薬物事件で逮捕されたらどうなる?流れや弁護士ができることも解説

最終更新日: 2023年07月12日

薬物事件で逮捕されたらどうなる?流れや弁護士に依頼すべきかも解説

  • 薬物事件で逮捕されてしまったが罪の重さはどれくらいなのか
  • 薬物事件で逮捕されたあとはどうなるのか
  • 薬物事件で逮捕されたときに弁護士は何をしてくれるのか

覚せい剤や大麻、麻薬や危険ドラッグなどを使用することで、他人を巻き込む大きな事故を誘発する可能性が高くなります。こうした事件を薬物事件と呼び、その危険性の高さから重い刑罰が定められています。

では、一体どのような刑罰があり、薬物事件で逮捕された場合にはどのような流れで進んでいくのでしょうか。

そこで今回は、薬物事件で逮捕された場合の罪やその重さ、日常的に薬物事件に巻き込まれやすい理由、薬物事件で逮捕された場合のデメリットや薬物事件で逮捕された場合に弁護士ができること、弁護士に依頼するタイミングについて解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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薬物事件で逮捕されるとどうなる?

薬物事件で逮捕されるとはどういうことなのでしょうか。ここでは薬物事件に関する基本的な知識を3つ解説します。

  • 薬物犯罪とは
  • 薬物犯罪の罪の重さは
  • 日常で巻き込まれやすい危険ドラッグ

それでは、1つずつ見ていきましょう。

薬物犯罪とは

1つ目は、薬物犯罪とは何かについての解説です。

薬物犯罪とは覚せい剤・大麻・麻薬・危険ドラッグに関わる犯罪のことです。これらの薬物を使用すると興奮状態におちいったり、幻覚症状などを引き起こしたりして、他人に危害を加える事件に発展しやすくなります。

また、薬物は暴力団などの反社会的勢力資金源となっており、それを使用すること自体が他の犯罪を誘発することに繋がっています。

薬物犯罪の罪の重さは

2つ目は、薬物犯罪の罪の重さについての解説です。

以下の表のとおり、薬物犯罪の罪の重さは薬物の種類によってちがいます。これは、それぞれの薬物を取り締まる法律が異なるためです。

  法律で罰せられる行為 営利目的なし 営利目的
覚せい剤
(覚醒剤取締法)
使用・所持・譲渡・
譲受
10年以下の懲役 1年以上の懲役、または情状により1年以上の懲役と500万円以下の罰金
大麻(大麻取締法) 所持・譲渡・譲受 5年以下の懲役 7年以下の懲役、または情状により7年以下の懲役と200万円以下の罰金
危険ドラッグ
(薬機法)
使用・所持・製造・輸入・販売・授与・購入・譲受 3年以下の懲役、または情状により3年以下の懲役と300万円以下の罰金 5年以下の懲役、または情状により5年以下の懲役と500万円以下の罰金

  
また、麻薬及び向精神薬は使用薬物で以下に分けられます。以下は、麻薬取締法により所持・譲渡・譲受が禁止されています。

  営利目的なし 営利目的
ヘロイン 10年以下の懲役 1年以上の懲役、または情状により1年以上の懲役と500万円以下の罰金
ヘロイン以外の麻薬 7年以下の懲役 1年以上10年以下の懲役、または情状により1年以上10年以下の懲役と300万円以下の罰金
向精神薬 3年以下の懲役 5年以下の懲役、または情状により5年以下の懲役と100万円以下の罰金

 

日常で巻き込まれやすい危険ドラッグ

3つ目は、日常的に巻き込まやすい危険ドラッグについて解説します。

危険ドラッグはネットや雑貨店などで「お香」や「ハーブ」などと称して販売されています。覚せい剤や大麻などと類似した効果を持つにも関わらず、規制薬物の成分を含んでいないため「合法ドラッグ」や「脱法ドラッグ」などと呼ばれています。

