離婚の公正証書にかかる費用はどれくらい?作成するメリットも解説
最終更新日: 2024年02月22日
- 離婚のときに夫婦で取り決めた内容を公正証書にしたい、費用はどれくらいなのだろう?
- 離婚の条件を公正証書にした方がよい、と言われたがどのようなメリットがあるのだろう?
- 離婚の条件を公正証書にする場合、弁護士はどのようなサポートができるのか知りたい
公正証書は公証人(公証作用を担う公務員)が作成する公文書です。
公証人が当事者の意思を聴き取って作成するので信頼性は高く、公正証書の原本は公証役場に保管されるため、元配偶者や第三者等からその内容を偽造・変造されるリスクもありません。
ただし、公正証書を作成するときには公証人手数料がかかります。更に取り決めた離婚給付(例:慰謝料、財産分与等)の金額によって、手数料も変わってくるので注意しましょう。
そこで今回は、多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、公証人手数料の金額、公正証書で作成するメリット等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 取り決めた離婚給付の金額によって、公証人手数料は5,000円~数十万円の負担となる
- 離婚の条件を公正証書にすれば、強制執行ができる機能も付けられる
- 弁護士に依頼をすれば、公正証書で定める離婚条件についての助言を得られるので安心
離婚で公正証書にかかる費用
夫婦が協議で取り決めた離婚内容を公正証書にすれば、安全かつ確実に取り決めた内容の履行が期待できます。
こちらでは、公正証書の作成に必要な公証人手数料、弁護士に依頼した場合の費用について解説します。
弁護士費用
弁護士に依頼すれば、公正証書に盛り込む離婚条件の原案のアドバイスや、公証役場に赴き、公正証書作成の手続きに同席もできます。
公正証書に関する弁護士費用は次の通りです。
- 公正証書原案の助言等:5万円~10万円が目安
- 公証人役場での手続きの代理、同席等:3万円~5万円が目安
なお、公正証書に関するサポート費用は、法律事務所ごとに自由に報酬体系を設定できます。弁護士に依頼したい場合は、まず費用がどれくらいになるのか事務所に確認してみましょう。
公証人手数料
協議離婚では慰謝料や財産分与、養育費等の金額を取り決めます。それらの離婚給付の金額によって、公正証書を作成するときの手数料は変わります。
公証人手数料は下表の通りです。
目的の価額 | 手数料 |
~100万円 | 5,000円 |
100万円超~200万円 | 7,000円 |
200万円超~500万円 | 11,000円 |
500万円超~1,000万円 | 17,000円 |
1,000万円超~3,000万円 | 23,000円 |
3,000万円超~5,000万円 | 29,000円 |
5,000万円超~1億円 | 43,000円 |
1億円超~3億円 | 43,000円+超過額5,000万円ごとに13,000円を加算した金額 |
3億円超~10億円 | 95,000円+超過額5,000万円ごとに11,000円を加算した金額 |
10億円超~ | 249,000円+超過額5,000万円ごとに8,000円を加算した金額 |
離婚の公正証書には費用以上のメリット?
