離婚で弁護士に依頼すると費用はいくら?内訳・相場・抑えるコツをわかりやすく解説
最終更新日: 2025年07月10日
「離婚したいけれど、弁護士に頼むといくらかかるのか不安……」そんな悩みを抱えていませんか?
離婚を弁護士に依頼すると、協議離婚で着手金と報酬金を合わせて40〜60万円程度、調停離婚なら60〜80万円前後が相場とされています。裁判離婚に発展すると、100万円以上かかるケースも珍しくありません。
「着手金って何?」「成功報酬っていくら?」「相談だけなら無料?」「安すぎる弁護士は逆に大丈夫?」——費用に関する疑問や不安は尽きないものです。
この記事では、離婚を検討している方に向けて、弁護士費用の内訳・相場・支払方法・節約術などをわかりやすく解説します。また、実際に弁護士に依頼してトラブルを乗り越えた事例もご紹介。
「費用に見合ったサポートを得たい」「できれば出費は抑えたい」——そんな方のために、安心して相談できる準備が整う内容をお届けします。
弁護士費用の基本構造と相場
弁護士に離婚を相談・依頼するときにかかる費用は、主に以下の5つに分かれます。それぞれの内容と支払うタイミングを知っておくことで、金額面の不安が軽減されます。
相談料(法律相談料)
弁護士に事情を説明してアドバイスを受ける「法律相談」の際に発生する費用です。
- 相場は30分あたり5,000円〜1万円ほど
- 事務所によっては無料相談を行っている場合もあります
- 相談だけで依頼する義務はないため、費用感や方針を確認する目的で利用する方も少なくありません
着手金(手続きを始めるための費用)
正式に依頼する際に最初に支払う費用で、弁護士が手続きを始めるための準備金のような位置づけです。
- 結果に関係なく発生し、原則として返金はされません
- 協議離婚:20〜30万円程度
- 調停・裁判:30〜50万円前後が一般的
報酬金(結果が出たときに支払う費用)
依頼の成果に応じて支払う成功報酬です。たとえば以下のような場合に発生します。
- 離婚が成立した
- 親権を得た
- 慰謝料や財産分与が認められた など
多くの事務所では、経済的利益(得られた金額)に応じて10〜16%前後の割合で計算する方式を採用しています。
例:
- 慰謝料300万円を獲得 → 報酬金は30〜48万円
- 財産分与500万円 → 報酬金は50〜80万円
現金だけでなく不動産や養育費の総額を含む場合もあり、事務所によっては報酬金を定額で設定していることもあります。契約前に計算方法を確認することが大切です。
実費(郵送代・印紙代など)
手続きに伴って発生する実際の経費です。たとえば
- 裁判所への印紙代
- 郵送費・コピー代
- 証人の交通費など
数千円〜数万円が一般的で、実費は都度または後から精算で請求されます。
日当(出張や出廷がある場合)
弁護士が裁判所へ出廷したり、遠方に出向く必要がある場合にかかる費用です。
- 地方での調停や期日に同行
- 現地交渉や調査への立ち会いなど
1回あたり数万円程度で、対応距離や時間によって異なります。日当の有無や基準は、契約前に必ず確認しましょう。
離婚手続きの費用相場まとめ(目安)
手続き内容 | 着手金 | 報酬金 | 備考 |
協議離婚 | 20〜30万円 | 20〜30万円 | 話し合いでの解決を希望する場合 |
調停離婚 | 30〜40万円 | 30〜40万円 | 家庭裁判所を介した手続き |
裁判離婚 | 40〜50万円 | 40〜50万円〜 | 主張立証・証拠整理などの負担が大きい |
弁護士費用はどう支払う?分割払いや後払い対応
「依頼したいけれど、一括払いが難しい…」という声も多くあります。そんな方のために、弁護士費用の柔軟な支払方法が用意されているケースもあります。
最近では、多くの法律事務所が分割払いに対応しています。たとえば「着手金を3回払い」「報酬金は離婚成立後に」などの形です。条件は事務所により異なりますが、支払方法については最初の相談時に遠慮なく確認してかまいません。
よくある状況と対応例
協議離婚で財産分与を含む依頼をしたケース(40代女性・会社員)
夫との性格不一致と別居生活の末、話し合いによる離婚を目指した40代女性のケース。未成年の子どもはいなかったのですが、夫婦共有名義の不動産と預貯金があり、財産分与をめぐる交渉が必要と判断して弁護士に相談となりました。
協議離婚のための着手金は25万円。最初、夫は離婚について難色を示していましたが、話し合いの結果、話がまとまり、財産分与として約600万円の現金を得られたため、報酬金はその15%として90万円。その他、印紙代や郵送費などの実費が約1万円。合計費用はおよそ116万円程度となりました。
費用は自身の給与口座から一括で支払いましたが、支払い方法については当初の相談で事前に確認していたため、安心して依頼できたそうです。
調停離婚+親権争いを含むケース(50代男性・会社員)