このような背景から違法ではないと軽い気持ちで手を出す方が増えています。近年は、危険ドラッグを使用した方が錯乱状態となって救急搬送され、死亡したケースもあります。

また、危険ドラッグ使用者が重大な交通事故を起こすケースも増えたことで、一般の方が巻き込まれる危険性が高まっていることから、積極的な法改正を進められています。

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薬物事件で逮捕されたあとの流れを解説

薬物事件を起こした場合、証拠隠滅の可能性が高いことから、初犯であっても逮捕されます。

薬物事件で逮捕されたあとの流れは以下です。
なお、成人事件と少年事件では一部手続きが異なります。

【成人事件】

  • 身柄拘束(最大3日間)
  • 勾留(最大10日間)
  • 勾留延長(最大10日間)※検察官がさらに捜査が必要だと判断した場合
  • 起訴

成人事件では勾留延長も含めると、最大23日間も身柄拘束されます。

【少年事件】

  • 身柄拘束(最大3日間)
  • 勾留(最大10日間)
  • 勾留延長(最大10日間)※検察官がさらに捜査が必要だと判断した場合
  • 家庭裁判所に送致され、観護措置の決定(最大4週間)
  • 調査
  • 審判

少年事件では少年審判によって保護観察・児童自立支援施設送致・少年院送致などの処分がくだります。

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薬物事件で逮捕された場合のデメリット

薬物事件で逮捕された場合のデメリットを3つ解説します。

  • 退学・解雇の可能性がある
  • 前科がつく可能性がある
  • 重い刑罰となる可能性がある

1つずつ見ていきましょう。

退学・解雇の可能性がある

薬物事件で逮捕された場合のデメリットの1つ目は、退学・解雇の可能性があることです。

基本的に薬物事件で逮捕されたからといって、会社員や学生が即解雇や退学になることはありません。しかし、薬物事件で逮捕された場合は長期間身柄を拘束されるため長期欠勤や長期休学せざるをえなくなり、退学や解雇の事由につながる可能性があります。

また、会社や学校が定める就業規則や学校規則に準ずることになるため、処罰を全く受けない可能性は低いといえます。

前科がつく可能性がある

薬物事件で逮捕された場合のデメリットの2つ目は、前科がつく可能性があることです。

前科とは、起訴されたのち刑事裁判にかけられ有罪判決が確定することです。日本では起訴された場合の有罪率は約99%です。つまり、起訴された場合にはほとんどのケースで前科がつくと考えられます。

前科がついてしまうと、解雇や懲戒に繋がる恐れや一部の仕事に就けないなどのデメリットがあります。前科を避けるために重要なのは、刑事裁判を回避し不起訴処分を得ることです。

薬物事件の場合に不起訴処分を目指すには、嫌疑不十分と検察官が判断するよう捜査に対応する、犯行を認めている場合には職場や家族からの陳情をえたり、薬物依存の治療受けたり、贖罪寄付などを行ったりするなどして情状の評価をえる必要があります。

しかし、これらの活動を単独で行うにはとても労力がかかるため、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。

重い刑罰となる可能性がある

薬物事件で逮捕された場合のデメリットの3つ目は、重い刑罰となる可能性があることです。

薬物事件の刑罰は薬物の所持・使用では懲役刑。仮に、薬物を使用した状態で交通事故を起こして人を死亡されてしまった場合は、危険運転致傷罪が適用されて最長で20年の懲役になる可能性があります。

薬物事件による逮捕で弁護士ができること

薬物事件で逮捕された場合に弁護士ができることを3つ解説します。

  • 勾留回避、勾留からの解放
  • 勾留期間短縮
  • 不起訴処分

1つずつ見ていきましょう。

勾留回避・勾留からの解放

薬物事件で逮捕された場合に弁護士ができることの1つ目は、勾留回避や勾留からの解放です。

逮捕された後は、最長23日間の勾留期間がまっています。勾留の決定をするのは裁判官です。

つまり、検察官が勾留の必要性を訴えても弁護士が裁判官に必要性がないことを訴え、それが認められれば勾留を回避することが可能です。

勾留期間短縮

薬物事件で逮捕された場合に弁護士ができることの2つ目は、勾留期間短縮です。

不服申立である裁判所への準抗告を弁護士が行うことで、その主張が認められれば勾留期間の短縮が可能になります。

準抗告以外にも、勾留の必要性がなくなったことを訴える勾留取消請求、一時的な勾留の停止を訴える勾留執行停止の申立を行うことも可能です。ただし、どちらも一時的な釈放であるため裁判所が定めた期日には勾留が再開されてしまいます。

