離婚時の財産分与、専業主婦でももらえる?対象となる財産や割合を解説
2025年07月03日
「専業主婦だった私でも、財産分与って受けられるの?」
そんな不安を抱えて離婚を考える方は少なくありません。
結論から言えば、専業主婦であっても、離婚の際には原則的には【共有財産の2分の1】を受け取る権利があります。
働いていなかったからといって、財産分与で不利になることは基本的にありません。
この記事では、専業主婦の方が不利な条件で離婚を進めてしまわないために、
- 財産分与の対象となる財産
- 分ける割合や考え方
- よくある落とし穴とその対処法
などを丁寧に解説します。
将来の生活設計を左右する重要なテーマですので、ぜひ最後までご覧ください。
専業主婦でも財産分与の権利がある理由
財産分与とは、結婚中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚の際に公平に分ける制度です。
ポイントは「協力して築いた」かどうかであり、実際に収入を得ていたかどうかは関係ありません。
家庭を守ることも立派な貢献です。家事や育児、夫の生活を支えてきたことも、財産形成に寄与したと評価されるのが日本の裁判所の考え方です。
分与の対象となる財産とその割合
財産分与の対象になるもの
以下のような財産が、基本的に対象となります(名義は関係ありません):
- 預貯金
- マイホーム(住宅ローン残ありでも)
- 自動車
- 株式や投資信託
- 生命保険の解約返戻金
- 退職金(条件あり)
※結婚前から所有していたものや、相続・贈与で得たもの等は対象外になる可能性があります。
基本の分け方は「2分の1ずつ」
夫婦で協力して築いた共有財産は、基本的に2分の1ずつ分けるのが原則です。
専業主婦であっても同じです。
よくある状況と対応例
夫名義の自宅を分けてもらえる?
結婚してから30年以上、夫名義の持ち家で一緒に暮らしてきました。離婚話が出たとき、夫から「家は俺の名義だから出て行って」と言われ大きなショックを受けました。
弁護士に相談したところ、家も共有財産に含まれる可能性があると説明を受け、資産価値や住宅ローンの残債を踏まえて交渉を開始。最終的には、夫が家を所有する代わりに、自分が家の価値に基づいた代償金を受け取ることで合意しました。
経済的な安心感を得た上で、新たな住まいも確保できました。
夫が財産を開示してくれない
結婚後は夫がすべてお金の管理をしていて、自分は生活費を受け取るだけ。いざ離婚の話が出ると、夫は「財産なんてない」と言い張り、預金や保険の内容を一切教えてくれませんでした。
弁護士に依頼して財産開示の交渉を行ったところ、複数の銀行口座や株式、終身保険があることが判明。さらに、取引履歴を確認すると、名義を分散して管理されていた預金も発覚しました。
弁護士のサポートで、隠された資産を正確に把握し、公平な財産分与が実現しました。
退職金は対象になる?
離婚の話し合い中、夫が来年定年退職予定だと聞き「その退職金は分けてもらえるのか」と不安になりました。夫からは「まだもらっていないから関係ない」と一蹴されてしまい、納得がいきませんでした。
弁護士に相談すると、離婚時点の勤務実績に応じた「将来の退職金」も財産分与の対象になることを知りました。会社からの資料をもとに評価額を算出し、退職金の見込み分を反映した分与案を作成。粘り強い交渉の末、適正な取り分を確保でき、将来の生活に備えることができました。
弁護士に依頼することでできること
「専業主婦の私には交渉なんて無理…」
「財産のことなんて、夫に任せっきりで何があるのかもわからない…」
そんな状態で離婚を進めてしまうと、不利な条件で合意させられてしまう可能性があります。でも、弁護士に相談・依頼することで、こうした不安や負担はぐっと軽くなります。
具体的には、弁護士は以下のようなサポートをしてくれます。
財産の全体像の開示を求め、整理してくれる
- 相手に対して財産の開示を求める
- 必要に応じて、調停・裁判を通じて財産の開示を促す
- 不動産登記の取得、開示された保険証券や金融資産の履歴などを整理する
不公平な分け方を防ぐために、代わりに交渉してくれる
- 名義に関係なく、共有財産を公平に分けるよう主張
- 持ち家に住み続けたい場合、代償金とのバランスを調整
- 感情的な衝突を避けて交渉が進む
年金や退職金など専門的な部分もサポート
- 年金分割制度の利用・手続き
- 将来支給予定の退職金の評価・交渉
- 自分の取り分の確保
別居中の場合、離婚までの生活費(婚姻費用)を確保できる
- 別居中で、離婚協議中の生活費を請求
- 収入がない期間の経済的不安を一定程度軽減
離婚後のトラブルを防ぐ書面を整えてくれる
- 離婚協議書・調停条項案・公正証書の作成
- 支払義務のある文書にして今後のトラブル防止
精神的な負担を減らしてくれる
- 弁護士が交渉窓口となることで相手と直接やりとりしなくて済む
- 将来の不安やストレスを軽減
- 自分の意見や希望をきちんと伝えてもらえる
よくある質問(FAQ)
Q: 働いていなかったので、財産分与は受けられませんか?
受けられます。
家事・育児などによる貢献も有形無形を問わず評価されるため、基本的には半分もらえます。
Q:預金も家も夫の名義です。分けてもらえるのでしょうか?
名義は関係ありません。
結婚生活中かつ離婚時(別居時)までに築いた財産であれば対象になります。
Q:年金も分けられるって本当ですか?
はい、「年金分割制度」により、厚生年金の支払実績を公平に分けることができます。
申請期限があるため注意が必要です。
Q: 退職金はまだもらっていないけど、対象になりますか?
対象になる可能性があります。
将来の支給予定額をもとに分与割合を算定することができます。
Q:相手が財産を隠していたらどうなりますか?
弁護士を通じて、銀行口座・保険・証券などを開示するよう求めることができます。
場合によっては裁判所からの指示によって開示を求めることも可能です。
Q:今後の生活費が不安です。離婚後も支援はありますか?
財産分与や年金分割のほか、条件によっては慰謝料や婚姻費用の請求も可能です。
老後の生活を見据えた対策が必要です。
Q:弁護士に相談するタイミングはいつがいい?
できるだけ早い段階が理想です。
不利な条件で話が進む前に相談することで、適切な対策がとれます。
まとめ:不安なまま話を進めず、まずは相談を
離婚は人生の大きな分岐点。
財産分与で損をしないためにも、「専業主婦だから不利かもしれない」と諦めず、まずはご自身の権利を正しく理解することが大切です。
法律は、家庭を支えてきた方の貢献をしっかり認めています。
でも、それを実現するには正しい知識と交渉力が必要です。
安心して新しい人生を踏み出すためにも、早い段階で専門家に相談してみてください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。