横領では自首すべきケースは?メリットや注意点も解説
最終更新日: 2024年01月29日
- 横領事件では自首すべきだろうか?
- 横領で自首したらどのようなメリットがあるのだろう
- 横領で自首を成功させるポイントを知りたい
横領事件を起こしてしまった方にとって気になるのは、警察に自首すべきか否かということではないでしょうか。自首することで重い罪を科せられるのではないか、出頭後自分の身はどうなってしまうのだろうか、などという悩みを抱え込んでしまい、自首へと踏み切れない方が少なくありません。
そこで本記事では、横領事件に詳しい弁護士が、自首すべきか・自首するメリット・注意点と成功するためのポイントを解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 横領事件では状況によって自首すべきかそうでないかが決まる
- 横領事件で自首すれば不起訴処分や減刑の可能性もある
- 横領事件で自首を成功させるポイントは実績豊富な弁護士に相談して早く出頭するべき
横領では自首すべきか
まずは、横領では自首すべきかについて、以下2点を説明します。
- 横領で自首すべき状況
- 横領で自首しない方がよい状況
横領で自首すべき状況
横領事件を起こした方が大企業に勤めており、被害金額が数千万円以上にわたる場合や、横領した金額の一部しか弁済できないような場合は、警察に対して被害届や告訴状を提出される可能性が極めて高くなります。
こうしたケースでは、示談による事件解決を図ることが困難となるため、将来的に起訴されて刑事裁判へと発展した場合に備えて自首すべきでしょう。
刑法第42条1項記載のとおり、自らの罪を認めて自首することで、減刑の余地が出てくる場合があります。
(自首等)
第四十二条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。
また、事件を起こした方が公務員の場合は、数十万円程度の業務上横領であっても、警察に被害申告されることは珍しくありません。専門弁護士に相談の上、早期に自首を検討すべきでしょう。
横領で自首しない方がよい状況
横領事件を起こした方が中小企業などに勤めている場合は、社長やオーナーの意向によっては、示談による事件解決を目指すケースがしばしばあります。
刑事裁判を起こすと、高額な費用が発生するだけでなく、事件が長期化してしまう恐れもあります。そのため、当事者双方の話し合いによる示談で被害金の回収を優先し、早期事件解決を望むケースが多く見られます。
このように、示談で刑事事件化を回避できる余地がある場合には、まずは示談交渉に注力すべきであり、自首のタイミングを慎重に検討する必要があります。
自首してしまえば、警察は事件として受理し検察庁に送致するとともに、裏付け捜査のために関係者から証言を集めて、供述調書を作成します。
警察からの連絡によって被害届や告訴状を会社側が提出することも十分に考えられるため、自首する前に専門弁護士に相談してサポートを受けながら、示談での事件解決を図ることをおすすめします。
横領で自首するメリット
横領で自首するメリットについて、以下3点を説明します。
- 不安な日々を送らなくて済む
- 不起訴処分の可能性が高まる
- 減刑の余地がある
不安な日々を送らなくて済む
「魔が差して会社のお金に手を出してしまったけど、いつバレるか分からず不安だ…」
「同僚や家族は横領の事実に気付いているのではないのか…?」
横領事件を犯した場合、多くの人は周囲への罪悪感や罪の発覚などを恐れて、不安な日々を送ることとなり、精神的に大きなストレスを抱えてしまいます。
一方で、自身の罪を認めて警察に自首すれば、この先いつ逮捕されるのか、といった不安からは解放されるでしょう。
もちろん、刑事上・民事上での罪に問われる可能性は否めませんが弁護士に相談すれば、先のわからない不安からは解放されるかもしれません。専門弁護士であれば、事件の円満解決に向けたアドバイスや、不起訴処分や減刑に向けた弁護を行ってくれます。
1日でも早く日常生活を取り戻すためにも、しっかりと罪に向き合い、専門弁護士のサポートの元で、早期に自首を検討すべきでしょう。
不起訴処分の可能性が高まる
横領事件では、自首することで自らの罪を認め反省していると捉えられ、自身の供述の信用を勝ち取りやすくなります。
たとえば、窃盗によって逮捕されたケースでは、被疑者が逮捕された後に自身に有利な供述をしても、なかなか捜査機関に信用してもらえません。自首によって自らの罪を認めた上で供述をすれば、どのような事情で犯行に及んでしまったのかといった状況を報告でき、情状酌量となる可能性が高まります。
横領事件においても同様で、検察官が自首に対して情状を認めれば、不起訴処分を勝ち取れる可能性があります。場合によっては前科をつけることなく事件を解決することが可能です。
減刑の余地がある
横領事件では、自首することによって犯人が罪を認めて反省していると捉えられやすく、情状によって、減刑を勝ち取れる余地があります。刑法第42条(上述)では、自首した場合について、その刑を減刑できると定められています。
また、自首していることが会社などに伝われば、専門弁護士を通じて示談によって事件解決を図れる可能性も高まるため、減刑のみならず不起訴処分を獲得できるかもしれません。
自身にとって、少しでも有利な結果を勝ち取るためには、罪を隠すことなく自首することが賢明です。
横領で自首する際の注意点
横領で自首する際の注意点について、以下3点を説明します。
- 罪が軽くなると決まってはいない
- 横領にも時効がある
- 会社への報告を慎重にすること
罪が軽くなると決まってはいない
横領事件で自らの罪を認め自首した場合には、不起訴処分や減刑を獲得できる可能性があります。
