつ解説します。
被害届の取り下げの可能性が高まる
1つ目は、被害届の取り下げの可能性が高まることです。
被害届が提出されている場合に、加害者と被害者との間で示談が成立すれば、被害届の取り下げの可能性が高まります。この場合、被害届を取り下げる旨の記載が示談書に盛り込んでもらえることもあります。
さらに、示談が成立している場合、加害者・被害者の本人間ですでに事件が解決しているとして、警察官が捜査を終了したり、検察官が処分を軽くしたりする可能性もあります。
早期釈放が可能になる
2つ目は、早期釈放が可能になることです。
示談が成立していれば、加害者に逃亡や証拠隠滅の可能性がなくなったものとして、逮捕を回避できたり、すでに身体拘束がなされていても早期釈放が可能になったりします。
不起訴処分になる可能性がある
3つ目は、不起訴処分になる可能性があることです。
示談が成立していれば、検察官が起訴・不起訴の処分を検討するときに、わざわざ刑事処分をする必要がないものとみなされ、不起訴処分になる可能性があります。
量刑が軽くなる可能性がある
4つ目は、量刑が軽くなる可能性があることです。
示談が成立していれば、起訴後の裁判においても、そこまで重大な刑事処分を与える必要はないとの判断につながるため、裁判所の量刑が軽くなる可能性があります。
刑事事件における示談を進めるタイミング
刑事事件における示談を進めるタイミングについて考えてみましょう。
被害者がいる刑事事件には、早い段階で示談交渉を行う必要がある事件と被害者のプライバシーを保護する観点から捜査機関の意向に従って示談交渉を行う必要がある事件があります。
後者の事件には、強制わいせつ・強制性交・痴漢・盗撮等のような被害者の性的自由を侵害する犯罪などが該当します。このような事件の場合、被疑者やその家族は、被害者の氏名や住所、連絡先等を知ることはなく、警察官や検察官も、被害者の個人情報を教えることはありません。
しかし、弁護士の要請があれば、警察官や検察官も、捜査の進捗状況を見極め、被害者の被害感情がある程度落ち着いた段階で、被害者(被害者が未成年者の場合は親権者)の承諾を得て、その氏名、住所や連絡先を開示してくれる可能性があります。
また、被害者の性的自由を侵害する事件でなくても、被害者感情が強い場合は示談交渉が早すぎてもよくないことがあるため、タイミングの見極めが重要です。
弁護士は、この点、各種事件の示談交渉に慣れているので、そのタイミングの見極めができるといえます。示談交渉が可能な場合、弁護士はまず被害者と連絡をとり、示談について早速交渉を始めます。
示談交渉の場では、示談にどのような条項を盛り込むか、示談金をいくらにするかなどについて交渉します。
最終的に、被害者が示談内容に合意した場合、合意した内容を記載した示談書を作成し、示談金を支払います。示談が可能な場合には、被疑者の身体拘束の回避や早期釈放を目指すためにも、できるだけ早いタイミングで行うのが望ましいといえるでしょう。
刑事事件における示談金の相場
刑事事件における示談金の相場について3つ解説します。
・被害者の身体に対する犯罪の場合
・被害者の財産に対する犯罪の場合
・被害者の性的自由に対する犯罪の場合
1つずつ解説します。
被害者の身体に対する犯罪の場合
1つ目は、被害者の身体に対する犯罪の場合についてです。
示談金の相場は、被害者が傷害を負った場合は、その怪我の程度にもよりますが20万円~50万円程度、被害者に怪我がなければ10万円~20万円程度とされています。
なお、被害者の生命・身体に対する犯罪において、交通事故の場合の損害算定基準を参考にするケースが多くあります。ただし、実際の事件の示談では、被害感情の強さも加味されることが少なくありません。
被害者の財産に対する犯罪の場合
2つ目は、被害者の財産に対する犯罪の場合についてです。
財産犯の場合は、基本的に、侵害された財産的価値が基準となりますが、被害に遭ったときの恐怖等の被害感情や捜査への協力等の被害者の負担も勘案されています。
被害者の財産に対する犯罪の場合、「被害金品の金額」~「被害金品の金額+(20万円~50万円)」又は「被害金品の金額の2倍ほど」が示談金の相場とされています。
被害者の性的自由に対する犯罪の場合
3つ目は、被害者の性的自由に対する犯罪の場合についてです。
被害者の性的自由に対する犯罪は、強制わいせつ・強制性交・痴漢・盗撮等というように同じ種類の犯罪であっても、事件ごとに犯行の経緯や動機・目的、犯行の内容が違うため、被害の大きさや被害者の感情は一律ではありません。
そのことを前提として、比較的軽微な事件は20万円~30万円程度が示談金の相場とされ、強制性交などの重い事件ですと中には200万円を超えることもあります。
刑事事件での示談は弁護士に相談することがおすすめ
刑事事件での示談は弁護士に相談するのがおすすめです。
上述したように、被疑者やその家族が、被害者へ謝罪と共に示談交渉を行うことにはかなりの困難を伴います。そのため、法律のプロである弁護士に、被害者との示談交渉を相談(依頼)するのが最善の方法になります。
被害者のいる刑事事件において示談が成立した場合、起訴前であれば被疑者の逮捕の回避や身柄拘束後の早期釈放につながり、起訴後であれば最終的な判決において有利な情状として斟酌され、執行猶予により服役を回避できる可能性が高まるでしょう。
また、被疑者の家族が、事件のことを会社・職場に知られないようにすることは、かなり難しい対応になりますが、経験を積んでいる弁護士であれば、早期に示談成立させることによって、被疑者の会社・職場復帰の可能性を見出してくれます。
各種事件の示談を取り扱っている弁護士であれば、どのタイミングで被害者と示談交渉を行うのが最善なのかの勘所を心得ています。示談すべき内容や示談が成立した場合の被疑者の処分の見通しに関する情報を共有できれば、被疑者やその家族にとっても精神的な支えになるでしょう。
まとめ
今回は、刑事事件に精通している専門の弁護士が、刑事事件での示談はできるのか・示談成立のメリットやタイミング・示談金額の相場などについて解説しました。
刑事事件を起こし、被害者との示談成立を望んでいる被疑者やその家族の方は、示談成立によって、被疑者の逮捕回避、身柄拘束後の釈放、不起訴処分、執行猶予付き判決や裁判での減刑が得られる可能性がありますので、ぜひ一度専門の弁護士にご相談ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。