もう嫌だ!マザコン夫と離婚に向けたチェックポイントと実施方法を専門弁護士が徹底解説

最終更新日: 2023年02月18日

マザコン 離婚

  • マザコンとはどういう状態をさすのだろう?
  • マザコン夫と離婚するための方法を知りたい
  • マザコンを理由に離婚するときのチェックポイントを知りたい

親子の愛情にはさまざまな形があり、制限されるものではありません。しかし、人生をともにするパートナーがマザコンであるために、家族をないがしろにしてしまうのであれば離婚という選択肢も真剣に考えなければならないでしょう。

本記事ではマザコン夫によって被害を受けている方がよりよい人生を送れるよう、マザコン夫との離婚に向けた具体的な方法や、注意すべきチェックポイントを解説していきます。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • マザコンとは、「母親とのスキンシップが幼稚」「母親の意見を最優先にする」などに該当する状態のこと
  • マザコンで離婚する主な方法は「協議離婚」「調停離婚」「審判離婚」「離婚裁判」の4つ
  • マザコンを理由に離婚を考えているなら、「慰謝料を支払わせるのは難しい」「母親の介入をできるだけ排除する」「早めに弁護士に相談しておく」の3つをチェックしておく

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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夫はマザコン?離婚を考えた時の5つのチェックポイント

「夫はマザコン?」と思って離婚を考え始めても、一方で「自分が気にし過ぎでは?」との不安がよぎり、確信がもてずに悶々と過ごしている方もいるでしょう。

ここでは夫はマザコンではないかと疑って離婚を考えるとき 5つのチェックポイントを紹介します。1つでも当てはまれば、あなたの夫はマザコンである可能性が高いといえます。

  • 母親とのスキンシップが幼稚
  • 母親の意見を最優先にする
  • 母親が万能だと思っている
  • 子どもに対しても嫉妬する
  • マザコン行動の矯正に母親が非協力的

それでは、1つずつ見ていきましょう。

母親とのスキンシップが幼稚

チェックポイントの1つ目は、母親とのスキンシップが幼稚かどうかです。

母親との距離感は人それぞれです。ただし、一般的には人は発達するにつれて精神的に自立し、母親とも一定の距離をおくようになるものです。結婚する年齢になっても、母親と長時間手を繋いだり、頻繁にハグしたりするなどの過剰なボディタッチは、マザコンの代表的行動といえます。

一方、母親の前で子ども化してしまい、極端に距離を取ってコミュニケーションをとることもあります。そういった行動も、マザコンの可能性があるので注意しましょう。

母親の意見を最優先にする

チェックポイントの2つ目は、母親の意見を最優先にするということです。

母親から精神的に支配されている場合、あらゆる行動の決定権を母親にゆだねていることも多いです。もちろん、子育てなどの悩みを人生の先輩である母親に相談し、その意見を尊重することは決して悪いことではありません。

しかし、なんでもかんでも母親の意見を最優先させ、言いなりになっているようではマザコンとしか言いようがありません。さらにエスカレートして、配偶者や家族にとって大切な事柄やデリケートな事案も勝手に相談してしまい、決定権をゆだねる事態に陥る懸念もあります。

母親が万能だと思っている

チェックポイントの3つ目は、母親が万能だと思っていることです。

そもそもマザコンとは、母親に依存している状態のことを指します。炊事・洗濯から厄介ごとの解決にいたるまで、すべてを母親に頼り切ってしまう状態です。

第三者の目からみてマザコン夫の母親がどれほど有能かはさておき、少なくともマザコン夫本人にとっては母親が万能な存在なのです。

そのため、マザコン夫は我が子の母親である妻に対しても万能を求める傾向があります。母親なのだからできて当たり前と考えがちになるのです。一方で、父親の自分は何もしなくてよいという発想になり、ダメな夫化してしまうこともあるでしょう。

子どもに対しても嫉妬する

チェックポイントの4つ目は、子どもに対しても嫉妬するということです。

マザコン夫は母親に依存している状態にあります。母親の一番は自分でなければなりません。そのため、母親から見て孫にあたる、自分の子どもに対しても嫉妬心を垣間見せることがあります。

祖母が孫に対して愛情を寄せることは、もちろん歓迎すべきことです。自分本位に物事をとらえ、我が子に対してまで嫉妬心を向けるような状態に陥っているなら、あなたの夫のマザコン度は相当深刻なレベルでしょう。

マザコン行動の矯正に母親が非協力的

チェックポイントの5つ目は、マザコン行動の矯正に母親が非協力的だということです。

夫をマザコンから矯正するためには、母親の協力が必要不可欠です。通常の母親の立場であれば、いい歳した息子が自分にベッタリであれば危機感を抱いてもおかしくありません。

あなたが夫を矯正しようとしているにもかかわらず、母親が非協力的であるなら、その母親の元で育った夫はマザコンの可能性が高いでしょう。また、夫の行動だけでマザコンであるかどうかの判断がつかない場合は、夫の成長段階に大きく影響を与えてきた母親の行動を観察することも有用です。

マザコンを理由に離婚できるのか

そもそもマザコンを理由に離婚はできるのでしょうか。離婚には、大きく分けて以下の4つのパターンがあります。ここではそれぞれのケースについて、離婚の可能性を説明していきます。

  • 協議離婚
  • 調停離婚
  • 審判離婚
  • 裁判離婚

それでは、1つずつ見ていきましょう。

協議離婚

1つ目は、協議離婚です。

協議離婚では、夫婦で話し合ってお互いに合意したうえで離婚することになります。お互いの合意さえできれば、後はお住いの市区町村に離婚届を提出するだけでよいのです。

夫婦の話し合いをベースにしているため、マザコンなどの理由から離婚の意志が固いことを丁寧に伝えたうえで、相手に納得してもらえれば離婚できます。ただし、財産分与や養育権などの微妙な問題を当事者だけで直接話し合うと感情的になってしまい、まとまらないケースも多いでしょう。

