アルコール依存症の夫(妻)と離婚したい!スムーズに別れるための方法を弁護士が解説
最終更新日: 2023年02月19日
- アルコール依存症の相手と離婚したい
- アルコール依存症を理由に離婚は可能なのか
- アルコール依存症で離婚を進める方法を知りたい
夫や妻がアルコール依存症になってしまった場合、夫婦間・家族によるサポートが欠かせません。
しかし、夫婦や家族だからといって必ずしもサポートをしなければならないとはいえず、これまでの夫婦・家族の関係性も考慮した場合、離婚を考えることも必要です。
そこで今回は、アルコール依存症の相手と離婚したい場合について、そもそもアルコール依存症の相手と離婚は可能なのか、離婚をスムーズに進める方法や離婚を決意したらすべきことについて解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- アルコール依存症での離婚は、相手も合意すればできる。できない場合は調停・裁判へと発展する可能性もある
- アルコール依存症での離婚を考えているなら、「証拠を確保する」「弁護士に相談する」の2つが大切
- アルコール依存症が原因で離婚する方法は、「協議離婚」「調停離婚」「審判離婚」「離婚裁判」の4つ
離婚原因になるアルコール依存症
そもそも離婚の原因となるアルコール依存症とはどのようなものでしょうか?
アルコール依存症とは、飲酒を自分でコントロールできず、飲酒せずにはいられない状態をいいます。脳に異常をきたし飲酒がやめられなくなり、医療機関で治療が必要な病気です。
アルコール依存症は、強い飲酒の渇望があり、アルコールを摂取しないとさまざまな自律神経症状や、情緒障害・手の震え・幻覚などの離脱症状が見られるようになります。
不適切な飲酒がアルコール健康障害の原因になるため、2013年にアルコール健康障害対策基本法が成立しています。この法律により、障害の発生・進行の防止・支援の充実を図るために、アルコール関連問題の予防やアルコール依存症などの健康障害の減少に向けた取り組みが進められています。
アルコール依存症での離婚は可能
それでは、アルコール依存症での離婚は可能なのでしょうか?
結論からいうと、どのような理由でも夫婦双方が離婚に合意すれば離婚は可能です。
アルコール依存症の多くは、飲酒により配偶者や子に暴言・暴力を振るったり、物を壊したり、周囲に迷惑をかけるなど、家庭生活に深刻な影響を与えることが少なくありません。
そのような生活に耐えられなくなると、離婚を考えることもあるでしょう。アルコール依存症である相手方の夫や妻が離婚を認めれば、すぐにでも離婚できます。
ただし、一方が離婚を認めない場合には、離婚調停か離婚裁判を経ないと離婚できません。すなわち、アルコール依存症が理由でも、離婚がすぐに認められない可能性もあるのです。
アルコール依存症で離婚を進める方法
夫や妻のアルコール依存症で離婚を考えた場合、方法としては、以下の4つがあります。
- 協議離婚
- 調停離婚
- 審判離婚
- 裁判離婚
1つずつ見ていきましょう。
協議離婚
離婚を進める方法の1つ目は、協議離婚です。
協議離婚とは、法的手続きを経ずに、夫婦間の話し合い(協議)のみで離婚する方法です。夫婦が話し合いをして離婚する旨の合意ができれば、離婚の理由は問われません。
協議離婚のときには、子どもの親権や養育費、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割、婚姻費用の精算、離婚後の姓についても合意しておくべきでしょう。
合意内容は離婚協議書として書面化し、双方が署名捺印することが必要です。離婚協議書は将来何か問題が起きたときに備えて、公正証書を作成しておくと望ましいです。
離婚協議書とともに離婚届を作成し、役場に提出して受理されると離婚が成立します。
調停離婚
離婚を進める方法の2つ目は、調停離婚です。
調停離婚とは、裁判所から選出された調停委員が仲介し話し合いをまとめる離婚です。
離婚調停は、離婚裁判と異なり、法律上の離婚原因がなくても利用できます。財産分与や慰謝料・年金分割・子どもの親権・養育費などの申立ても可能です。
調停は、相手方の住所地か当事者が合意した家庭裁判所に申立てることになります。原則非公開で行われ、調停委員に夫婦それぞれの意見・希望を伝えて話し合いをまとめていきます。
