覚醒剤違反は初犯でも実刑に?刑罰・量刑の相場と減刑を得るための対応策を徹底解説
最終更新日: 2025年03月31日
- 覚醒剤で逮捕されてしまった。初犯だがどれくらいの罪になるのか知りたい。
- 覚醒剤による逮捕は初犯でも実刑になるのか?実刑を避けるにはどうすればよいのだろう?
- 覚醒剤で逮捕されたが、減刑を望んでいる。法律に詳しい人と相談したい。
初犯とは、初めて罪を犯すことで、過去に刑事事件の前科がないことです。
しかし、初犯でも「覚醒剤で逮捕されたら、重い罪に問われてしまうのではないか」と、不安を感じることでしょう。
そこで今回は、多くの刑事事件に携わってきた弁護士が、覚醒剤取締法違反が初犯の場合の刑罰、減刑の可能性等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談できます。
- 覚醒剤取締法違反で実刑判決を受けると、初犯であっても刑事施設に1年以上収容される可能性がある
- 覚醒剤取締法違反で実刑判決を受けると、無期懲役(無期拘禁刑)および1,000万円以下の罰金に処される可能性がある
- 覚醒剤で逮捕され減刑を得たいのであれば、弁護士と相談した方がよい
覚醒剤違反が初犯の場合は減刑されるのか?
覚醒剤取締法違反で逮捕された場合、初犯の者は再犯者よりも、軽い刑となる傾向があります。
ただし、いずれも実刑判決を受けた場合は必ず懲役(2025年6月1日以降は「拘禁刑」)となり、刑事施設に収容されます。
初犯の場合
覚醒剤取締法違反の初犯の場合、1年6か月程度の懲役(拘禁刑)に処される可能性が高いでしょう。
ただし、情状酌量が認められれば、執行猶予付き判決(概ね3年の執行猶予)が言い渡されるケースもあります
一方で、全く反省しておらず捜査にも協力しなかった場合や、営利目的で覚醒剤を製造していた等の事実が認められた場合は、執行猶予は付かず、重い刑罰となる可能性があるでしょう。
再犯の場合
覚醒剤取締法違反が再犯の場合は、2年前後の懲役(拘禁刑)に処される可能性が高くなります。
再犯となるのは、以前に懲役(拘禁刑)を受け、刑の執行後5年以内に再び罪を犯し有期懲役となった者です。
再犯の場合、執行猶予付き判決になる可能性は低く、逆に懲役(拘禁刑)の上限が2倍以下と重くなります(再犯加重:刑法第57条)。
たとえば、覚醒剤をみだりに所持して再犯となれば、懲役(拘禁刑)10年以下→20年以下に加重されます。
再犯にならない場合でも、覚醒剤取締法違反で何度も逮捕されると、刑が重くなることがあります。
出典:刑法|e-Gov法令検索
覚醒剤違反の内容と科される刑罰
覚醒剤取締法違反で逮捕されると初犯や再犯の違いの他に、営利目的か否かによっても、刑罰の重さが変わります。
輸入・輸出
覚醒剤の輸入・輸出を企てる行為は処罰の対象です。
密輸しようと様々な方法がとられるものの、手荷物検査で発見されるケースがほとんどです。
みだりに輸入や輸出をした場合は、1年以上の有期懲役(覚醒剤取締法第41条第1項)となります。営利目的での輸入や輸出は、より重く次のいずれかの刑に処されます(同法第41条第2項)。
- 無期もしくは3年以上の懲役
- 無期もしくは3年以上の懲役および1,000万円以下の罰金
所持
覚醒剤は所持しているだけで処罰されます。
警察官が巡回中に不審人物を見つけ、職務質問・所持品検査を行って覚醒剤を発見した場合、現行犯逮捕となるでしょう。
覚醒剤をみだりに所持すれば10年以下の懲役に処されます(同法第41条の2第1項)。営利目的で所持していた場合は、次の通りより重い刑に処される可能性があります。
- 1年以上の有期懲役
- 1年以上の有期懲役および500万円以下の罰金
製造
違法に覚醒剤を製造した者も処罰の対象です。
みだりに製造し有罪となれば、1年以上の有期懲役に処されます(覚醒剤取締法第41条第1項)。営利目的で製造した場合、次のいずれかの刑に処されます(同法第41条第2項)。
- 無期もしくは3年以上の懲役
- 無期もしくは3年以上の懲役および1,000万円以下の罰金
営利目的で覚醒剤を製造した者は、最悪の場合、無期懲役(無期拘禁刑)かつ1,000万円の罰金を受けることもあり得ます。
ただし、覚醒剤原料取扱者の製造や、厚生労働大臣の許可を得た研究のための製造は、適法とされています。
譲渡・譲受
覚醒剤の売買・贈与・交換等も処罰対象で、みだりに譲渡・譲り受けたときは10年以下の懲役に処されます(同法第41条の2第1項)。営利目的で譲渡・譲り受けた場合、次のいずれかの刑に処されます(同法第41条の2第2項)。