妻から離婚調停を申し立てられた50代男性。子ども2人の親権と財産分与を巡る争点があり、対応に不安を感じて弁護士へ依頼しました。
調停対応の着手金は35万円。調停が複数回に及んだため日当として合計6万円が発生。親権の獲得および住宅ローン負担の調整を含む和解が成立し、経済的利益に基づく報酬金は約60万円(総額400万円相当の財産的利益×15%)。実費として印紙代などが約1.5万円。
最終的な弁護士費用の合計は102.5万円前後。事前に分割払いの相談をされており、無理なく支払えたそうです。
費用を抑えるためのポイント
無料相談を積極的に活用する
まずは無料相談を活用して、弁護士との相性や説明のわかりやすさ、対応の丁寧さなどを確認しましょう。無料相談をしたからといって、必ず依頼しなければならないわけではありません。情報収集の場として気軽に利用することが大切です。
複数の法律事務所の見積もりを比べる
費用体系やサービス内容には事務所ごとに違いがあります。同じ内容でも金額に差が出ることがあるため、見積もりを比較して、より費用の安い事務所を選ぶのは有効な手段です。
早めの段階で弁護士に依頼する
話し合いの段階で弁護士に入ってもらえば、調停や裁判に発展するのを避けられることがあります。裁判に進むと費用は跳ね上がるため、早期対応が結果的にコストダウンにつながります。
弁護士に依頼するメリット
「弁護士に依頼すると費用がかかるから、自分で何とかしたい」と考える方も少なくありません。ですが、実際に依頼することで得られるメリットは金額以上の価値があります。
相手と直接やりとりしなくていい
離婚の話し合いは、感情のぶつかり合いやストレスが避けられないものです。特に、相手が感情的だったり威圧的だったりする場合、冷静に話し合うのは非常に困難です。弁護士を代理人に立てれば、連絡・交渉はすべて弁護士を通じて行うことができるため、精神的な負担が大幅に軽減されます。
また、相手が既に弁護士を立てている場合は、こちらも法的知識のある専門家をつけないと対等に対応できません。
法的に有利な条件で交渉できる
離婚では、親権、財産分与、慰謝料、養育費など、金銭的・生活的に重要な取り決めが必要になります。弁護士に依頼すれば、依頼者にとって最も有利な条件を引き出せるよう、法的根拠をもとに戦略的な交渉が可能になります。
書類作成や証拠整理を任せられる
調停や裁判では、必要書類の作成や証拠の精査が求められます。弁護士はこれらをすべて引き受け、依頼者が本当に必要な判断に集中できる環境を整えてくれます。
長期化・トラブルのリスクを回避できる
弁護士が介入することで、感情的な対立や法的な不備によるトラブルを未然に防ぎ、解決までの時間や費用を抑えることができるケースもあります。
費用支払いに関する注意点
弁護士費用を支払う際には、事前に以下の点をしっかり確認しておくことが大切です。
支払うタイミングに注意
着手金や報酬金の支払いタイミングは事務所によって異なります。「契約時に一括で」「分割払い可能」「成果が出てから報酬を支払う」などさまざまです。契約前に「いつ・いくら支払うのか」を明確にしておきましょう。
弁護士費用は「特有財産」から支払う
弁護士費用は、自分個人の財産(特有財産)から支払うべきものです。共有口座などから支払ってしまうと、後の財産分与でトラブルになる可能性があります。婚姻前からの貯金や、自分名義の給与口座からの支払いが望ましいです。
よくある質問(FAQ)5選
Q:無料相談だけで費用の見積りは出してもらえますか?
→はい。多くの事務所では、初回相談時に費用の目安や進め方の説明をしてくれます。
Q:成果報酬は必ず必要ですか?
→多くの事務所では、成果に応じた報酬金が設定されています。内容や計算方法は事務所により異なるため、事前に確認を。
Q:分割払いや後払いはできますか?
→可能な事務所もあります。支払い方法については契約前に相談しておきましょう。
Q:費用トラブルは起こりませんか?
→契約前に「委任契約書」をしっかり確認することが大切です。明確な費用体系がある事務所を選ぶと安心です。
Q:離婚後も相談を続けられますか?
→養育費の支払いトラブルなど、離婚後の対応も行っている事務所は多いです。契約時に対応範囲を確認しておきましょう。
まとめ
離婚は人生の大きな転機であり、同時に精神的・経済的な負担も大きなものです。弁護士費用は決して安くはありませんが、「納得できる条件で離婚する」「安心して新しい生活を始める」ためには、有効な投資といえます。
大切なのは、費用の内訳を理解し、自分に合った弁護士を選ぶこと。そして、無料相談を活用しながら、信頼できる事務所とつながることです。
「悩んでばかりで前に進めない……」という方は、まずは一歩、無料相談から始めてみてはいかがでしょうか。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。