就業規則について専門弁護士が解説!見直しが必要な状況・活動内容・相談すべき理由を紹介

2024年01月29日

就業規則について専門弁護士が解説!見直しが必要な状況・活動内容・相談すべき理由を紹介

  • そろそろ就業規則の見直しが必要ではないかと考えている。
  • 自社の現状に合った就業規則を定めたいが、事前に法律の専門家へ相談したい。
  • 就業規則の見直しを弁護士に相談したら、どのようなアドバイスが得られるのだろう?

就業規則とは、従業員の賃金・労働時間等の労働条件、職場内の規律、雇用に関するルール等をまとめた書面です。

ただし、就業規則を策定したらずっと放置してよいわけではありません。規則の遵守はもちろんですが、自社の現状を踏まえ見直しが必要な場合も出てきます。

そこで今回は、多くの労務問題に携わってきた専門弁護士が、就業規則の見直しが必要な状況、見直しを弁護士へ相談するメリット等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 就業規則が作成されていれば、従業員は安心して業務に従事できる
  • 就業規則が自社の働き方と一致していない等の場合、規定内容を見直した方がよい
  • 弁護士に相談し、就業規則の見直しのサポートを依頼すれば、現状に合った完成度の高い就業規則が作成できる

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

就業規則を弁護士が解説

就業規則とは、企業が従業員全員に周知させる、事業場の労働条件・職場内の規律を定めた書面です。

こちらは従業員を常時10人以上雇用する会社なら、作成が義務付けられています。

就業規則の記載事項は、「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」「任意的記載事項」の大きく3つに分けられます。

(1)絶対的必要記載事項

就業規則を作成する企業が定める必要のある事項です。

  • 労働時間に関する規定
  • 賃金に関する規定:ただし規定の詳細は、別に給与規程または賃金規程で記載する場合が多い
  • 退職に関する規定

(2)相対的必要記載事項

各企業が必要に応じて定める事項です。ただし、ルールを設ける以上は、就業規則に記載する必要があります。

  • 退職金に関する規定
  • 最低賃金額、臨時の賃金に関する規定
  • 食費、作業用品等に関する規定
  • 安全衛生に関する規定
  • 教育訓練に関する規定
  • 災害の補償や、業務外で病気やケガをしたときの手当等に関する規定
  • 表彰、制裁に関する規定
  • その他に関する規定

(3)任意的記載事項

記載は各企業の判断で決められる事項です。企業理念・社訓の他、服務規程、採用・異動等の規定が該当します。

就業規則の見直しが必要な状況を弁護士が解説

自社の様々な事情の変化で、就業規則の見直しが必要となる場合もあるでしょう。

こちらでは、就業規則の見直しをしなければいけない状況について説明します。

就業規則がない

自社で常時雇用する従業員が10名以上になった場合、就業規則を作成して労働基準監督書に届出が必要です。

「常時使用する労働者」とは、原則として全ての労働者を指します。短時間労働のパート、アルバイトの人(1年以上継続雇用が見込まれる人)も、この労働者に該当します。

つまり、雇用保険や社会保険の加入の有無は関係ありません。

ただし、派遣社員の場合は派遣元の会社の労働者なので、派遣先の会社では派遣社員をカウントせずに、従業員数を計算しましょう。

就業規則を作成する場合、まず規則案を企業内の労務部門でつくり、従業員の代表または労働組合に見せ意見を聞きます。

その後、従業員代表の意見を「意見書」としてまとめ、作成した就業規則と就業規則(変更)届とを、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署に提出します。

雛形を使っている

以前から定型の雛形をそのまま使用している場合、自社の労働時間等の労働条件、雇用に関する現状に合致していない可能性があります。

以前の雛形の内容で就業規則を定めていた場合、その後の最低賃金の引き上げで、正社員の給与が最低賃金未満となっているならば、労働トラブルに発展する可能性が高いです。

この場合、月給制の正社員は時間給で再計算したうえで、適正な賃金となるよう見直す必要があります。

自社の働き方と一致していない

自社の働き方に合わせて柔軟な見直しを行わなければいけません。

たとえば、以前は自社の働き方がフルタイム・毎日出社であったものの、現在はフルリモートワークの会社となった場合は、就業規則の見直しが必要です。

就業規則へテレワーク勤務に関する規定や、テレワークの労働時間についての規定、通信費の負担に関する規定等を新たに設けて対応します。

法律チェックをしていない

改定された就業に関する法律の内容をよく確認しましょう。

就業規則が法律の改定に合っていないならば、たとえば次のように就業規則の変更や規則の追加が必要です。

<変更前><変更後>
育児休業期間の延長は子が1歳6か月に達した時点のまま最長2歳まで延長に変更
小学校入学までの児童を養育する労働者が、育児目的で利用できる休暇制度がない労働者の性別に関係なく育児目的で取得できる休暇制度の追加
介護を行う労働者に対して所定外労働や深夜労働の免除制度がない所定外労働・深夜労働の免除請求ができる権利を追加

