銃刀法違反で逮捕!?処分や逮捕後の流れ・対応方法などを解説
最終更新日: 2023年11月29日
- 銃やサバイバルナイフではなく包丁や果物ナイフを所持しても逮捕されるのか
- 銃刀法違反で逮捕された場合、どのような刑罰になってしまうのか
- 逮捕されたら、どのような対応をとった方が良いのか
鉄砲や刀を所持している方々は非常に限られています。そのため、銃刀法と言われてもなかなかピンとこない人は多いはずです。
しかし、キャンプでナイフを所持したり、包丁をホームセンターから購入し自宅へ持ち帰ったりするケースはあります。そのときに適切な携帯・管理が求められます。正当な理由なく外で持ち歩いた場合、逮捕されてしまう可能性があるので注意しましょう。
そこで今回は、多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、銃刀法違反で逮捕された場合どのような刑罰に問われるのか、そして逮捕されたときの対応方法等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 鉄砲や刀剣類は所定の許可・登録を受けていなければ、所持が禁止されている
- 包丁等であっても正当な理由なく外へ持ち出した場合は処罰される可能性がある
- 銃刀法違反で逮捕されても安易に供述調書にサインせず、弁護士に相談する
そもそも銃刀法違反とは?逮捕されたときの処分は?
鉄砲や刀剣類を持っていなくても、身近にある包丁を正当な理由なく持ち歩いた場合、警察官等から銃刀法違反で逮捕されてしまう可能性があります。
こちらでは、銃刀法による規制および逮捕された場合の処分内容を解説します。
銃刀法
銃刀法では、鉄砲や刀剣類について所定の許可・登録を受けていなければ、所持そのものを禁じています。
しかし、鉄砲や刀剣類を扱う機会のない方々がほとんどです。そこで、鉄砲や刀剣類にはどのようなものが該当するかを取り上げてみましょう。
- 鉄砲:拳銃や小銃(例:軍隊が使用する自動小銃等)、機関銃、砲(例:ロケット弾を発射する武器等)、猟銃(例:散弾銃)、空気銃(空気の圧力で弾丸を発射する銃)等が該当する
- 刀剣類:刃渡り15cm以上の刀(例:日本刀や青龍刀等)、やり、なぎなた、刃渡り5.5cm以上の剣(例:短剣、サバイバルナイフ)等が該当する
なお、自宅や店舗で使用する包丁等は刀剣類に該当しません。
一見、日常的に調理で使用する包丁等は、制約もなく持ち出しが可能なように思われます。
しかし、銃刀法により包丁等であっても正当な理由なく外へ持ち出した場合、処罰される可能性があります。
処分内容
銃刀法の処分範囲は広く、銃や刀のような殺傷能力の高いものから、包丁や摸造刀に至るまで細かく規制し、罰則が明記されています。下表を参考にしてください。
所持していた鉄砲・刀剣類・刃物等 | 罰則 |
刃物(刃体の長さ6cm超)を携帯していた | 2年以下の懲役または30万円以下の罰金 |
模造刀を携帯していた | 20万円以下の罰金 |
拳銃や猟銃以外の鉄砲、刀剣類を所持していた | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
猟銃を所持していた | 5年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
拳銃を所持していた | ・1丁所持: 1年以上10年以下の懲役 ・2丁以上所持: 1年以上15年以下の懲役 |
殺傷能力が高いものほど、重い刑罰に処される可能性があります。
銃刀法違反で逮捕されるケース
鉄砲や刀剣類、刃物は容易に凶器となるため、たとえ犯罪を行う意図がなくても、正当な理由もなく所持していれば、銃刀法違反で逮捕される可能性は高いです。
こちらでは拳銃や日本刀をはじめとした銃砲・クロスボウ・刀剣類、包丁をはじめとした刃物のケースに分けて解説します。
銃砲・クロスボウ・刀剣類
鉄砲に関しては公務員(警察官、麻薬取締官、自衛隊員等)以外、拳銃や小銃、機関銃、砲を所持するのは禁じられています。
たとえ犯罪に用いる意図等がなくても他国から密輸する等、違法な方法で収集・所持していたときは銃刀法違反で逮捕されます。
一方、猟銃や空気銃、刀剣類は無許可で所持していた場合に、銃刀法違反で逮捕されてしまうので注意が必要です。
なお、クロスボウ(ボウガン)に関しては2021年6月16日「銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律」が公布され、2022年3月15日以降その所持が原則禁止・許可制となりました。
刃物
刀剣類に当たらない刃物(包丁、くだものナイフ等)でも、自宅や店舗での調理のため使用ではなく、次のようなケースで持ち歩いている場合、銃刀法違反で逮捕される可能性があります。
・包丁を護身用として携帯した
・防犯目的で携帯していた
・犯罪を行う意図はなかったが、車内に隠し持っていた
なお、銃刀法で規制される刃物は刃体の長さ6cmを超えるものが対象です。ただし、それ以下の刃物なら自由に所持して良いわけではありません。
刃体の長さ6cm以下の刃物を、正当な理由もなく隠して携帯していた場合、軽犯罪法違反となる可能性があります。
銃刀法違反で逮捕されないケース