- 1年以上の有期懲役
- 1年以上の有期懲役および500万円以下の罰金
ただし、覚醒剤を譲り受ける約束をしただけで、実際に覚醒剤が手元に渡っていない場合は、譲り受けを希望した者は逮捕されません。
使用
覚醒剤を使用した者は、処罰の対象となります。
覚醒剤使用が発覚するのは、捜査機関に使用を疑われ、尿検査の実施後に覚醒剤の陽性反応が確認された場合などです。
覚醒剤を使用し有罪となれば、10年以下の懲役(同法第41条の3)に処されます。
覚醒剤違反が初犯の場合の量刑相場
覚醒剤取締法違反で逮捕された者が初犯の場合、1年6か月程度の懲役(拘禁刑)が相場です。
ただし、初犯であるからといって、必ず相場通りの量刑になるとは限りません。
所持・使用
覚醒剤を長年隠し持っていた、何回か使用していた場合でも、覚醒剤取締法違反での逮捕が初めての場合は「初犯」となります。
所持していた覚醒剤が微量で短期間の使用だった場合は、初犯の一般的な量刑相場となるでしょう。
1年6か月程度の懲役(拘禁刑)であれば、「執行猶予」が付く可能性があります(刑法第25条)。
ただし、初犯でも覚醒剤を大量に所持していた場合や、長期間の使用で常習性が高いと判断された場合は、相場より重い刑に処される可能性があります。
一方、初犯でも3年を超える懲役(拘禁刑)となった場合は、執行猶予が付くことはありません。また、3年以内の懲役であっても、裁判所が実刑判決を言い渡す場合があります。
営利目的
自分が使用する目的で覚醒剤を購入・所持していたときは、初犯の量刑相場となる可能性が高いでしょう。
ただし、「不特定多数の人間に覚醒剤を売るつもりだった」「営利目的で覚醒剤を大量購入した」という場合は、初犯であっても減刑されない可能性があります。
特に、営利目的で1キロ以上の覚醒剤を所持していたときは、相場より重い刑に処され、執行猶予が付かない可能性があるでしょう。
前科・前歴
覚醒剤をはじめ他の違法薬物で逮捕され、有罪となった「前科」がなければ、初犯の量刑相場となる可能性が高いです。
前科とは、過去に懲役や禁錮、罰金刑や執行猶予を受けた経歴です。ただし、覚醒剤や違法薬物の前科がなければ安心というわけではありません。
「前歴」にも注意が必要です。前歴とは、過去に捜査機関から捜査対象とされた事実・経歴です。
たとえば、覚醒剤取締法違反の被疑者として逮捕され、捜査を受けたものの、証拠不十分で不起訴になったケースが該当します。
不起訴処分になった場合、前科は付きませんが、前歴が残ります。
比較的最近の覚醒剤や違法薬物の前歴があり、かつ同じ罪を犯した場合、裁判官の心証は悪くなるかもしれません。
再発防止策
再発防止策の作成・実行を裁判官等に主張すると、減刑や情状酌量で執行猶予が付く可能性が高まるでしょう。
家族に監視してもらう、専門医療機関で治療する、更生支援団体でリハビリを受けるなどの再発防止策を示せば裁判官は「更生の余地がある」と判断する可能性があります。
弁護士を通して、次のような書類を検察官や裁判官に提出すれば、更生する姿勢をアピールできます。
- 専門医療機関での診断書やカルテ
- 更生支援施設の入所証明書等
覚醒剤違反が初犯の場合の逮捕後の流れ
覚醒剤取締法違反で逮捕された場合、警察や検察で取り調べを受け、家宅捜索を受ける場合があります。
覚醒剤の使用や逃亡・証拠隠滅を防ぐため、早期に釈放される可能性は低いでしょう。
逮捕
逮捕された被疑者は、まず警察署で取り調べを受け、覚醒剤を使用・所持した動機や経緯等を質問されます。
「被疑者が初犯でも油断はできない。今後も覚醒剤の使用や密売を行うおそれがある」「逃亡・証拠隠滅を図るかもしれない」と警察が判断すれば、警察署の留置施設に身柄を拘束されるでしょう。
逮捕後、48時間以内に被疑者の身柄は検察へ送致されます。
送致
身柄送致後、検察官からも覚醒剤に関する取り調べを受けます。
検察官が「引き続き覚醒剤に関する取り調べを続けた方がよい」と考えるときは、裁判所に勾留請求を行うでしょう。
勾留
裁判所が勾留請求を認めれば、留置施設で身柄拘束されます(刑事訴訟法第208条)。
勾留期間は最長20日になります(原則10日、必要に応じて10日間延長可能)。
勾留中の被疑者は家族や友人・知人との面会を制限され、自由に面会できるのは弁護士のみです。
被疑者が勾留されている間、警察や検察からの取り調べや家宅捜索が行われる等捜査が進められていきます。
起訴・不起訴
捜査終了後、検察官が被疑者の起訴または不起訴を決定します。