協議離婚で慰謝料や財産分与、養育費等の内容や支払方法を決めたにもかかわらず、相手が義務を履行しないおそれもあります。しかし、離婚公正証書を作成していれば、安全かつ確実に取り決めた内容の実現を図れます。
こちらでは、離婚公正証書を作成する4つのメリットについて説明しましょう。
契約の証明
離婚公正証書を作成すれば、相手と契約を交わした証明が容易になります。
協議離婚は口頭でも成立しますが、相手から「離婚の話し合いでそんな取り決めをした覚えはない。」と契約の履行を拒否されるおそれがあります。
また、離婚時に夫婦間で離婚契約書(離婚協議書)を作成しても、「書面にした内容は偽造されたものだ。」と相手に反論される場合もあるでしょう。
このようなトラブルがあると最終的には裁判で解決を図ります。裁判では、協議離婚のときに相手方と契約を交わしたという証明が必要です。
一方、公正証書で離婚の内容を書面化する場合、公証人が契約当事者の本人確認をしたうえで、公証人の目の前で公正証書に署名押印をします。
そのため、後日相手が取り決めた離婚内容に関して反論するのはほぼ不可能となります。
契約を守らない場合、強制執行が可能
離婚公正証書に、「強制執行認諾」の文言を定めておけば、支払う側が慰謝料や養育費等を払わないとき、裁判手続を経ずに強制執行が可能です。
強制執行認諾とは、取り決めた離婚給付をしなかった場合、「強制執行されてもかまわない」と公正証書に明記した条項を指します。
もしも、相手が約束通りに慰謝料や養育費等を支払わなかった場合、強制執行認諾条項付の公正証書正本等があれば、裁判所に「執行文の付与申立て」を行い強制執行ができます。
支払い義務者の意識が高まる
公正証書に強制執行認諾の条項がある場合、支払い義務の不履行があっても、容易に強制執行が可能です。
慰謝料や養育費等を支払う相手に対しては、「約束した通りに義務を履行しないと、強制執行されてしまう。」という心理的プレッシャーを与えられます。
そのため、相手側の「慰謝料や養育費等を誠実に支払っていこう。」という意識も高まります。
公証役場での保管
離婚公正証書を作成すれば、その原本は公証役場で大切に保管されます。原本が公証役場へ保管されるのは原則として20年間と定められています。
公証人は原本に基づいて、契約当事者に正本・謄本を交付するので、取り決めた離婚内容をいつでも確認が可能です。
なお、公正証書の正本や謄本を失くしてしまっても、公証役場に原本が保存されている限り再発行してもらえます。
離婚の公正証書作成で弁護士費用をかけるとできること
離婚の話し合いがまとまらなければ離婚公正証書も作成できません。話し合いが行き詰ったら弁護士に相談してみましょう。
こちらでは離婚の話し合いや離婚公正証書に関して、弁護士が行えるサポートを説明します。
公正証書作成サポート
離婚公正証書を実際に作成するのは公証人ですが、弁護士は公正証書で定める内容が依頼者にとって適当か否かを判断できます。
たとえば、公証役場へ公正証書の作成を申し込む前に、取り決める内容が依頼者にとって不利か否か、離婚条件で不明確な点がないか等を確認し、依頼者にアドバイスを行います。
弁護士の助言を受けながら相手との離婚内容の交渉が進められるので、依頼者や相手も納得できる条件を盛り込んだ公正証書が作成できます。
離婚相談
公正証書に定める様々な離婚の条件(親権、慰謝料、財産分与、面会交流、養育費等)の相談が可能です。
弁護士は夫婦の状況に応じて、協議離婚のときどのように諸条件を取り決めていくのか、わかりやすくアドバイスします。初回相談を無料としている事務所もあります。
代理人交渉
離婚条件に関して夫婦の隔たりが大きい場合は、いつまでたっても離婚が成立せず、離婚公正証書の作成も行えない状態となります。
その場合は弁護士を代理人として、相手との交渉を任せましょう。
法律の知識はもちろん夫婦の事情を踏まえつつ、粘り強く相手と交渉し、離婚成立を目指します。
夫婦が顔を合わせると感情的になってしまうため、対面を避けている相手でも、第三者である弁護士となら、話し合いの継続に応じる可能性が高いです。
まとめ
今回は多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、離婚公正証書を作成するときにどれくらい手数料がかかるのか、離婚公正証書を作成するとき弁護士ができることについて詳しく解説しました。
離婚公正証書を作成すれば、証拠力が高く、強制執行の機能も付けられ、改ざんも防止できるので安心です。しかし、公正証書に双方が納得できる離婚内容を盛り込まないと、後々トラブルとなる可能性もあります。
離婚内容の取り決めおよび公正証書を作成する場合は、弁護士へ相談し手厚いサポートを受けてみてはいかがでしょうか。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。