永代ではない有期限の墓地使用契約

最終更新日: 2023年11月17日

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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もはやお墓は永代使用しない?

数百年続いたお寺と檀信徒との関係も、最近は、離檀して解消されるケースが増えています。

離檀すると、お墓は他の墓地に改葬されることになります。また、多様な葬送方法が現れていることから、改葬はせずに自然葬がなされるかもしれません。

従前、お墓は永代にわたって使用されることを前提に、永代使用料(永代供養料)を納めて、墓地区画の使用権を取得する契約がなされていました。ところが、このような昨今の変化を踏まえると、永代使用を前提とした墓地使用契約は現代にそぐわなくなってきているのかもしれません。

また、上記のように後世の承継者が墓じまいをしてくれれば良いのですが、先祖の供養に関心が薄く、参拝に訪れることがなくなり、お墓が無縁化してしまう可能性も懸念されます。このように無縁化してしまいますと、相続人調査や公告など面倒な無縁改葬手続(墓埋法規則第第3条)が必要となり、お寺の負担はとても重くなります。

そこで、お寺との墓地使用契約について、永代使用ではなく、期限付き、有期限の契約とすることが考えられます。

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代表弁護士 春田 藤麿
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第一東京弁護士会 所属
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慶應義塾大学法学部卒業
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有期限の墓地使用契約

有期限の墓地使用契約とは、建墓から30年など契約した期間を経過すると、墓地使用契約は終了となり、お墓は取り壊され、焼骨は永代供養墓や合祀墓に改葬されるという内容の契約です。もちろん、後世の承継者が期限到来時に、墓地使用契約を更新できる契約内容も考えられます。

このような有期限の墓地使用契約とすることで、永代使用料(永大供養料)として納めていた墓地使用料は割安に設定され、墓地の契約がしやすくなるでしょう。

また、お寺にとっては契約期間経過後は新たに墓地使用者を募ることができますし、無縁化を回避することができます。

お墓の永代使用が想定しにくくなっている現実を踏まえると、今後は、このような有期限の墓地使用契約をお寺が提案していくことも検討されてよいのではないでしょうか。

契約期間終了後の改葬

有期限の墓地使用契約では、更新がない限り、建立されているお墓を改葬することになります。

墓地使用者以外の者が改葬をする場合、墓地使用者の承諾書が必要です(墓埋法規則第2条2項2号)。しかし、お墓の承継者の協力が得られず、承諾書を得ることができない可能性があります。

墓地使用契約をした方から承諾書を取得しておくことも考えられますが、何十年も前の承諾書ですと、改葬許可申請の際に、行政からその有効性に疑義を差しはさまれる可能性がありますし、現在の墓地使用者から承諾書を取得することを求められる可能性もあります。

このような問題を避けるためには、墓地使用契約と同時に、墓地の経営者であるお寺(宗教法人)を祭祀承継者と指定する公正証書遺言を作成しておくことが考えられます。そうすれば、契約期間満了後の改葬は、お寺自身が墓地使用者として改葬手続を取ることができます。

ただし、お寺が祭祀承継者であることを争う相続人や縁故者が現れることもあるかもしれません。そのような場合に、お寺が争いに巻き込まれることを防ぐためには、契約内容として、そのような方が現れたときには、お寺を祭祀承継者とした指定は効力を失うことを指定書に規定しておくとよいでしょう。

墓地の承継については、以下もご覧ください。

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