初犯であっても覚醒剤の常習性が認められる、大量の覚醒剤を所持していた、営利目的で覚醒剤を扱っていた等と判断された場合は、起訴される可能性が高いでしょう。
ただし、次のようなケースでは不起訴となる場合もあります。
- 覚醒剤と認識しておらず、合法の薬物と思って購入した・取得した薬物の中に、たまたま覚醒剤が混じっていた
- 覚醒剤使用を疑い尿検査したが陰性だった、または捜査機関が不適切な尿検査の方法をとった
- 他人からの通報で逮捕したが、覚醒剤の購入や使用を裏付ける証拠がみつからなかった
一方、検察官から起訴されたときは、刑事裁判となり被疑者は「被告人」と呼ばれ、裁判所で公判期日が開かれます。
裁判
刑事裁判に移行すると、被告人は公開の法廷に出廷しなければなりません。
被告人が初犯で覚醒剤に関する罪を認めている場合、基本的に2回の公判期日で裁判は終了するでしょう。
公判期日の流れは、次の通りです。
- 第1回目:人定質問→起訴状朗読→黙秘権の告知→罪状認否→冒頭陳述→証拠調べ→論告求刑・弁論→結審
- 第2回目:判決
刑事裁判で被告人をサポートするのは、次のいずれかの弁護人(弁護士)です。
- 私選弁護人:被告人本人や家族が選任した弁護士
- 国選弁護人:国費で裁判所から選任された弁護士
国選弁護人は勾留状が発せられたときか、起訴されたときに選任されますが、被告人側は自由に選べません。
判決
検察側が有罪と判断できるだけの証言・証拠を集められなかったとき、裁判所は被告人に無罪判決を言い渡すでしょう。
有罪であっても初犯で量刑が1年6か月程度の懲役(拘禁刑)であれば、執行猶予付き判決を受ける可能性があります。
ただし、裁判官から「初犯でも情状酌量の余地はない」と判断された場合、実刑判決を受け刑事施設に収容されることもあるでしょう。
検察も弁護側も判決に不服があるときは、上級裁判所へ控訴できます。
覚醒剤違反が初犯の場合の対応策
覚醒剤取締法違反の初犯の場合でも、冷静に今後の対応を検討しましょう。
できれば逮捕前に弁護士と相談すれば、余裕のある状態でアドバイスやサポートが得られます。
弁護士への相談
「覚醒剤取締法違反で警察に逮捕されるかもしれない」と不安なときは、弁護士に悩みを打ち明けて相談した方がよいです。
弁護士は事情を聴いたうえで、次のようなアドバイスをします。
- 覚醒剤取締法違反が初犯である場合の量刑
- 刑事手続の流れ
- 自首や捜査協力が減刑につながる旨
- 再発防止策の作成・提示の必要性
- 起訴され刑事裁判となったときの弁護士の活動
相談したうえで、私選弁護人として選任してもよいでしょう。
私選弁護人となった弁護士は、自首の付き添い(自首同行)や、本人が逮捕された場合はすぐに拘束場所へ向かい面会もできます。
逮捕後に私選弁護人を依頼したいときは、警察官に家族へ連絡したいと申し出て、家族から弁護士に依頼してもらいましょう。
周りへのサポート依頼
覚醒剤に関する罪を繰り返さないため、家族等に協力を求めましょう。
家族の監視下で生活すれば、自分が覚醒剤に接する機会を抑制できます。また、弁護士からも更生するためのアドバイスの提供を受けられます。
家族や弁護士が更生を目指す本人の精神的な支えとなるでしょう。
一方で、友人や恋人などが自分に覚醒剤を勧めていた場合は、誘惑してくる人物との関係を断ち切る勇気も必要です。
再発防止策の作成・提示
家族が本人の更生のため協力するだけでなく、有効な再発防止策を作成し提示すれば、検察官や裁判官の心証もよくなる可能性があります。
覚醒剤依存から脱却する治療計画を作成して、確実に実施するようにしましょう。
たとえば、弁護士のアドバイスも得ながら、次のような計画を検討するとよいです。
2.回復支援施設から退所後、専門医療施設やクリニックで通院治療を継続する
3.薬物依存者の集まり(自助グループ)に参加し、改めて自分自身を見つめ直す
法律事務所によっては、覚醒剤の依存状態を判断しつつ、本人が無理なく覚醒剤依存から抜け出せるような実効性のある治療計画を提案できる場合もあるでしょう。
覚醒剤違反が初犯で減刑を得たい方は春田法律事務所へ
今回は数多くの刑事事件を担当してきた弁護士が、覚醒剤違反が初犯の場合の対応策等について詳しく解説しました。
春田法律事務所は、刑事事件の弁護活動に力を入れている法律事務所です。覚醒剤取締法違反を犯してしまい、逮捕や量刑がどうなるか不安なときは、弁護士と対応の仕方をよく話し合いましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。