しかし、自首さえすれば、必ずしも罪が軽くなるという訳ではありません。社会に及ぼす影響力や事件の悪質性などを勘案した上で、懲役刑などが科せられるケースは珍しくありません。
一方で、自身が犯した罪がいつバレてしまうか分からない、といった不安感、家族や同僚などに対する後ろめたさを抱えながら日々の生活を送ることは、心理的に大きなストレスとなってしまいます。
自首を考える場合には、まずは、自身の犯してしまった罪をしっかりと償ってやり直したい、という強い気持ちを持つことが大切です。
横領にも時効がある
業務上横領罪では、刑事訴訟法250条および刑法253条にて時効は7年と定められています。
長期間にわたり横領の事実が発覚しなければ、一部時効を迎えている可能性もあります。
第二百五十条 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については三十年
二 長期二十年の懲役又は禁錮に当たる罪については二十年
三 前二号に掲げる罪以外の罪については十年
② 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 死刑に当たる罪については二十五年
二 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については十五年
三 長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については十年
四 長期十五年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については七年
五 長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年
六 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年
七 拘留又は科料に当たる罪については一年
ただし、刑事上の時効期間が過ぎてしまった場合でも、民事上の損害賠償請求を追及されてしまうケースがあります。
たとえば、一般社員が自社の金銭を横領した場合、民法709条に定める「不法行為」に該当し、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから3年間、横領事件が発生したときから20年間が、民事上の時効期間です。
そのため、「15年前に犯した横領事件が一か月前に発覚した」というような場合では、刑事責任を追及されることはないものの、民事上の損害賠償責任を追及される可能性があります。
会社への報告を慎重にすること
横領事件においては、自身の判断で会社に対して、横領事件を起こしてしまったことを報告してしまう方もいます。
しかし、本人のみの判断で話を進めてしまうと、会社から被害届を出されてより重い罪が科せられる可能性もあります。
自首を考える場合には、まずは専門弁護士へ相談した上で、会社に対するアプローチの仕方などを検討することが重要です。
多くの場合、懲戒解雇処分や減給処分などは免れることはできませんが、専門弁護士によるサポートを受けることで、刑事事件への発展回避や身柄の拘束を避けられることもあります。
自身にとって少しでも有利な結果を勝ち取ることはもちろん、1日でも早く日常を取り戻すためには、焦ることなく慎重に行動しなければなりません。
横領で自首する際のポイント
ここまで、横領で自首すべきかとメリット・注意点について解説しました。ここからは自首する際のポイントについて、以下2点を説明します。
- 専門弁護士への相談
- 可能な限り早く出頭する
専門弁護士への相談
横領事件においては、後ろめたさや一刻も早く不安な日々から解放されたい、との思いから、自身の判断のみで自首してしまう方も少なくありません。
しかし、十分な証拠を用意できないまま自首してしまうと、事件が長期化したり自分に不利になってしまう可能性もあります。
自首を有利に運ぶためには、まずは専門弁護士へと相談することが重要です。
横領の手口・金額・使途などの流れを一つずつ確認した上で上申書を作成し、弁護士の立ち会いの上で出頭・捜査員への提出を行うことが、自首する際のポイントとなります。
中には、専門弁護士に相談することを躊躇ってしまう方もいますが、不起訴処分や減刑を勝ち取るためには、専門家による法的サポートが必要不可欠でしょう。
可能な限り早く出頭する
横領事件で自首する場合には、警察が事件を把握する前に出頭する必要があります。 警察が事件を把握してしまうと、自首には該当せず、不起訴処分や減刑を勝ち取ることが難しくなる可能性があるからです。
同様に、会社が被害を申告する前に出頭することも必要であり、横領事件において自首を検討する場合は一刻を争います。
上述したように、警察に出頭した場合でも必ずしも自首が成立するとは言い切れず、罪が軽くなるとは限りません。
しかし、後手に回ってしまえば自身にとって、どんどん不利な状況へと追い込まれてしまいます。
万が一横領事件の当事者となってしまった場合には、専門弁護士へと相談の上、早期に自首を検討すべきでしょう。
横領で自首を考えているなら今すぐ専門弁護士に相談を
本記事では、横領事件では自首すべきか、自首のメリット、自首を成功させるポイントについて解説しました。
横領事件では、専門弁護士によるサポートの元で自首することで早期の事件解決を目指すことができます。会社との示談はもちろん、刑事裁判での不起訴処分や減刑を獲得するためには、専門弁護士による法的サポートが必要不可欠です。
不安な日々から解放され1日も早く日常生活を取り戻すためにも、迷うことなく横領事件に強い専門弁護士へとご相談ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。