当事者が合意すると、調停調書に合意した内容が記載され、離婚が成立します。調停調書は、確定判決と同じ効力があるので強制執行が可能です。
審判離婚
離婚を進める方法の3つ目は、審判離婚です。
審判離婚は、家庭裁判所の審判により成立する離婚の方法です。調停離婚が不成立でも、裁判所が離婚を成立させるのが相当と判断した場合は、離婚審判が下されます。
たとえば、離婚についての合意はできているものの、離婚条件に食い違いがある場合、子どもの親権を早く決めたほうがよい場合などに審判離婚が利用されることが多いです。
審判が下されると、審判の内容を記載した審判書が裁判所から当事者双方に送付されます。2週間以内に異議申立てがなければ、審判が確定し、審判離婚の成立です。
確定した審判は確定判決と同じ効力があります。審判内容が守られないときは、強制執行を申し立てることも可能です。
裁判離婚
離婚を進める方法の4つ目は、裁判離婚です。
裁判離婚とは、調停で離婚の合意が得られない場合に、家庭裁判所に離婚訴訟を提起することにより、判決や和解によって離婚を成立させる方法です。
裁判離婚は、当事者のいずれかの住所地の家庭裁判所に訴えを提起することで始まります。訴状と答弁書を提出した後、書面を中心に手続きが進められます。
裁判離婚は、離婚調停を経なければ訴訟の提起ができません(調停前置主義)。また、民法で以下の何れかに該当する離婚原因がが必要とされています。
- 配偶者に不貞な行為があったとき。
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
- 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
アルコール依存症が、「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当すると認められれば、離婚を認める判決が下されて離婚が成立します。もし判決内容に不服があれば、控訴もできます。
アルコール依存症での離婚を決意したらすべきこと
アルコール依存症での離婚を決意したら、どのような行動を取るべきか知っておく必要があります。ここでは、アルコール依存症で離婚を決意したらすべきことについて、以下の2点を解説します。
- 証拠を確保する
- 弁護士に相談する
1つずつ見ていきましょう。
証拠を確保する
離婚を決意したらすべきことの1つ目は、証拠を確保することです。
アルコール依存症を理由に離婚裁判をする場合は、アルコール依存症の事実を証明するための客観的な証拠が不可欠です。
飲酒による暴力・暴言の様子を録画・録音したデータ、暴力によって負った怪我の写真・医者の診断書などは、重要証拠になる可能性が高いので、集めて整理しておきましょう。
アルコール依存症の事実を認めず争うようであれば、確かな証拠がないと離婚は難しくなってしまいます。
慰謝料を請求するにしても証拠が必要です。離婚を決意したら証拠をきちんと確保しておきましょう。
弁護士に相談する
離婚を決意したらするべきことの2つ目は、弁護士に相談することです。
配偶者がアルコール依存症になったため離婚を決意したときは、まず弁護士に相談することをおすすめします。
離婚を専門とする弁護士なら、法的手続きの進め方はもちろんのこと、慰謝料の請求などについて適切に判断してアドバイスすることが可能です。
アルコール依存症の配偶者と離婚の交渉を進めることは、体力的にも精神的にも苦痛を伴います。弁護士が代わりに交渉を行うことで、後々裁判になっても代理人として的確に主張・立証でます。
早期に離婚を成立させるためにも、アルコール依存症の配偶者との離婚についてお悩みの方は、まずは弁護士にご相談ください。
まとめ
今回は、アルコール依存症の相手と離婚は可能なのか、離婚を進める方法や離婚を決意したらすべきことについて解説しました。
アルコール依存症の人は、自分がアルコール依存症であることを認めないケースが多々あります。そのため、離婚を進めようと思っても、なかなか応じてくれない傾向にあります。
特に、暴言や暴力がある場合には一刻も早く避難すべきですので、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。