就業規則に関する弁護士の主な活動内容

就業規則が法律の改正内容に合っているか心配だ、自社の現状を踏まえて見直しが必要だと考えているなら、弁護士に相談しましょう。

弁護士は就業規則の見直しのため、いろいろなサポートを行います。

ヒアリング

弁護士はまず、主に次のような内容をヒアリングしていきます。

  • 会社の業種、従業員数
  • 現在の労務管理体制
  • 会社の求める今後の労務管理体制、人事評価制度等

これらの意見聴取を踏まえ、現在の就業規則と比較し、規則の内容を変更しなければいけない点、追加する規則を把握します。

作成

就業規則の変更・追加すべき点がわかったら、弁護士は就業規則見直し案を作成します。

もちろん、この見直し案を労働組合等に見せて意見の聴取が必要です。

労働者の過半数で組織する労働組合がある場合、見直し案を労働組合に提出します。労働組合がなければ、労働者の過半数を代表する者に提出しましょう。

労働者から異論がなければ、就業規則の見直しを行います。

見直し

就業規則は社内で見直しをするだけでなく、一定の事項を変更した場合、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署に届け出る必要があります(労働基準法第89条)。

  • 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務(就業時転換)に関する事項
  •  賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算、支払いの方法、締め切り、支払いの時期、昇給に関する事項
  • 退職に関する事項(解雇の事由も含む)
  • 退職手当の定めをする場合には適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算、支払の方法、退職手当の支払の時期に関する事項
  • 臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金額に関する事項
  • 労働者の食費及び作業用品その他の負担に関する事項
  • 安全及び衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  • 表彰、制裁の種類及び程度に関する事項
  • その他、事業場の全労働者に適用される事項

弁護士に依頼すれば、就業規則の見直しの届出代行も可能です。

出典:労働基準法 | e-Gov法令検索

就業規則を弁護士に相談すべき理由

就業規則を放置していると、様々なトラブルが発生する可能性があります。

弁護士に相談し、就業規則の見直しのサポートを依頼すれば、自社の現状に見合った完成度の高い就業規則が作成できます。

労使トラブル予防

弁護士のサポートを受け、現行法に則った就業規則を設定していれば、労使トラブルによる多大な経済的コストを抑止できます。

就業規則により規定が不十分だった場合、労働者と解雇トラブルになると、多大な解決金の支出を強いられる可能性があります。

たとえば裁判で解雇が争われ、不当解雇と判断された場合、労働者を解雇してから1年経過していたなら、給与1年分以上の解決金の支払を労働者に支払わなければいけません。

弁護士の助力を借り、解雇に関する規定をしっかりと定めれば、解雇トラブルのリスクは大きく軽減されます。

自社の希望に適した作成

弁護士に就業規則案の作成へ関与すれば、自社のニーズに即した作成が可能です。

ただし会社側に有利で、労働者側に不利となる内容の場合、労働者組合等の反発を招いてしまうことでしょう。

そのような事態が起きないように、弁護士は規則案の修正点をあらかじめ指摘し、改善策を提案します。

その後、修正した就業規則案を労働組合または労働者の代表者に提出すれば、支障なく手続きを進められる可能性が高いです。

弁護士のチェックが入れば、労使共に納得する就業規則が作成できます。

就業規則作成・見直しなら専門弁護士にご相談を

今回は労使の問題解決へ尽力してきた専門弁護士が、就業規則の見直しで弁護士が果たす役割等を詳しく解説しました。

自社の現状や法改正に合わせた就業規則の見直しは大切ですが、労働者がよりよく業務を行えるよう改善する配慮も必要です。

弁護士の的確な助言を受けながら、慎重に就業規則の見直しを図ってみてはいかがでしょうか。

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