銃や刀剣類、刃物は正当な理由があって所持している場合、銃刀法違反で逮捕される可能性は低くなります。
銃砲・クロスボウ・刀剣類
所持に関して公安委員会の許可を受けたうえで、次のようなケースで使用・運搬する場合は逮捕されません。
- 狩猟目的で狩場に運搬し猟銃及び弾薬を使用した
- 有害鳥獣駆除目的で運搬し猟銃及び弾薬を使用した
- 標的射撃を目的に会場へ銃やクロスボウを運搬し使用した
- 猛獣に麻酔を施すため麻酔銃を運搬し使用した
ただし、所持に関して許可を受けているからといってどのような場所でも所持・使用して良いわけではありません。
たとえば狩場(狩猟が認められた場所)や標的射撃の会場のような正当な理由が認められる場所でないにもかかわらず理由なく持ち歩く場合、銃刀法違反になる可能性があります。
刃物
刀剣類に当たらない刃物(包丁、くだものナイフ等)の場合は、次のようなケースであれば携帯に正当な理由があると認められます。
- くだものナイフをホームセンターで購入し、家に持ち帰る途中である
- キャンプで使用するため、小型ナイフ(刃体の長さ6cm以下)を持ち運んだ
- 料理人が自宅から職場(調理場)に包丁を持ち運んだ
銃刀法違反で逮捕された後の流れ
銃刀法違反で逮捕された場合、警察や検察の判断で次のように手続きが進められていきます。
捜査
銃刀法違反で逮捕されるケースは、主に警察官から職務質問され銃や刃物の携帯を現認された場合があげられます。
銃や刃物を携帯していた理由・経緯を明確に答えなかったり、職務質問に激高するなど抵抗したりすれば、現行犯で逮捕される可能性が高いです。
逮捕後は警察署内で取り調べを受け、銃やクロスボウは公安委員会から許可をされたものであるかが調査されます。
送検
銃刀法違反で検挙後、事件は記録一式とともに検察に送られます。送検された場合、検察官は引き続き身柄を拘束すべきか判断します。
身柄拘束の必要がある場合、送検後24時間以内に裁判官へ勾留請求をします。
勾留
裁判官が勾留の必要性はないと判断したら、被疑者は釈放され帰宅が可能です。ただし、勾留決定がなされると、警察の留置場内で身柄拘束が続きます。
勾留中には警察の取り調べが続けられ、勾留期間は最大20日間に及びます。勾留満期までに検察官は起訴をするのか、それとも不起訴処分とするかを判断します。
起訴・不起訴処分決定
検察官が被疑者を起訴すれば刑事裁判となり、勾留中に不起訴処分となれば被疑者の身柄は解放されます。
なお、勾留された状態で起訴される場合だけではなく、いったん釈放され自宅等に戻った状態で起訴(在宅起訴)される場合もあります。
刑事裁判
刑事裁判になる場合は「略式裁判」「通常裁判」のどちらかで進められます。
- 略式裁判:100万円以下の罰金刑を科す場合に選択され、簡単な刑事裁判で済み被告人の出廷も不要となるが、略式裁判を行うときは被疑者(被告人)の同意が必要
- 通常裁判:裁判所で審理が開かれ被告人は必ず出廷、判決は裁判官から被告人に直接言い渡される
略式裁判は簡易な手続きで終了しますが、有罪になった場合は前科者として扱われてしまうので注意しましょう。
一方、通常裁判は略式裁判を拒否したり、懲役刑等の重い罪になったりした場合に開かれます。
銃刀法違反で逮捕された場合にどう対応すればいい?
銃刀法違反で逮捕された場合は、なるべく早く弁護士へ相談しましょう。不起訴処分を得たり、減刑を望んだりするのであれば、弁護士の弁護活動が有効な手段です。
調書には簡単にサインしない
取調べのときに警察官の尋問で動揺してしまい、求められるがまま供述調書へ署名捺印をすると、不利な状況となってしまうおそれがあります。
供述調書とは、捜査機関が刑事事件の被疑者を取り調べ、供述内容をもとに作成した書面です。署名捺印をすると供述調書が完成します。
供述調書は刑事裁判で証拠として提出され、裁判官も記載された供述通りの事実が実際にあった、と認定する可能性が高いです。供述調書の内容に納得がいかない場合は、署名捺印を拒否しましょう。
すぐに弁護士に弁護を依頼
銃刀法違反で逮捕されてから72時間以内は、家族との面会は認められません。ただし、弁護士との面会は可能です。
銃や刃物の所持に正当な理由があったときは弁護士へ伝え、今後どのような対応をとるべきかを話し合いましょう。
弁護士から的確なアドバイスを受け、必要な対応をとれば不起訴処分あるいは減刑が期待できます。
心当たりがあれば反省の姿勢を示す
逮捕された自分も「護身用にナイフを隠し持っていた」「猟銃を片づけるのが面倒で自家用車に置いたまま、通勤していた」等、非がある場合は考えられます。
その場合は何より真摯な反省が必要です。反省の姿勢が警察・検察等の捜査官に伝われば、減刑または初犯であれば不起訴になる可能性があります。
まとめ
今回は多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、銃刀法違反で逮捕されるケース・逮捕されないケース、逮捕されてしまった場合の対応策について詳しく解説しました。
銃刀法違反で逮捕されたら安易に供述調書へサインせず、すぐに弁護士に面会し、有効な対応策を話し合ってみましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。