また、協議離婚の場合には公的書類の発行場面がないため、離婚協議書などの作成をおすすめしていますが、時間と労力が必要になるでしょう。

調停離婚

2つ目は、調停離婚です。

調停離婚では、家庭裁判所の調停委員が夫婦の間を仲介して、それぞれの言い分を聞いたうえで調整をしてくれます。調停委員は、夫婦別々に聞き取りを行うなど夫婦が直接顔を合わせないような配慮もしてくれます。

ですから、マザコン行動のことなどを具体的に指摘しても、比較的落ち着いた雰囲気で離婚に向けた話し合いができるでしょう。

夫婦の合意ができれば、市区町村に離婚届と調停調書謄本を提出して離婚成立になります。

審判離婚

3つ目は、審判離婚です。

審判離婚は、調停離婚が成立しなかった場合に、家庭裁判所が離婚を命ずる形式です。離婚すること自体には合意しているものの、その条件に相違がある場合などに利用されます。

ただし、両者がそれらの判断を裁判所にゆだねることに同意している必要があります。また審判の告知後2週間は異議申立てが可能です。そのため実際にはあまり利用されていません。

なお、意見の相違がマザコンを理由とした部分に見られる場合、相手からの異議申立てで覆される可能性もあります。

裁判離婚

4つ目は、裁判離婚です。

裁判離婚は、調停で決着がつかなかった場合に訴訟を提起して、裁判で離婚やその条件を争う形式です。裁判離婚の場合、民法で定められている以下の離婚事由に該当しなければ訴訟を提起できません。

民法では、マザコンが離婚の直接的な事由としては認められないため、マザコンに起因する夫婦関係の破綻を証明して訴を提起する必要があります。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

出典:民法 | e-GOV法令検索

マザコン夫との離婚に向けて行うこと

マザコン夫との離婚を目指したいものの、一足飛びに離婚をすることが難しい場合もあるでしょう。マザコンが民法の定める離婚事由には当たらないとなってはなおさらです。

それでは、離婚に向けてどのような行動をしておけばいいのでしょうか。ここでは、以下の2つを紹介します。

  • 別居
  • モラハラやDVの証拠集め

それでは、1つずつ見ていきましょう。

別居

1つ目は、別居です。

すぐに離婚というのは、配偶者も感情的に認められない場合が多いでしょう。そういったときは、まず別居という形でお互いに距離を取ってみるのもよい方法です。

別居を通じて、離婚への強い意志を相手に伝えることもできますし、お互いに落ち着いて考える時間を持つことができます。一度離れることで、具体的に配偶者のどのようなマザコン行動が負担になっているのかなどを解像度高く認識することができるでしょう。

ただし、合意のない別居は「悪意の遺棄」に当たる可能性もあるため注意しましょう。

モラハラやDVの証拠集め

2つ目は、モラハラやDVの証拠集めです。

マザコンは民法上の離婚事由には当たりませんが、マザコンがゆえにあなたに対して暴言をはいたり暴力をふるったりした場合、それは離婚事由になる可能性が高いです。その事実を立証するために、録音・動画・医師の診断書など客観的な証拠をできるだけ集めておきましょう。

マザコン夫と離婚するときのポイント

マザコン夫と離婚する際に、注意すべきポイントとは何でしょうか?ここでは、マザコン夫との離婚ならではのポイントを3つ紹介します。

  • マザコンを理由に慰謝料を支払わせるのは難しい
  • 母親の介入をできるだけ排除する
  • 早めに弁護士に相談しておく

それでは、1つずつ見ていきましょう。

マザコンを理由に慰謝料を支払わせるのは難しい

マザコン夫と離婚するときのポイント1つ目は、マザコンを理由に慰謝料を支払わせるのは難しいということです。

マザコンであることは、直接的な離婚事由には当たりません。したがって、慰謝料を請求しても、強制的に支払わせるのは困難な場合が多いでしょう。もちろん、マザコンに起因した暴力やハラスメントなどがあれば慰謝料の支払いに繋がることもあります。

母親の介入をできるだけ排除する

マザコン夫と離婚するときのポイント2つ目は、母親の介入をできるだけ排除するということです。

マザコン夫とスムーズに離婚したいのであれば、母親の介入を極力排除することが必須です。特に親権に関する条件付けはトラブルに発展しやすいので注意が必要です。

もしどうしても母親の介入が避けられそうもない状況なら、夫よりも先に母親を説得してみましょう。それがトラブルの予防に繋がることもあります。

早めに弁護士に相談しておく

マザコン夫と離婚するときのポイント3つ目は、早めに弁護士に相談しておくことです。

民法の離婚事由に当たらなくても、マザコンによって精神的・肉体的に苦痛を覚えることもあるでしょう。当事者同士の合意によって解決する調停離婚もありますが、さまざまな条件をお互いにすり合わせていくことは容易なことではありません。

無用なトラブルを避け、スムーズに離婚に進んでいくためにも、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

本記事では、マザコン夫のチェックポイント・離婚の方法・注意すべきポイントなどについて解説しました。

親子の愛情やコミュニケーションの形はさまざまで、他人が口出しする問題ではありません。しかし、配偶者であるあなたに悪影響があるなら、離婚を決断することも1つの選択肢です。

マザコンだという事実だけでは離婚をすることは難しいですが、あなたが耐え難い精神的・肉体的苦痛を抱えているのであれば、専門弁護士が解決の糸口を見出してくれるでしょう。マザコン夫に苦しみ、離婚を考えているのであれば、ぜひ弁護士を頼ってください。

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