離婚裁判の費用相場は?どちらが払う?費用を抑える方法は?

最終更新日: 2025年09月30日

離婚裁判の費用相場は?どちらが払う?費用を抑える方法

離婚調停が不成立となり、裁判に進む場合、気になるのは「離婚裁判にはどのくらいの費用がかかるのか」「誰が支払うのか」という点ではないでしょうか。

結論からお伝えすると、離婚裁判の費用は数十万円~100万円以上かかることもあり、基本的には各自が負担します。ただし、判決の内容や制度の活用によっては、一部を相手に負担させることができるケースもあります。

本記事では、離婚裁判に必要な手数料や弁護士費用の相場、支払いのルール、費用を抑えるための具体的な方法を分かりやすく解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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離婚裁判にかかる手数料は?

離婚裁判を起こすときには、まず裁判所に納める費用(訴訟費用)が発生します。

  • 収入印紙代(手数料):離婚の請求だけなら約1万3,000円が目安です。これに加え、財産分与を求める場合は1,200円、養育費の請求は子ども1人につき1,200円といった具合に、請求内容ごとに費用が加算されます。
  • 予納郵券(切手代):裁判所から相手方へ書類を送る際の費用で、相場は6,000円前後。ただし、実際の金額は裁判所ごとに異なるため、申立てを行う裁判所で事前に確認しておくと安心です。

したがって、離婚のみ(ただし、親権者の指定を求める場合を含む)を離婚裁判で争う場合は、離婚裁判費用は2万円程度になります。

弁護士費用の相場は?

離婚裁判では、ほとんどの方が弁護士に依頼します。弁護士費用は事務所によって異なりますが、一般的な相場は次の通りです。

  • 着手金:30万円~50万円程度
  • 成功報酬金:50万円~(結果に応じて発生)
  • 実費・日当:数万円~

例えば、親権や養育費、慰謝料の金額など争点が多いと、トータルで80万~100万円以上になるケースもあります。

一方、争点が少なく短期間で解決できれば、比較的費用は抑えられます。

離婚裁判の費用はどちらが払う?

訴訟費用の負担

離婚裁判にかかる手数料や郵便切手代などの訴訟費用は、原告(裁判を起こした側)がまず負担します。

ただし、最終的にどちらがどの割合で負担するかは裁判所の判決で定められる仕組みです。
具体的には、次のように判決に記載されます。

  • 「訴訟費用は被告の負担とする」
  • 「訴訟費用はこれを10分し、その3を原告の負担とし、その余を被告の負担とする」

このように、裁判で不利になった側が多めに支払うのが一般的ですが、両者が分担するケースもあります。

弁護士費用の負担

一方、弁護士費用は原則として各自が負担します。勝訴しても相手に弁護士費用そのものを請求することは基本的にできません。

ただし例外として、相手に不倫やDVといった不法行為があり、慰謝料請求が認められた場合には、慰謝料に「弁護士費用相当分」が上乗せされることがあります。

とはいえ全額ではなく、慰謝料の1割程度が目安であり、しかもこれは判決が出た場合に限られるため、和解ではほとんど認められません。

費用を抑えるための方法

離婚裁判にかかる費用は決して安くありませんが、弁護士費用の見積もりを比較することで一定の軽減が可能です。

弁護士費用は事務所ごとに大きな差があります。着手金や報酬金の基準を公開している事務所もあれば、個別に見積もりを出す事務所もあります。

そのため、1か所だけで即決せず、複数の事務所に相談して費用体系を比較することが重要です。

費用だけでなく、弁護士の対応姿勢や説明の分かりやすさも含めて判断することで、納得感のある依頼ができます。結果的に「余分な費用を払ってしまった」という後悔を避けることができるでしょう。

費用を抑えるには弁護士なしで対応した方が良い?

「費用を抑えるために、弁護士をつけずに自分で裁判した方がよいのでは?」と考える方もいるでしょう。確かに、本人訴訟であれば弁護士費用を節約できるというメリットはあります。

しかし、離婚裁判は手続きが複雑であり、証拠の集め方や主張の立て方を誤ると不利な判決につながるリスクが大きいです。特に、親権・財産分与・慰謝料といった重要な争点がある場合には、専門的な知識が不可欠になります。

つまり、短期的には弁護士費用を節約できても、長期的に見れば不利な結果となり、かえって経済的負担が大きくなる可能性が高いのです。

費用を抑えたい場合でも、和解を視野に入れたり複数の事務所を比較したりするなど、弁護士を活用しつつ負担を軽減する方法を検討することをおすすめします。

離婚裁判を弁護士に依頼するメリット

弁護士費用は発生しますが、離婚裁判を起こす際には専門家に依頼して進めるメリットが多くあります。

専門知識を活かして有利に進められる

弁護士は法律の専門知識に基づいて主張や証拠を整理します。そのため、慰謝料や財産分与などを適正に獲得できる可能性が高まり、結果的に弁護士費用以上の利益につながることもあります。

裁判書類の作成・提出を任せられる

訴状や準備書面などの裁判書類は法律的な形式や論理構成が求められるため、自分で作成するのは大きな負担です。弁護士に依頼すれば、その作業を一任でき、安心して裁判に臨めます。

裁判所への出廷を代行してもらえる

裁判は平日の日中に行われるため、本人が対応すると仕事や家庭への影響が大きくなります。弁護士に依頼すれば、基本的に弁護士が代理で出廷するため、生活への支障や精神的な負担を大幅に軽減できます。

このように、弁護士に依頼することは単に「費用がかかる」というデメリットだけではなく、時間・労力・精神的ストレスの軽減と有利な結果の実現という大きなメリットをもたらします。

よくある質問(FAQ)

Q. 離婚裁判はどのくらいの期間かかりますか?

平均して1年前後かかります。争点が少なければ半年程度で終わることもあります。

Q. 弁護士をつけずに自分で裁判できますか?

可能ですが、手続きは複雑で専門知識も必要です。離婚原因に争いがある場合や、親権・財産分与が争点となっている場合、弁護士に依頼した方が有利です。

Q. 相手に慰謝料請求された場合、弁護士費用も請求されますか?

弁護士費用そのものは原則自己負担ですが、損害賠償請求の一部として「弁護士費用相当額(損害額の1割程度)」が認められることがあります。

Q. 裁判に勝てば費用をすべて相手に請求できますか?

訴訟費用(印紙代や郵券代)は相手に請求できますが、弁護士費用は自己負担が基本です。

まとめ

離婚裁判にかかる費用は、裁判所に納める手数料は1万円~、弁護士費用は数十万円~100万円以上になるのが一般的です。

費用は原則として各自が負担しますが、判決によっては訴訟費用を相手に多く負担させられることがあります。また、不倫やDVが原因で慰謝料請求が認められた場合は、慰謝料に弁護士費用相当分が加算されるケースもあります。

費用を抑えるには、早期の和解を目指すことや複数の事務所で費用を比較することが有効です。本人訴訟は短期的には安上がりに見えても、リスクが高く結果的に大きな損失につながる可能性があります。
弁護士に相談しつつ、費用面でも納得できる解決策を探ることが安心といえるでしょう。

 

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