デイサービスの送迎における近隣トラブルとは?施設側と住民側の両面からの対策も解説

最終更新日: 2023年11月29日

デイサービスの送迎における近隣トラブルとは?施設側と住民側の両面からの対策も解説デイサービス(通所介護)とは、日帰りでデイサービスセンターなどの施設に通って、介護保険サービスを受けるものです。

デイサービスでは、サービスの一環として、施設と自宅を往復する送迎サービスが行われることが一般的です。

しかし、デイサービスの送迎車が交通事故や不適切な駐車を起こし、近隣住民の方に迷惑になることもあります。

そこで今回は、介護業界におけるトラブルを数多く解決に導いてきた実績のある専門弁護士が、デイサービスの送迎でよくある近隣トラブルと、トラブルの防止策・対応策について解説します。

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この記事を監修したのは

弁護士 南 佳祐
弁護士南 佳祐
大阪弁護士会 所属
経歴
京都大学法学部卒業
京都大学法科大学院卒業
大阪市内の総合法律事務所勤務
当事務所入所

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デイサービスの送迎で近隣トラブル?抑えておきたい法的知識

デイサービスの送迎を行うときには、利用者の介助のために車両から離れることや、道幅が狭く本来駐車できない場所に車を停めることが必要になることがあります。

これらが原因で違反切符が切られないよう、デイサービスの送迎車は駐車許可申請書を申請しておく必要があります。

駐車許可申請書を得るには、道路交通法45条1項により、施設が送迎場所を管轄する警察署に申請しなければなりません。交付対象となるサービス形態は訪問系サービスや地域包括支援センター・地域密着型サービスなどがあります。

訪問先に駐車場がなく、駐車禁止の場所に駐車せざるを得ないときに申請が可能です。施設がデイサービスの送迎車の駐車許可証を得ているときには、許可証をフロントガラス内側の見えやすい位置に置きましょう。

駐車許可証を得た送迎車であっても、他の車の邪魔になるような不適切な止め方をすると、許可証を取り消されてしまう恐れがあります。違反切符を切られることのないよう、送迎時の駐車位置については施設全体で共通認識をもちましょう。

デイサービスの送迎でよくある近隣トラブル

ここでは、デイサービスの送迎でよくある近隣トラブルを以下の2つのシチュエーションに分けて解説します。

  • 朝の送迎
  • 夕方の送迎

それでは、1つずつ解説します。

朝の送迎

まず、朝の送迎でよくある近隣トラブルを説明します。平日の朝は通勤する人や車が多く、送迎車の運転も気がせいてしまいがちです。

朝の送迎では、以下のようなトラブルが事例として想定されます。

  • 朝のラッシュに巻き込まれ、予定時間に間に合わせるよう無理な運転をした結果、交通事故を起こしてしまう
  • 運転手がだらしない髪型や服装をしていたため、近隣住民からのひんしゅくを買う
  • 車や利用者の話し声がうるさいと苦情になる

交通事故は運転手だけでなく利用者の命にも関わるため、運転手は早めの行動を心がけ、余裕をもった運転をしましょう。

夕方の送迎

次は、夕方の送迎でよくある近隣トラブルです。夕方の送迎では、以下のようなトラブルが想定されます。

  • 日暮れの眩しさや疲れで集中力が削がれ、近隣住民との交通事故を起こす
  • 送迎先近くに無断駐車をして、近隣住民とトラブルに発展する

警視庁の調査では、交通事故がもっとも起きやすいのは17時から19時の時間帯とされています。昼間より走行速度を落としたり、交通ルールを順守したりして、歩行者や自転車には十分注意しましょう。

デイサービスを送迎する施設側の近隣トラブル防止策

ここでは、施設側の近隣トラブル防止策について表にまとめました。 送迎もデイサービスの大事なサービスの一部と考えるよう心がけましょう。

身だしなみとあいさつ
  • 好感をもてる身だしなみ元気なあいさつで、利用者だけでなく近隣住民にも好印象を与える
  • 地道に続けることで、信頼性向上が期待できる
駐車マナー
  • 送迎車が近隣住民の通行を妨げないよう駐車マナーを守る
  • 通学路では学生の登下校に注意する
  • 駐車する場所がスクールゾーンに該当しないか事前に確認する
車内の空間作り
  • 利用者にとって居心地のよい車内空間を作る
  • 利用者にとって心地よい空間であることがわかれば、結果的に近隣住民にもよい印象となる

デイサービスの送迎における近隣トラブル発生時の対応策

ここでは、デイサービスの送迎における近隣トラブル発生時の対応策を2つの立場で解説します。

  • 施設側
  • 住民側

それでは、1つずつ解説します。

施設側

1つ目は、施設側の対応策です。

クレームが発生したときには、まず事実確認を行うことが大切です。施設側に非があると判断されたときには、迅速に改善策を立案して実施していくことが求められます。

もしも安全運転に課題があると判断されたときには、上長が送迎車に乗り、ルート確認やドライバーの安全運転について指導を行いましょう。

トラブルがあってもそれに迅速かつ的確な対応を行っていくことで、業務改善や近隣住民との関係性向上が期待できるでしょう。

住民側

2つ目は、住民側の対応策です。

デイサービスの送迎車によるトラブルが発生したときは、まず施設の本部にトラブルを相談しましょう。他にも、以下の窓口で相談できます。

  • 市区町村の介護保険課
  • 地域包括支援センター
  • 都道府県国民健康保険団体連合会の苦情相談窓口
  • 地域の社会福祉協議会の相談窓口  

ただ、これらの窓口では法律に関わる問題になったときには対応できません。そのため、トラブルが難航したときには弁護士への依頼も検討しましょう。

まとめ

今回は、デイサービスの送迎でよくある近隣トラブルと、トラブルの防止策・対応策について解説しました。

施設側は、まずは送迎の様子も近隣住民に見られていることを自覚することが大切です。

日頃からマナーを守り近隣住民とのトラブルを予防することも大事ですが、トラブルが発生したときに迅速かつ的確に対応することで、かえって近隣住民や利用者からの評価が上がることもあります。

住民側の場合は、送迎車によるトラブルが発生した場合にはどの窓口に相談するべきか、事前に把握しておくとよいでしょう。

万が一デイサービスの送迎において近隣トラブルが発生し、解決が難航したときには、当法律事務所に相談してください。介護業界におけるトラブルを数多く解決に導いてきた実績のある専門弁護士が、迅速に問題解決できるよう尽力いたします。

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