不起訴処分

薬物事件で逮捕された場合に弁護士ができることの2つ目は、不起訴処分です。

弁護士は嫌疑なし、あるいは嫌疑不十分で不起訴処分とするように、検察官に働きかけることが可能です。

司法警察職員や検察官が行った捜査の資料は弁護士に開示されません。弁護士は接見で被疑者から聴取した情報や現場の情報をもとに、それらを証拠として検察官を説得することになります。

被疑者がすでに犯罪を行ったことを認めている場合、不起訴処分の1つである起訴猶予を求めます。この場合は、情状を主張していくことになります。

薬物に関して逮捕の不安があるなら、弁護士へ相談を

薬物事件で逮捕された場合はもちろん、まだされてない場合にも弁護士へは早めに相談をすべきだといえます。しかし、はじめて弁護士に相談を持ちかけるにあたり不明なこともおおいでしょう。ここでは、以下の3つの点を解説します。

  • 弁護士に相談・依頼するときの費用
  • 弁護士に相談・依頼するタイミングは?
  • 弁護士に相談・依頼するメリット

1つずつ見ていきましょう。

弁護士に相談・依頼するときの費用

1つ目は、弁護士に相談、依頼した場合に必要な弁護士費用の目安はいくらくらいかというポイントで解説します。

  着手金 成功報酬金
すでに釈放されている 30万円 示談成立・不起訴 20~50万円
逮捕・勾留されている 30万円 

釈放・勾留短縮 20万円

示談成立・不起訴 20~50万円

裁判 30万円 保釈 10~20万円
執行猶予 0~50万円

 ※金額は税抜き

被疑者の状況によって弁護士費用は変わってくるため、上記を目安としつつその詳細は弁護士に直接相談することをおすすめします。

弁護士に相談・依頼するタイミングは?

2つ目は、弁護士に相談、依頼するタイミングはいつが適切かについて解説します。

すでに逮捕されている、あるいはこれから逮捕される可能性があるという場合、まずは逮捕・勾留の回避を目標として今後の戦略を考える必要があります。確実性の高い戦略をたて、迅速に実行していくためにもできるだけ早く弁護士に相談するとよいでしょう。

また、すでに釈放されている場合であっても、起訴されるまでに起訴猶予を含む不起訴処分を取れる可能性があります。いずれにしても早い段階での弁護士に相談したり、依頼したりすることをおすすめします。

弁護士に相談・依頼するメリット

3つ目は、弁護士に相談、依頼をするメリットはなにかというポイントについて解説します。

薬物事件では逮捕が基本です。逮捕後最低でも48時間、その後さらに検察官に送致された場合は24時間加わって、合計72時間は被疑者は弁護士としか接見することができません。

すでに弁護士が介入していれば、司法警察職員や検察官と話し、逮捕・勾留回避に向けて動いてもらえます。また勾留まで進んだ場合であっても、勾留期間短縮が望めます。

また、状況によっては不起訴処分になる可能性も残っています。不起訴処分となった場合には前科をつけずに解決をむかえ、社会復帰しやすくなります。

このように弁護士をつけるメリットは非常に大きいのです。

まとめ

今回は、薬物事件で逮捕された場合の罪や罪の重さ、日常的に薬物事件に巻き込まれやすい理由、薬物事件で逮捕された場合のデメリットや薬物事件で逮捕された場合に弁護士ができること、弁護士に依頼するタイミングについて解説しました。

薬物事件は使用した薬物ごとに裁かれる法律が異なります。しかし、いずれにしても逮捕されて起訴にいたった場合は懲役刑になることがほとんどです。

逮捕後の勾留期間も最長で23日間と長く、会社や仕事などに不利益が生ずる可能性が高まります。また、起訴されて有罪になった場合は前科がつき、その後の社会生活において様々なデメリットを抱えることになります。

薬物事件で逮捕された場合は、即座に弁護士に相談することで専門的なサポートをうけることができ、刑罰の軽減などを通じてその後の社会復帰を見越して早く確実に解決できます。

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